いい日はヒラメ7枚も!大アジ、イトヨリなど何でもアリ?

4月13日には2キロ半の良型まじりで、トップでヒラメ7枚という好釣果が出た。
その報を聞いてさっそく館山へと向かう。
唐沢進船長に話を聞くと、「潮具合が気にいったのかなぁ、港前のポイントで入れ食いだったよ」という。
この日は3人で出船、マゴチやホウボウ、カサゴと顔を出したが、潮が利かずにヒラメはなかなか食ってこない。
昼近くになり、船長が明らかに良型ヒラメと思われる魚を掛けたが、残念ながらハリ外れ。
最近では一番悪い日に当たってしまったねと、翌週の4月29日に再釣行となった。
29日は、前日から降っていた雨は朝には止んだが北風が少し強い。
10mくらい吹いているだろうか。普段は鏡のように静かな館山湾だが、風波が立って海がざわついていた。
それでも釣りには支障はなく、船長は20分ほど走って風裏になる北条海岸沖でパラシュートアンカーを入れた。
エサのカタクチイワシにハリを刺し海底へと送り込む。水深は20mと浅い。
この釣りはエサの付け方が重要で、イワシの鼻先の軟骨部にハリを通すのがコツだ。
この際にイワシの首が折れないように親指の腹をイワシの頭に添えるとよい。
こうして付けるとイワシが取れにくく、また弱らない。
初めての人は船長に付け方を教わるのが良いだろう。
最初の流しからミヨシの釣り人にアタリがきた。
カメラを持って見に行くと、時折竿先を引き込むがヒラメのような力強さは無い。
ワニゴチかな? と思ってみていると、タモに収まったのはなんとマアジ、40㎝を越える大アジだ。
活イワシエサにマアジが食ってくるとは、長いこと釣りをしているが初めてみた。
さらに同じ人にアタリ。
今度はヒラメらしい引き込みで、40㎝サイズがタモに収まった。
今日はしょっぱなからヒラメが顔を出してくれてひと安心。
その後も流し替えのたびに、ヒラメ、ワニゴチ(和名イネゴチ)などが釣れ上がり、「鯨丸」のLT泳がせらしくなってきた。
置き竿にしておいた私の竿にも、コツコツとしたアタリがきている。
糸を張って重みを確認してからアワせると、強い引きが到来した。
軟調のライトロッドは満月に曲がり、ドラグが利いてわずかながら糸がでていく。
メリハリのある引き方はヒラメに間違いないだろう、と思ったが浮いてきたのは意外な魚、イトヨリだった。
40㎝を越えるイトヨリとしてはかなりの大型だ。
このイトヨリ、イワシを追っているせいか丸々と太っていて、さばくと包丁に脂がべっとりと付くほどだった。
その後に私にはワニゴチ、サバが釣れてお土産を確保。
風が凪いできたので、船長はイワシのイケスまわりに移動した。
館山湾では網漁で捕ったイワシを蓄養し、カツオ船に売っている。
イケス作業をするときにイワシが海にこぼれ、これを狙ってヒラメやマゴチが集まってくるポイントがある。
ポイントを移動してすぐに私にアタリ。
しかし、食い込ませられずにエサだけ取られてしまった。
すぐに新しいイワシを付けて投入すると、ほどなくアタリがきた。
コンコンと小さなアタリが連続したところで竿を立ててアワせる。
今度はハリ掛かりした。途中の突っ込みを竿でいなしながら上げたのは42㎝のヒラメだった。
このヒラメ、お腹が妙に膨らんでいる。
家に戻ってから胃袋を取り出してみるとイワシを10匹も飲み込んでいたのにはびっくりした。
潮時になるとヒラメは貪欲にエサを追うのだろう。
その後も船ではヒラメ、ワニゴチを追加してトップはヒラメ2枚。
数は伸びなかったが、館山湾らしい多彩な魚種の釣りを楽しみ、沖揚がり時間を迎えた。
水温が上がる5月以降は、この釣りには最適なシーズンだ。
ヒラメ、マゴチの他にショゴなど青物の回遊も始まる、根の近くを流せばマハタやカサゴもまじる。
カタクチイワシをエサにする魚は多く、何が食ってくるかわからないのもこの釣りの楽しさだ。
静かな湾内の浅場で、時には大物とのスリリングなやりとりまであるのが、「鯨丸」のライト泳がせの大きな魅力でもある。
この釣りは、できるだけ華奢なタックルで楽しんで欲しい。
外海のヒラメ釣りのタックルでは頑丈すぎる。
LTアジやメバル用が最適だ。
この釣りの仕掛けは市販されていないが船長特製の仕掛けがあるので、初めての人は予約時に仕掛けの購入を伝えておくと良い。
館山湾・LTイワシ泳がせ五目 釣行レポート

ライトなタックルで強い引き味が楽しめるのが、この釣りのダイゴミ

エサはカタクチイワシ。湾内にこのイワシの畜養イケスがあり、その周辺は好ポイントだ

館山湾のイワシ泳がせ五目。ヒラメ中心にさまざまなフィッシュイーターが狙える釣りだ

マゴチもメインターゲットのひとつ

こちらは大型カサゴ。根魚や青物などゲストは多彩だ

ワニゴチも数まじる

イワシに良型のイトヒキが食ってきた

なぜか大アジも!?

今回、取材にご協力いただいたのは、千葉・館山「鯨丸」
泳がせ釣りというと頑丈なタックルで大物を狙うというイメージが強いが、館山の「鯨丸」の泳がせで使うオモリは35号、手持ちで扱える軽いロッドとリールを組み合わせる。
ポイントは静かな湾内で水深も20m前後と浅い。
小物釣り感覚でイワシの泳がせ釣りが楽しめる。
活きのいいカタクチイワシをハリに刺して海底に送ると、多彩な魚が釣れあがる。
本命はヒラメとマゴチだが、ホウボウ、カサゴ、ワニゴチにマハタなどなど、何が食ってくるかはお楽しみ。
これから水温が高くなるとショゴ(カンパチの子供)も回遊してくる。
館山湾は周年カタクチイワシの群れが回遊し網漁が盛んだ。
職漁のカツオ船が活イワシを買いにくるため、港まわりのイケスには常にイワシが蓄養されている。
買い付けの際にこぼれるイワシを狙ってヒラメやマゴチが浅場に集まってくる。
「鯨丸」の唐沢進船長は、イワシを追う魚の寄り場を熟知し、巧みに船を流して魚を釣らせる。
この釣り用にはLTアジロッド、マゴチ竿、メバル竿が使える。
オモリに負け気味の柔らかい調子の竿が使いやすい。
リールもPE1~2号が100m巻けるサイズで十分。
食い込みを待つ間の緊張間と、不意の大物がライトロッドを満月に絞り込む釣趣が「鯨丸」のLT泳がせの魅力だ。
以上の記事は「つり丸」2016年6月1日号の掲載記事です。
雑誌つり丸(マガジン・マガジン)を販売中!割引雑誌、プレゼント付雑誌、定期購読、バックナンバー、学割雑誌、シニア割雑誌などお得な雑誌情報満載!