ハリス15mとロング仕様 ガン玉は必需品だ

タナはかなり高めを狙う マダイにコマセを気づかせる

タナは船長から海面からの指示が出る。水深70mでも指示ダナが40mほどとかなり高めだ。
これはやる気のあるマダイを浮かせて釣るというもので、乗っ込み期も高めのタナメインになる。
「タナは40m」の場合
船長からの指示ダナ40mだった場合、基本のタナの取り方はハリス分15m沈める。つまり、55mまで落とすということだ。
「コマセが帯状になり、その中に付けエサがあれば簡単に食ってきます。ただ、自分がイメージするのと実際の海中は異なります。
これをいかにイメージ通りにするかを考えてやるのがこの釣りの面白いところです」
アタリがあれば、付けエサとコマセはある程度考えた通りの状態にある。アタリがないときにはまずどうするか。
「誘いで、誘い上げたときに食うのは、コマセが付けエサよりも上にあることが多いですね。逆に、誘い下げて食う時はコマセが先に行っちゃっているような時ですね」
1回の投入の待ち時間はケースバイケースだが、付けエサの残り具合を見て早める、遅くするの判断をしよう。
これがまず釣り方の最初の基本となる。
コマセワークの応用編

基本は指示ダナよりもハリス分(15m)落としてから行う。だが、状況によって調整する必要が出てくる。
「かなり高いタナを狙っています。コマセがポロポロ出て落ちていくと思うかもしれませんが、オキアミは潮に乗って横に流れていきます。
これだと上の方でコマセをまいてもマダイがいる層に届かない可能性が高くなります。
コマセマダイはまず魚にコマセの存在を知らせる必要があります。
このため、魚が浮いてこない時は、15mよりも下からコマセをまくといいですよ」
5m、時に10mほどさらに落とし、コマセがあるということをマダイに気づいてもらうのだ。
こんな時も「探見丸」は重宝するアイテムだ。
「逆に魚が浮いてきたり、エサ取りが多い時はコマセを下の方でまかずに上の方でまくという方法もあります。いずれの場合も魚の動きを読む必要があります」
ハリスの調整と誘い

魚のやる気、浮き具合、潮の流れなどを勘案していかにして自分の付けエサに食わせるか。
これがコマセマダイの面白いところだが、誘いやガン玉の使い方で食いが変わってくるという。
隣の人はバンバン釣っているのに自分にはアタリがないことがある。しかも場所は自分の方が有利なのにだ。
「釣れる、釣れないには理由があります。その多くが、コマセと付けエサの同調とエサの姿勢ですね」
マダイは普段は少し下を向いて泳いでいるという。
そして上から落ちてくるエサに対して、少し斜め上を向いた姿勢で捕食するのだという。
「理想はハリスは緩やかに斜めになり、さらに付けエサが上から落ちてくる状態を作ってやることです。マダイもエサを食いやすいし、ハリスが斜めに入っていればはハリスが見えにくくなり、より食いやすくなります」
ここで活躍するのがウエイトスイベルやガン玉だ。
「ハリスは15mあります。ウエイトをつけてその日の潮に合わせて斜めになるように調整するんです」
潮が速いと仕掛けは横向きになる。ある程度ガン玉を打ってもそれが抵抗になり横になる傾向がある。
また、潮が緩い時は下に沈む。重量があれば真下を向くこともある。
「その日の潮によって調整が必要です。真ん中が重すぎるとVの字になってしまうし、重くし過ぎてもダメですね。マダイがエサ捕食しやすい角度を作るんです」
最初に3B程度のガン玉をハリから30㎝ほど離したところに打つといいそうだ。
前兆状態突入でチャンスアップ!西伊豆・土肥沖マダイ釣行レポート

