いよいよラストスパート! もう一度カツオを考える、そして最後にキハダを釣る!

●ハリスについて
ハリスは現在のカツオのサイズだと14~16号を推奨している船宿が多い。小型が多い場合は10号以下を使うこともあるが、3~4kgサイズ主体の今は14号はあったほうがいいだろう。
カツオは「貸し竿初心者がトップだった」なんてことがよくある。これはなぜか? 胴の間にアタリが集中することも多いが、船宿仕掛けを使っているから、という理由もある。その船宿仕掛けにはハリスがナイロン製のものが多く、ここにその秘密が隠されている。
ナイロンの利点は結束強度が高いのと、潮なじみが良く、自然に仕掛けが漂うことにある。これがカツオにベストマッチすることが多い。さらに、適度な伸びがあることでクッション効果も得られてバレにくい。
もし、周りが食っていて自分だけ食わないようなときは、一度試してみる価値はあるだろう。ただし、ナイロンハリスは素材自体が吸水性があり、耐久性も高くないので、マメに交換したほうがいいだろう。
●ハリは軽いものを
ハリはヒラマサなど青物系のもので13~14号程度を使用するが、なるべく軽いものが食いが良い。キハダ狙いの仕掛けでも食ってくることがあるが、あくまでカツオを狙ったときに大きな差が付く。軸も細めのものを選ぶといいだろう。
●エサは1匹掛けで
今のカツオ釣りの主流は、オキアミ1匹掛けだ。それもハリ先が隠れるように丸掛けにする。
カツオは疾走するスプリンターで、いちいち仕掛けなど見ていないような気もするが、やはりできるだけ自然な感じの仕掛けのほうが食うと、多くの船長は声をそろえる。
●コマセは即食いか少し間があるかでまき方を変えよう
①早く食うとき
カツオの基本的な釣り方は、群れに先回りして仕掛けを落とし、船下を通過するときにヒットさせる、言わば追っかけ釣りがメイン。これをストップ&ゴーの釣りなどと呼ぶが、このときはとにかくスピード勝負となる。船長の合図と同時に仕掛けを投入して、いち早くコマセをまいてタナにセットする。
②少しゆっくり食うとき
また、群れの動きがもう少しゆっくりのときもあり、投入してまいたコマセを食いに来るパターンがある。
前者の場合は、コマセをまいてすぐに食う。タナにセットして早ければ数秒で食うことも。一方でゆっくり食うときは、最初にコマセをあまりまかないで、1~2分で食わせるイメージでコマセを残しておく。
最初は早く、そしてだんだんゆっくりで食うこともある。周りを見ながら、投入してどれくらいで食ってるかを判断して調整しよう。
福栄丸の釣行レポート

すっかり秋の空に。ポイントは城ヶ島沖と近場がメインになってきている

朝イチからカツオの食いは活発でいきなりヒット!

「コマセは竿を大きく振り上げてハリスが伸びるようにしてやります」

「カツオはみんな3~4kgありますよ」とドクター近藤惣一郎

「カツオを釣ってリズムを作ってキハダに挑みたいですね。何とか1本取りますよ」

「置き竿でかなり掛けたけど半分くらいバレちゃったね」。それでも5本以上ゲット!

食う群れに当たればみんなにヒット!

丸々太った弾丸ボディ!

3〜4kg主体だ

カツオには軽いハリにオキアミ1匹掛けがおすすめ

キハダには白エビも実績が高い

今回取材にご協力いただいたのは、神奈川・葉山芝崎港「福栄丸」。
今シーズンの相模湾のカツオ&キハダは、前半戦は苦戦することが多かったが、9月前半の台風後にはカツオが一気にヒートアップ。3~4㎏前後の良型主体の釣りでトップ5~10本の状況が続いている。
このサイズだけあって当然バラシも多く、ヒット数は釣果の倍はあり、まさに絶好調だ。
「キハダは9月中旬ごろから反応はすごいんですがなかなか口を使ってくれませんね。ただ、カツオがこれだけ食っていて多くのみなさんに楽しんでもらっていますので、まあいいシーズンであると言えますね」とは、葉山芝崎「福栄丸」の矢島雄三船長。
この日も朝イチからやる気のあるカツオの群れに遭遇すると、1投目からすかさずヒット。丸々太った弾丸ボディはそう簡単にはネットに入ってくれないが、みな釣果をを重ねていく。後にキハダの群れも回遊する展開に。
キハダはこれからいきなり食う可能性もある。相模湾はまだまだ熱い季節が続くぞ!
喜平治丸の釣行レポート

西から始まったが後半戦は東の近場エリアへ

爆発的な引き込みを見せる大型カツオ。ドラグは出さないが、竿と身体を使っていなせば取れる確率もアップ!

手持ちで竿先のアタリを見逃さないようにしよう。アタリがあったらすぐにアワせよう

タモにおさまって一安心だ!

