
千葉県側で数狙い。 神奈川県サイドの型狙い。
7月上旬、実釣取材を行った新山下の「渡辺釣船店」では、タチウオジギングが絶好調だ。
「良型ばかりの状況が続いてきたんですが、ここに来て小型の群れが入ってきましたね。
でも大型がいなくなっているわけではないので、数、型ともに楽しめる状況だと思いますよ」
とは舵を握る田中茂生船長。
湾口周辺が主な舞台だ。航路を挟んだ千葉県サイド、富津沖から第二海堡周りなどは、どちらかといえば数狙い。
神奈川県サイドの観音崎沖、走水沖、猿島周辺などでは型狙いとなることが多い、という。
日並みや状況にもよるが、7月上旬現在、前者では水深40m前後まで、
後者では水深70~80m程度までを狙うことが多く、前者では120g、後者では150gのジグを使う、
という感じで、比較的分かりやすい攻め分けが行われているようだ。
もちろんヒットレンジは上下するので要注意。
取材日は前半戦で数を釣り、後半戦で型を狙う、という理想的な展開が現実となった。
ときおりバタバタと釣れ盛るときもあったが、基本的には終始ポツリポツリという釣れ具合。
飽きることなく、釣れ過ぎて雑になることもなく、ちょうどいい感じだった。
結果的にはメーターオーバーもかなりの本数が船上に舞った。
114㎝を最大に112mもキャッチされ、存分に楽しめた状況であった。今後も同様の展開が期待できるはずだ。
基本はベイトタックル。メインラインのPEは0.8号が標準
東京湾のタチウオジギング用タックルは、熟成が進み、ほぼ定番化している。
しかし、初めて!という読者もおられると思う。いま一度、タックルを整理してみたい。
基本はベイトタックルだ。
ロッドは6ftクラス、タチウオジギング専用ロッドなら万全だが、ライトジギング用ロッドでも十分に使用できる。
150~200g程度のジグに対応できるロッドがおすすめ。軟らかすぎるロッドは避けた方が無難だ。
リールはソルト仕様、できればジギング仕様の小型ベイトリールが理想的だ。
バス用などでも十分に対応可能だが、耐久性はもちろん、深場、しかも潮が速い状況で、
良型をスレ掛かりさせてみれば、1回でパワーのあるリールのありがたみが分かるだろう。
メインラインのPEは0.8号が標準。
1号でもよい。0.6号は傷みやすく、トラブルへの対応力が低いので避けたほうが賢明だ。
リーダーは40~50 Lbのフロロカーボンラインを2~3mほど結節して使うか、
20~30 Lbリーダーの先端に30㎝以内を目安に60~80 Lb程度のリーダーを結節して使ってもよい。
いずれにしろ、タチウオの歯による痛みが確認できたらこまめにカット、結び直すことをお忘れなく。
ジグは100~150gを揃えておけば、ほぼOK。
状況次第では80g、200gが欲しくなることもあるので、いくつか用意できると万全だ。
7月上旬現在、メインウエイトは120g、150gだ。沈みの速いタイプ、
低速でもヒラヒラアピールするタイプなど、異なるタイプのジグを用意しておくと対応力がアップする。
フックは前後に装着する。フロントにシングル、リアにトレブル、またはフォースフックをセットするのが
渡辺釣船店推薦の基本セッティング。
フロントのフックをリアよりワンサイズ下げたトレブルフックにしてもよい。
接続には金属系のパーツを使うのが原則だ。
指示ダナ上下を ワンピッチアクション
タチウオジギングはシンプルだ。
船長の合図でジグを投入、指示ダナまで落としたらその上下のタナを、幅広く指示が出ている場合はその範囲を、
ワンピッチアクション(ロッドを1回シャクると同時にハンドルを1回転させるアクションパターン)を繰り返す。
水深や潮の状況にもよるが3~5回程度指示ダナを探ったら回収して再投入。同じ動作を繰り返す。
「基本はワンピッチ。これを繰り返していれば必ず釣れます。
繰り返すなかで感覚を磨いていくといいと思います」とは、取材日同船していた金子大士船長。
指示ダナは絶対に守るというのが大前提。
そのなかでスピードを速くしたり遅くしたり、ジャークするスピードを速くしたり遅くしたり、
強くしたり弱くしたり…。いろいろ試していれば必ずやヒットが得られるはずだ。
あまりに基本から離れていたり、周囲のアングラーに迷惑をかけてしまう場合は別として、
釣りを自由に楽しんでもらうため、あれこれと積極的にアドバイスすることはしない、というのが渡辺釣船店流。
これ、というアクションパターンを伝えても状況が変わってしまえば通用しなくなることもある。
いまひとつ釣れずに悩んだら、その場で船長に訊いてみるのがいいだろう。
「聞いてもらえれば、そのときどきの状況に合わせてアドバイスします」(金子船長)
臆することはない。一番海を理解しているのは船長なので、釣果につながる的確なアドバイスをいただけるだろう。
試行錯誤を繰り返していれば乗船時間は意外なほど速く過ぎてしまう。
釣果の多寡はあっても1日遊んだなあ、と実感できるはず。ぜひ堪能していただきたい。
今年も当たり年!東京湾夏タチウオ釣行レポート