ポイントは港の目の前といっていいほどだが、水深は100m以上ある

「探見丸」使用がおすすめ。左はコマセをまいて、反応が上ずってきたシーン。これはかなりのチャンスだ

スイベル、ガン玉など沈めるアイテムが釣果を左右する

ビシはL80号。プラカゴ、ステン缶どちらでも

付けエサはオキアミ1匹掛け、または抱き合わせ。

深場では抱き合わせがいいという

ドクター近藤が使用したタックルはロッドがダイワ「バイパースティックM-300」と「シーボーグ300J」のコンビ

ドクター愛用のコマセマダイグッズ

朝イチから5連チャンを決めたのは野平さん

侍ドクター・近藤惣一郎さんは美ダイをキャッチ

前半不調だった常連の榊原さんだったが、日中に周りが釣れていない時間帯にアタリを引き出していった

西伊豆の山々を眺めながらの釣り

「やっぱりコマセマダイはこのやりとりが楽しいね」

この日は大型は出なかったが野平さんは9枚。自分の考えたことが結果になって返ってくるのがここのマダイ釣りの魅力だという

榊原さんはラストにもキャッチ

ドクターはマダイほか、イサキ、イナダも

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・土肥港「とび島丸」
西伊豆・土肥沖はコマセマダイフリークに人気のエリアだ。
乗っ込みシーズンには大型が頻発するだけでなく、周年安定した釣果を出し続けており、足しげく通いつめるファンも多い。
そんな人気エリアになったのは、土肥港「とび島丸」の鈴木健司船長の功績が大きいだろう。
マダイを釣らせたらピカイチの腕前だけでなく、コマセマダイ釣りを理論的に捉えており、様々な技術を釣り人にフィードバックしてくれるのだ。
そんな鈴木船長によると、今シーズンの乗っ込みは早くなるのではと予測している。
「今年は黒潮の影響で真冬でも水温が高めですね。2月前半の時点ですでに高知の方では乗っ込みが始まっているそうです。こうやってどんどん西から始まっていくんです」
例年、土肥沖では3月中旬ごろから始まることが多いが、今年はもしかしたらもっと早まる可能性がある。
「雪代が海に流れ込むと、冷たい水なので下に入り込みます。そうすると中がかき混ぜられてプランクトンが大量に発生します。このプランクトンのわきを察知したマダイはもう大丈夫だろうと乗っ込みのスイッチが入るんです」
土肥沖は2月中旬の時点でも水温が16~17度と高めだ。水温だけ見れば乗っ込みが始まってもいいぐらいだが、現在はまだ潮が澄み気味だ。ここに濁りが入ってくれば一気にスタートするはずだ。
取材日は水深70~120mほどの深場を狙ったが、釣り方は乗っ込み期と同じだ。

土肥の山越えに入る場所まで道路が延伸し、実質新東名から土肥まで一直線だ。写真は帰路で、峠を降りるとそのまま月ヶ瀬ICに入れる
以上の記事は「つり丸」2019年3月15日号の掲載記事です。
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タックルは竿が2.5~3mのマダイ用ロッド。全体的にしなやかで、食い込みの良いものを選ぼう。リールは手返しを考えて中小型電動リールを。道糸はPE3~4号。
「ロッドは食い込みが重要ですね。このエリアは大ダイも視野に入れて若干強めのものを選びたいですね」とは、侍ドクター・近藤惣一郎さん。ドクターが使用するロッドは食い込みを重視し粘りがある調子のダイワ「バイパースティックM-300」だ。
マダイ用の中型テンビンに2㎜径のクッションゴム1mを付ける。仕掛けはハリス15mと長いのが特徴だ。二段テーパー仕掛けで、元部が6号10m、先は4号5m程度が基本。大型メインのシーズンになったらもうワンランク太くしてもいいだろう。
ハリはマダイバリ9~11号。好みで1本バリ、2本バリどちらでもいいだろう。2本ばりは扱いは若干大変になるが、段差があるためタナを把握しやすいというメリットもある。
「ハリスは長くて扱いが大変という人もいます。自分のペースで焦らずにやるといいですよ。また、釣り人が多い時はコマセの量が増えるので長めに、少ない時はコマセの量が減るので短めにすることもあります。状況を見て指示しますが、基本は15mです」と鈴木船長。
手返しの時、空いていれば、①コマセカゴを掴みコマセを入れる②コマセカゴを落とすと同時に指を輪っか状にしてハリスを通す③ハリが手元に来たら素早く付けエサを付けて投入する。この方法で手前マツリを防げる。移動中などは大きめの仕掛け巻きやペットボトルなどに巻きつけておいてもいいだろう。足元に置く場合は、海水で濡らしておくと絡みにくくなる。
ウエイトスイベル、2B、3Bほどのガン玉は多用するので各種揃えて持参しよう。また、ハリのチモトにはシェルビーズや浮力のあるフロート系のパイプを小さくカットしてつける人が多い。
コマセはオキアミとアミのミックス。ビシはL80号でステン缶、プラカゴどちらでもOKだ。
付けエサはブロックで配られるが、事前に解凍して選別してタッパなどに入れておくといいだろう。
この際、ハチミツや添加剤を加えるのもおすすめだ。
「付けエサはオキアミ1匹掛けが基本ですが、深場などは2匹掛けの方がいいことも多いですよ」
このほか、「とび島丸」では「探見丸」の使用をすすめている。ほとんどの人が使用しているという。
もちろん船長からもその都度細かい指示が出るが、反応の位置や、魚が浮いてくるなどの動きが釣り人自ら把握できて、確実に有利になるという。
「慣れたお客さんだと、あ、今食うなとか、これはイサキの反応だ、なんてわかる人もいますね。食いそうなタイミングがわかりますから、チャンスを確実にモノにできますよ」