急深の地形をいかしたポイント多数。陸近くで良型アカムツをGET


地元の湯河原町在住の中村政徳さん。深場釣りを得意とする常連さん。本命を見事キャッチ

中村さんは2本目もキャッチ

奥川俊明さん。「1匹顔を見れてよかったです」

良型オンリーだから1匹に価値がある! 激うま魚を釣ろう!

夜明けが美しい初島。この島周り水深200〜300mがアカムツポイントだ

釣れたらタモでしっかりと捕獲しよう

親切な高瀬健太郎船長がタモ入れしてくれる。お客さんが釣れたときは、お客さん以上に喜んでくれる。アットホームな雰囲気の船上なのでリピーターが多い

「たか丸」流の仕掛けは捨て糸なしのもの。アカムツ釣り歴20年以上の大ベテラン高瀬船長がすすめるの仕掛けで実績大だ

アピールアップをねらってサバをグリーンに染める工夫もあり! エサはいろいろと試してみるのもよい

エサはオーソドックスなホタルイカとサバの切り身の抱き合わせ。迷ったらまずはコレを試そう

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・伊東「たか丸」。
東伊豆沖は、陸から急深の海域が広範囲にある。海図を眺めると複雑に入り組んだ地形がいたるところにある。そんな深海がアカムツの棲み家だ。
「私は20年以上前から東伊豆周辺のアカムツを釣っています。昔は誰もアカムツを釣っていなくてどこででもよく釣れましたよ。近年はブランド魚になって乱獲の影響もあり漁にこそならないですが、おかげで遊漁船ではそこそこお客さんに釣らせることができますよ」と話す、伊東港から出船し、ほぼ周年アカムツ専門といってっも過言ではない「たか丸」の高瀬健太郎船長。
高瀬船長は、2㎏オーバーも夢ではない沖の深場のアカムツ釣りと、近場の水深200〜250mの釣りの2コースを設定。前者はもちろんボウズ覚悟の大型狙いだがゲスト多彩で楽しめるという、後者はかなり高確率で40㎝級アカムツをキャッチ可能というのだ。
当日は高水温のため、深場の様子が芳しくなく近場のポイントを高瀬船長は選択。いつも見慣れた景色がすぐ目の前、という水深200mのポイントで見事、良型アカムツキャッチとなった。
仕掛けはシンプル。オモリ200号使用でハリ2〜3本の胴付きだ。ここのオリジナル仕掛けの特徴は、捨て糸がないこと。この仕掛けでは、常にオモリを底から1mほどきっておくことがコツ。もちろん、捨て糸を付けてもよい。エサのホタルイカもしくはサバの切り身を付けたら、あとはボトム付近で静かにアタリを待つだけ。
激うま確定のこの魚釣りは年末年始にさらに盛り上がるはずだ。
水深200m〜300mのアカムツ釣りタックル。ハリは大きめムツ17号以上、ホタ16号以上をメインに

使用オモリは、だいたい200号がメイン。潮の流れが速いときには250号を使う船宿もある。
竿は専用のものが必要ではないかと感じる人もいるだろうが、こちらも普段使い慣れたものを代用できる。
具体例をあげると、ビシアジ竿、オニカサゴ竿、中深場用などがそれ。気をつけなくてはならないのは、アカムツのアタリは意外に小さいので、竿先は軟らか目がよい。
カワハギ釣りでいうゼロテンション時にアカムツのアタリがよく出る。このアタリを捉えることができるか、否かで釣果にかなり差が出ることもザラなのだ。
タックルの進化により、よりライトなタックルで釣りが可能になっているのだが、いくらPEラインの強度があがってもなんらかの理由で高切れすることもある。
水深200mを超える釣りでは、高切れは試合終了のきっかけになりかねない。必ず、予備のリールを持参しよう。
PEラインが細くなるほど、そのリスクがあがることも覚えておこう。
その原因はオマツリが一番の原因だが、歯が鋭い魚、クロムツやサメ、スミヤキなどが掛かった仕掛けが道糸に絡んだら要注意。PEラインに少しでも歯でキズになっていたら、惜しみなくカットし電車結びなどをして結束しなおそう。
仕掛けは胴付き2〜3本バリが主流だ。どの海域にも共通して使用可能だ。
ハリスの長さは、50㎝前後。深海なので食いが渋いと1mなどと長めにしたくなるだろうが、長いハリスは手前マツリの原因となるだけでなく、水中の動きもあまりよくない。
実際、ハリス6号使用でもアカムツ釣りでは強度的には十分。しかし、ハリスが細くなればなるほど、ヨレやすくマツリやすい。
それを防ぐのが張りのある太めのハリスだ。その基準は8号以上。深海では細ハリスはそれほど効果はない。
使用するハリはこだわりたい。なぜなら、深海の底付近でヒットした魚を時間をかけて水面まで引っ張りあげるからだ。この時間が長くなるほど、掛かりどころによっては魚が外れることがある。
アカムツは、アジのように口周りは弱い。よって、ハリ穴が開きやすく、ハリ穴が大きくなるとテンションが緩んだときに、ハリが外れてしまうのだ。
そんなハリ外れを想定して近年人気があるのがホタバリ。独特の形状で一度ハリ掛かりするとなかなか外れない。ムツバリも外れにくい形状だ。17号以上を使用する。
さらに、フッキング率アップとバラシの軽減に活躍するのが、大きなハリの使用。
大きめのハリを使用してもアカムツのサイズが大きいので心配はない。
中深場アカムツ釣りの基本。アタリを出すのはゼロテンション。誘いは静かに行う

