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釣る前に、食べる前に、オシャレコショウダイという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、オシャレコショウダイという魚を知ろう!

オシャレコショウダイはスズキ目イサキ科コショウダイ属。 八丈島、小笠原諸島、紀伊半島、鹿児島県南部、屋久島、琉球列島が生息域となっているが、駿河湾、相模湾、東京湾、外房にもいるようである。

オシャレコショウダイ(スズキ目イサキ科コショウダイ属)の生態

この熱帯系の体高のあるイサキ科の魚は年々、生息域が北に広がってきている。
東京湾、駿河湾のものは比較的若い個体だが、
その内大型魚が関東周辺でもとれるようになる、もしくは今現在とれているかも。

コショウダイの仲間はイサキ科でも体高がある。
古くから相模湾などで見られていたコショウダイは生息域を青森県まで北上させている。

本種も外房周辺で大型魚が釣れる、などということもあり得る。

沖縄県などでは色が似ているコロダイと混同されているようで、
本種だけの呼び名はない。
コロダイなどの総称である「くれー」が唯一の呼び名だと思っている。

オシャレコショウダイの値段は?

本種は都内の市場では2015年に初めて見ている。
この体高のあるイサキ科は安いはずが、なぜか非常に高値で売られていた。

2018年築地場内から送ってもらったときにもキロあたり卸値で3000円もしたのだ。
知名度の低い魚としては異例だ。

今回の宮崎県産3.8㎏で1尾卸値11400円なり。これからもっと高くなるはずだ。

オシャレコショウダイの寿司…口の中でトロリと溶ける。大トロが裸足で逃げちゃう!

雨がしとしと降る昼だった。こんな日にたかさんが歌う歌は、
「♪雨がしとしと♪…金曜日♪」

これに反応したのが、ミニの制服が似合う、可愛らしい女子だ。
「こんな古い歌よく知ってるね?」
「ウチのオジイチャンが好きなの」
 
たかさん、歌うのをやめて、
「今日は何を持って来た?」。
「とってもオシャレな魚だよ」

客が途絶えたので、発泡を渡す。
「なんじゃこれは? コロダイ?」
「まあ、似たようなもんかな」

女子ものぞきこみ、
「きゃわいくない!」
「よく見たらオシャレでしょ」
「トカゲに似てる」

最近女子のいうことは、常に、まったく理解不能だ。
あえて言えば、一九五十年代に流行ったシャツの模様をした魚だろうか。
全体に地味だけど、じっくり見ると斬新だ。

宮崎の釣り師の方が夜、突堤の先端からイカエサで投げ釣りしたら、
いきなり釣れたらしい。
コロダイかなと思ったら違う魚で、初めて見ました、と送ってくれたものだ。

十年くらい前までは、沖縄以外では魚類学的にも珍しい魚だった。
この派手なようで地味な魚が、京都や都内の市場で今や人気急上昇中だ。

「これ最近話題の魚なんだ」
「どこで?」
「豊洲とか京都市場でさ」

さて、女子が帰ってしまうと、急にエアコンの冷気を感じた。
「一キロちょっとあるね」
「昔、一度たかさんに握ってもらったことがある。覚えてない?」
「まったく覚えてない」

鯛型なのであっと言う間に三枚下ろしに。皮を引くと、
「ビューティフルだね!」
「なぜ、突然英語なの。味見用に刺身に切ってくださいな」

しょうゆをつけないで食べて、無言。
しょうゆをつけて食べて、ため息が出た。うますぎるのだ。

「インド(ミナミマグロ)の大トロが裸足で逃げちゃうね」
「たかさんもそう思うんだ」
「しかもとてもきれいだね」

血合いが赤く、口の中で甘味を放ちながらとろりと溶ける。
適度な食感があり、後から魚らしいうま味が感じられる。
当然のことだけど、握りも今年度最高の味だった。

梅雨明け間近になって、
今度は鹿児島種子島の漁師さんから、船で釣り上げたものがやって来た。
重さがなんと三・八キロもある。種子島ではそれほど珍しくないという。

「お相撲さんのようだね」
「すごい御デブだ」

さて、今回の主役はオシャレコショウダイだ。
主にインド・太平洋の熱帯のサンゴ礁にいるイサキ科の魚で、
もともとは沖縄だけでとれていたのが、
鹿児島や高知、三重などでも大型が揚がるようになった。

前回より三倍以上重い。そして三倍以上うまい気がする。
「これじゃー大トロいらないね」
「本当にマグロいらないかもな。魚って大きい方がうまいんだね」
「基本的にはそうだね」

「人間は逆。男は軽い方がモテる」
「重さの話はやめてだ。この握り、ここ十年でいちばんだね。
先日の新島沖のシマアジよりも上だね」
「そうかな。いい勝負じゃない」

まあ、アジ科とは違う味である。

だれだろう? オシャレコショウダイなんて、まずそうな標準和名をつけたのは。
むしろウマスギコショウダイの方がいいと思う。

四日後の方が遙かにうまかった。
ていねいに活け締めにしたものは、時間が経つほどにうまくなる。
大きな半身を進呈したら、お客に人気であっと言う間に売り切れた。

「千客万来、運気急上昇だ」
外は大雨。明日天気になあれ。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。
店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。
ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。
本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。
どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。
目標は1000種類の寿司を食べること。
HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。


以上の記事は「つり丸」2019年8月15日号の掲載記事です。

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