MENU
沖釣り専門誌『つり丸』が徹底取材した釣果、釣り方、仕掛け、タックル、魚の生態、グルメコラムを中心に配信する釣り情報サイト
釣る前に、食べる前に、コガネスズメダイという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、コガネスズメダイという魚を知ろう!

コガネスズメダイは、コガネスズメダイスズキ目スズメダイ科スズメダイ属の魚。南日本、沖縄。インドネシアに分布。岩礁域やサンゴ礁域などに生息する。

コガネスズメダイ(コガネスズメダイスズキ目スズメダイ科スズメダイ属)の生態

伊豆諸島、小笠原諸島、伊豆半島周辺に多い。和歌山県、琉球列島などにも生息するがそれほど個体数が多いとは思えない。日本列島に生息する熱帯起源の魚は、南シナ海から東シナ海・九州北部沿岸にかけての種群と、台湾南部から琉球列島・九州南岸から東北までの太平洋沿岸の種群、小笠原諸島・伊豆諸島・伊豆半島にかけての種群、以上の3つに分かれるのかも。もちろんそれぞれ混在しながらだが、本種などを生息域内の沖縄で探すとなかなか手に入らない。そのくせ伊豆大島や伊豆半島の川奈や下田から忘れた頃に送られてくる。
スズメダイの仲間は韓国や九州北部、鹿児島県、沖縄県、台湾北部などで食べられているが、関東では定置網に入っても捨てられる運命にある。スズメダイ、オヤビッチャ、アマミスズメダイなどは誰が食べてもあまりのおいしさにビックリするだろう。ただあまりにも小さいし、見た目が悪いので手が伸びないだけのようだ。

コガネスズメダイの値段は?

関東の市場では一度だけスズメダイを見ているだけ。しかも馴染みがないのでまったく売れなかった。ということで例えば関東の市場に入荷しても、本種も含め0円。食べたらタイに優る味なのに、なー。

「コガネスズメダイ」の寿司…ねっとりとして脂からくる甘味が強い

五月の声を聞くと福岡県から小粒だがやたらにうまい魚がやってくる。この頃からお腹に真子をかかえていて、それがだんだん膨らんでくる。単位が大きいので、あまったら『市場寿司』に提供するが、そのつどたかさんがイヤな顔をする。

「タカベは塩焼きがうまい、よね。だからといって刺身にしない」

「何がいいたいわけ」

「わかんねーかな。魚には向き不向きがあるっての」

「去年はうまいなー。マグロのトロより上等だって言ってたでしょ」

「記憶にありません」

「またー、今どきのお役人様みたいなことを言って。今年はダメ?」

「うーん、おいしくないっていうかさー。くどく感じるんだ」

要するに年を取ったので、脂っこいものがダメになっただけだ。
この真子を抱えた黒っぽい地味な魚を保存用の袋に放り込んで、イタリア産の海水塩をパラパラと振る。そのまま待つこと半日くらいで、福岡名物の「あぶってかも」が出来上がる。塩漬けにしたのも、この魚自体のことも福岡県北部では「あぶってかも」というのだ。
これをじっくりと焼いて、蒸し暑い午後にノンアルコールビールのあてにする。めちゃくちゃうまいし、めちゃくちゃに幸せ気分だ。

「福岡の人ってこの小魚が、こーんなにうまいってよくわかったよね」

「昔、玄界灘で網が揚がんないくらいとれたんだって。せっかくとれたのに捨てるのももったいないので塩漬けにしたわけさ。それを焼いて食べてみたら『鴨』よりもうまかったので『あぶって鴨』になったって」

魚には産卵期になると途端に味が落ちるものと、産卵期で真子や白子が大きくなってからもおいしい魚がある。この福岡県の「あぶってかも」、スズメダイは後者なのだ。
数日後、市場を歩いていたら魚屋のクマゴロウが黄金色のスズメダイをくれた。伊豆諸島の利島沖で釣れたらしい。これをたかさんに渡すと、二かんの握りになった。

