水深74mでスタート 大きな反応もキャッチ
「このところシケが多くてね、ポイントまで行けないんですよ」とは、女将さんの康代さん。
季節風の北風が吹くと海が悪くなるのは鹿島沖では仕方ないところだ。しかし今日は風は止んで良い凪だ。
ヤリイカ船の舵を握る出頭洋幸船長は船を北へと向けた。
これまでヤリイカが釣れていたのはカンネコ根という南沖の釣り場だった。
水深は150m前後と、鹿島のヤリイカ釣りでは深場である。
鹿島沖では例年の春ヤリイカの本命ポイントは70m前後の浅場だ。今日はその浅場ポイントを狙うという。
以前ここのヤリイカ釣りに来たときはいずれも3月で、この浅場での釣りだった。
しかし今は2月、浅場にヤリイカが回遊してくれているだろうか。
「どうぞ、水深は74mです。反応は下から10mくらいまで出ています」のアナウンスがある。
一斉に仕掛けが投入され、各自思い思いの誘いでイカにアピールする。
「型でましたよ、あれ?イカが違うか」と船長。船中1杯目はスルメイカだった。
反応は小さいようで、上げての合図で再び探索に入る。
次の流しから本命ヤリイカが顔を出し始めた。しかし胴長30㎝と小さめが目立つ。
「このサイズが掛かるんじゃ調子悪いわ」と常連さん。そう、期待は胴長45㎝オーバーのパラソル級なのだ。
出頭船長は丹念に反応を探す。そして8時を回る頃、ついに大きな群れに船を乗せた。
3人、4人が同時にリールを巻く。そして抜き上げられたのは見事なサイズのヤリイカだ。
船長は上げての合図を出さない、反応が出っぱなしなのだ。
また仕掛けを落とす、そしてまた乗るの繰り返し。「やっとイカ釣りらしくなったよ」の声が上がった。
40㎝オーバーの大型で タルが埋まる!
私の竿にもククッと明確なアタリが来た。
軽く竿を立ててアワセを入れると、まるで根掛かりのように竿が止められた。
電動リールのスイッチを中速に入れる。巻き上げ途中にグイグイと竿先が引き込まれた。
アタリ明確、衝撃の重量感、引きの強さ、この3つの釣り味こそが浅場ヤリイカの魅力だ。
海中から浮いてくるイカが見えた、2杯ついている。抜き上げたヤリイカは身厚でぼってりしている。
やがて反応から外れたが、船長はすぐに船をまわしてまた反応に乗せる。
もう空振りの流しは無い。こうなると大事なのは仕掛けさばき。手前マツリさえしなければ誰にでもイカが乗る。
初心者なら5本ヅノ仕掛けがオススメだ。落とすたびに竿が曲がって、足元の大ダルはヤリイカで埋まっていった。
小型はほとんどまじらず、胴長40㎝オーバーのデカヤリばかりだからたまらない。
2月に浅場でこんな釣りができるとは、期待を大きく上回る釣りとなった。
3月の盛期と違うのは、この日は底近辺での乗りが多かったこと。
前に来たときは底から15mや20mの高いタナで乗ることもあったが、これは3月以降の特徴なのだろうか。
中層で乗るようになると多点掛けも増えて、一段と面白さが加わってくる。
ここの浅場には、イカを横取りするにっくきサメもいない。
たまにサバが邪魔をするが気になるほどでもない、快適なヤリイカ釣りが続いて沖揚がりを迎えた。
今回使用したヤリイカの仕掛けはコレ!

浅場で大型!鹿島沖のヤリイカ釣果レポート

赤白のスッテはヤリイカに有効だが、鹿島沖ではとくに効くような気がする。1本まぜておこう

最盛期は水深60mほどで大型多点掛けができる鹿島沖。ドスン! と乗って、引き味もスゴイ!!

浅場の釣りは手返し重視。慌てず取り込み、すぐに再投入だ!

鹿島沖のヤリイカが本格化!?
浅場で大型が乗るときの快感は、他の釣り場じゃ味わえない!

取材日は単発か、2点掛けが多かったが、これからはさらに多点掛けも多くなる。
重量感バツグンのイカ釣りを楽しもう

︎こちらは大型ヤリにスルメがプラス。重かった~

グッドサイズでタルが埋まってゆく。この日はトップ45杯
良型主体にトップ45杯 食べ応えも十分!
釣果は7~45杯。中型クーラーがいっぱいになってしまう人もいて、盛期並みの好調さだった。
この日以降も浅場ポイントで乗りが続いていて、どうやら鹿島沖の春ヤリイカの開幕ゴングは鳴ったようだ。
3月は鹿島沖の最盛期、浅いときは水深50m台まで群れが入ってくる。
浅場大型ヤリイカの釣趣を、ぜひ読者の方々にも味わってもらいたい。
たっぷり釣ったヤリイカは親戚や友人にお裾分け、料理が簡単で美味しいヤリイカは誰に配っても喜ばれる。
自宅では刺身、炒め物、煮物、天ぷらとヤリイカ三昧を楽しめる。
イカは冷凍保存が効くが早いとこ全部食べきってしまって、また楽しいヤリイカ釣りに行ってみよう!

今回、取材にご協力いただいたのは、茨城・鹿島港「豊丸」
鹿島港「豊丸」では1月からヤリイカ乗合を開始し、好調が続いている。
当初は150mほどの水深を攻めていたが、この日はシーズン初めての浅場へと向かった。
鹿島北沖の60mラインは春ヤリイカの本命ポイントだ。
朝のうちは探索時間も長く乗りも単発だったが、ついに出頭洋幸船長は大きな群れを捕まえ、入れ乗りが始まった。
釣れ上がるヤリイカは胴長40㎝オーバーの大型ばかり、抜き上げるときにずっしりと重みが伝わる身厚のイカだ。
浅場のヤリイカはアタリが明確、乗せたときの衝撃は根掛かりかと思うほどで、巻き上げの途中でもグイグイと引き込みを見せる。
イカが大きいので、20杯も釣れば中型クーラーはいっぱいになってしまうほどだ。
鹿島沖の盛期は3月以降だが、ひと足早いヤリイカの春を堪能できた。
今年は早い時期からヤリイカの反応が出ているのが特徴で、群れも広い範囲で見つかっている。
慣れない人でも扱いやすい5本ヅノ仕掛けで投入ミスを減らせば十分な釣果が期待できるだろう。
春になると強い北風は収まって凪の日が増えるのも好条件。
微風好天はイカ日和で好釣チャンスだ。3月になると鹿島の春ヤリイカはいよいよ本番を迎える。
以上の記事は「つり丸」2019年3月15日号の掲載記事です。
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