西伊豆の夏の風物詩が開幕!イワシを掛けたら海底へGO!

【ターゲットは、あらゆるフィッシュイーター】
今や西伊豆の初夏の風物詩と言っても過言ではない「食わせサビキ」。
この時期に回遊してくるカタクチイワシを太めのサビキで食わせて海底まで落とし込み、
ヒラメやコチ、マダイ、青物、根魚等々、あらゆるフィッシュイーターを狙う。
北陸では「道楽釣り」、関西から四国、九州では「落とし込み」、「アンダーベイト」、
「チョクリ釣り」などの名称で(仕掛けは西伊豆より太めの傾向だが)同様の釣りが人気を博している。
静岡県では古くは下田湾口でこの釣りが行われ、神子元沖コマセダイ釣り確立前の80年代初頭には
「多くの釣り人がマダイを手にできる」選択肢の一つとして須崎港の釣り船で試験的に行われた時期もある。
西伊豆でこの釣りが始まったのは2005年頃。
安良里港の「ふじなみ丸」がメニューに加えてから、既に10年以上が経過したことになる。
今期はイワシの回遊が遅れて気を揉んだが、釣行前週の13日には大群が回遊し、
船中4名で2㎏頭にヒラメ29枚、3.4~3.6㎏のマダイ2枚に、マゴチ、マトウダイ…と爆釣をマークしていた。
メンバー全員、今回は楽勝と「大船に乗った気分」で5月20日を迎えたが…。
【サビキにイワシを掛けてそのまま海底へ】
メンバー5名に藤井伸一郎若船長を加えた6人が左右舷に分かれ、藤井明男大船長の操船で5時出船。
「港口から始めるから、すぐできるように準備しておいてよ」のアナウンスが終わらぬ内、港口には10隻以上の釣船が見えてくる。
エンジンがスローになるとあちこちでイワシの群れが跳ね、海面には雨降りのような波紋と水音が。
海面下に群れるイワシはすぐにハリ掛かりする。
「できるだけたくさんハリ掛けして落とし込んで、アピールしてくださいよ」と大船長。
過去数年間で乗船した中~南紀の「落とし込み船」はいずれもハリ数少なめで
「1匹でもベイトが食ったら、すぐ落とし込め」の指示だったが、ここは「郷に入れば郷に従え」
指示通り複数のイワシを食わせてから落とし込む。
10m未満の水深ではハリ掛かりして暴れるイワシはもちろん、オモリや仕掛け上部の集魚板も確認できる
「サイトフィッシング」の様相だが、ここでのメインはヒラメ&マゴチの、いわゆるフラットフィッシュ。
海底に擬態した忍者たちを船上から肉眼で確認出来るはずもない。
開始から30分、ファーストヒットは左舷ミヨシの井口氏。
45㎝級のマゴチをタモ取りしてひと安心。ほどなく左舷ミヨシの桜井氏が気持ち大振りのマゴチをタモ取り。
テンポよく釣れ上がり、誰もが「次は自分と」と気を入れるが、後が続かず。
6時半、水深15~20m安良里沖に移動。桜井氏に複数のアタリが出るも、早アワセでハリ掛かりせず。
3度目のタモが差されたのは前回から2時間半が経過した8時過ぎ。
若船長自ら船中初のヒラメをキャッチすれば、これを口火に左舷胴の井上さんがカサゴ、桜井氏が50㎝超のマゴチと続く。
この後さらに沖目を攻めるがノーヒット。意を決した大船長は松崎沖へ走る。
【2.3kgのヒラメに続いて大物が!?】
9時半に到着した松崎沖は安良里沖を遥かに上回るイワシと船が集結し「雨音」のような海面の沸き具合が、ハンパではない。
突然の歓声に沖目を見れば、海面が沸騰する如き大きなナブラ。ワラサだというが、釣り上げる船はない。
結局ここでは「ワラサショー」以外は井上さんのミノカサゴのみ。
11時前に安良里沖に取って返し、40mラインで最後の勝負。
開始から15分、待ちに待った本命のアタリ! 冒頭のシーンだ。
千載一遇のチャンスを逃してはならじ、早アワセしないように「本アタリ」を待つが…タイミング悪過ぎの「流れ藻禍?」。
ともかくアワセをくれて巻きだすが、中間点でスッポ抜け、天を仰ぐ。
本命がハリ掛かりしなくても、イワシを多数釣る事でハリ先が甘くなる。
3~4時間使ったら仕掛けを変える、は関西釣行で培ったスキルだった。
しかし、「そろそろ交換すべきか」と脳裏を過った直後の、イタ過ぎる失態だ。
ほぼ同時ヒットの右トモの高田氏は当日最大となる2.3㎏のヒラメに安堵の笑み。
納竿前には安良里沖にもワラサが襲来。
沸き上がる海面に若船長がルアーをキャスト、ヒットしたが惜しくもフックアウト。
ラストの流し、若船長にビッグヒット。
スワ大判ヒラメかと隣席は早々に大ダモを構え、船中の視線が集中したが…残念、アカエイに苦笑い。
個人的には好釣の報に少々油断が過ぎたと反省しきり。
「イワシ次第」ゆえの釣況ムラは否めないものの、シーズン的にはまだまだ期待充分。
早めの釣行をおすすめする。
安良里沖にイワシの大群が到来し、フィッシュイーターが活発!西伊豆・食わせサビキ釣行レポート

まずはイワシの反応を見つけてサビキにイワシを掛け、そのまま海底に。
沈めてすぐに食ってくることも多い

エサとなるイワシはカタクチイワシ。
大群で押し寄せてくるが、マイワシも混じっている。
その群れの下にフィッシュイーターがいるぞ!

食わせサビキは安良里沖の夏の風物詩。
サビキに掛かったイワシにさまざまなフィッシュイーターが食ってくる
ヒラメをゲット!

食わせサビキは海面に現れるまで、何が釣れるか分からない。それもまた楽しい!

マゴチも大型が食ってくる

カサゴをゲット!根魚も多い!

ヒラメ、マゴチのほか、根魚、青物、マダイなども食ってくる。

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・安良里港「ふじなみ丸」
雲ひとつない快晴の下、時雨の如くざわめき続ける海面。
見渡す限りのイワシ、イワシ、イワシ。
イワシの「雨音」に包まれた西伊豆沖のそこここで始まる海鳥の宴。
海面下に目を凝らせば川が流れるように無数のイワシが通り過ぎ、突然湧き上がるワラサのナブラ宜しく、沸騰する釣人達の心。
太めのサビキにイワシを食わせ、海底まで落とし込んでフィッシュイーターを狙う「食わせサビキ」。
ヒラメを筆頭にマゴチ、根魚、青物、マダイ…イワシを狙う全ての魚がターゲットだ。
低調だったこの日だが、2.3㎏頭にヒラメ、良型マゴチに根魚とレギュラーメンバーが顔をそろえる。
釣行前週には4名で2㎏頭にヒラメ29枚、3.5㎏前後のマダイ2枚にマゴチ他の爆釣もマークした「ふじなみ丸」。
イワシの回遊次第だが、チャンスは例年7月まで続く。
以上の記事は「つり丸」2017年7月1日号の掲載記事です。
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