ほぼ周年狙えるターゲットに 未開のポイントも多く魚影濃厚
一昔前、東京湾のマゴチといえば初夏に開幕し、「照りゴチ」と呼ぶ真夏が最盛期のターゲットだった。
ところがここ最近はかなりのロングランで釣れる釣り物になった。
「ここ最近は3月に開幕して年末いっぱいまで狙っています。
本当は1月、2月も釣れるんだけど、この時期限定でシロギスをやってっていうお客さんが多いからお休みにしているんですよ」とは、横浜・新子安「だてまき丸」の宮地至人船長。
「そんなに一気に増える魚じゃないはずだけど東京湾には相当数がいますね。マゴチはもう30年くらいやっているけど、まだまだ手付かずのポイントもたくさんあるんです」
10ヶ月にわたるロングランだが、季節ごとによって変化があり通い続けるファンも多いという。
開幕から6月中旬ごろまでは生きたエビを使用し、以後は生きたハゼエサを使用する。
3月に開幕した今シーズンは、第二海堡周りをメインに狙っているが、「例年通りまずまずの食い」だという。
「去年の今頃は近場の根岸湾をメインに狙っていて、第二海堡の南側はほとんど狙っていませんでした。それだからか今の所ここは魚が多いですね。60㎝級はたまにしか出ませんが、40㎝オーバー主体の釣りができています」
マゴチ釣りには難しいイメージがある。それは、いつアワせたらいいのか、という永遠の課題があるからだろう。
「うちは小学生のお子さんもよく釣っていますよ。わからないことは何でも教えますので、やってみたいと思う人はどんどん挑戦してみてください。ベテランでも結構アワセは失敗しますし、逆に誰でもチャンスはあります」
【東京湾・第二海堡周り】マゴチの仕掛け

エサは食用の高級エビ! 元気に生かして アタリを増やそう

生きエビエサはクルマエビの子であるサイマキを使用する。これは沖縄産の高級食材だ。
まず、最初に5匹配られ、以後は追加1匹で100円だ。エサはフグやイカなどエサ取りが多い場合は使用量が増える。
通常時だと、追加のエサは10~15匹ほど。2本竿の場合は追加で20匹ほど。
エサは足元のバケツで生かしておくが、元気な状態を保つためほとんどの人が電池式のブクを持参している。
エサは、イラストのように、頭部にあるツノを折って、ひっくり返して口の中からクルっと回るようにハリを入れて折ったツノの中央あたりにハリ先を出す。脳の部分に刺さないように注意しよう。
エサは元気に生きてピンピンと動いた方がアタリは増える。手早く付けよう。
うまく付けられるとエサも長持ちする。死んでしまったエサはクーラーに入れて持ち帰る人がほとんど。
もちろん、食べるためだ。

投入合図があったらエビを入れ、オモリを投下する。底ダチを取ったら糸フケを取り、1m上げて待つ。
「エビが海底を歩くようなイメージでタナ取りをします」
アタリは「コン」とか「コツン」と竿先にも手元にも伝わるようなものが多い。
これはマゴチがエビをくわえた合図だ。ここでアワせたらまずハリ掛かりしない。
「常連さんでも百発百中なんてことはないしアワセが失敗するのは仕方ないよね。
しっかりと持っていくようなアタリが来るまで待ってください」
アタリが来たら……?

アタリが来たら、まずは食い込みを促進するために竿先を下げてさらに強い本アタリが出るまで待つ。
「そのまま食ってくれないときは、ゆっくりと聞き上げてみると、待て待てと一気に食い込んでくれることも多いですよ」
この時期は、水温が低く待ち時間が長くなる傾向にある。
しっかり食い込むまでのドキドキタイムが長くなるが、これも楽しみの一つだ。
アワセは勇気と自信を持って大きく強くおこなおう。掛かった瞬間は脳髄が痺れるような衝撃と快感が押し寄せてくる。
竿を立て気味にしてそのままリーリングしよう。
アタリが無い場合はどうするか?
「上手な人は自分でアタリを出します。マメなタナの取り直しと誘いでマゴチにアピールしてやります」
船長のオススメの誘いは、タナを取り直す時、リールで1m巻き上げてくるのではなく、竿先を下げた状態で着底させ、
そこからシュっとシャクリ上げて1m上げるというもの。
これはリールで糸を出してタナを取り直す時もできるし、待っている時には竿先を下げて着底させてからシャクリ上げてもいい。
「この誘いだとエビエサがいい動きをするんです。これがアピールになります。30秒に1回くらい誘ってもいいですよ」
まずはアタリを出すことが次のステップに繋がる。アタリが多ければ多少の失敗があっても釣る確率は上がる。
「その日の最初のアタリは特に集中してね。うまくいくとその日はそのままいい釣りができることが多いよ。ここで失敗しちゃうと、悪循環になることが多いですよ」
繊細なアタリにドキドキ! 豪快な引きを楽しむマゴチ釣果レポート

