【与那国島】瑞宝丸カジキトローリング図解

初日はアタリなしエサの確保も苦戦
那覇経由で与那国入りし、「瑞宝丸」併営の宿に到着。島の景色と海の透明度に感激。
さっそくルアーを投げるとエソと小型バラクーダがヒット! トラウトロッドで遊ぶとじつにおもしろい。
久部良漁港にはカジキが次々に水揚げされている!
計量後は角と尾を切り落とし、氷水に漬けて保管する。サイズは70㎏級から270㎏まで!
夜は「海響」で長命草の焼きそば&クルキンマチ(ヒメダイ)のマース煮を味わった。
初日の3月18日は7時出船。1時間半でパヤオへ到着。
エサ取りに中乗りのテツさんがエビング、筆者はジギングで苦戦するもシビ(キメジ)を確保。
弱らせないよう目通ししてトローリング開始! ドラグはカジキがエサを違和感なく飲み込むよう、滑る直前まで緩める。
「船長、シビとカツオでは、カツオの方が食うの?」
「何とも言えない。シビは長持ちするけど、カツオの方が早く曳ける」と金城和司船長。
エサが食い渋るなら、カジキはすぐ食うと思ったが、3時間パヤオ周りを曳いてもアタリなし。
他船も苦戦。エサを交換してもイルカに連続で食われて頭だけ!
夕方は港前でGT、イソマグロ、サメ狙い。マグロバリのワイヤー仕掛けに交換。
死にエサにオモリを入れて沈めると、食ったのは40㎏級のメジロザメ類。船に上げる直前にワイヤー切れ…。
二日目についにヒット! 筆者より大きい130㎏ゲット!!
19日はルアーを曳きながら沖のパヤオへ向かう(ルアーの時はドラグを強めに設定)。
エサの反応も良く、一投目からエビング、ジギング両方にヒット。
予備のエサはツナチューブに投入し、2タックルで流す。
イルカの群れが船の横でしばらく跳ねるが、エサにはイタズラしなかった。鳥山も出始めた。これは食うぞ!
9時20分、スピニングリールのドラグがジャジャジャー!
一気にPEラインが持っていかれ、ベールを返す前に魚が跳ねて4時の方向へ走った!
「フッキングして!」
ドラグを締めてアワせたが、食い込む時間が短い。大丈夫か?
PEが200mは出た。船で追って回収する。視界をでかい鳥が横切った。
「アホウドリだ。ウシに付いている」
ウシ? ウシシビ(200~400㎏級のクロマグロ)が、もう来ているのか!
「ウシはカジキより持久力がある。早い時期はいい値が付くよ」
このタックルに食ったら、400mなんて一瞬で持って行かれる!
魚が下へ潜るが、やり取りを続ける。と、いきなり外れた!
「食いが浅かった」
即座にジギングでエサを取り、レバードラグタックルで再開。10時20分過ぎにエサが暴れ始めた。
もしや、とタックルを手にし、「10時30分まで様子を見よう」と、思う間もなくリールがギイイー!
数十m送り込んでからドラグをストライク値まで上げ、冒頭の通り大アワセ!
「今度こそ獲るぞ!」
グローブを装着し、スタンディングで対峙する。
ドラグを締めていくと次第に体全体にかかる負担が増え、ハーネスを入れてもらう。
走りが止まったところで巻き取り、潜ってもリフトする。スタンディングの竿も良い具合。
喉が渇くが水を飲んで続ける。
時々、梃子でも動かなくなるほど重い引きで抵抗するが、ローギアに切り替え、少しでも巻き取る。
全身の力を使ってポンピングし、距離を詰めた。リーダーが入る。「でかい!」
背ビレが海面を切り裂き、野獣のような赤黒い魚体が現れた。
100㎏以上ある。もう少しスイベルを寄せれば、テツさんがハリスを取れる。
船ベリでこれまでない怪力で抵抗するが、ハーネスで何とか食い止め、ついにスイベルまで寄せた。
ハリスを取ったところで船長がモリを打ち、何度も突き立ててカギを掛けた。
金属バットで頭を叩いて締める。魚は激しく胴震いし、全身が青く輝いた。
3人がかりで船に上げると11時。角以外に唇回りもザラついて非常に堅い。
自分より大きな、夢の魚を仕留めた感激が少しずつ広がっていく。
撮影のため、水で冷やしながら12時20分に帰港。夢心地でシャッターを切ってもらう。
目方は130㎏。ハリは胃袋に掛かっていた。
午後も出船して60~70㎏級を2本!
13時に再出港。昨日釣ったカツオの漬け丼が激うま!
一気に体力をつけ、14時にパヤオでエサを取って再開。
何と10分後にヒット! 華麗にジャンプ! 早めにハーネスを入れた。
ん、別のカジキがいる! PEが魚体に触れたら一発で切れるため要注意。
魚は目の前で全身を見せて跳ぶ。しかし、最初の1本で感覚をつかんだため、10分で70㎏級をキャッチ。
モリを打った直後、ハリが外れた。
僚船もカジキを取り込んでいる! 昨日と大違いだ!
「海は同じ日は一日もない」と船長。
「カツオでもカジキでも、回遊魚は釣れるときに釣ることですね!」
次はスピニングタックル1本で流すと、15時40分にアタリ!
ベールを返すとバララーッとPEが走り出す。ラインが短いため、船をバックして少しでも回収し、急加速しフッキング!
今回はギンバルだ。PE6号なので慎重にやり取りする。少し寄せたと思っても、再び跳ねながら遠ざかっていく。
魚は船に気づくと走る。巻けるときはガンガン巻き、巻けない時はロッドを肘に回してしのぐ。
角でゴンゴンとハリスを叩く感覚も伝わった。長時間のやり取りでも疲れないよう、ドラグ設定が10㎏程度なら大丈夫だ。
魚が右に行けば右、左へ行けば左と、何度も右往左往し、ドラグを徐々に締めるが、リーダーまで来たというところで再び突っ走る。
何度か寄せては走られを繰り返したが、再びリーダーを巻き込み、スイベルまで寄せてモリが入った。
16時20分、40分で60~70㎏級をキャッチ。ハリはカンヌキにしっかり掛かっていた。スピニングタックルでも獲れたことが嬉しい。
次のアタリでは、エサを追って水柱が上がったが、魚体がPEに触れて高切れ!
すぐさま船長にリーダーを組んでもらうが、少し流してタイムアップ。
西崎灯台の前でポッパーを投げると、2投目でドパッ! 出たのは5~6㎏級キメジ。この魚で満足し、2日間の釣りを終えた。
川崎に戻っても空気が温かい。沖縄で言う「うりずん」の風は、海を越えて内地にも訪れた。
与那国島の魅力
日本最西端の与那国島は、周囲27㎞、人口1700人ほどの島だが、黒潮のど真ん中に位置するため、
海の透明度と魚影の濃さは半端ではない。釣り人とダイバーが多く訪れると聞いたが、
港の中でもツノダシやチョウチョウウオ、ニザダイやフエダイ、スズメダイの仲間など熱帯魚たちの姿が目に飛び込み、
堤防や磯も一級の釣り場だ。綺麗なビーチもあり、海底遺跡は観光船からも見ることができる。
船の手配は各船宿の他、与那国町漁協を通じても可能(基本的に仕立)。1日で6万円、半日で3万円程度。
カジキ以外にも泳がせ、ジギング、GT、深場釣りなど釣魚は多彩。半日だけ沖へ出てみるのもおもしろそう。
船が出せない時は堤防や河川内でライトゲームも楽しみたい(原付もレンタルできる)。
ルアーに反応する魚も多く、エサ釣りなら熱帯魚も釣れる。天然記念物のヨナグニウマとも牧場で遊ぶことができ、
世界最大の蛾、ヨナグニサンも「アヤミハビル館」で見学できる。「立神岩」、「西崎」なども見逃せないが、
ドラマ「Dr.コトー診療所」の舞台になった島でもある。沖釣り師にはジャン・ユンカーマン監督の記録映画
「老人と海」もお勧めだ。与那国の人々の暮らしが描かれた傑作で、与那国に興味があれば絶対に見ておきたい!
【与那国島】瑞宝丸カジキ釣果レポート

