早くから東京湾でも注目されていたタイラバゲーム
日本古来の伝統漁法をアレンジ、マダイをルアーで「狙って」釣れる方法として登場してから10年あまり。
固定式から遊動式、アレンジ自在のパーツバリエーションの登場など、多彩な進化を遂げているのが、マダイのラバージギングゲーム、通称「タイラバ」だ。
東京湾でも早くから注目されていた釣法だったが、なかなか安定した釣果を得るまでは遠かった。
しかし、ここ数年で出船する船が増え一般化している。
一枚でも釣れればよし、というイメージから、ひとりで4〜5枚、船中全員キャッチも珍しくない、という状況となっているのだ。
にぎわいの最大の理由は遊動式が主流となったことで、ヒット率、キャッチ率ともに向上したことと思われる。
とりわけ小型を仕留めることができるようになったことが大きい。大型ばかりでは数が伸びないのが現実だ。
以前から積極的にタイラバゲームを行っていた横浜磯子「釣福丸」。
アジング、メッキ、シーバス、エギング、キハダ狙い、マゴチ狙いなど、季節ごとに多彩なゲームプランを用意している同船。
タイラバでの出船率も増加している。
産卵を意識するマダイが多い春、いわゆる「乗っ込み」の時期は総じて好期と言えるが、ムラッ気が激しいのも事実。
当たれば大ダイが連発することもあるが外しもある、ということだ。
これがノッコミ、とハッキリ現れにくい年もあるので、参考程度にしておくのが賢明かも知れない。
ただ、5月中旬も好機は継続中。
積極的なチャレンジをおすすめする次第だ。
ラバージグは遊動式を選択する。ウエストは80〜100g
基本的なタイラバタックルを整理してみよう。
ロッドはできれば専用のものを用意したい。
ライトジギング用などの流用も可能だが、繊細なティップを備えた専用ロッドのほうが釣果アップが期待できるし、何よりも釣っていて楽しめる。
とくに小型のアタリを弾かない、という点で専用ロッドの利点は大きい。
長さは7ft前後が主流。
東京湾の使用を前提にするなら、ラインナップのなかでは硬めに属する80〜100gの使用を前提にしたものを選ぶとよいだろう。
リールは小型のベイトリールを選択する。
ロッドに比べると専用モデルの重要性は低いが、回転が滑らかな中級機種以上のものを選択したいもの。
ただ、ドラグはユルユルでの使用が一般的なので、多少、効きにスムーズさに欠けてもなんとかなる。
手持ちのものがあればまず使ってみるとよいだろう。
メインラインはPE0.8号、リーダーはフロロカーボン4〜5号を1.5mほど結節しておけばOK。
PEラインは1mごとのマーキングが入ったものが使いやすい。
ラバージグは遊動式を選択する。
ウエイトは80〜100gを中心に、始めてチャレンジするという方でも、5個程度は完成品を用意したい。
そのうえで60g、120gなども用意できれば万全。
さらに消耗品でもある交換パーツ、つまりラバーやネクタイ、タコベイト、フックなどを予備として用意しておくとよい。
ヘッドやパーツ類は赤やオレンジ系が定番、かつ実績が高いが、それ以外のカラーも突出した釣果を記録することもある。
定番色を揃えたうえで、さし色的なものを用意できれば楽しみの幅も広がる。
フックのシャープさを維持することには神経を使いたい。
鈍っていたら研ぎ直す、欠けたりしていたら即交換を心掛ける。
多いとはいえないチャンスを確実にものにするためには、基本的な事項でのミスはなるべく少なくしておくことが鉄則だ。
釣り方はとてもシンプル。落として巻くだけ
落として巻くだけ、と釣法の基本はとてもシンプル。
原則としてはまず着底させてから、ただ巻きで海底から10m程度を目安に巻き上げ、再び落とし直すというもの。
数回落とし直したら回収して再投入、同様の動作を繰り返していく。
初心者でもすぐに対応できるほどシンプルだ。
ただ、そのなかでもいくつかの工夫は可能だ。
最初に着底させたら、次の落とし直しでは底を取らない、という方法がある。
マダイはフォール中に追い掛けている可能性がある。
ボトムにタッチして即巻き上げに移れるなら問題ないが、ここで間があってはマダイが見切ってしまう可能性がある。
大きく水深にズレがなければ底を取る意味は小さい。
巻き上げる目安は状況次第で臨機応変に変化させるのもコツだ。
とくに春のマダイは浮くことが多い。
中層まで積極的にタイラバを追いかけることも多いので覚えておくとよい。
ただ巻きが基本なのでスピードはキモになる。
スローからミディアムスピード(といっても感覚的な話だが…)まで、意識的に変化させてヒットスピードを探りたい。
最も効果的なのはその日によく釣る人の釣り方やラバージグを真似ること。
自分が釣れているときは問題とならないが、他の人が釣っているときは積極的に参考にするとよい。
タイラバゲームは特定の人にヒットが集中する傾向がある。
恥ずかしいことではないので、ぜひよく観察してモノにするとよいだろう。
東京湾観音崎沖・タイラバゲーム釣行レポート


タイラバは遊動式が主流。小型のキャッチ率も高くなり数が伸びるので、ぜひこちらを選択したい

この日の本命、マダイをひとり占めした横須賀市の篠原さん。
「40mくらいのところで、底を取って巻き始めで来ました」

ワラサと思しきビッグワンもヒット! 残念ながらキャッチまで至らなかった

タイラバは遊動式が主流。小型のキャッチ率も高くなり数が伸びるので、ぜひこちらを選択したい

絶妙な巻きスピードが釣果を大きく左右することもあ

二枚目キャッチのラッキーマン。「オレンジのタコベイト、ネクタイがいいみたい

嬉しい一匹!

明るい時間帯でも口を使ってきたマアジ。「釣福丸」の人気ターゲットだ

メバルはアジングのうれしいゲストだ

アジングでの定番ゲストのひとつ、メジナ。
「刺身が美味しいよ」と船長

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・磯子「釣福丸」
「東京湾のタイラバは一年中釣れるようになったよね。でもやっぱり春はトップシーズン。潮周りもいいからおいでよ」
4月の下旬、景気のいい言葉に誘われて!? 同船取材をお願いした。
調子の良し悪しについては諸説あるが、やはり乗っ込みの季節は期待が大きい。
船上には胸を期待で膨らませた面々が集っていた。
ただ、実釣日のスタートはシケ模様。波、風ともに高し強し。等速巻きがキモ! などと言われるタイラバゲームには不向きな状況だった。
それでも海上にはトリヤマが立ち、青物の気配も濃厚。マダイが反応してくるのは時間の問題だ。
果たして第一号がヒット!
マダイ特有の引き込みを見せながら浮上したのはキレイなレギュラーサイズ。
しかし、その後はワラサを思わせるヒットやシーバスキャッチに沸いたものの、肝心の本命が続かない。
しばらく間をおいてヒットを得たのは一枚目を仕留めたアングラー。
「オレンジ色のラバー、ネクタイがいいのかも知れないです」
とコメント。
まったく同じように釣っていても差が出るところがタイラバゲームの妙味。
同一アングラーにヒットが集中するのも特徴で、初心者がトップ釣果を記録することも珍しくはない。この日は湾内のアジングゲームもおまけ的に楽しんだ。こちらも釣福丸の人気プランだ。自由度の高さがウリの同船。ぜひ春の東京湾を満喫していただきたい。
以上の記事は「つり丸」2016年6月1日号の掲載記事です。
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タイラバは観音崎沖周辺を攻める