渋い日もあるが数釣れる日もある
厳寒期に突入しているが、東京湾のビシアジはまずまずの好調だ。
「厳しい時期で難しくなってきています。コマセのまきかたが悪かったり、誘わないとアタりません」と話すのは今回取材した走水港「吉明丸」の鈴木雅之船長。
「厳しい時期」と鈴木船長は言うが、1月13日にはトップ61匹、19日には67匹を記録している。釣れるサイズは大、中、小いりまじり。40㎝に迫る大型もまじるのが魅力だ。
そして走水沖のアジといえば、その食味が魅力。幅広の個体は見るからに美味しそうで、脂の乗りもいい。刺身やタタキはもちろん、塩焼きやフライも絶品。たくさん釣れた時は干物にするのもオススメだ。
仕掛けは2~3本バリ アオイソメを準備しよう

仕掛けはイラスト「ビシアジタックル」のとおり。前述もしているが、「吉明丸」では150号のビシを使う。150号のアンドンビシや横目ビシを用意しよう。なければ船宿のレンタルビシを使うといいだろう。
道糸の先にビシを装着した片テンビンをつなぎ、その先に仕掛けを結ぶ。テンビンと仕掛けの間にクッションゴムを介すが、クッションゴムなしでも大丈夫だ。クッションゴムを付けた方が口切れによるバラシが少なくなるので、ビギナーはクッションゴムを使うことをオススメする。1.2~1.5㎜径の20~30㎝ぐらいが標準だ。クッションゴムの代わりに、太い輪ゴムも代用できる。
ハリスは2号前後。厳寒期は潮が澄みやすいので、あまり太くしないほうがいいだろう。太くすると食いが悪くなることもある。ハリはムツの10号前後。ハリ数は2~3本。慣れない人は2本バリが扱いやすいだろう。食いがいい日に数を狙うなら、3本バリが数を伸ばしやすい。
仕掛けの全長は2m前後。枝スは25㎝前後にする。船で用意してくれる付けエサはアカタン。アカタンでも釣れるが、この時期はアオイソメも用意しよう。アオイソメは潮が濁ったときに有効だと言われるが、潮の濁りに関係なくアオイソメにアタリが集中することもある。船では用意してくれないので、あらかじめ持参するか、港近くのボート店で購入しよう。
アカタンは米粒大にカットされた1個を一つのハリに刺す。アオイソメは1.5?2cmぐらいにカットして、ハリの軸に対してまっすぐになるように刺す。
日によってどちらのエサにアタるかわからないので、スタート時は一つのハリにアカタン、もう一つのハリにアオイソメを刺して様子を見てみよう。
このほかハリ外しも用意しておけば、アタリが多い日には手返しが速くなる。
タックルは先調子ロッドに小型電動の組み合わせ!
「吉明丸」で使用するビシは150号。そのため、竿は150号のオモリに対応した先調子がオススメ。胴調子の軟らかい竿は、コマセをまきづらいので不向き。
長さは1.5~2.1mぐらいまでが扱いやすいだろう。ビシアジ専用竿のほか、汎用竿やゲームロッドなどがよく使われる。
リールは小型電動がオススメ。水深100mぐらいのポイントを狙うこともあるし、手返しよく仕掛けを入れなおす釣りだからだ。ビシが150号なので、できればパワーがあって、耐久性能が高い電動リールがオススメだ。
道糸はPEラインの3~4号。300m以上巻いておけば、高切れしても安心だ。


掛かり所がよければ、取り込みは抜き上げで!

ポイントは港から近い走水沖

こちらはダブル!

同時ヒットで大興奮!

一荷は嬉しい!

幅も広く美味しそうなアジをゲット

十分お土産になりました

当日は水深50m台~70m台を狙った

ビシは150 号

船で用意される付けエサはアカタン。
この時期はできればアオイソメを持参しよう!

今回お世話になったのは、神奈川・走水「吉明丸」
釣り座を整えよう!
ビシアジは仕掛けの投入回数が多い釣りだ。仕掛けを取り込んで、さらに再投入する際に仕掛けを絡ませずスムーズにおこなうためには、釣り座をきちんと整えることが大事だ。
イラストで示したのが基本的な道具のセッティング例。

重要なのは、ロッドキーパーの船尾側にコマセのオケを置くこと。スパンカーを立てて釣りをする場合、風が船首側から吹いてくるからだ。この位置関係だと仕掛けを回収したときに、仕掛けが船尾側になびくので竿などに絡むことがないのだ。これを実行するとしないでは、かなり快適さが変わってくるので、ビギナーは必ず実行しよう。
あとは座席や足元に物を置く場合も注意したい。釣れた魚を入れるバケツや仕掛けなどの道具を入れておくバッグ類も、釣りをする際に邪魔にならない位置に置くようにしよう。
潮の流れが速いときに正確にタナを取るには?
ビシアジの釣り方でとくに重要なのが、正確なタナ取りとコマセワーク。この二つがしっかりできていれば結果が出やすいので、基本をしっかり習得しよう。
走水沖は、その地名のとおりに潮が走るように速い日がある。そのような速潮時には150号のビシを使用していても真下に落ちずに、流されて斜めに海中に入っていく。糸が斜めに海中に入った状態でビシが着底し、そのままビシを巻き上げると正確にタナは取れない。
速潮時のタナの取り方を示したのが下のイラストだ。

ビシが着底したら即座に糸フケを取って3~4m巻き上げる。そのまま待つとビシが手前に寄って底に着く。これを繰り返して道糸が真っすぐに海中に入るようになったら、タナを取り始める。
ビシを海底まで落としてタナを取る釣りならば、ビシアジ以外にもこの方法は役立つので必ずマスターしよう。
タナでコマセをまいてチョコチョコ誘う!
取材当日、鈴木船長からの指示ダナは海底から2.5~3mだった。
この場合のタナ取りとコマセワーク、誘いについて示したのが下のイラストだ。

ビシが着底したら即座に糸フケを取る。このとき道糸が斜めに海中に入るようなら前出イラスト「釣り座のセッティング」で解説した方法で底ダチを取り直す。
道糸がまっすぐに海中に入ったら、すぐに2.5~3m巻き上げてタナにセット。ここで竿を小さな幅で小刻みに振ってコマセをまきアタリを待つ。
ここで重要なのがタナだけでコマセをまくことと、コマセをまくときに大きく激しく竿を振らないこと。タナよりも下でコマセをまくと、幅広い範囲でコマセが漂い、アジを食わせづらくなるのだ。できるだけ狭い範囲でコマセをまいたほうが、アジが一定の層に集まって食わせやすくなる。
大きく激しく竿を振るのも幅広くコマセをまくことにつながると同時に、アジが驚き逃げてしまうので注意しよう。タナを取った後は、チョコチョコと竿を上下させて誘うのがポイント。コマセの煙幕のなかにある付けエサがちょっと動くと、たまらずアジは食いついてしまうようだ。
「タナを取ったあとの誘いは大事ですね! 竿をキーパーにかけたままでいいので、タナ取り後はマメに誘ってください」と鈴木船長。
あとは手返しよく仕掛けを入れ替えること。一番ダメなパターンが、タナを取ったあと何もせずに長い時間アタリを待つことだ。
以上の記事は「つり丸」2019年2月15日号の掲載情報です。
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