「女性は電動タックルがオススメです。このサイズでもスムーズに取り込めました」と晴山由梨チャン

カツオの口火を切ったのは長沢博也さん

キメジ、キハダもアタリが増えてきている

「シーボーグ800MJ」と「マッドバイパースティング」のコンビは、カツオ&キハダに最適なモデル

コマセはオキアミ。ビシは80~150号程度まで使用する

エサ持ちが良い白エビを抱き合わせでキハダ狙い

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・剣崎間口港「喜平治丸」。
一方、魚の群れはシーズンが深まるにつれて東へと移動してきている。
「最近は東京湾口あたりから城ヶ島沖周辺に群れが多く見られます。剣崎からだとかなり近場ですよ」と、剣崎間口港「喜平治丸」の鈴木輝船長が言うように、城ヶ島の真沖から久里浜の煙突が見えるような場所にも回遊が見られる。
これだけ近場で釣れるようになると実釣時間もたっぷりあって、チャンスも増える。やはり取材日はカツオの食いは上々だがキハダのアタリはなし。
「反応はすごいありますよ。船の下にも入ってきますがヒットしてくれません。何かのきっかけがあれば食いそうな反応なんですが…」
カツオのサイズは大型主体。そんな中で電動タックルで数を重ねていったのが晴山由梨チャン。
「取り込みだけちょっとてこずりましたが、アタってからアワセ、一気に巻き上げられて、女性でも安心して楽しめますね」
さあ、ラストスパートに賭けよう!
カツオのアタリを倍増させる。タナ取りとコマセワークを解説!

●タナ取りとコマセワーク
①基本のタナ取り
タナが20mだとしたら、23mまで落とし、2、3回コマセをまいて20mまで上げて待つ。このまき方を基本に、早く食う、ゆっくり食うでコマセワークを調整する。
②早く食うとき
3m下まで落としていては間に合わないこともある。そんなときは、1mほど落として1回コマセを振り、1m上げてタナで待つ。この状況のときはコマセが出やすいようにしておく。
③ゆっくりのとき
タナの3m下まで落としたら、そのままコマセをまかずに一気にタナまで巻き上げる。これでも強制的にコマセがポロポロ出る。少し経ってから周りで食った、船長から群れが入ってきたというアナウンスがあったら一度竿をふって残りのコマセを出してやる。ここでガツンとアタることが多い。この釣り方は早くアタるときにも有効だ。コマセと仕掛けが同調しやすいためでもある。
●コマセワークは竿を大きく持ち上げてハリスを張る
これらのコマセをまくときのポイントは、竿を大きく持ち上げるようにしてハリスを張ること。
「ハリスがピンと伸びた状態の方が食います。また、アタリがすぐ出るのでアワセも効いて、結果バラシも少なくなります」とは、この釣りに詳しいドクター近藤惣一郎さん。
これはカツオ、マグロに共通するそうで、とにかくハリスがまっすぐになるのをイメージしてやるといいという。
●竿先を見て必ずアワせる
カツオはいきなりひったくるようなアタリが出ることもあるが、多くは竿先が震える前アタリがある。竿先がフワフワとか、ツンツンと意外に小さいアタリが一瞬出る。これを目視したらすかさず竿を持ち上げてアワせよう。すると食い上げたり一気に走り出す。電動ならアワセと同時にスイッチオン。このタイミングが遅れると無用に走らせてオマツリが多くなる。これらのタイムラグをなくすことでよりゲット確率が高くなる。
また、取り込み時には糸を緩めないようにしよう。一瞬の緩みでハリが外れてしまうことが多いからだ。
アタリを待つとき、竿先がプルンと震えてそのまま何も起こらないことがある。これはエサを取られた可能性が高い。こんなときは回収して、次の投入に備えよう。
キハダの釣り方。キハダを狙う時は必ず手持ちでアタリを待とう!

●いつキハダを狙うか
どこでチェンジするか?
9月中旬ごろからキハダの群れが多くソナーで捉えられるようになった。昨年なら船下を通過すればかなりの確率でヒットしたが今シーズンはなかなか難しい。このため、どの船もカツオを主体に狙って、どこかのタイミングでそのままキハダを狙うという感じだ。では、どこで狙うか。
「カツオが食っているときはカツオを狙ったほうがいいでしょう。反応に当てても、カツオが急に食わなくなったり、周りの船でのヒット情報などでキハダ仕掛けにチェンジします。カツオの群れについていることが多く、特に指示がなければタナは35~40mで狙います」とはドクター近藤。
●キハダのアワセとやり取り
キハダを狙うときは必ず手持ちでアタリを待とう。
「今年は特にアタリが少ないです。この1回に賭けるつもりで手持ちでやりましょう」
キハダ狙いはハリス長の半分ほどまで沈めてからハリスが張るように3回ほどに分けてコマセをまく。タナにセットしたらあとはじっと待つ。竿を持ち上げたりする誘いは不要だ。
「ビシが動いて魚が入ってこないことがあります。静かに待つのが基本です」
アタリは千差万別だが、小さく震えたり、ブワブワと動くようなときは大きく強いアワセを入れる。ここでフッキングしてからファーストランに入れば確率が上がる。一気にもって行くような場合にアワセを入れると引っ張り合いっこになって切れるので注意。
ドラグは強めにするのが基本で、手で強く引き出してラインが出るくらいにしておく。
「やり取りは、巻ける時は一気に巻く、走るときは無理しないというのが基本ですが、ベテランや船長の指示にしたがうのが一番です」
以上の記事は「つり丸」2018年10月15日号の掲載記事です。
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