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釣る前に、食べる前に、タチウオという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、タチウオという魚を知ろう!

タチウオは、スズキ目サバ亜目タチウオ科に属する魚類。回遊魚。頭はとがっており、一見獰猛そうな鋭く発達した歯が目立つ。体は全体に左右に平たく、幅は指4本などと表現される。

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タチウオ(スズキ目サバ亜目タチウオ属)の生態

市場でも値のつく魚だ。とくにドラゴンは

北海道南部以南、日本各地に生息。地域によって産卵期が春から秋と非常に長いので年間を通じて味がいい。リボン状で尾鰭も腹鰭も鱗もない独特の形態をしている。鱗がない代わりにグアニンという銀色の物質が体を覆っている。古くはこの物質から模造真珠などを作っていた。小さなときからどう猛な肉食魚でもある。

他の魚にあってタチウオにないものはなあに?鱗、腹鰭、尾鰭だ。尻鰭もないでしょ?と思
う人も多いだろうが、皮膚の下に埋もれてしまい見えないのだ。タチウオは大きな括りではサ
バの仲間なので、サバ型から縦に泳ぐようになって特化して、このような姿になったのだろ
う。

外見から普通「太刀魚」と書く。この形からくる呼び名はカタナ(刀)、サーベル、サワベルなど多い。ただ、「タチウオは立ち泳ぎするからで立魚と書く方が正しい」とも。実際、立って泳ぎ小魚などを下からまっすぐ浮上しながら襲うような光景を見たことがある。

北海道から九州南岸の日本海、東シナ海、瀬戸内海、太平洋沿岸、朝鮮半島全沿岸、渤海、黄海に生息する。

現在、タチウオの分類は混乱していて国内の多くの学者が大西洋にいるもの、太平洋にいるもの、インド洋にいるものは別種としている。

ただ国際的には同種とされていて、カール・フォン・リンネが18世紀につけたもっとも古い学名が再浮上している。

魚類学者でもない身としては早くどっちかに決めて、と言いたい。

ちなみにインド洋のタチウオは盛んに輸入されていて、実際に食べているが、味的には同種だと思う。もちろん舌勘で分類をしてはいけない。

尾鰭がないので本種の体長は全長と同じだ。我がサイトにきたもので最大は鹿児島県産の184cm、次いで熊野灘の125cmだ。

前者を「神龍」、後者を「ドラゴン」というのは、ヘボ釣り師なので知らなかった。

タチウオの値段は?

年間を通して値段が安定している。小さいものは安く、大きくなるほど高くなる。
体の幅が10センチ以上1キロ近くなるとぐんと値の張る魚となり、1キロあたり3000円以上も珍しくはない。逆に体の幅が3〜4センチくらいはあまり高くはない。

関東では一般的に、このサイズを好まない。でも旬の靴べらサイズ、熊本県などではよく背ごしにして楽しむ。この背ごし、食べたら、うまさにビックリすること受け合い。ぜひともお試しあれ!キロあたり1000円前後。1本100円から200円が相場。

鮮度がいいと3000円はするので、今回の沼津で釣り上げたものは一尾卸値で900円ほどにな
る。これが幅指5本、2kg近いものになるとキロあたり7000円以上つく。ドラゴンを狙う気持
ちは市場での値段を考えてもわかる気がする。

シェンロンは超高値!!

流通の場では大きければ大きいほど高い。

例えば125cm、重さ2kgで、1キロあたりコロナ下でなければ卸値5000円、184cm、4.8kgは1キロあたり卸値8000円だ。

もしも東京湾でドラゴン級を釣り上げたら最低でも1尾卸値10000円はする。

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「タチウオ」の寿司①…トロっと甘い。後からジワっとうまいがくる

この頃、『市場寿司』で海老名市在住、相模湾の超ベテラン釣り師、海老さんをよく見かける。普通老いたら、あまり目新しい釣りに挑戦しないものだが、海老さんの場合、流行りに敏感で、どんどん新釣法に挑戦している。相模湾の、現在の釣りの状況なども教えてくれて貴重なのだけれど、八王子は遠い。大丈夫なのだろうか、仕事の方は。

