ワラサ仕掛け。コマセワークを第一としたタックルを揃えよう!

近年、タックルの性能は向上し、軟らかいマダイロッドを使ったタックルでも容易にワラサが釣れるようになった。
だが、ロッドが軟らかくなった分、コマセワークが肝となるワラサ釣りには、理想のコマセまきができなくなっている、と稲本貢一船長は話す。
「みんな歳をとると力がなくなるでしょ。10年前20年前の気分でコマセをだすために竿をシャクルんだけど、コマセを出したつもりになっただけで、実際はコマセは出てないことが多いですよ」と稲本船長。
「そんな人には船においてあるうちの竿を使わすんだよね。すると、釣れない人が釣れる人に変わるんだよ」
どういうことか。
バッドがしっかりとした竿で竿をシャクルとしっかりとビシを動かしコマセを出すことが大事だと稲本船長は言う。
硬めの竿を使うことで、コマセワークを確実にしているというのだ。
「硬い竿を使うのは時代と逆行してるし、ヒットさせてから魚もバレてしまうのではないか」と思う人も多いだろう。しかし、現在の電動リールはドラグ性能がしっかりとしており、リールのみのやり取りでも十分、青物の強烈な引きをいなすことができるのだという。
東伊豆・川奈沖〜初島沖 ワラサ釣行レポート

ポイントはワラサで有名な川奈沖

ワラサ釣りはコマセワークですよ!

三島の釣り具ショップ「だるまや」の店主、山田真弘さんはバランスのとれたタックルとコマセワークで確実にワラサを捉えていた

うれしい1本。おもわず笑みがこぼれる

︎ひと潮ごとに成長するワラサ。3〜4kgのこの魚もあっという間に大きくなる

ハリス6号だからちょっと慎重にやり取り中

ハリスを掴んでからも抵抗するワラサはタモ入れまでが勝負。上手に魚をタモに誘導しよう

うまそうなナイスボディ!

強烈な引きを味わった後は最高の気分に!

ワラサのシーズンはこれからだ

「だるまや」の山田真弘さんは、沖揚がり間際の入れ食いをやらずにこの釣果

数釣りが魅力のワラサ! これだけ釣れれば大満足!

この日は全員ワラサキャッチ。秋深まれば、ますます青物の活性があがりよく釣れるようになるハズだ

マダイは常連ゲスト。良型もキャッチされている

朝いちにヒットしたイシダイ

出船前に毎回恒例の講習会を開催。ビギナーもこれで安心だ

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・宇佐美「清貢丸」。
剣崎沖、初島・川奈沖、このポイントは、毎年高確率でワラサの大群が回遊し、コマセ釣りでにぎわうが、今期の初秋にはワラサの姿があまり見えなかった。
そんななか9月の最終週、ようやく東伊豆・川奈沖で模様が出始めた。
「水温が高くてワラサたちはまだ、ベイトを追いかけているようだね。だからコマセにはなかなか反応しなかった。でも、川奈沖で釣れたワラサのお腹のなかにはオキアミがたくさん入っていたから、いよいよフィーバーが始まるのかなって思ってね」とは、宇佐美港「清貢丸」の稲本貢一船長。
当日はトップ8本、次は7本、5本とまずまずの釣果。ポツポツの食いだったが、ワラサフィーバー直前の雰囲気はムンムンと感じ取ることができた。
東伊豆沖は、この川奈沖と初島周りがワラサの2大ポイント。昔からこのどちらかにワラサの群れが入れば、ワラサのシーズンが開幕する。
この青物も近年は神出鬼没の傾向がある。だから、10月半ばには川奈沖はいったん小休止し、初島周りがワラサのメインになっているかもしれない。
この秋の風物詩が盛り上がれば、青物フリークたちのボルテージも上がる。さあ、青物特有の強烈な引きを思う味わいに東伊豆へ行こう!
コマセ釣りの名手に教わるワラサのコマセワークをご紹介!

三島で老舗の釣り具ショップ「だるまや」を営む山田真弘さんが取材時に乗船していたので、釣り方を教えてもらった。彼はコマセ釣りの名手である。当日の実際の竿頭は山田さん。あれよあれよとワラサの数を伸ばしていった実力者だ。
・竿のセレクト
「まずは竿のセレクトが大事だよ。稲本船長が昔から言うように、ワラサ釣りのようなコマセワークの釣りはシャクリやすいように竿は硬めがいい。長年私が試してきた結果はパイプ製のもの。カーボン素材で弾性のある、張りのある竿がいいかな」と山田さん。
・エサはオキアミ1匹掛け
さて、気になる山田さんのエサ付けはというと、オキアミの1匹掛けのみという。これに、サイコロ状のイカタンを付けるのみ。イカタンはあくまで落下、もしくはズレ止めという。
「ここで付けるイカタンはおまじないみたいなもの。イカタンは全く釣れないというわけではなく、高活性のときなどは、目立つので有効かな」
・コマセはカゴに半分くらい
さて、コマセカゴのセレクトも大事と山田さんは話す。
あまり大きなカゴはシャクリ動作の抵抗になり結果をしてコマセを出すことが出来なくなるという。つまり、バランスのとれたビシを選ぶことが大事という。
一般的にはステンカンのLサイズが適合する。欲をかいてこれ以上大きなものの選択はよくない。硬めの竿でこのサイズであるので、マダイ竿のように軟らかめの場合、FLサイズが大きさ的にはベストという。
これにオキアミコマセを半分くらいのみ詰める。これ以上詰めても、理想のコマセまきはできないという。
できるだけ同じ環境を維持することで、確実にコマセをタナにまくことが大事という
「だるまや」山田さんのワラサのコマセワーク。2m刻みに間を取りながらシャクリ動作を行う

さあ、準備ができたら本番のコマセシャクリだ。
稲本船長の指示ダナが、「ハリの位置が海底から3m上」の場合、ハリス6m +クッションゴム1m=7mのため、底上10mが船長の指示ダナとなる。
この場合、まず底ダチをとったら、十分に糸フケを取る。
竿先を下げたままですばやく3m巻き上げ、竿先を海中に突っ込んだ状態から頭上まで大きく竿をシャクリ上げる。
さてここからが肝。この頂点のときに2〜3秒ほど静止させてから竿を下げながら2mほどリールをまきとり、再度シャクリ上げの前に2〜3秒を静止させてからシャクリ動作の開始。これを底上10mまで繰り返す。
巻き上げる距離は、底から3m・2m・2m・2mここで9m。最後は竿を下げるときに1mリールを巻いて指示ダナにあわせる。
この状態でアタリを待つと、数秒後もしくは1分以内にアタリが来ることが多いという。
魚の活性が高いときはタナでの待ち時間は約1分、そうでないときは少なくとも2〜3分に一度はコマセを入れ替え、この動作を繰り返す。
・このコマセワークで釣れる理由
この山田さんのコマセワークは釣れる理由はこうだ。
コマセの煙幕、もしくは帯のなかに付けエサが同調する確率がすこぶる高い、ということ。つまり、コマセ釣りの原点であるコマセと付けエサの同調を意図的に作り出したものであるのだ。
ただ、がむしゃらに多量のコマセをまけば釣れる、ということではない。少量のコマセでも同調が確実ならワラサなどコマセを食う魚が釣れるのである。これはワラサ限らず、コマセ釣り全般に共通しているという。ぜひ、試してみよう。
以上の記事は「つり丸」2018年11月1日号の掲載記事です。
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