陸っぱりからルアーを投げると、小型のバラクーダがヒット

パヤオ周りではルアーにキメジがヒット

キメジをエサにして曳く

白畑さんは泳がせタックルとスピニングタックルで狙った

本誌ライターの白畑さんが仕留めた初カジキは、クロカジキの130㎏!

130㎏のクロカジキの別カット!

アワセが決まってフッキング!
やり取り開始だ!

取り込み直前のクロカジキが鮮やかなブルーに変色した!「ブリーマーリン」と呼ばれる所以だ

白畑さんは70㎏級も仕留めた!

今回、取材にご協力いただいたのは、与那国島「瑞宝丸」
自分より大きな魚を釣ってみたい!
釣り師なら誰もが抱く夢を、最も高い確率で叶えてくれるのが日本最西端の与那国島だ。
遊漁のトローリングでカジキを釣らせるシステムが確立されている。
黒潮のど真ん中に位置し、漁協と県が設置したパヤオは7つ。エサのカツオ、シビ(キメジ)がコンスタントに釣れ、
それをエサに使うトローリングで狙うのが主流だ。
相手は小さくても70㎏前後、大きければ200㎏以上ある。激しくジャンプし、突っ走る様は壮観だ。
根ズレすることはないので、一定のテンションを保ってやり取りすれば獲れる。
PE8号を500m以上のラインキャパがあれば、スタンディング泳がせの道具でも楽しめる。
その場合はハーネスやギンバル、グローブは必携。
リーダーが太く長いため、PEラインはリールの8割程度までに留めたい。筆者はカジキ初挑戦。
初日はノーバイトだったものの、二日目には朝から魚が反応し、
130㎏のクロカジキを筆頭にアタリ5回で3本キャッチという釣果に驚愕。1本はスピニングタックルでキャッチした。
与那国のクロカジキは、那覇や熊本、富山などに出荷されるが、刺身や昆布締め、唐揚げなどが美味。
与那国は日本一カジキの魚影が濃く、遠征する価値が十二分にある!
以上の記事は「つり丸」2019年5月1日号の掲載記事です。
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