そんな海老さんから、ケータイ。

「今日大釣りしたから、市場寿司で待ってろ」ときた。

待ち合わせ時間ちょうどに、ピカピカのスポーツカーに乗ってご登場。クーラーをとんと置き、

「今日釣ったほんの一部だけどね」

中には、ヒラメにマルアジ、マサバにマルソウダ、大カマスなどなど、五目、七目の魚がわんさか入っている。これをクーラーごと渡して、颯爽と帰っていく。かっこいい。

翌朝、『市場寿司』に着いたら、なんとまた海老さんがいるのだ。

「海老さん、仕事大丈夫?」

「大丈夫さ、オレ社長だし」

海老さんの魚をネタケースに並べて、たかさん、まさにえびす顔。

「すごいぞ、サバも生でいける」

このマサバに、ヒラメ、マアジの生、マルソウダ、マルアジ、カマスのあぶりの全部が全部うまい。

「平塚の花水川沖で、ライトタックルルアーで釣ったのさ。たった四時間くらいでクーラー満杯。後は海の上で昼寝してやった。ハハハ」

「かっこいい!」

たぶん河口近くはエサが豊富なのだろう。脂がのっている。

夏休み、市場近くでバイト中の、美人女子大生ミヨちゃんも、全部海老さんネタのお任せ握りを食べて、サバを追加している。

ニコニコ顔の海老さん、「ナウイギャルにもわかるんだ」。すかさずミヨちゃん「ナウイって?」。

これを聞きつけて、いろんな人がやってきて、「相模湾の魚ってうまいんだねー」。一日中主役の海老さんだったのだ。

さて翌日、『市場寿司』でお茶を飲んでいたら、たかさん、

「昨日出さなかった魚があるんだけど。あんまり小さいからさ」

「なに?」と出してきたのが、靴ベラサイズのタチウオ。

「小さいのに卵持っててさ……」

話しながら、いきなりたかさんがボクの方にバーナーを向けてボー(だれもまねをしないように)。

「大好きなのがわかるけど、これだけはやめようよ」

リボン状の銀色の片身をあぶり、トントンと切り、握ってくれる。

いきなり香ばしさがツンときて心地よく、口に放り込むとトロっと甘い。後からジワっとうまいがくる。驚いたのは、ちゃんとシコっとしたほどよい食感が感じられること。

「これ昨日の全部よりもうまい」

きびしい残暑に、しばし『市場寿司』で休憩。古い週刊誌を見ていたら、団塊の世代の最後が昭和二十四年とある。「海老さんも団塊の世代なんだね」。そこにやってきたのが、バイト前のミヨちゃん。

ボクが読んでいる週刊誌をのぞき込んで「なんですか? 【ダンコンの世代】って?」、するとたかさんが、「戦後たくさん子供が生まれた時期があって、その時期に生まれた人達のことを【ダンコンの世代】って言うんだ。海老さんもそう」。

ミヨちゃんにも、これも海老さんが釣ったもの、とタチウオを出す。

「なーに、これ、超ウマイ!」

いきなり踊り出した。確かにこれは踊り出したくなるうまさだ。

計ったように海老さんが現れたので「【ダンコンの世代】偉い!」とほめてあげる。

「オレは【ダンコンの世代】じゃない! (昭和)二十五年生まれだ」

以上の記事は「つり丸」2012年9月15日号の掲載情報です。

「タチウオ」の寿司➁…あぶったら、いくらでも腹に納まる。飽きが来ない!


とあるコンサートに誘われたけど行かなかった。

かなり気持ちが揺れたけどあきらめた。

幼なじみはそのために上京してきたのだ。
「行けばよかったかな、たかさん」

「アイドルっていっても六十五だろ。実物見たらがっかりかもよ」

「たかさんは行きたくないの?」

魚を渡したら、外を見ながら、「春いちばん♬吹いてるみたい。オレだって行きたかったよ〜♪」

確かに風が強い。
でもこれ春二番かもしれない。

今年はニュースを見る暇もない。

民芸の花瓶を買ったら、新年早々紅梅をいただき、花になった蕗の薹をもらった。

次は蘭か?
渡したのは の季語のタチウオだ。

立春を過ぎてから連続してもらっているので、春の季語に変えよう。

片身四枚をまな板にのせて、ヒマラヤの岩塩をぱらぱらと振る。

まな板を斜めにして一時間ほど待つ。

表面の水分をペーパータオルでとり、バットに入れて冷蔵庫にしまう。

つけてもらおうとやって来たらすし飯がなくなっていたのだ。

近頃、『市場寿司』は大繁盛だ。

「最近、近所の女子大生(若い女性はみんな女子大生と思っている)がいっぱいくるの。目当てはオレだね」

口からでまかせだと思っていたら、本当だった。

ひょっとしたら天変地異が起きる前触れかも知れない。

今回の魚は、ご近所の釣り名人、天然茶髪の鮹さんが持って来てくれたものだ。

このところ駿河湾の半夜釣りに通っているとのことで、狙いはズバリ、ドラゴン級だ。

前夜、数は釣れたけど、ドラゴンはこなかったようだ。

市場の釣りグループも行っているようなので、人気の程がうかがい知れる。

本当に指五本サイズが釣れるのだろうか?

