今年も浅場にやってきたヤリイカの群れ!
年明け1月に始まった鹿島沖のヤリイカ釣り。
高水温の影響でどこのエリアも小ぶりで不調のなか、身厚の大型ばかり釣れることで、一躍鹿島沖が注目された。
水深150mのポイントから始まり、例年どおり2月半ばに水深100mをきった浅場にヤリイカが大挙して回遊してきたのだ。
ここのヤリイカは寒流系のイカと思われ、北から南へ下ってきたと考えられている。
深場から浅場へ群れが移動するのは、産卵に備えるためだ。
イカの群れの動きは鹿島沖周辺で操業する底引き網漁の水揚げで判断されている。
3月初旬には水深180m付近でヤリイカが獲れているので、イカのストック量が多く、今後ますます浅場へ回遊してくるものと考えられる。
今回の乗船日に11㎝プラヅノのブランコ仕掛けでなんと130杯という激乗りを記録したのは、鹿島沖水深80〜90mのポイント。
鹿島沖だけでなく北は日立沖、南は波崎沖にも同水深にイカが集結しており、今後ますます盛り上がりそうだ。
ポイントの水深が浅いということは、軽めのオモリを使えるだけでなく、手返しが早くなるので、水深が深いポイントと比較するとだれにでも数釣りを可能にする。
それだけでなく、今回紹介したいのが、本誌でも7年前から推奨しているメタルスッテ釣法である。
オモリとスッテの2つの役割を同時に果たすメタルスッテと浮きスッテまたは餌木、プラヅノなどの2つのアイテムの組み合わせで釣るだれにでも簡単に楽しめ、さらにテクニカルなライトタックルゲームだ。
春が進むにつれポイントはさらに浅くなり、水深50mで釣れるようになる。
鹿島沖はメタルスッテゲームにはもってこいの環境なのだ。
【ヤリイカ仕掛け】ノーマルタックルはオモリ120号。ブラヅノは11cmで

まずは通常のタックルを紹介しよう。
浅場でヤリイカが釣れるようになっても相模湾や南房総、外房総の釣りと変わらない。
オモリは120号を使う。
水深150m以上のポイントでは150号を使っていたが、水深80〜90mではオモリ120号、水深がさらに浅くなれば、さらにオモリは軽くなることが予想される。各船宿の指定のものに合わせるようにしよう。
タックルは通常の先調子が特徴のヤリイカ専用のほか、アカムツで使う7対3調子のものでもオーケー。
とにかくイカが大きいので一度ツノに乗った後は身切れや足切れによるバラシを軽減したい。
そのためには、多少軟らか目のものでもオーケーだ。
リールは小型、もしくは中型電動。
道糸はPE3〜4号300mあればよい。
中型電動リールはここでは大きすぎると感じる人もいると思うが、パラソル級のヤリイカが多点掛けするとかなりの重量になる。
それを巻き上げるにはパワーが必要だ。
小型電動の場合はハイパワーのものをチョイスしよう。
プラヅノは11㎝であれば好みのものでよい。
棒型、扁平型いずれもよく乗る。
シングルカンナが基本だが、ジャンボヤリイカばかりのときは、ダブルカンナヅノがおすすめ。
これを使うとかなりバレが少なくなる。
さらに、大型ヤリイカに的を絞りたいなら、スルメイカ用の14㎝のプラヅノもよい。
ただし、このサイズのツノの使用は大型オンリーのときだけだ。
乗りが悪いときは、サビキの真ん中あたりに2〜3号の浮きスッテ、いわゆるコマセヅノをひとつまぜるのが定番。
スッテのカラーは赤白が基本だが、赤緑や赤青なども実績がある。
【鹿島沖のヤリイカ釣り】タナはボトムにこだわらない、底から5〜10mを探る

ヤリイカ釣りのタナはボトムが多いが、鹿島沖ではボトムにこだわるのは危険だ。
イカの群れは浮いていることが多く、オモリの着底後すぐにアタリがなければ、底から5〜10mの間をゆっくりとしたシャクリ動作をまじえて誘う。
タナは船長がアナウンスしてくれるのでそれを参考にしよう。
イカがズンズンズンと乗ったらすぐにはあげない。
テンションを緩めないようにしてデッドスローで5〜10m手巻きで静かにリールをまこう。
こうすることで追い乗りを期待できる。
1杯乗るとそのイカに何杯ものイカがついてくる。
波がおだやかなときは海面までついてくることもあるほどだ。
【メタルスッテ釣法 タナでの誘い方】イカのダイレクトな引きを楽しもう

