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釣る前に、食べる前に、カツオという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、カツオという魚を知ろう!

カツオは、スズキ目・サバ科に属する魚の一種。伊豆諸島や長崎県、熊本県ではヒラソウダやスマなどと区別するために「本カツオ」と呼ぶ。国内では北海道以南で見られ、太平洋側に多く、日本海に少ない。

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カツオ(スズキ目サバ科カツオ属)の生態

日本近海、世界中の温帯から熱帯域に広く生息する。日本海にはあまりいない。
サバ類とともにほとんど地方名がない。これは古代から「硬魚(かたうお)」と呼ばれていて、それが今の標準和名に転訛したものだからだ。すなわち正倉院文書(738年)にもあるように、浜でとれたものを固く干し、平城京へと送られて来ていたのだ。生の状態を知らなかった都での呼び名が全国津々浦々に伝わり、今日に至っている。ただ、東シナ海、日本海にはカツオが少なく、単にカツオというとヒラソウダガツオのことをさし、本種は富山県では「まんき」、熊本県では「本ガツオ」などと呼ぶ。

熱帯域では年間を通して産卵が行われている。

近海でも近年抱卵している個体が夏から冬など長期にわたって見つかる。

成長の早い魚で、1年で40cm前後に、2年で60cm以上に、3年で70cm前後になる個体がいる。

相模湾などでもマグロと見間違いそうな大カツオが揚がっているが、明らかに4歳以上の個体である。

日本の食文化と非常に深く結びついているので、意外に思うかも知れないが、学名をつけたのは18世紀、スエーデンのカール・フォン・リンネで大西洋か地中海で採取した個体で記載した可能性が高い。
 
今年は全国的に不漁となっている。

また熱帯域のミクロネシア周辺でも思わしくないらしい。

まだこれからなのではっきりは言えないが、相模湾での大釣りが不思議でならない。

三重県など名物のなまり節が作れないと大騒ぎである。

カツオの値段は?

カツオは新しければ新しいほど値が高い。また巻き網でもとれるが、釣りものの方が高価である。2㎏サイズまではあまり値がつかず、3㎏前後になるとぐんと高くなる。すなわち釣りもので3㎏以上がいちばん高くて、1㎏あたり卸値で2000~3000円ほど。3㎏を近海の相模湾などで釣り上げたら、1尾6000円以上になる。くれぐれもハリス切れには気をつけていただきたい。

相模湾や土佐湾、熊野灘では初夏から良型の水揚げが続いており、大阪市場や東京豊洲などで特に高値をつけている。

豊洲などでは、千葉県や宮城県などの遠洋ものとは別立てで取り扱われ、普通はキロあたり卸値数百円から1000円前後だが、相模湾産は最低でもキロあたり卸値2000円以上、高値で3000円前後もする。

当然、3kg1尾、最低でも卸値6000円、高いと卸値9000円もする。

もしもハリ掛かりしたら取り込みは慎重にお願いしたい。

カツオは近場でとれたものが高い。

例えば三重県や和歌山県では、日戻りガツオなどという。

これなど水揚げするとすぐに箱詰めして関東にもやってくる。

ところが今年はとても少ない。

千葉県や宮城県などの大型船も思わしくないので、がぜん脚光を浴びているのが相模湾のカツオだ。小田原魚市場では2kg~3kgのサイズで1kgあたり卸値2500円もする。

今回、蛸さんが竿頭になったときには14本も釣り上げたという。2kg級1尾卸値5000円×14本で、なな、なんと卸値で70000円になる。

カツオの釣行レポート

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今年のキハダは相模湾に6月下旬より回遊。黒潮の恩恵で群れが濃厚!最適な潮が入り込んでいるため、このポイントにさえ行けばまず外すことはない。今後は、追っかけパターンもあり、まだまだ熱い。

