イサキとハナダイとメバルの豪華リレー!釣り方が似ているがどれも違う!

「このリレーは、いろんな魚が釣れるからビギナーにもウケがいいんだけど、
じつは釣りに向上心を持ってる人向けだったりするんだよね。
ウチの常連さんなんか、このリレー船に腕を磨きに来るんだよ」
今回の取材は、片貝旧港「二三丸」のイサキ・ハナダイ・メバル五目という、豪華欲張りリレー船だ。
だが小倉忠船長は、このリレー船の意図が、単に複数の魚種を釣らせることだけではないという。
前半イサキは好調!良型多くトップ33匹
ベタ凪の海上を滑るように走る「第一二三丸」は、太東沖の大根を目指した。
このリレー船は、まずは太東沖のイサキを釣る。
そして後半は片貝沖で、メバルが好調に釣れるときはメバルのポイントに、ハナダイが好調のときにはハナダイのポイントに行くリレー船だ。
どちらのポイントも至近距離にあるため、メバルにハナダイがまじるか、ハナダイにメバルがまじるかの違いだ。
ポイントに到着すると、船長はこうアナウンスした。
「タナは上から24mから25mです。タナの1m下から3m上まで誘ってみてください」
イサキ釣りの経験がある読者なら、あれ? と思うだろう。
仕掛けの長さである3m下からではないのかと。操舵室へ行き、その疑問を船長にぶつけてみた。
「イサキって浮いてくるでしょ? イサキの群れって小型が下にいて大きいのが上にいるんだけど、タナ下3mから始めると小型まで浮いてきちゃうんだよ。できるだけ大きいやつを浮かせたいから、タナを上にして釣るんだよ」
コマセが効いたころ、期待どおりのイサキ釣りになった。
そして、たしかに釣れてくるイサキはどれも良型ばかりだった。
「探見丸」をのぞいてみると、イサキの群れが縦ではなく横に層をなしている。船長の意図どおりの展開となった。
実釣時間の半分を過ぎたころ、このポイントを離れるアナウンスがあった。
イサキはトップが33匹。そしてそのサイズは、小さくても23㎝で最大は36㎝。
ほとんどが30㎝オーバーの良型がそろった。
イサキとハナダイの釣り方はまったく違う!
「第一二三丸」は、片貝沖の中根に移動した。
言わずと知れたハナダイの好ポイントだ。
だが想像とは異なり、ここで出された船長からの指示は、ハナダイの通常の釣り方だった。
「ハナダイの群れは、イサキと違って大きいのも小さいのも入りまじってるんだけど、ハナダイって、上へ上へってシャクリ上げていって釣るでしょ? それって、ハナダイの遊泳力のあるやつ、つまり大きいやつに付けエサを追いかけさせて釣るってことなんだよ。
さっきのイサキは、イサキの大きいやつがいる層よりコマセの層をさらに上に作ることで大きいやつを浮かせてそこを釣ったんだけど、ハナダイは群れのなかからシャクリ始めて上のほうまで誘い上げてやることで、遊泳力がある大きいやつに付けエサを追いかけさせて釣るんだよ。この違いがわかってると、両方とも大きいやつが数釣れるんだけどね」
コマセをまきながらシャクリ上げて釣る。
その作業で使う竿もコマセカゴもコマセも同じだ。
仕掛けの仕様から想像される釣り方も、また然り。
なので、何も考えなければ同じ釣り方をしてしまうのも当然だ。
しかし船長は、良型を釣るための釣り方は、イサキとハナダイとでは、じつは全然違うと言っているのだ。
中根では、ハナダイが好調に釣れているように思えた。
しかし船長は、メバルがあまりまじらないことに不服を感じたようで、船を太東寄りのポイントに移動させた。
そして釣れてくる魚がメバル主体となった。
メバルは船長の指示ダナで仕掛けを止めれば釣れてくる。
しかし、中根で竿を手にできなかった私はハナダイが釣りたい。
そこで船長のハナダイ釣りのレクチャーを、ここで実践してみることにした。
メバルが釣れるタナはコマセをまきながらスルー。
仕掛けがメバルのタナから上へ外れたと思われるあたりから、シャクった後に10秒ほどの待ちの時間を作った。
これを繰り返し、上へ上へと50㎝ずつシャクリ上げていった。
すると、コツン! と下方向へ引くアタリがあった。
このアタリは、グン! とくるメバルのアタリじゃない。
じっくりとリールを巻きながら、ハナダイかどうかを観察した。
ハナダイの引きは、そろそろ来るかな? と期待したころにコンコンコンとくる。コンコンコン。
『やっぱり釣りが好き!!』
来た! ハナダイだ! 釣り上げたハナダイは、30㎝ちょっとの納得サイズだった。
「ね、面白いでしょ?」
操舵室から顔をのぞかせた船長が、そう話しかけてきた。
船長の指示どおりのタナでイサキとメバルを釣り、そして船長のレクチャーどおりにハナダイを誘い上げて釣った。
たしかに船長の言うとおりその違いは明確で、そしてその違いを意識した釣り方に戦略の存在を感じる楽しさがあった。
戦略の存在とは、つまり「釣った感」だ。
「もうすぐ梅雨イサキのシーズンになるよね。このイサキとハナダイ、メバルの釣り方の違いっていうのをね、もっともっと楽しめるようになるよ!」
船長のその言葉に、私が上へ上へと誘われてしまった。
外房・片貝沖 イサキ・ハナダイ・メバル五目釣行レポート

前半はイサキ、後半はハナダイまたはメバルを狙う!

カラーバリ仕掛けにオキアミやイカタンなどのエサを併用する

前半に狙うイサキは4月の開幕から好調!

ハナダイもごらんのとおり! 良型がそろう

メバルも楽しめる

小気味よい引きだ! 何が掛かったかな?

ハナダイとソイ! ソイの口にはサクラダイ!

マトウダイもヒツト

キントキは良型が掛かる

キントキとウマヅラの一荷

こちらはメジナ

これはウスメバル

今回、取材にご協力いただいたのは、千葉・片山旧港「二三丸」
梅雨イサキのシーズンを待ち望むファンも多いことだろう。
そんなイサキファンにオススメしたい釣り物がある。片貝旧港「二三丸」の、イサキ&メバル&ハナダイ五目リレー船だ。
このリレーは、4月1日に解禁となった太東沖のイサキを軸にして、片貝沖でメバルが釣れているときはメバルを、ハナダイが好調な時はハナダイを釣るリレー船だ。
「イサキは今年も好調に釣れてます。なので、夕飯のお刺身がイサキだけじゃなくて、
三種盛り、四種盛りにできるようにリレー船にしてるんです」と、小倉忠船長はこのメニューを解説してくれた。
メバルとハナダイのポイントは近いので、メバルポイントではハナダイが、ハナダイポイントでもメバルがまじる。
なので、お刺身三種盛りは確実だ。
5月14日にこの五目リレー船を取材したが、本命のイサキ、メバル、ハナダイは良型が好調に釣れた。
ほかにマダイ、メジナ、キントキ、ウマヅラ、マトウダイ、そしてソイまで顔を見せた。
ときにはヒラメが釣れることもあるという。これはもう、魚種が豊富な外房ならではの五目船だ。
これから盛夏にむけて、どんどん熱くなってくる片貝沖。
超豪華お刺身多種盛りで、冷たいビールや冷酒なんかいかがですか?
以上の記事は「つり丸」2016年6月15日号の掲載記事です。
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