北陸や関西、九州では夜釣りのケンサキイカの定番釣法となっているのがメタルスッテ釣法だ。
水深100mより浅くなったフィールドでは、昼間に楽しめる。
関東ではまだまだ、その環境が少ないだけに、この茨城県海域のヤリイカは貴重なフィールドといえる。
波崎沖、鹿島沖だけでなく、茨城県全域、
さらには福島県宮城県海域でもこれからはじまるヤリイカシーズンには十分楽しめる釣り方だ。
タックルは専用のものが各メーカーから発売されているが、ひとつテンヤタックルやタイラバ、スーパーライトゲーム用などでも流用可能。
むしろ、普段使い慣れた手持ちのものを使ったほうがよい。
ベイトタックルのほうが水深はあるので扱いやすいが、スピニングでもよい。
どちらを使うかは好みでよいだろう。
使用する道糸はPE0.6号が基本。
太くても0.8号としよう。
収納する道糸の長さ最低でも200m。
高切れを想定してのことだ。
使用するメタルスッテは20〜30号。
各種、数個ずつ用意。
カラーは赤緑を基本に赤白、赤青、青黒などどちらかといえば明るい色より暗い色をチョイス。
スッテの使用頻度は20号がベースだが、水深が80〜100mのポイントでは、25〜30号が活躍する。
ボトムをきちんととることができるサイズを選ぶことが大切だ。
枝スに出すもうひとつのアイテムだが、2〜3号の各種浮きスッテが基本。
カラーは赤白、赤緑を基本にさまざまなものを試すことをお勧めする。
このほか、ケンサキイカでは定番の1.7〜2.5号の餌木、ヤリイカサビキに使う11㎝のプラヅノでもよい。
コレというアイテムはなく好みのものをつけてみよう。
枝スの長さは、5㎝を基本とし、波やウネリがあるときは10〜20㎝と長めにとるとよい。
さらに、乗りが渋り、波ウネリがあるときなどは、枝スにメタルスッテ。
先に2号〜3号の餌木をつける。
いわゆるオモリグ釣法をやってみよう。
タナを探る誘いが大事!アタリは”止め”で出す

釣り方だが、まずメタルスッテをボトムまで落とす。
すばやく糸フケをとり、根掛かりを避けるために50㎝〜1m底から上げて静かにアタリを待つ。
活性がよいきはこの時点で乗るが乗らないときは、シャクリを入れてスッテを動かす、そして止め。
スッテが動いているときはアピール、乗せるのはスッテが静止しているときと覚えておこう。
そのタナでアタリがない場合はタナを上げる。
上げ方はジギングでいう“ワンピッチジャーク”が有効だ。
シャクリ上げたあと、竿を下げるときに下げた分のみリールを巻く、これをリズミカルに行う。
2〜3mほど上げ、そこでタナの誘いをする。
これを繰り返してアタリダナを広範囲に探るのだ。
アタリはさまざま、いきなりグングングンと引くこともあれば、竿先にポンっと出ることもある。
なにか違和感を感じたらスーっと聞きアワセを入れる。あまり強いアワセはいらない。
激しいアワセはスッテに寄ったイカに警戒心をあたえ散らすことになる。
ケンサキイカではアタリが出たら即アワセで強めでいいが、ヤリイカはソフトなアワセが効果がある。
【鹿島沖・ヤリイカ釣行レポート】スーパーライトのメタルスッテゲーム

3月初旬は水深80〜90mがポイントだった。3月後半はさらに浅くなるハズ。

ルアーアングラーもエサ釣り師もハマルメタルスッテ選び。
20~30号のメタルスッテを用意しよう

メタルスッテは20〜30号と重めのものを用意。枝スにはプラヅノもオーケーだ
タックルにはスピニングもオーケー。スッテカラーはこの2色が基本だ

メタルスッテで乗せた1ハイには価値がある

メタルスッテゲームは使い慣れたスピニングテンヤタックルを流用できるぞ

ダイレクトな引きを楽しむ!

メタルスッテではスッテは2本までなので取り込みは容易だ

追い乗りをして一荷釣果もザラ。意図的に狙ってみよう!

みな良型。鹿島沖では、これがアベレージ。

プラヅノサビキでは多点掛けする人が数を伸ばす

「スッテのカラー選択が大事ですね。このカラーは当たりかな」とは、ケンサキイカゲームのベテランが話す

メタルスッテでダブルヒットを狙え!

メタルスッテもダブル連発!!

乗船日の「幸栄丸」のヤリイカのトップはなんと130杯。
左は7号船の梅林将人船長、右の高萩市の長谷部さんが釣り上げた

イカのサイズが大きく、ズッシリ!
釣り具ショップ「ポイント」スタッフも爆釣を体感!

今回、取材にご協力いただいたのは、茨城・鹿島「幸栄丸」
さあ、いよいよ寒流系の大型ヤリイカが鹿島沖の水深90m以浅に回遊だ。
鹿島沖のヤリイカは1月に水深150m前後に群れ、シーズンが進むにつれて陸よりの浅場に移動する。
終盤には水深50m前後の岩礁や魚礁周りに産卵のために回遊する。
なんといってもここのフィールドのメリットは、水深が浅いこと。
シーズン初期の水深150mというのも他エリアと比べれば浅いのにさらに浅くなるという。
だから、通常のヤリイカの11㎝プラヅノサビキの釣りでは、手返しを誰もが早くできるため、ヤリイカの数は必然的にアップ。
さらに、この水深を利用して北陸や西日本でブレイク中のスーパーライトゲームであるメタルスッテ釣法が可能になる。
サビキ仕掛けでは、高活性時はトップ100杯超えも記録。
数釣り派はプラヅノ仕掛けで。
数はともかく釣趣派という人は、メタルスッテゲームがオススメだ。
メタルスッテのサイズは20号~30号を用意。
20号を基準にして潮のながれ具合でサイズを重くするとよい。
枝スに付けるアイテムは、浮きスッテや餌木、プラヅノなどなんでもよい。好みでいろいろと試してみよう。
ダイレクトなアタリと引きが味わえるこの釣法。
一度味わえば、必ず貴方も虜になってしまうだろう。
以上の記事は「つり丸」2019年4月1日号の掲載記事です。
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