遠州灘はアカムツの宝庫。真夏は穴場シーズンだ


3〜4人の少人数でチャーターする。船外機船とはいえ、走行性能抜群の高速艇だ。

高速ボートのカロライナスキフは、実釣時安定性抜群。このようにスタンディングで釣りが楽々可能。

食い渋りでこの通り。こんな良型がそろえば御の字。

最大はなんと50㎝。まだまだこんなサイズのアカムツが多く潜む浜名湖沖。

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・浜名湖「ボートクラブ カナル」。
静岡県の御前崎から愛知県の伊良湖岬までの約110㎞に及ぶ海域が遠州灘。
海図をみると、誰にでも見てすぐ分かる海溝がいくつもある。その溝がアカムツの普段の生息域だ。
「私は浜名湖でチャーターによるガイド船をやっているのですが、夏の定番は外洋に出てキハダやカツオのキャスティングゲームが定番でした。希望があればもちろん出船しますけど、今期はアカムツ釣りがイチ押しですよ」と話すのは、浜名湖「ボートクラブ カナル」のオーナー、柴田昌宏さん。
聞くと、アカムツという魚は、ボートアングラーの仲間内では、とても釣りやすい魚で、出船すれば確実に釣れる魚だったという。いわば、お土産魚の位置付け。それほど、魚影が濃いというのだ。
ではなぜ、真夏がアカムツの穴シーズンかというと、柴田さんが話すとおり、ほとんどの船が夏ならではのエキサイティングゲームを求めて、キハダやカツオを追いかけており、アカムツはあまり狙わないというのだ。ライバルが少なく大型アカムツが高確率で釣れるということだ。
実際、アカムツの産卵は初夏から秋。群れ固まりやすく釣りやすくなる。遠州灘でも例外ではなく、まさに、8月もハイシーズンなのである。
この夏の傾向は高ダナ。ステ糸の長さで調整する

ベテランは、PE2号でアカムツを攻略。ボートならではのライトタックル釣法だ。

タックルだが、ボートならではで、比較的ライトなものでオーケー。
標準となるのは、2m前後の8対2、もしくは7対3調子の根魚用、もしくはゲームロッド。オモリは150号なので、リールはシマノ社製なら3000番、ダイワ社製なら500番の中型電動がベター。
道糸はPE3〜4号400m以上収納しておけばよい。
少人数乗船の「カナル」限定ということであれば、PE2号と小型リールの組み合わせも十分に使える。
仕掛けは、胴付き2〜3本バリ。茨城の波崎沖や南房総で使っているものをそのまま流用可能だ。
ハリスは細ハリスにこだわることはなく、8〜10号50㎝。ハリはムツ18〜19号、ホタ16〜17号あたりが使いやすい。
アピールアイテムである、マシュマロボールやタコベイトは好みで。水中ライトは不要だ。
そして、一番大事なのが捨て糸の長さ。
「私が釣るときは、捨て糸は最初から3m以上とりますよ。常連さんは4mです」と柴田さんが話すように、一般的に長くても2mなのでかなり長いイメージだ。
「これだけ長い捨て糸を使っても上バリにアカムツがヒットします。大型はとくにですよ」
実際、乗船日ヒットした50㎝のアカムツは4mのステ糸に3本バリの一番上にヒット。これだけでどれだけ上ダナであるかが理解できるだろう。
長い捨て糸に抵抗がある人は、まずは3mの捨て糸から始めるとよいだろう。
ここのアカムツすべてが高ダナにいるわけではない。もちろん、底付近にも回遊している。高ダナだけにこだわるのはリスクもあるので、周りの釣り人の釣れたアカムツのタナを参考にしていろいろと探ることが大事だ。
エサはやはりホタルイカとサバの抱き合わせが定番

やはりここでもエサの定番はコレ。ホタルイカとサバの切り身の抱き合わせが実績が高い。

大型は念のためタモいれをしよう。

遠州灘沖でも付けエサは、ホタルイカとサバの切り身の抱き合わせが定番だ。
柴田さんは、タコベイトをハリスに付けているので、ホタルイカ1匹付けが主流であったが、エサ持ちのよさと常連さんの実績からサバの切り身を抱き合わせで付けるようになったという。
「うちではあくまで大型狙いなので、エサ持ち重視でサバも付けるようになりました」
ホタルイカはツボ抜きせず、1匹そのままエンペラ付近を縫い刺しして付けるとよい。
置き竿が基本。誘いはスローにする

遠州灘でも誘いが有効。仕掛けの動きをイメージしながら誘う。

ボート上での釣り方は、大型乗合船での釣り方とほぼ変わりない。
メリットは、潮や風にのせて、船を流しやすいので、どんな状況下でもポイントを効率よく流せること。
潮が流れていればベストだが、風の力にまかせてのドテラ流しも実績がある。
釣り方は置き竿で十分だが、アカムツ釣りフリークほど、誘いたくなるのは釣り人の性。もちろん誘いもオーケーだ。その際、動作はゆっくり行うこと。早すぎる動きは、警戒心が強いアカムツを仕掛けから遠ざけてしまうからだ。
長いステ糸を使っているときは、オマツリしない程度にタルマセの誘いを行ってもよいだろう。
ヒットしてからは、電動リールは中速度以下で巻き上げる。水深があるので、速すぎる巻き上げはバラシの一番の原因となる。とくに残り水深100mを切ってからは、手持ち竿で魚の引きを感じ取りながらやり取りしたい。バラしもここからが多いからだ。
以上の記事は「つり丸」2017年8月15日号の掲載情報です。
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乗船日の最大は50cm。こんな大型が周年釣れる穴場なのだ。