高速ボートの機動性と釣りやすさを体験! 最適な船の流しを可能にする


良型はアタリも出るが、巻き上げ中もかなり抵抗する。取り込み間際ではかなり暴れるのでバラシに注意しよう

深海アカムツでは、リチウムイオンバッテリーが便利。「BMOリチウムイオンバッテリー11.6Ah」が最適

貴重なキロムツは念のため、タモ入れをした。こんなサイズがまだまだ数多くいるという

この日最大はこの47㎝1.5kg。遠藤さんが釣り上げた

同時ヒットもめずらしくない

水面で暴れるアカムツ。ここでのハリ外れに要注意

このサイズでも十分良型のアカムツであるが、これから狙うキロムツはもっと大きいという

このサイズがコンスタントに釣れる

アカムツ名人の遠藤さんはこのとおり

常連さんのスタンダードリールはコレ。シマノ「フォースマスター800」。これにPE2号を収納する

常連さんたちのエサはホタルイカの1匹掛けだ

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・浜名湖「ボートクラブ カナル」。
今期も遠州灘のアカムツシーズンが開幕した。
この海域には、御前崎から紀伊半島の大王崎まで何本もの海溝があり、そこに深海のルビー“アカムツ”が多く生息している。そのなかのひとつに浜名湖沖がある。ここには地元で舞阪掘り、鮫掘りといわれる2つの海溝があり、鮫掘りが今期も好調だ。
「夏場はキハダやカツオが回遊し速い潮が流れていることいが多く、深海釣りは難しくアカムツ釣りはやらなかったのですが、今期は10月末から釣査を開始すると、のっけから実績ポイントで結果が出ましたよ。うちではキロムツ(1㎏オーバー)を主体に狙ってます。ポイントは広くたくさんあるのでこれからかなり期待できますよ。例年、年末から春にかけてよく釣れます」とは、浜名湖でマリーナであるボートクラブ「カナル」を経営し、自らが舵を握りガイドをする芝田昌宏さんの言葉。
彼が推奨する高速ボート、カロライナスキフで外洋を高速移動。この船は沖のポイントでは安定しているので大変釣りやすく、アカムツ釣りにも最適な船の流しを可能にする。
ポイントの水深は250〜300m前後。ここのメインタックルは、PE2号400mオモリ150号、胴付き3本バリが標準。つまり、深場のアカムツにしてはかなりライトタックルで楽しめる。もちろん、道糸はPE3号でよい。
これからの季節は風が吹く日も多くなる。凪ぎの日を狙って遠州灘のキロムツに狙いを絞って釣行してみてはいかがだろう。
遠州灘ボートアカムツのメリット

カナルでは、水深300mをオモリ150号で攻めるのが基本。だから、道糸はPE2号で楽しめる。
「うちの船は船底がフラットですからね。道糸が船底に擦ってキズが付くこともありませんし、両弦で竿を出してもほとんどオマツリはありません。だから、アカムツ狙いではオモリは150号。道糸はPE3号が標準ですが、常連さんはPE2号を使ってますよ」とは、カナルのオーナー芝田昌宏さん。
気になるアカムツの仕掛けは、常磐沖や外房沖、南房沖と同様、2〜3本バリの胴付き仕掛けだ。
「仕掛けは胴付き仕掛けで十分ですよ。福田沖でやってる吹き流しでも釣れますけど、うちではオマツリしてしまいますよ」と芝田さんが言うようにいわゆる、通常のアカムツ胴付き仕掛けでよい。
具体的には、ハリス6号40〜50㎝、ハリはムツ18号、またはホタ18号、幹糸8〜10号、枝間1〜1.2m。中オモリは10号前後。肝となるのはステ糸の長さ。なんと3mが基本となっている。
浜名湖沖のアカムツ。ハリスや仕掛けのアピール法をご紹介!