「カツオ」の寿司…“鉄心にカツオ”は握りよりも、丼よりもいいかも

「相模湾のカツオが食べたい」

とつぶやいたら、すぐに伊豆半島東沖のカツオが届いた。家の量りは二キロまでなので、重さはわからないが体長は五十五センチもあった。

お願いすると、魚が届くというのは、ここ数年なかったことだ。その上、届いたカツオの素晴らしいこと。

釣り上げたその日に食べたら、死後硬直前で、モチモチっとした弾力がすごい。酸味をほとんど感じないのは、これも新しいからだろう。

血合いの部分はみそ、青じそ、玉ねぎとたたいて「なめろう」にした。これも新しくないと作れない。腹の部分の塩焼きもまことにうまい。

頭は二つ割りにして塩ゆでにした。この料理は鹿児島県の魚屋さんが教えてくれたのだけれど、故郷から送られて来た、すだちをかけて身をこまめにほじくり出し、出しして食べたら、酒がすすんでこまった。

届けてくれたのは今、釣り人生の盛期を迎えている、ご近所の釣り名人・鮹さんである。昔、これまたご近所の釣り名人・そば屋の浅やんが、お願いするとなんでも釣って届けてくれたが、これが二回り以上年下の鮹さんに世代交代したようだ。

オキアミ餌のコマセ釣りで釣れたというが、ボクが相模湾に通っていたときには、カツオと言えばカッタクリだった。今年は一日十本以上も釣れるというが、重労働だろう。

翌日、『市場寿司』に半身を持って行った。受け取ると、たかさんが一瞬イヤな顔をする。実を言うと、すしの世界ではカツオを「足の速い魚」と言って嫌うのだ。

不機嫌そうに、まな板の上で血合いを切り取っているのを見て、酒を飲んでいたマグロ屋が、「腹のところくれよ。皮つきでね」と言った。

「このサイズだと皮固いよ」

たかさんが、皮つきで出すとうれしそうに、酒の肴につまむ。

「なにこれ。モチモチだね。噛めば噛むほどうま味がじわじわくる」

ちなみにマグロ屋の仕事は午前零時からなので、午前九時過ぎの今は、一般的な時間になおすと、夕方にあたるわけだ。ちなみにこの男、味には非常にうるさい。

「ほめるの珍しいね」

「バカ言え、こっちゃー赤身のプロだよ。このカツオは今季一位だね」

確かに腹の部分の皮は硬いが、今日もモチモチしている上に、噛めば噛むほどうま味が染み出してくる。

「たかさん、朝ご飯に丼ね」

切りつけて軽くしょうゆ洗い、丼に並べられてきた。背の部分もまだいい食感が残っている。うま味豊かだ。あまりにもうまいので、箸が止まらなくなる。握り二かんを追加してもまだ、なんとなくもの足りない。

「たかさん、お昼も来るからね」

今年、相模湾で釣れ盛っているのは、秋のカツオのように脂がのっている。そういえば、築地場内の仲卸が、ここ数年、「脂ののったカツオがとれるのが早くなったようだ」と言っていたが、まさにその通りだ。

午後一時半の店仕舞い時にのれんをくぐると、「中巻き二本でいいかな」というので、うなずく。この鉄心(鉄火巻きの芯という意味)にカツオというのも素晴らしい。握りよりも、丼よりもいいかも知れない。

残ったカツオを丁寧に晒しで巻き、保冷バッグにしまっている。

「まさか孫に」と聞くとニヤニヤと幸せそうな顔になる。

「いいジイサンだね」

さて、鮹さんにもらってから後、同じような釣りもののカツオが何本かやってきた。どれも同じ条件なのに、味が数段落ちる。

「たぶん、釣ったあとの処理だね」

「そうだね。鮹さんのは、しっかり首を折っていたんだ」

「鮹様、次はマグロをお願いします。オヤジふたりで待ってまーす」

以上の記事は「つり丸」2016年9月15日号の掲載情報です。

カツオの寿司➁…カツオの土佐巻き最高!やみつきにになる!!

