まずはエサの準備から。浅場のアタリは強烈で身震いするほどだ


上総湊沖のマダイは、これから釣れる水深がさらに浅くなる!

正確にタナを取ったら、時々シャクる!

黒ずんだ乗っ込みのマダイが取り込まれた

高級魚アマダイもまじった

カサゴは定番ゲスト

マハタをゲット

「とう市丸」では、手バネ竿は無料で貸してくれる

今回、取材にご協力いただいたのは、千葉・上総湊「とう市丸」。
ここ上総湊では、5月になると乗っこみシーズンを迎えて、連日のように3㎏オーバーが顔を出す。5㎏オーバーの大ダイや、10㎏級のモンスターの実績もある夢のフィールドだ。
全身に伝わるあの力強い引きと独特の三段引きは、一度味わったらハマること間違いない。
船宿の朝は、エサの準備から始まる。専用イケスにサルエビとアカエビを飼育するこだわりよう。周年を通して安定したエサの供給と釣果が約束できる。赤い斑点があるアカエビは、硬くてエサ持ちがいい。夜にお腹が赤く光るサルエビは食い込み抜群である。状況によって使い分けるといいだろう。
出船時間になると、吉野泰治朗船長が舵を握り、実績の高い金谷沖を目指す。狙う水深は30ヒロ前後で深くても40ヒロ。
「これからグングン浅くなって釣りやすくなります。浅いところは5ヒロですよ」と話す、船長。
5ヒロといえば仕掛け分の長さと驚き。
浅場のアタリは強烈で、身震いするほどだ。昨年は金谷沖の20ヒロで9㎏オーバーが釣り上げられている。
シャクリマダイ仕掛けをご紹介。正確なタナ取りが釣果につながる

30分ほどでポイントに到着すると、「35ヒロです」と開始の合図。左のトモでは船長も竿を出す。道具捌きやシャクリ方を真似するといいだろう。
「この釣りは、正確なタナ取りとアタリが取れるかですね。シャクリは思い思いでいいですよ」と船長。
小さいアタリが取れるかで釣果を左右する。続いて「36ね」とタナ変更の指示が出る。手バネ竿の糸掛けを3往復すると1ヒロになる。
左舷でファーストヒットすると、綺麗なイトヨリが抜き上げられた。右舷胴の間ではホウボウも顔を出す。生きエビを使った釣りでは、ゲストも豊富で五目釣りが楽しめるのも人気の秘訣。
「あれ〜、掛からないよ」と船内も活気立つ。アタリから掛けるまでが醍醐味だ。
そして、左舷胴の間では梅原忍さんにヒット。強烈なやり取りを何度もかわし、黒ずんだ魚体の本命マダイがタモに収まった。
「シャクッて戻してる時にゴンときました」と素敵な笑顔だ。
「この釣りはギューンって食った瞬間が楽しいです。この気持ちはお金では買えない嬉しさです」とこの道半世紀以上の船長の一言。
「昔はエサの数だけ釣れたこともあるけど、今は1匹1匹を 楽しんでお客さん全員に釣ってもらえるといいですね」と話す。
昔は、3本竿を扱って3本同時に大ダイが食ったこともあるという。
そして、右舷では常連さんに重量感タップリのアタリだ。船べりから身を乗り出して、腕と膝で何度も強烈な引きに耐える。まさに一進一退の攻防が続く。
「重たいばっかりで引かないな」と実況中継。「これは大きいね」と船長も状況を見守る。「引きましたね。楽しんでますよー」とさすが常連の余裕。周囲が竿を置いて凄まじいやり取りに注目すると、「んー外れた!」とまさかの一言。残り10ヒロでまさかのバラシ。
「今のは大きかったね」と船長もガックリ。
ハッキリ分かるアタリは小型が多いが、このようにアタリが小さくてズッシリ重たい時は、大ダイの可能性大である。
船内は盛り上がり、シャクる手にも力が入る。左舷でジャンボウマヅラが釣れたところで、ポイント移動となった。
「19ヒロです」と、ここでようやく自分も竿を出す。テンヤを前方に投入したら、中オモリを逆方向に投げ入れればトラブルが少ない。道糸の目印をしっかりと確認してタナを取る。一定のリズムでシャクリ続けると、「ギューン」とシャクる手が止められるアタリだ。
開始早々のアタリにドキドキすると、時おり「グングン!」と強い引きが手に伝わる。本命を予感するが、海面には高級魚のマハタが浮上した。船内では良型のアマダイやマダイにそっくりなハナダイも顔を出す。そして、エサ取りが多くなり、カサゴやイトヨリが連発した。
「今日は潮が動かないね。潮が流れればバタバタ食いますよ」と話す、船長。
その後もアタリは続くが、本命からの返事はなく沖揚がりとなった。隣の梅原さんは本日10種目達成とニッコリ。
これからマダイは浅場に移動して、釣りやすくなる。伝統釣法の「シャクリマダイ」を是非楽しんでいただきたい。
以上の記事は「つり丸」2018年7月1日号の掲載記事です。
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専用イケスでサルエビとアカエビを飼育している!