エサのサイマキ(クルマエビ)は5匹配られる。以後は1匹100円で購入

エサを元気に活かす電池式のブクを持参すると、よりエサが元気に

エサ付けは口の部分にハリ先を入れる

ハリをつけてもエビはピンピンと元気だ

第二海堡のポイント前をジェットホイル船が疾走する。三浦半島越しの富士山も美しい。まさに「東京湾」というシチュエーションだ

現在の主戦場は第二海堡周りだ。「ポイントは無数にありますよ」とは宮地船長

オモリは三日月型15号。ハリスは5号1.5m

スタートダッシュを決めて前半に4連チャンを決めた!

伝統的な手バネ竿で狙うベテランも多い。しっかりとアワセが決まった

やり取りは10mちょっととあっという間だが、一瞬も気を抜けないぞ!

現在、40㎝クラスが主体だが60㎝のチャンスも

マゴチだけでなく、フグ、スミイカがエサをかじる

最近はヒラメやホウボウもよくまじるという

大型スミイカはうまくすくえればいいお土産に

40㎝クラスでもかなりの引きが楽しめる

しっかり食い込んだと思ったら失敗を恐れず勇気を出して大きくアワせよう

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・新子安恵比須橋「だてまき丸」
竿先に「コン!」と小さいながらもハッキリとしたアタリが出る。
ドキドキしながら「さあ食い込め、食い込め」と念じること30秒あまり。
そして竿先がグーンと入り込んだところでバシっと大アワセ。
ああ、至福の瞬間……。
ぎゃあ! すっぽ抜けでガーン……。
東京湾のマゴチ釣りにはドラマがある。そんなドラマを演出してくれるのが、横浜・新子安の「だてまき丸」だ。
「3月にシーズンがスタートしました。特大は多くないですが、順調ですね。もう30年もマゴチをやっているけど、まだまだ狙っていないポイントもたくさんあるんです」とは、「だてまき丸」宮地至人船長だ。
この日はトップ10匹、2番手8匹と絶好の食いを見せてくれた。
「だてまき丸」では3月に開幕し、12月末までの10ヶ月がシーズンとほぼ周年狙えるターゲット。
6月中旬ごろまでは生きエビエサ、以後はハゼエサで狙う。ドキドキ感とスリル感を味わうなら、東京湾のマゴチで決まりだ。
以上の記事は「つり丸」2019年4月15日号の掲載記事です。
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マゴチ釣りはオモリ15号を使用したライトな釣りだ。
竿は2~2.4mほどのマゴチ専用竿、2m前後のライトゲーム用の竿などを使用する。
食い込みを促す軟らかい穂先がいいが、アワセが利き、魚を浮かせる張りと腰があるものが理想。
2本竿でやる人もいるが、混雑具合、エサの量などによっても変わってくるので船長に聞いてみよう。
慣れない人は1本竿でやろう。
リールは小型両軸リール。ドラグは締めて使用する。
大きくアワせた時に糸が出てしまっては、マゴチの硬い口周りにフッキングさせるのが難しくなる。
ここで注意したいのが道糸の細さだ。
現在、ライト用の小型両軸リールには0.8~1号などの道糸を巻いている人が多いが、この釣りには最低1.5号は必要だ。
「PEは2号あったほうがいいね。1号以下だとアワセの時に道糸が切れちゃうからね」
仕掛けは三日月オモリ15号を介し、ハリス5号1.5m。ハリはマゴチ、スズキバリの17~18号。この仕掛けはサイマキ用でハゼ用とは異なる。
「だてまき丸」では、「エビエサが横に寝てしまう」という理由からハリにはヒューズなどつけずにそのまま使用する。