「だんだんいやになってきた」

 腹の部分を皮付きで刺身にしながら、たかさんがぼやいた。

「そうかな?こいつだけはいくら食べてもいやにならない!」

「店内がニンニク臭いのも困る」

「大丈夫でしょ。最近はこれ、いい匂いだってみんな言ってる」

「おれはニンニク、ダメだからね」

「仕方ないでしょ。すし職人なんだから。ショウガで我慢でショウガ」

ニンニクはスライスして持参している。

一株四百円もする青森県田子町産の特上品である。
 
すし屋にニンニクがあっていいのは高知県だけだ。

江戸前ずしに、ニンニクは禁物。

握りに匂いがついたら、「すし屋は廃業だ」とたかさんが言うのも、あながち嘘じゃない。
 
ここで頭にピピピっとひらめいた。あれを作ってもらおう。

さて、話は八月三日まで遡る。

たかさんの口癖を借りるなら、その日から「カツオフィーバー」が始まったのだ。

多いときは週に二本とか三本のカツオが、『市場寿司』にやって来ていた。

初っ端は伊豆大島沖の三キロオーバーだった。

釣ったのは、市場で紙製品を扱っている恵比寿さん。

なんとその日は十五本以上も釣り上げて筋肉痛だったらしい。

たかさんファン倶楽部、会員番号ナンバーワンの、近所のうるさ型のおばさままで「息子が釣ったものだけど」と、一本下げてきた。

キハダマグロを持って来た人もいるし、シイラを持って来た人もいたらしい。

今年の相模湾には、表層を高速で泳ぐ肉食魚が、ザワザワと湧き上がっているのかも知れない。

御蔵島沖に通っている、市場の釣り名人・クマゴロウまでもがカツオをくれた。

本命はシマアジなので、「カツオやキハダ掛ける人がいると迷惑だと言ってなかったっけ?」

「釣れちゃうんだも〜ん」

毎日のように、『市場寿司』で刺身にニンニクスライスをたっぷり乗せて、日本酒を一杯、二杯。

しめに握りを五、六かんつまんでいた。

「たかさん、極楽、極楽」
 
最初は喜んでいたたかさんが、九月の声を聞くやぼやきはじめた。

「店で使えるのは下ろした日と、たたきで翌日まで。本当にカツオは忙しいよー。疲れるネタだよー」

すし屋で「忙しいネタ」と言うのは、不確かな情報だが、戦前かららしい。

その頃も相模湾・小田原ではカツオが揚がっていた。

八王寺には、小田原に仕入れに行く魚屋が多かったので、生で食べられたようだ。
 
たかさんは忙しいから、嫌だと言うが、いくら食べてもおいしい。

刺身やたたきも最高だが、握りがいちばんうまい。

五、六かんつけてもらうと、うれしくて踊りたくなる。

この日のカツオはご近所の釣り名人・鮹さんが相模湾で上げた四キロ上。

二十キロのキハダもきて、クーラーに入りきらなかったらしい。

「たかさん、巻ものにしてよ」

ピピピっと頭に浮かんだのが、土佐巻きだ。

鉄火巻きの太巻きバージョンに、スライスしたニンニクがたっぷり入っている。

高知名物で、漫画『土佐の一本釣り』の舞台、中土佐町久礼で食べてから、やみつきに。
 
一本一気食いして、土佐高知で食べても、八王寺で食べてもうまいことが判明した。

酸味のある大振りの切身がすし飯と一緒になる。

これだけでも十二分にうまいが、ニンニクの香り、辛味、そして微かな甘味が加わるとゴージャス、絢爛豪華や!