ドスンっとロッドを絞り込む。これがタチウオジギングの魅力のひとつ

「ファーストフォール中、サミングしたら食ってきました!」と、
里見輝幸さんが仕留めたのは112㎝。ジグは渡辺釣船店オリジナルカラーのフォルテン150g

東京湾定番のフックセッティング。
7月初旬現在、120gと150gをポイントや状況によって使い分けていた

船宿おすすめはブルーブルーのフォルテン。船宿オリジナルカラーは受付で購入可能

良型はランディングネットのアシストをあおぐのが安全

大型でなければ周囲の安全を確認してから一気に抜き上げる!これが一番確実なランディング

あまりに小さいタチウオは船縁リリースがおすすめ

なんとかキープサイズ?

幅広の良型タチウオ

取材日最大の114㎝のドラゴン。釣り応え十分だ!

見事、107cmを仕留めた中野区の里見輝幸さん。
里見さんはプロショップMOGIの店長。タチウオ釣りにも精通している

ナイスサイズ

初挑戦の方も存分に楽しんでいた

船中1本だけキャッチされたサワラ。狙って釣れる状況ではないが嬉しいゲストだ

各種釣り物で人気を集める渡辺釣船店

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・新山下「渡辺釣船店」
「順調ですよ。ちょっと前まで良型ばかりだったんですけど、ここに来て小さいのが多くなっちゃって。
まあ、夏ですから小さいのも多くなりますけどね。それでも大きいのも入ってますから楽しんでもらえると思いますよ」
とは、「渡辺釣船店」でタチウオ船を担当する田中茂生船長。
WEBの釣果情報を遡ってチェックしても、言葉を裏付けるようなドラゴン写真がちらほら。
船宿記録なども出ており、連日盛況!という雰囲気が伝わってきた。
荒天だった日曜日の翌日、弱い雨のなか出陣した。
スタートは数狙いの富津沖、途中で型狙いの観音崎から猿島周りへと転戦していく、という。
果たして前半は小型ながら好調な食いっぷりが展開された。
しかし、アングラーは贅沢なもの。数が釣れると型が欲しくなる。
その願いが船中に満ちた頃、予定通りに移動。そして予定通り?に良型が連発。メーターオーバーも続々と登場した。
この日は船長の思惑通りの釣りが展開された。
少々出来すぎの感もあったものの、数、型だけでなく、憎いばかりの釣りの組み立ても含め、
全員が満足して帰途についたと思われる。
魚影は濃い。そして夏タチシーズンはまだまだこれから。多少の上下はあれ、今後も十分に楽しめるだろう。
以上の記事は「つり丸」2019年8月1日号の掲載記事です。
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東京湾のタチウオジギングが好機を迎えている。
数、型ともに期待できる、そんな初夏を見逃すな!