アカムツは想像以上に警戒心が高い魚だ。なんらかのプレッシャーが入るとまったく口を使わなくなる。
だから、エサを食わすのは、ほとんどがエサのフォール中、かエサが水中でなびいて静止しているとき。
誘い動作を入れるときは、50㎝のハリスを確実に動かすつもりで竿を上下に動かす。
深海なので、海上で1m前後上下させても水中では糸フケの影響などによりあまり動いていない。よって海底で1mの幅を動かしたいなら、少なくとも倍、竿の上下は2m以上動かさなくてはいけないと理解しよう。その際、動作はできるだけゆっくりが鉄則。
この中深場のアカムツ釣りでも有効なのは、ゼロテンションでアタリを待つというもの。タルマセも可能だが、かなりオマツリするリスクがあがってしまうので注意が必要だ。
たいていの場合、アタリが竿先に伝わってきた時点で、アカムツはエサを飲み込んでいるが、早アワセは禁物だ。入れ食い時を除き、多少送りこむぐらいの気持ちでテンションをかけずにじっくりを飲み込ませてしまおう。
何度かシャープなアタリを感じたら、竿を聞きあげて頂点で電動スイッチオン。これでアワセは完了だ。
巻き上げは中速度以下で。残り100mを切ったところから再度「ガクガクガク」と魚が暴れればアカムツ率アップ。水面直後でも暴れる。この暴れによるバレを防ぐには、手持ち竿でやり取りすることをオススメしたい。貴重なアタリを捉えて釣る魚だから、丁寧なやり取りは重要だ。
伊東「たか丸」のアカムツ釣り。アカムツ釣り歴20年以上の「たか丸」高瀬船長

東伊豆で深場釣り、とくにアカムツにこだわって出船をくりかえす伊東「たか丸」の高瀬健太郎船長。
話を聞くと、なんと20年以上も前からアカムツ釣りをしているという。昔は誰もアカムツなんて魚は知らなくて、漁師もろくに獲らなかったという。しかし、近年はアカムツが全国的に認識され、多くの釣り人がこぞって釣るようになったことも一因で個体数が少なくなったとのこと。
しかし、大ベテランの高瀬船長は、近場のアカムツならかなりの高確率で釣らせることができるという。それも、長年築き上げてきた経験によるものだ。
ポイントは急深のため、陸近く。魚探で見てもはっきりとした起伏ある根があるわけでなく、知らないと通りすぎてしまうようなところ。
「アカムツは泥場にいますからね。平坦なところでもエサがいるところに集まるんです」と、見慣れた風景のところを案内してくれる。
夢の2㎏オーバの大型アカムツも釣らせてくれる。これは、陸近くではなく沖の深場がポイントという。当然のことながら、2㎏を超す大型の個体数は少ない。ボウズ覚悟の釣行となるが、ゲストにフウセンキンメやクロムツがまじるのでお土産には困らないという。
高瀬船長がすすめるアカムツ仕掛けは、捨て糸なしだ。
ハリ数は2〜3本で一番下の枝スを出すサルカンにダブルスナップなどを使ってオモリを直結するというもの。
捨て糸があると、意図的にタルマセ釣りをしたくなるので、オマツリの原因となり、貴重な時合いを逃すこととなるという。
捨て糸なしで、オモリを底から1〜1.5mほどあげていることが、ちょうど、一番下のハリが底上1m前後を漂うことなり、トラブルレスでヒット率もあがるという。ぜひ試してみよう。
捨て糸がある仕掛けも使用可能だ。
なお、「たか丸」では、スローピッチジャークのルアーアングラーも受け入れている。
以上の記事は「つり丸」2016年12月1日号の掲載記事です。
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当日のポイントは近場の網代沖。陸近くだが水深は200m以上ある