「太閤秀吉になった気分だぜ」

「天下取ったって?」

以後、ずーっと土佐巻き三昧の日々である。しかも、徐々にニンニクの量を増やしてもらっている。

「たかさ〜ん、元気はつらつだー」

「それで…、なんか目的あんの?」

「ありませーん」

以上の記事は「つり丸」2019年10月1日号の掲載記事です。

カツオの寿司③…カツオがうまい!ボク肥える秋…

市場の釣り名人、クマゴロウが遠征していたため、珍魚がいっぱいやってきていた。新発見いっぱいだった。

「クマゴロウ様、かたじけない」

「もう島周りもおしまいだよ」
 
なんて騒いでいる間に、武蔵野にも秋が迫り来る。

ある昼下がり、市場の真横を流れている川縁を散歩中、真っ赤な実をつけた草があった。

「食べられるかな?」

「だめだめ、それ毒、毒だって」
 
たかさんの同級生、ご近所暇老人がとめる。顔がマジ。本当かも?
 
不安なので、カウンターに飾り、カツオのたたきをもらう。

たっぷりのネギに故郷、徳島のすだちをぎゅっとしぼりかける。

酒はノンアルコールビールだけど非常にうまし。

「たかさん、ネギがおいしくなってきた。すだちも果汁たっぷりだし」
 
この日のカツオは、ご近所の釣り名人、蛸さんが釣り上げた相模湾の初ものだった。

二キロ級ではあるが、うますぎて困っちゃう、って感じ。

「たかさん、握りも二かんね」

「なんでもそうだけど初はいいね」

「たかさんに、あと何回初があるんだろうね。意外に十回くらい?」

「縁起の悪いこと言うな」
 
九月初めの、鮹さんのカツオの釣果は五本だったようだ。

バラシも多かったみたいだけどすごい。

「いきなり五本も釣れたんだって」

「去年もよくもらったよね」
 
蛸さんの話では、これからでっかいキハダマグロも狙えるみたいだ。

「たかさん、カツオやマグロの舞い踊りってことも、あり得るぜ」

「ツイスト、ツイスト、ゴーゴー」

「浮かれるんじゃネーって」
 
カツオは相模湾では秋の魚だ。

小田原で年間を通して見ているが、九月から徐々に大型になってくる。

ときに十キロ上という超大型も上がる。

昨年、七キロまでは食べているが大きいほど脂はのっている。
 
蛸さんの二キロ級は、たった一日で跡形もなく消えた。

ボクの元に残ったのは頭とあらだけ。
 
片身は皮を引き、そのままつけて、半分は皮目をあぶってつけた。

「お客はどっちがいいって」

「それがねー。忙しくて聞けなかったんだ。盛り込んじゃったしね」
 
たかさんとこの人気ナンバーワンはお任せなので、忙しいと聞けないこともある。

でも今年の相模湾カツオはごっつイケマスってことだ。
 
もともと在宅なので忙しいことに変わりはない。

お昼ご飯にカツオの中落ちを煮て、チンしたご飯に茗荷の千切りと混ぜ合わせて食べる。
 
頭は塩水で煮て、食べられる部分だけ冷凍保存すると、キュウリの酢の物に加えてよし、これでカレーを作ってもうまい。

相模湾カツオの旬は秋、ボク肥える秋でもある。
 
秋が深まってきたと思ったら、市場の釣り師、近所の老人達までカツオを追いかけ始めた。

昼下がり、『市場寿司』の前でたかさんがカツオの背の部分をあぶっている。

「釣った翌日は生で、翌々日はあぶってつけるって、誰が言ったのかな」
 
みんな仲良く相模湾にカツオ釣りに通うと、どうなるのか?

ボクは仕事に追い回されているので、気がつかなかったが、たかさんが集中砲火を浴びていた。

「よかったじゃない。赤身はこれでいけるでしょ?商売、商売」

「バカ言ってんじゃないよ。カツオがあってもマグロは別物だぜ」
 
要するに二日しか使えないカツオは、続きすぎると迷惑だってこと。

「それでボクの午後のおつまみも、握りも、丼もカツオなんだ」

「そろそろ飽きただろ」

「飽きないよ。白身は飽きるけど赤身は三百六十五日でも大丈夫!」

「クマちゃんが今度お父さん連れてくるって。そりゃーなんじゃ?」

「波平さんでしょ」

以上の記事は「つり丸」2020年10月15日号の掲載記事です。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

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