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釣る前に、食べる前に、シイラという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、シイラという魚を知ろう!

シイラは、スズキ目・シイラ科に分類される魚の一種。全世界の暖かい海に分布する表層性の大型肉食魚で、食用に漁獲される。ルアー釣りで人気の魚であり、釣りの対象としても人気が高い。

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シイラ(スズキ目シイラ科シイラ属)の生態

世界中の温かい海域の表層や沿岸域を回遊している。2メートルを超える大型魚で大きくなるほど、おでこが大きく盛り上がってくる。小魚をエサにする肉食魚。
不思議なことに西日本では海辺ではあまり人気がなく、山間部で人気がある。これが北陸、東北の日本海側では海辺でも山間部でも超人気魚。この地域ではこの魚を「満作」と呼ぶ。これは豊年満作の意味で、シイラの音が「粃」、すなわち殻ばかりで身入りの悪いイネをさすのを嫌ったもの。
特に新潟県、山形県では夏の魚としてとても人気が高い。シイラの刺身で酒を酌み交わすというのが、暑い時期の風物詩ともなっている。実際に夏のシイラは非常にうまい。むしろ関東で人気がないのが不思議で仕方がない。

シイラの値段は?

10キロ前後で1キロあたり500円前後。これ以上にもこれ以下にもならないので、超大型で卸値1尾5000円くらい。

シイラの釣行レポート

「魚はいますので、梅雨が明けて日照りが続けば、数もサイズも期待できますよ!」と話す、「庄治郎丸」世古勇次郎船長。暖かい潮が沖から入って来ているので、それに乗って120㎝クラスの大型シイラも入って来ているのだ。相模湾のシイラは例年9月末頃まで。さあ、いよいよ本番だ!

沼津浦港「幸松丸」は積極的に、シイラ、カツオ、キメジなど表層回遊魚たちを追いかける船のひとつだ。「シイラはメーターオーバーも多くてけっこういい感じだったね。カツオはまだ遠いね。こないだも漁で沖に行ったけど、油代ばっかりで赤字になっちゃったよ(笑)」と話す、7月初旬までの状況を振り返る松坂孝憲船長の言葉だ。

相模湾のシイラがいよいよベストシーズンに突入! 「今年はシイラの当たり年。数は多く、アベレージはメーター前後ですが、大型もいます!」と「浅八丸」石井信幸船長は話す。

「シイラ」の寿司…始めはあっさり、後からうま味じんわり

お盆は、家にこもりっきりで、仕事三昧の日々だった。唯一出かけたのは近所の映画館。宮崎駿の『風立ちぬ』を観て泣いた。お盆明けに『市場寿司』でこの話をしたら、たかさんいきなり「風立ち〜ぬ〜〜♪」。

さて、お盆明け早々に、お客が『市場寿司』に持ち込んだのが小型でスマートなシイラ。相模湾で釣ったもので、ちゃんと締めていて鮮度抜群。うま味も、脂ののりもほどほどながら、とてもうまい。二、三かんつまむのにもってこいだ。

「あれ、このうまさわかるの」

「わかるさ、うまいよ」

「偉いねー。マグロなら大トロ、とんかつにレバニラ炒めが好きだろ。白身の繊細な味はわからないと思ってたけど、意外にグルメだね」

わかった振りをしたわけではない。小さくても鮮度のいいシイラは本当にうまい。はじめはあっさりしているが、後からうま味がじんわりとくる。シコっとした食感も心地よいし、すし飯との馴染みもいい。

「たかさんの、すし飯の握り加減もいつもよりいい気がするな。口の中でホロっとほぐれる」

「これまた、偉いじゃん。米、替えたんだ。わかった」

さて、『市場寿司』というか、ボクとたかさんにジンクスがあって、〈魚をもらうと、同じ魚が続く〉のだ。そして

今回もまた、ジンクス通りに島根県浜田からやってきた。

知り合いの仲買商にシイラの真子をお願いしていたら、本体も一緒について来た。

一尾丸ごとではない。真ん中あたりの、いちばん脂ののった部分。しかも二キロ近くはありそう。

山陰ではシイラの真子が高値で取引されている。「そろそろ〈名残のマンサクの真子〉です」と走り書きした紙がついていた。

さすがに石見の人は味のある表現をする。真子と大型の旬はそろそろ終わりだが、これからは小振りの味がよくなってくる。「今年はシイラを食べまくるぞ」なんて思う。

たかさんがサクにしならが、「包丁が重いから、脂はありそうだ」なんていい。まずは刺身にして食べてみる。小振りの相模湾シイラは清涼感のあるすがすがしい味だったが、こちらはどっしりと強いうま味と、甘みがある。しかも後味がいい。

二人前盛りつけた味見用があっという間になくなった。

夏休みなので、親子連れがわいわい入ってきて、小学生らしい男の子が生意気に「お任せで」なんて言う。

まずはボクにシイラ二かん。片方は皮を引いて、もう一かんは皮目をあぶった焼霜造りだ。

味の強さを考えて、まずは普通の握りから食べてみる。

やはり大型のシイラには脂の甘さや、強いうまさがある。味にボリューム感というか深みがある。舌に強いインパクトを残したまま、焼霜造りを口に入れる。途端に、普通の握りの味の記憶が遠のいた。

焼いた皮の表面が舌に触れるやいなや、とろりととろけるような感覚を覚え、焼いた香ばしさが口に広がった。皮の真下がまた甘く、身の方のうま味も、より強く感じる。

たかさんがお客にネタの説明をしている。「中トロと、イクラ、ウニ、ホタテガイ、ズワイガニにカンパチ、シイラ、卵焼きだよ」。

子供が「シイラって何?」と聞くので、たかさんがジェスチャーで「こんな頭して、薄い板のような魚でね、緑色の魚だよ」。これでわかる人はいない。ボクが「ハワイでマヒマヒっていうんだ」というと、

「なーんだ先週ハワイで食べたじゃん。ねえお父さん」

「たかさん、ホワイトボードにゃ、マヒマヒと書くかね」

「うちは江戸前だけど」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2013年9月15日号の掲載情報です。

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