キハダ釣りはトラブルが多いのでルールを守って安全に楽しもう!


正午過ぎ、キハダ&キメジが突如活発に跳ね出し、内田さんのルアーにヒット!

ネットインの準備は完了だ!

「庄三郎丸」のルアーマグロ船初日に取り込まれた11.5㎏。釣り人は内田悠介さん

6月27日に取り込まれた15㎏

6月27日に取り込まれた10㎏級

7月4日に取り込まれた18㎏

7月6日には21・5㎏が取り込まれた

内田さんが使用したルアーはローカルスタンダードの「ダイブベイト」。上が165、下は11.5㎏がヒットした140

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・平塚「庄三郎丸」。
平塚「庄三郎丸」では6月5日にシイラ船で4.2㎏のキメジをキャッチした。その後も、当宿のシイラ船でたびたびキメジをキャッチ。6月27日には15㎏をはじめ3本のキャッチに成功。そこで7月1日からルアーマグロ船をスタートした。
本誌の取材はルアーマグロ船の開幕初日。朝は強烈なモヤで視界が悪く、思うようにナブラを探せない状況。次第にモヤがなくなり、船を沖に出すと、まずは大規模な本ガツオの群れに遭遇。しかし、シラスやそれにちかいサイズの小魚に狂い、ルアーを追わない。
そして、状況が一変したのが正午過ぎ。突如、キハダ&キメジが活発に跳ね出すようになりチャンス到来。二回ヒットし、1本(11・5㎏)が無事に取り込まれた。
取材後の7月4日には18㎏が取り込まれ、7月6日には待望の20㎏オーバー、21・5㎏が取り込まれた。
いよいよ熱いシーズンに突入した相模湾。今年も大物を狙って大海原に出よう!!
フックは必ずラバーブレス。キャストの際は必ず声をかけよう!

タックルをセレクトする際に最も重要なことは「バランス」。相模湾でヒットするキハダのサイズは20〜30㎏が中心。それに合わせてセッティングしよう。
ロッドは、マグロ専用またはヒラマサなど青物用のキャスティングタイプで、ルアーウエイトが40〜100g程度のもの。長さは8フィート前後が扱いやすく、最初の1本として購入するのであれば8〜8.5フィートがオススメだ。できれば、これが2本あればベストである(フローティング用とシンキング用、予備の意味も含めて)。
3本以上用意できるのであれば、ローテーションなどで胴の間からキャストする際に快適な7〜7.5フィートモデルや、飛距離重視の9フィートモデルもアリ。飛距離が出たほうがヒット率が上がるからだ。ただ、ロッドが長くなればファイトの際の体への負担は増す。
リールは、手返し重視ならハイギアまたはエクストラハイギアタイプ。ファイト重視であればノーマルまたはパワーギアタイプ。どちらを選ぶかはアングラー次第だ。ドラグ性能のよいモデルをチョイスしよう。
ラインは、PEの4号を基準に、5〜6号まで。最近では、ワンランク細くて強いラインが各メーカーから発売されている。高価ではあるが、キハダゲームでは使う価値は十分にある。リーダーは、使用ラインの20倍が基準。4号なら80ポンドだ。
相模湾のルアーキハダ乗合船で絶対に守らなければならないルールは、フックは“必ずバーブレス”ということ。バーブレスとは、カエシのない状態のこと。市販の状態ですでにバーブレスとなっているものを利用するか、カエシをプライヤーなどを使って自分で潰す、またはヤスリで削るのだが、このとき少しでもカエシが残っていてはダメ。この少しのカエシが、もし人に刺さってしまった場合に抜けないのだ。
カエシがあっても、バレるときはバレる。カエシがなくても、バレないときはバレない。確実なバーブレスフックで、キハダと勝負しよう。
最も事故やトラブルが多いのがキャスト時! キャストする際は後方確認を必ずしよう

この釣りで最も怪我やトラブルが多いのが、キャストの瞬間だ。
「表には出ていないだけで、毎年相当の怪我人が出ているはずです」と前出の椙尾さんは言う。昨年は、後頭部にフックが刺さり、そのままキャスト動作に入ってしまったために頭頂部までバックリと頭皮が裂けてしまったという大事故も起きている。骨折事故も多数起きているし、他人に怪我をさせて裁判になったという話も珍しくない。他人のタックルを引っ掛けてそのまま海に落としてしまい、十数万円弁償したという話もある。これがルアーキハダ船の現状だ。
ルアーキハダ乗合船ではミヨシのポジションではオーバーヘッドキャスティングが許されている船が多いが、そういった事故やトラブルを避けるために、キャストする際は必ず後方確認を行おう。他のアングラーがいないこと、そして置いてあるタックルの位置をよく確かめ、「投げます」とひと言声を掛けてからキャスト動作に入る。
タラシは短く50㎝ほどにして、ロッドを振る際は、剣道の面の要領で、自分の真上をルアーが通るようにする。横や斜めに振りかぶることは厳禁だ。このときに後ろではなく隣の人を引っ掛けてしまう確率が高いのだ。
胴の間からは、アンダーハンドでのキャストとなる。無理してオーバーヘッドを行うようなことは絶対にやめよう。周囲にいるアングラーはもちろん、操舵室の上にいる船長や船の装備を引っ掛けてしまうことがあるのだ。また、他人のタックルを引っ掛ける事故は、実は胴の間で起きることが多い。
キャストに自信のない人は、日々キャストの練習を行い、しっかりとキャストができるようになってから乗船するようにしよう。
毎年ルアーキハダの記事で書いているが、キャストできない人がルアーキハダ船に乗ることは、ゴルフでボールが打てない人がコースを回るようなものである。練習あるのみだ。
「キャスティングゲーム初心者の方は、まずはシイラ船から始めていただきたいと思います。船宿ではシイラセミナーを行っているところもありますので、それを利用するのも手です。しっかりと基礎を身につけてからキハダにチャレンジしても遅くはありません。急がば回れです。むしろそのほうが、キハダをキャッチする近道と言えると思います」とは椙尾さん。彼は、船長が「見ていて気持ちいいぐらいにいいところにキャストする」というほどキャスティングが上手い。また彼は、シイラゲームのエキスパートでもあり、セミナーでは講師も務める。
いいところにルアーが入るから、キハダが食う。逆の言い方をすれば、いいところに入らないから釣れないのである。一にも二にも、「キャスティング」が重要なのだ。
ナブラ撃ち&誘い出し。シンキング誘い出しとフローティング誘い出しがある


釣り方については、上にイラストでまとめた。ぜひ参考にしていただきたい。
日本にはいろんな種類の釣りがあるが、そのなかで最も怪我やトラブルが多いのが、この相模湾のルアーキハダ。ルールとマナーをしっかりと守り、安全第一で楽しもう。
以上の記事は「つり丸」2016年8月1日号の掲載記事です。
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当日はキハダ&キメジの跳ねのほか、大規模なカツオのナブラも見られた!