ハリスのチモトには、この釣りの定番となっているマシュマロボールを付けるが、とくに絶対必要ということではない。
マシュマロボールは海底付近でエサをフワフワと漂わせたい目的で付ける浮力系アイテム。そのほか、フロートパイプと併用するのが流行だ。
とくにコレっといったカラーはなく、好みの色を選択して付けるとよい。
遠州灘エリアでほぼ定番化されているのは、シモリ玉をハリスの中央もしくはハリのチモト近くに固定する方法。海底での潮乗り効果など期待するが、付けるかどうかはこちらも好みでよいだろう。
水中ライトはいらない。これを付けると、通称“縄きり”と呼ばれる類のクロシビカマスやカゴカマスを寄せてしまうどころか、サメがいれば覿面だ。外道寄せになるので必要なしだ。
遠州灘や駿河湾では、昔からハリのチモトに小型のタコベイトを付けることが多い。これは有効なアイテムだ。
というふうに、アピールアイテムはさまざまだが、絶対にコレ!というものはない。さまざまなものを試す、いわばルアー的な発想でいろいろなものを試すことが大事。結局、仕掛けに工夫を凝らす釣り人が本命をよく掛けているもの事実。いろいろなアピールアイテムを使ってみよう。
さて、一番重要と言っても過言ではないのが、エサだ。 浜名湖沖での定番のエサ付けは、ホタルイカの1匹掛け。
エンペラの方から縫い刺しする。これで、投入途中にエサ取りがいなければ、ゲソはほぼ外れない。
もちろん、関東周辺で定番となっているホタルイカゲソとサバの短冊の抱き合わせでもオーケー。この海域での釣れ方にはなにも問題はない。
ホタルイカ1匹掛けの場合、芝田さんは冷凍のイカをそのまま海水のなかで入れておくとよいという。こうすることで、鮮度は保たれたままぷりぷりの状態でイカをハリに付けられるという。ぜひ、実践してみてはいかが。
釣り方はオモリを底に置いて、ゼロテンションで魚信を待つ!

釣り方は、オモリを底に着いた状態でゼロテンションでアタリを待つという、アカムツ釣りの基本釣法でよい。
道糸を張ったり緩めたりするのが誘い。オモリを1〜2mあげて、再び底ダチをとるのは、オモリの場所移動と考える。そこで再び張る緩めるの誘いを行う。
捨て糸が3mと長いので、アタリがなかなかでないときは、弛ませてもオーケー。ここの大型アカムツ(キロムツ)は潮が流れていて活性が高いとかなり浮く傾向がある。そのためのロング捨て糸なのだ。
逆に魚の活性が低い場合は、捨て糸を通常の1〜1.5mに戻し短くするという手もある。
だが、基本は“高ダナ”。常連さんのなかには捨て糸を6mもとる日もあるという。
どうしてアカムツのタナが高いのか? というと、底付近の沸き潮の影響だろうか、ベイトである深海のエビ、サクラエビなどの遊泳層に起因していると考えられる。
アカムツ=ベタ底という先入観はここではいったん忘れたほうがよいだろう。
さて、アタリだが、水深300mの釣りではいくらLTでもアタリは小さく出ることが多い。だから、竿先の小さな変化を見逃さないことが大事。
まず、アタリを察知したらすぐには巻き上げはしない。しばらくゼロテンションで待ち、再度アタったら聞き上げてみる。聞き上げといっても糸フケをとるだけだがここで、明確に引くようなら電動スイッチオン。引かないようなら、そのままにするか、数メートル上げてから底ダチを取り直す。
つまり、深場では確信のない空の巻き上げは時間のロスとなるのでできるだけ確実なアタリとフッキングのときのみ巻き上げ回収することが大切。最低でも2本はハリがあるのだから、1本のエサがなんらかの魚に食われていてももう1本のハリにエサがあるのだからそれで勝負するという、考えで臨もう。
魚がヒットしている場合、必ず手持ち竿にして、水深200mぐらいまでは中速度巻き上げでオーケー。大型アカムツの場合、水深の半分、つまり水深300mであれば、水深150mあたりからガツガツガツと引き始めるので、低速巻き上げにする。残り100mを切るとガツガツと引く回数が増す。そうなると本命確率アップ。最後残り10m以内で激しく引けば、ほぼアカムツだ。
以上の記事は「つり丸」2018年12月15日号の掲載記事です。
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水深300mでこの人数が乗っていてもほとんどオマツリはしない