外房の青物ゲーム 春のヒラマサ、本格シーズンは例年4月から!
外房でよく聞かれる言葉のひとつに「春マサシーズン」というキーワードがある。
黒潮の影響を受けた南からの暖流(当地で真潮と呼ばれる)が、その勢力の強まりとともにヒラマサを外房沖へと運んでくる。
そのため一気に魚影が濃くなりヒット連発! そんなイメージで捉えると近いはずだ。
昨年も4月に入るとヒラマサの回遊が増加!
それまでワラサを主体に展開されていた釣りが、一気にヒラマサ狙いにシフトした。
とりわけ昨年の4月はこれまでにないほどの大型魚ラッシュがあったため、大いに盛り上がった。
大型魚狙いはもちろん熱い。
しかし、春マサシーズンの人気を支えているのは、小振りのヒラマサの魚影の濃さだろう。
「小さいなあ」と言いながらも顔がほころんでしまうのは、やはりヒラマサならではだ。
ただし、春マサ、春マサと意気込んだものの、まだまだ冬を引きづる状況も多いのが現実。
春マサ最高潮の模様はいずれ機会を改めて報告できるはずだ。
そこで、ここではヒラマサを狙いつつのワラサ(サンパク)攻めという、冬から初春の釣りの概要を紹介してみたい。
乗船取材をお願いした3月中旬の「松鶴丸」船上でも、まさにヒラマサ&ワラサ両狙いが展開された。
「以前は冬はオフシーズン、5月のゴールデンウイークくらいまではお客さんも少なかったんですけどね。
最近はおかげさまで冬でも足を運んでもらえるようになりました」とは大船長の中村松洋さん。
冬から初春にかけて、お客さんを呼ぶ原動力となっているのが、ワラサ、サンパクの存在という。
ポツリポツリと顔を出すヒラマサに期待しながら、ワラサ、サンパクを楽しんでしまう。というのが実際のところだろう。
「松鶴丸」では午前午後に関わらず一回の出船でヒラマサ、ワラサ狙いをすることが多いようだ。
これは本格的なヒラマサの回遊が確認されるまで、続くという。
ワラサ(サンパク含む)とヒラマサのポイントは重なることもあるが、おおまかにはそれぞれに特徴がある。
ワラサは水深60〜90mの比較的深場、根の少ないポイントを狙うことが多い。
根際のポイントを狙うときなどはキャスティングでの誘い出しパターンもあるが、深場ではジギングが中心。
キャスティングは水面にトリの気配があるときなどに限定される傾向がある。
反対にヒラマサ狙いをする場合は、浅場の根周りが中心となる。
船を流す方向や釣り座次第だが、ジギング、キャスティングと両パターンの釣りを展開できる。
いずれの魚種をメインにおいても、狙いと異なるヒットしてくる可能性があることは言うまでもない。
しかし、タックルやアクションパターンを、狙いの魚種にアジャストする工夫は基本中の基本だ。
ジギング、キャスティングともにヒラマサ狙いであってもワラサ狙いであってもロッド、リール、ラインは共通するものと考えてよい。
ワンセット、ということなら、まずはスピニングタックル。
ロッドは6ftクラス、150g前後のジグをシャクりやすいものをそろえておく。
リールはソルト用の中型スピニングリール。
ラインはメインにPE3号、リーダーはフロロカーボンの50〜60Lbを使用するのが標準的。
このセットさえそろえておけば、どんなシチュエーションでもジギングは可能だ。
余裕ができたらバリエーションを増やしていけばよい。
キャスティング用は7〜8ftのロッドに中型から大型のスピニングリール。
ラインはPE5〜6号に、リーダーとしてナイロン100Lb前後をセットするのがヒラマサ用の基本。
ワラサだけを考えた場合のキャスティングタックルはライトなものでもよいが、ヒラマサ用に使うのはパワー不足となる。
パワー的には強めのものが要求されるヒラマサに合わせておくのがよい。
余裕ができたらライトなタックルを揃える、という考え方でよいだろう。
ワラサ狙いの場合は、深場攻略が基本となるためジグは150g、200gといったサイズがメインウエイトになりやすい。
アクションパターンはヒラマサに比べやや直線的、ロッドよりリールでジグを動かすイメージが基本だ。
ヒラマサの場合は浅場の根周り攻めがベースとなるので、ジグは150g以下のものの使用が中心となる。
ジャーク幅は状況次第だが、左右への動きを出しやすいものが効果的で、アクションパターンもこうしたジグの動きを演出することを心掛けるのが基本となる。
キャスティング用のプラグはヒラマサ用には60〜100g前後のものが多用されるが、ワラサ用にはやや小ぶりなものが有効なケースもある。タックルバランスを考慮して使うようにしたい。
取材時はまずワラサ、サンパクを釣ってから、ヒラマサへ、という流れで釣りが展開された。
安パイを固めてから勝負に出る、というひとつの理想形だが、相手は海、魚。
それだけに予定通りに行くことばかりではないだろう。
4月上旬は大型ヒラマサ回遊に沸いているかもしれないし、いまだワラサ、サンパクが主役かもしれない。
臨機応変に対応し、外房沖のルアーゲームを楽しんいただきたい。
外房・大原沖 真潮に乗ってヒラマサの大規模回遊が始まるぞ!


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タモでしっかりキャッチしよう

乗船時、唯一のヒラマサを引きづり出したのは常連の森園立樹さん。
「ボトムからの速巻きでドンッと来たからワラサかと思いましたよ」

ベイトをたっぷりと捕食している外房のサンパク&ワラサ。食べておいしい!!

ワラサ狙いはちょっと深場の水深80mライン。
ラインはメインにPE3号、リーダーはフロロカーボンの50〜60 Lbを使用する。
ジグは150g、200gといったサイズがメインウエイト

ワラサも楽しい!ジギングで攻略しよう

ヒラマサは本格回遊は4月からだが、ワラササンパクが多くてもヒラマサも狙うのが初春のスタイルだ

ワラサ狙いの場所ではホウボウが顔を出した

今回、取材にご協力いただいたのは、千葉・大原港「松鶴丸」
外房沖でサンパク、ワラサが安定してロッドを曲げ続けている。
「多少の好不調はありますが、サンパク、ワラサは年明けから安定しています。ヒラマサはまじる程度ですけどね」
とは大原港「松鶴丸」の中村真也船長。
外房といえばヒラマサでしょ、という御仁もあろうが、ワラサも楽しいというアングラーも実は少なくない。
「ヒラマサも釣りたいけど、ワラサも釣りたい。そんなお客さんが、とくにうちでは多いと思います」
3月中旬、船長の言葉を裏付けるように満船でにぎわう週末の大原沖に繰り出した。
まずはお土産釣り? とばかりにワラサ狙い。
水深80mラインから探り出した。
何度かの空振りがあったが魚探の反応は上々。
期待とともに待つうちに、ロッドが次々と絞り込まれた。
船中の多くの人がサンパク、ワラサをキャッチ成功。
ヒラマサもポロリとまじったりもした。
後半戦は浅場の根周りでヒラマサ狙い。
シャクっては投げ、投げてはシャクりを繰り返したがこちらは不発。
しかし、この展開は折り込み済みといったところだ。
浅場の根周りにはヒラマサの群れが濃い状況もある、という。
ただ、南からの潮、真潮に乗ってヒラマサの大規模回遊が始まるのは例年4月に入ってから、ということが多い。そうなれば一気に盛り上がりをみせる外房沖。今後への期待は十分だ。
近年、サンパクとワラサは増加傾向。
安定した釣果が望める。週末となれば、船は満タンだ