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釣る前に、食べる前に、チャイロマルハタという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、チャイロマルハタという魚を知ろう!

チャイロマルハタは、スズキ目・スズキ亜目・ハタ科・マハタ属の魚。インド洋や紅海、西太平洋などに分布している大型のハタで、国内では琉球列島などの南日本に分布している。

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チャイロマルハタ(スズキ目ハタ科マハタ属)の生態

新潟県、三重県から沖縄西表島まで生息域が点々としている。1993年に出た『日本産魚類検索 全種の同定』には琉球列島以南とあり、当時沖縄でも珍しい魚だった。それが徐々に生息域が北上していて、沖縄県や鹿児島県、高知県ではありふれた魚となりつつあり、特に鹿児島県では遊漁でも人気が高いという。産卵期は夏。
体表にドット状の斑紋があるハタ類の見分け方は非常に難しい。ヒレグロハタ、ヤイトハタなどは頭がやや小さなところも似ていて紛らわしい。漢字で書くと「茶色丸羽太」、前身に茶色の丸(ドット)のあるハタの意味。このドットの大きさが瞳と同じだと本種であるということに。国内では新顔の魚なので地方名はまったくないか、ヤイトハタと混同されている。

チャイロマルハタの値段は?

1m近くになる大形のハタで重さ20kgを超える。小さくても高価だが大きければ大きいほど高い。過去に築地場内で見つけたのが15kgあり、1kgあたり4000円、税抜き1尾60000円というのを見ているが、ハタの価格が高騰する年末には1kgあたり1万円ということも。産卵直後はまずいが、秋になると徐々に脂がのってくるので今秋あたり狙ってみては。

「チャイロマルハタ」の寿司…魅力溢れる今年いちばんの握りだ!

八月は旧のお盆があり、原爆が投下されて、終戦の月でもある。ボクやたかさんなど還暦前後のオヤジは戦争を知らない子供達として、平和というものをじっくり考えるときだ。パチンコも酒もつつしみたいと考えていた。が、結局、真逆のことをやってしまって反省しきり。

話は梅雨入り前にさかのぼる。三重県から大形魚の半身が送られて来た。熊野市の魚屋さんに「おいしい魚があったら送ってください」とお願いしていたのだ。これが皮をきれいにすき引きしているので種類がわかならない。SNSで写真を見せてもらうと不鮮明だが、チャイロマルハタに違いないと思った。

魚類学的には、北限は和歌山県とされている。これは三重大学などに持ち込むべきだとは思うが、片身で五キロもある個体、浜値でも5万円以上はするので無理というものだ。

このチャイロマルハタらしき魚が素晴らしかった。試しに作ってみた塩焼きが信じられないくらいうまい。ハタ類は塩焼きに向かないと思っていたのでビックリ。

余ったので夏枯れ気味の『市場寿司』に持ち込み握りにしてもらうと、たかさんも同じくビックリ。

「うまさてんこ盛りだよね。甘いのは脂だね。うま味もあるよね。食感もいいし。とれて何日目?」

「熊野での競りが一昨日だから…、三日目だと思うよ」

「じゃあ、あと二、三日置くともっとうまくなる」

その三日目のうまさたるや言葉にならないほど。生きていてよかった。この三重県産も含めて、昨年秋から頻繁にチャイロマルハタがやってくる。なかでも暮れに鹿児島県錦江湾で釣れたものは十二キロもある大物。我が会のメンバーが全員集合しての鍋が最高だった。

お盆明けの市場は人影もまばらで静かだった。『市場寿司』をのぞくと、たかさんが店内で一人にやにやしている。不気味なので素通り。一回りして、また店の中をのぞくと、お客の前で、顔がふにゃふにゃしてどことなくにやけているのである。

のれんをくぐり、「あれね」というと、「あれか」といって冷蔵庫から「あれ」を取り出す。ボクが、「なにかいいことあったの?」と聞くと、たかさんにやけた顔で

「ないない、なーにもない」

お盆明け最初の一かんが、これまたチャイロマルハタである。これはお盆前に京都、大阪の旅に出たのだが、京都の仲卸さんで見つけて買い求めた鹿児島県産のもの。あまりにもきれいな個体だったので、撮影用にと思い切って買ってしまった。

この半身を『市場寿司』に持ち込み、背の部分だけさらしに巻いて、氷に埋めておいてもらっていた。さらしを外すと残念なことに身割れしてしまっているが、まだ透明感もあるし血合いもキレイだ。

刺身にしょうゆをつけないで食べてみたら、とてもうま味が強い。

「後味が甘いね」

「うま味を感じて後から甘いね」

握ってもらったら、寝かせた分軟らかくなり、すし飯との馴染みもよくなっている。濃厚なうま味を感じさせながら上品でもあり、優雅でもある。今年いちばんの握りだ。

ホワイトボードに「チャイロマルハタ」と書きながらたかさん、

「茶色って地味だよね。こんなに華やかで、モーレツうまいのに」

本日はバスで来たので刺身でいっぱいやっているとまた、たかさんの顔がにやけてきた。「どうしたの?」に、ご常連さんが解説する。

「お孫さんにジジがいちばん好きって言われたようです」

「幸せだね」

「お盆玉効力もあと数日でしょう」

「え、お盆玉ってなに?」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2015年09月15日号の掲載情報です。

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