全長八十センチ強なので、ミニドラゴンだけど、触ると身が硬く締まっていて、包丁を入れたたかさん曰く、脂がのっているとのこと。

翌日の午後、密閉容器を開けると、微かに飴色に染まっていた。たかさんが味見に切りつけると、「二月のタチウオもうまいね」

「一月もうまかったね」

「そう言えば秋のも」

タチウオの旬は、いったいいつなのだろう。

年がら年中旬だとしたら、俳句の季語にならない。

絶好調のたかさんとミニドラゴンを巻いてみたり、普通につけてみたり、はたまた手綱にしてつけたり。

「なんとなくだけど、手綱に巻くってのも意味がある気がしてきた」

「だろう。サワラやサンマなんかでもやるんだけど、尾の方をつけたときに、きれいだからだね」

サワラやアナゴ、サンマなどの細長い魚は尾の筋肉をよく動かすためか、締まっていてうま味が強い。

これを生かすための工夫なのだ。

「たかさんがすし職人だったこと、思い出しちゃった。すごいね」

連休も近いので、タチウオ二本をいろいろやった最後に、「燃えよ!ドラゴンじゃ」尾に近い方を長めに使い、すし飯を巻いて、バーナーであぶった。

まだ温かみのあるのを、味見する。

「これは衝撃的な味だね」

「どうだ!って感じだろ」

「お見それしました。タチウオの皮目は焼くとうま味が強くなるし、香りが立って最高だね」

もう一本巻いてもらって、「燃えよ!」して、今度はつめ(甘いタレ)を塗った。

意外にも甘いタレがじゃまだ。
焼いたタチウオの皮はそのままで、なにもしない方がいい。

最後の一巻きで、すし飯も終了。

不思議なことにあぶったら、いくらでも腹に納まる。

飽きが来ない。
しかもしっかり生のうま味もある。

「こーりゃ、来週も蛸さんに駿河湾に出動してもらうしかないね」

「燃えよ! 鮹さん!!」

以上の記事は「つり丸」2020年3月15日号の掲載記事です。

「タチウオ」の寿司③…燃えよドラゴン!うますぎ!!

ある大雨の朝市場に、仕事より釣りをしている時間の方が長い、と豪語するイケメン市場人が来ていた。
 
ときどきクマゴロウが作るエサ目当てで来ているらしい。

「クマさんのエサはすごいんです」
 
そのクマさんがコノシロとタチウオの短冊、丸のイワシを並べている。

彼のイケメンが狙っているのはシェンロンだというが、初耳だ。

「私は二回釣ってます」

「あのー、それって魚ですよね」

「ドラボール読んでないの?」
 
漫画は読まないし、ゲームもやらないので、余計にわからない。

「魚じゃないの?」

「東京湾で釣れる龍のように長い魚で、ドラゴンはわかりますよね」
 
といったらあれだ。でもシェンロンはわからない。

店にあった魚で、ていねいに説明してくれた。

「一般には、この体の幅(要するに体高)が、指五本をドラゴン、六本以上がシェンロンですが、私の場合は指で計らないで幅が十二センチから十三センチがドラゴン、十四センチ以上をシェンロンとしてます」
 
漢字で、「神龍」と書くらしい。

ドラゴンボールに出てくるキャラクターらしいが、タチウオとわかったら、後はボクには関係ない。
 
ちなみに四十年、魚を調べているが、撮影したタチウオは数え切れない。

最大は全長百八十四センチ・重さ四・八キロ、体高は腹部正中線までで十五センチなので、間違いなくシェンロンということになる。
 
クマゴロウ曰く、最近、東京湾ではあながち幻の存在ではなくなっているらしい。

そんな話をした翌週、本当にドラゴンがやってきた。
 
みごと東京湾で釣り上げた大物は、体高が指五本以上六本未満、重さ一・八五キロもある。まさにドラゴンである。

こんなに大きなタチウオが東京湾にいるなんて、ただただビックリしたなーもー、だ。
 
それを通りかかった、たかさんに渡して市場を後にした。
 
さて昼下がり、『市場寿司』ののれんをくぐると、めずらしく女子がカウンターですしをつまんでいる。
 
ドラゴンは、皮を引いて、皮付きで、あぶりでと、さんざんつまんだ。

「おいしいすぎる。でもうまいのは当たり前だから、なんかつまらん」

「贅沢言うんじゃない。やっぱりタチウオは女子に限るってね」
 
何気に女子にドラゴンをサービスしている。これもオヤジの性だ。

しかもドラゴンを語る、語る。

「あのさ、ヤリイカは男子、タチウオは女子って教えたのはボクだよね。それを店に来た可愛い子にすぐ披露するわけ。やだねー」
 
要するにヤリイカは雄が、タチウオは雌の方が大きくなる。

当然、ドラゴン、シェンロンはほぼ雌という話だが、朝教えたばかりなのだ。

「うますぎる握りって飽きるよね。脂がのってて、魚自体のうま味もたっぷりでさ、デキスギじゃない」

「文句言いながら十二かんかい」

「これ尻尾まで脂があるよね。まるで尻尾まであんこの鯛焼きみたい」

「普段との差がありすぎて、うちも困るんだよね。上物過ぎてさ」

「いいじゃない。タチウオは小さくてもそこそこうまいんだから」
 
当たり前すぎてつまらないと言ったら、たかさんがなにやらもそもそとやったものを皿の上に乗せて、「燃えよドラゴン(炎がぼーっ)」
 
笑ってしまったが、すし飯を片身で巻き、皿の上であぶる。

まだ温もりが残っている内につまむ。

「たかさん、極楽に行きそうな味だね。香りだけでもごちそう。口に放り込むと、脂があるから溶けながらすし飯と一体化して喉に消える」

「やっぱりオレって天才!」

「天才だね。でも、燃えよドラゴンは今どきの女子にはわからんよ」

以上の記事は「つり丸」2021年9月15日号の掲載記事です。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。
ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。
どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。
HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

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