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釣る前に、食べる前に、スミイカ(コウイカ)を知ろう!

釣る前に、食べる前に、スミイカ(コウイカ)を知ろう!

スミイカは、コウイカ目コウイカ科コウイカ属。関東以南。南はインドネシアやベトナムなどの東南アジアまで生息している。

スミイカ(コウイカ)(コウイカ目コウイカ科コウイカ属)の生態

関東以南。南はインドネシアやベトナムなどの東南アジアまで生息している。

春から初夏の産卵で生まれた子イカは急速に成長して秋には立派な親のサイズになり、翌年春から初夏に産卵し死んでしまう。コウイカの寿命は1年とはかない。

関東では夏の小さな個体を新イカと言ってすしダネにする。信じられないくらい高価だが、味がいいわけではなく、少し柔らかすぎてうま味や食感も平凡なのだ。この季節の先取りを好むのが江戸っ子の性だ。
関東では成イカはとれるとすぐに墨まみれになるので、「すみいか」と呼ぶ。

西日本では関東のように小さなものは食べず、秋になってから流通し始める。関西人はあくまでも実際に食べてうまいか、まずいかを大切にするのだ。一見、頭に見える外套(胴)の部分のいちばん後ろに甲羅から小さな棘が出ている。西日本ではこれを針に見立て、「はりいか」と呼ぶ。
 

スミイカ(コウイカ)の値段

流通の場では手の平にのるサイズから大型まであまり値段が変わらず、1㎏あたり卸値2000円前後。300gほどで1杯600円。ただし江戸前東京湾や近場のものは遙かに高価で1㎏あたり卸値4000円前後。300gほどで1杯1200円にはなる。

スミイカ(コウイカ)の釣行レポート

「忠彦丸」では、餌木かテンヤのどちらで釣るかをセレクトして乗船するシステムを起用している。
「餌木は、中オモリが底に着いたらハリス分巻き上げ、そこからシャクリを10秒に1回の割合で入れて誘って下さい。テンヤは、シャクリ上げたらゆっくりフォール。海底に静かにテンヤを落とし、5〜7秒ステイさせることがスミイカと出会うポイントになります」とのこと。

昨シーズンは好調だった東京湾のスミイカ。今シーズンは10月上旬から中旬ぐらいにスタートする船宿が多かった。今回取材した小柴港「三喜丸」は10月31日からテンヤで狙うスミイカをスタート。初日はトップ23杯が二人、スソでも14杯という好釣果で開幕した。その後はトップ10〜15杯に収まる日が多い。

「スミイカ」の寿司…舌に当たった部分が甘く、シコシコした食感

非常に冷え込んだ夕方、市場寿司に行ったら、たかさんが唄っていた。

「絶好調、絶好調、ホイ!」

「なに唄ってるの?」

「見て、見て」

「すごい!」

なんとネタケースが空っぽだった。マグロの切れっ端もない。

「まさか、ないの?」

「ないよ」

「売り切れです」

市場寿司は経営難から四時間の短時間営業だ。それなのにネタが全部なくなっている。これは実に喜ばしいことなのだ。けれど、

「じゃ、ボクって何?なんのために来たの?おせえて?」

「はいよー!これ持って帰りな」

 手渡された折には中巻きが二本にもう一折はなんだろう?

「そうだ、ちょっと待ちな」

 つめ(アナゴや煮いか、ハマグリの煮汁を煮つめたもの)をちょんちょんとつけて、袋にぽーんと入れて、

「はい、さようなら」

「急いでるってか?」

「今日はウチの奥様とデートなの」

いい年してなにがデートじゃ、とは思うものの、折の中のブツがやたらにうまそうだ。「許してあげますよ」。そわそわと袋をかかえて自宅に帰って、中巻きの下の折を開ける。特製だし巻き卵にイカと九条ねぎのぬたが入っていた。

大急ぎで故郷の純米古酒を出してきて燗をつける。どうやら、ぬたの主役はスミイカの耳だ。噛むとシコシコしてほんのりと甘くて、ねぎの香りがいい。燗酒がすすむ。午後四時、暮れなずむときの酒がうまい。

すっかり体中に酒が行き渡って、もうひとつの折を開けたら、げそと頭(目のあたり)を甘辛く煮たものを芯にした中巻きだった。煮方がいいのか、口の中ですし飯とともにほろほろと崩れて、喉に消えてなくなるのがおしいくらいにうまい。

中巻き二本といえば、丼いっぱいのすし飯の量だが、それがやけにはかなく目の前から消えた。そのあっけなさに涙がポロポロは大げさだけど、江戸前ずしの神髄はこんなところにあるのだな、と思い至る。

翌日、市場寿司に立ち寄って、「また作って」とお願いしたら、「あれは毎日あるってもんじゃないの」とたかさんが珍しくマジな顔で言ったのだ。ここで二日前に話をもどす。

ご近所の釣り名人、蛸さんが金沢八景沖のスミイカを二杯持って来てくれた。パックに入っていたのをバットに移すと、まだ生きていて、指に足をからめてぎゅーっと締めつけてくる。
海外から帰ったばかりだったので、翌朝、たかさんにスミイカを丸投げしたのだ。

夜明け前の市場寿司でつまんだすしは文字に出来ないほどのうまさだった。新しいので、切りつけたネタがすし飯の上でゆっくり動く、それを口に放り込むと舌に当たった部分が甘い。

やや硬めですし飯との馴染みこそ悪いが、そんなことはどうでもいい、そう思えるほどのうまさだ。

「もっとつけてよ」

「だめ、あとは午後にしな」

午後になるのが待ち遠しかった。やきもきしながら、押っ取り刀でかけつけた市場寿司だったが、本体はすでになかったというわけだ。

さて、数日後に市場寿司ののれんをくぐると、だまって出してくれたのが、あれと同じ中巻きだった。

「げそと目のあたりを冷凍しておいてさ、ある程度たまったら酒と水で煮て、穴子の煮汁を足してまた煮るの。売りもんじゃないからね」

たかさんがまだ若い衆のときに教わった、江戸前の仕事だという。

二千十九年は中巻き太りになりそうで恐い。気を取り直して、

「今年も張り切って行きましょう」

「ほどほどにね……」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2019年2月1日号の掲載記事です。

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