「福岡のと比べると脂は少ないけど、うまいね。すし飯との馴染みもいいし、抜群にうまいんじゃない」

「一かんじゃ、わけんねーけど、『あぶってかも』より上品で好き」

この黄金色なのでコガネスズメダイという小魚は、なかなか手に入らない。考えた挙げ句、FBでウォンテッドしてみた。すると不思議なことに一人一尾ずつ、計五尾が、すべて伊豆半島から、イサキや小振りのシマアジと一緒に送られてきた。「こりゃどう見てもシマアジの方が主役だろ」という、たかさんにコガネスズメから下ろしてもらう。三枚に下ろして片身づけだから、待つこともなく目の前に来た。

福岡県から来たスズメダイは舌にねっとりとして脂からくる甘味が強く、後味が少しくどいが、コガネスズメは真逆の味だ。舌に乗せるとほんのりと甘いが、これは脂からくるものではなく、うま味からくるものだ。ほどよい食感も心地よい。

「色からしてお金持ちになれそう」

「気がするだけだろ。シマアジの方がお金になるって」

けだし、こんな小さな口の魚がシマアジやヒラマサねらいのハリによくかかったものだ。クマゴロウを呼び止めて聞くと、

「だから一匹だけだったの」

話ではイサキ、ヒラマサがいっぱいきたらしく、本人曰く「ビッグな釣り」だったらしい。それなのにボクにくれたのは小さなスズメダイだけとは、さすがに商売人はしわい。

「また行くのかな?」

「利島面白いからね」

「もっといいの、待ってるからね」

「スズメダイ釣るの難しいんだ」

完全に勘違いしている。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2018年7月15日号の掲載記事です。

関連記事
生息域は国内では新潟県から九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、千葉県外房〜九州南岸の大平洋沿岸、種子島、琉球列島。海外では済州島、台湾、中国北海、東インド洋、西太平洋に広く生息する。
更新: 2019-04-13 07:00:00
ムツは、スズキ目ムツ科ムツ属の魚。北海道〜九州の太平洋・日本海・東シナ海、台湾の水深200〜700mに生息する。
更新: 2019-03-28 07:00:00
ウシサワラは、スズキ目サバ科サワラ属の魚。国内では、日本海は秋田県から山口県の日本海沿岸の各地、相模湾~和歌山県の各地、九州西岸や五島列島などでときどき水揚げされる。
更新: 2019-03-22 12:00:00
ナンヨウカイワリは、スズキ目アジ科ヨロイアジ属の魚。サンゴ礁などの沿岸の浅場に生息。
更新: 2019-03-05 12:00:00
スミイカは、コウイカ目コウイカ科コウイカ属。関東以南。南はインドネシアやベトナムなどの東南アジアまで生息している。
更新: 2019-01-29 07:00:00
最新記事
外房・飯岡沖のポイントは水深30mほど。このエリアはとても釣りやすく、ビギナーも手軽にマダイを手にできるチャンスだ。マダイだけはなく、ハナダイのアタリも多く、大型まじりでお土産の期待できるぞ!
更新: 2019-04-24 12:00:00
ほぼ周年楽しめる南房江見沖のアカムツだが、本格シーズンは4〜12月。そのロングランシーズンが開幕した。高級魚としてすっかりおなじみになったアカムツ。水深250m深場にナイスボディで美味な個体が勢ぞろい中だ。
更新: 2019-04-24 07:00:00
網代港「ゆたか丸」の遠征シマアジ・イサキ五目釣りがスタートした。イサキを主体に多彩なゲストが釣れる楽しさいっぱい。イサキはもとより、開幕直後の狙い目はシマアジ。強烈な引きが魅力の高級魚だ。
更新: 2019-04-23 12:00:00
静浦、多比、久料、古宇と小さな漁港が散在する沼津地区は、午前午後と二便制のマダイ船が特徴だ。港から釣り場までは近く、移動時間がかからないため、半日船でも十分な実釣時間が確保できるのは沼津沖ならではだ。
更新: 2019-04-23 07:00:00
外房といえばヒラマサ! だけではない。近年はサンパク・ワラサの人気も上々。リレー形式で攻めることが多い千葉・大原港「松鶴丸」。冬から春にかけての釣りを紹介する。
更新: 2019-04-22 12:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
つり丸船宿一覧
つり丸定期購読