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釣る前に、食べる前に、ゴマサバという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、ゴマサバという魚を知ろう!

ゴマサバは、スズキ目サバ科に分類される魚の1種。太平洋の熱帯・亜熱帯海域に分布する海水魚で、沖合の水深50m程度までの表層で大群を作り遊泳する。

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ゴマサバ(スズキ目サバ科サバ属)の生態

北海道以南。西南・東部太平洋に広く分布。温かい海域を好み、1955年、魚類学者・田中茂穂は「東北にはいない」と述べている。が、年々取れる海域が北上。今や岩手県、青森県からも大量に入荷してくる。
古くは、加工用の魚というイメージがあり、鮮魚としてはマサバの代用品と考える人も多かった。それが近年、入荷量が増えて評価が変わりつつある。これに拍車をかけているのが「生で食べられるゴマサバ」。高知の「清水さば」、鹿児島の「首折れサバ」はブランド魚の古株、観光資源ともなっている。これに触発されて日本各地から生食用のゴマサバが入荷してくるように。九州大分、静岡県、小田原などの活け締めはマダイに負けない値段をつけている。

ゴマサバの値段は?

7月から8月にかけて魚の入荷が極端に減る。めぼしい魚が無いなかで健闘するのがサンマにゴマサバである。特に相模湾などからの首折れサバ(活け締めにしたもの)は明らかに高級魚。ときに1キロあたり2000円前後にもなる。300グラムから500グラムサイズで1尾600円から1000円はマダイ並。釣り人のみなさん決して海にポイなんてしないで、しっかり血抜きしてお持ち帰り願いたい。

「ゴマサバ」の寿司…不思議に笑いが止まらなくなる味なのである

七月の連休明け、ご近所にあるコンビニのオーナーIさんに呼び止められて、「あんた『つり丸』に書いてるんだね」と、しばし立ち話。

「オレさ、(定休日の)水曜日は必ず釣りなんだ。ときどき店をオヤジに任せて八丈なんかも行くよ」

この人、パチンコも麻雀もやらず、スポーツも好きではない。映画もテレビもあまり見ない。その上、五十を超えていまだに独身だと噂される。いつも市場で見かける顔ではあるが、話を交わしたのは、これが初めて。「最近はどこへ」と聞くと、「七月は近場が多い」という。

「この時期、ゴマちゃんが多くていやになちゃうよ」

「そのゴマちゃん、どうするの」

「海へポイだけど」

「やっぱりねー。八丈島なんかに行く人って、夏のゴマサバをゴミ扱いするんだよね。もったいない」

「あれ、食べるの」と聞くので、「同じ商店街のベテラン釣り師浅やんに、締め方を教えてももらい、ていねいに持って帰ってきてね」と、要するに、おねだりしたのである。

さて、これを聞いた『市場寿司 たか』の、たかさんが不愉快そうに腕組みして、「ゴマちゃん間に合ってますけど」なんてことを言う。

つけ場にかがみ込んで、冷蔵庫から大きなバットを取り出すと、中に、しっかり活け締めした大きなゴマサバが六本並んでいる。仲卸で塩乾を扱う福さんが子供と釣って、持って来てくれたのだという。

このゴマサバの握り、言うこと無し。「めちゃくちゃにうまい」。

「うまいね。ゴマサバはさば節の原料なんだけど、それだけうま味が詰まってるんだね。脂ものってるし」

「弾力があるだろ。これもすごい」

「思う。あ、脂の甘みがきた。あ〜恍惚(これがわかる人いるかな)」

「でもね、すし屋にゴマサバばっかり六本あったって困るのさ」

翌日も生。これも頭をガツンと殴られたような衝撃的なうまさだ。

「ワッハッハって味だね」

不思議に笑いが止まらなくなる味なのである。濃密なうま味が口に広がり、しかも後味が上品だ。

「困るんだよ。こんなにうまいネタがあると。すしはね、ばっかり食べはダメ。イカも穴子も、卵焼きも。いろいろ食べてもらいたいの」

もっと大変な事態が待ち受けていた。午後、浅やんが顔を出し、なんとゴマサバ十本をどさりと置いていった。うまいもん釣り師なので、締め方からして完璧。

そして木曜日、こんどはIさんが活け締めにしたのを八本、これまたどっさりと置いていったのである。

「タチウオも、シロギスも仕入れたい、のに、なー」

生ばかりでも芸がないので、振り塩をしてあぶりに、軽くレモンで締めて、など握ってもらう。

「どう、鮮度がいいのは直球勝負の生がうまいだろー?」

「そうだね!毎日、ゴマサバばっかりつまんでると、目先が変わっていいけど、なにもしない生がいちばんうまいね」

その生握りに故郷・徳島から送られてきたスダチをぎゅっと絞り、塩をつけて口に放り込んだら、これまた猛烈にうまい。猛暑の不快感を吹き飛ばすくらいにうまい。

さて週末が来て、『市場寿司』でお茶を飲んでいると、昭島の居酒屋『酒元』さんが顔を出し、

「日曜、相模湾からジギングに出ます。お土産期待していいですよ」

たかさん、心配そうに、

「まさか、サバじゃないですよね」

「サバですよ。夏なんだけど四十センチくらいの大型が来ます。外道にシイラもまじるし」

「あのー、赤貝とかウニとかは釣れませんよね…」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2013年8月15日号の掲載情報です。

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