【東京湾】荒根を攻めて大ダコ狙い!根掛かり防止テクを駆使して正月用の江戸前ダコをゲット!

夏から好調続き 今シーズンは豊漁だ

今シーズン好調な東京湾のマダコ。
年末が近づいても数、型ともに衰えていない。
東京湾ではマダコ釣りは夏、というイメージが強いが、実は周年狙える釣り物だ(ただし場所ごとに禁漁期間がある)。
特に今年は初夏に見られるような小ダコが冬場になっても多く見られる。
これはマダコの産卵期に幅があるせいで、このような年は豊漁の証と言える。
本牧の「長崎屋」は、毎年師走になると正月用のマダコを求める釣り人で賑わう。
タコのエサとなるイシガニが多く生息する荒根を果敢に攻めるのが「長崎屋」のマダコ釣りスタイル。
ここではその特徴を紹介しよう。
マダコ狙いのポイントは、岩場、ガラ場、根周りなどがある。
ガラ場はタコのエサとなる二枚貝が多く、根回りの砂地は小魚やエビなどが多い。
そして「長崎屋」が主に狙うのは岩場だ。岩場にはタコの好物のイシガニが多く生息する。
また、タコが身を隠すために都合の良い穴も多い。タコの密度がもっとも濃い場所が岩場だと言える。
マダコは昔ながらの渋糸を使った手釣り道具で狙う。
テンヤにはタコの好物のカニをしばりつける。
渋糸やテンヤは無料で貸してくれる(テンヤを根掛かりで失ったときは500円)。
初めての人はもちろんだが、ベテランでも船の道具を借りる人は少なくない。
渋糸にも伸びの大きいものや小さいものとあり、船宿ではタコ釣りに最適な渋糸を選んで使っているからだ。
クーラーひとつの手ぶらで釣行できるのも、マダコ釣りの良いところだろう。

手釣り糸やテンヤは船で借りられる。テンヤを根掛かりで失ったときは500円
オモリを浮かせて小突くのが長崎屋流

「長崎屋」のタコ釣りは小突き方にちょっとばかりコツがいる。
根の荒い場所を攻めることが多いので、砂地やガラ場のタコ釣りのように、オモリを底につけて引きずるとすぐに根掛かりしてしまう。
オモリを浮かした状態で小突きを入れるのが長崎屋流だ。
浮かす幅は底から10㎝が目安。
あまり浮かせすぎるとマダコがアタックしてこないが、活性が高いときは20㎝浮かせていてもタコは乗ってくるという。
オモリが底についたら10㎝浮かせてやる。
この状態だとテンヤは完全に浮き上がらないで、ハリ先は海底をこすっている。
ここから指を小刻みに上下させて、オモリを動かしてやる。
「小突く」というよりも「揺らす」と呼んだ方がしっくりくる操作だ。
海底付近でカニがゆらゆらと揺れているような動きをイメージしてやるとよい。
船が流れていくと水深は変化していく。
浅くなったときはオモリが底に着くので、そこからまた10㎝上げてやればよい。
深くなっていくときはオモリが底から30㎝以上も浮いてしまうことがあるが、それだけ浮くとマダコは乗ってこない。
テンヤの浮きすぎを避けるために、まめに底ダチを取り直すことが大切だ。
マダコの乗りは明確にわかる。
オモリを揺らす動きが、ぐにゃぐにゃした感触で邪魔される。
タコがカニに抱きついたときの感触だ。
このときに慌ててはいけない。マダコ釣りに早アワセは禁物。
オモリと一緒にタコも揺さぶるように、オモリを動かし続ける。
このときは、糸を出してテンヤを底につけて小突いても構わない(タコが抱いている時はテンヤが根掛かりしにくい)。
十分な重みが伝わったところでアワセを入れる。
小突いていても重さが変わらない場合には、10回小突いてからアワせればよい。
タコは獲物の抵抗を感じても逃げることはなく、逆に覆いかぶさってくるので、十分にテンヤのエサを抱かせることで、良い場所にハリが掛かりバレにくくなる。
取り込みは糸を緩めず バラさないように

アワせてから取り込みまでで大切なのは、けっして糸を緩めないことだ。
特に大型になると水の抵抗も加わりかなりの重量感だ。
常に指サックをはめておいて、糸が滑らないように注意しよう。
手繰るときは、船べりに糸を当てて手繰ると、糸が弛みにくい。
腕だけで交互に手繰るのはバレる原因となりやすいことを覚えておこう。
海面にタコが見えてきたら、腕を伸ばして先糸を掴んで抜き上げる。
良型の場合は仲乗りさんや船長がタモ取りをしてくれる。
釣ったタコは網に入れて口をしばってバケツに入れておけば沖揚がりまで生かしておける。
オモリを浮かせた状態をキープすると、根掛かりは激減する。
しかし、タナを取り直したりするときに根掛かりするのはどうしても避けられない。
根掛かりした場合は強く引っ張らないこと。
強く引っ張ると、テンヤががっちりと岩に食い込み、糸を切らざるを得なくなるからだ。
糸を張ったり緩めたりしながら、そのまま小突き続けると外れることも多い。
「長崎屋」では根掛かりしたときは仲乗りさんがフォローしてくれるので、外れない場合は遠慮なくお願いしてみよう。
船は横流しをするので、釣り座の優劣がでにくいのがマダコ釣りの特徴でもある。
オモリを浮かせた小突きで根掛かりを避け、あとはひたすら根気良く小突き続けることが、マダコ釣りで一番大切なこと。
テンヤがマダコの目の前に来た人に乗りが訪れる。
初めての人でも大物を釣り上げることは珍しくない。
正月料理にうってつけの食材、マダコを狙って東京湾へ行ってみよう。
東京湾 旨味たっぷり江戸前マダコ釣行レポート

障害物周りを攻める。根掛かりを防ぐには、テンヤを立ててオモリをわずかに浮かせて小突くのがコツ

夏から好調に釣れ続く東京湾のマダコ。年末釣行でお正月用に激うまダコを確保だ!

お正月用に釣りたい高級ターゲットといえば、東京湾のマダコ。スーパーで山盛りになって売られているアフリカ産とはまったく違う。旨味たっぷりの食味が楽しめる!

お正月のタコのお刺身ゲット~!!

取材日は2.7kgの大型も上がった。大型が釣れれば、家族みんなで江戸前ダコがたっぷり味わえるぞ!

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・本牧「長崎屋」
今年の東京湾はマダコの湧きが良く、本牧「長崎屋」のマダコ乗合は初夏からのロングランになっている。
マダコの主な釣期は夏場と思われがちだが、実は周年狙えるターゲットでもある。
特に師走のマダコ釣りは、正月料理の食材を調達しようという釣り人に人気がある。
ポイントまでは行程5~20分ほどの近場だが、「長崎屋」では根の荒い場所を主に狙っている。
これは根に付いたイシガニを捕食しようと潜んでいるマダコを狙うため。
根掛かりしやすい場所だが、ちょっとした小突き方のコツがある。
それはテンヤのオモリをわずかに浮かせて小突くこと。
これを覚えれば荒根のタコ釣りは難しい釣りではない。
「岩があったり、破れた網があったりする場所にはカニが集まるからタコも集まるんだよね。そういう場所を狙ってるよ」と、マダコ船の舵を握る長崎恵夫船長。
取材日の11月26日は2.7㎏の良型も飛び出し、頭は10杯。
乗船者全員がマダコの型を見られて今シーズンの好調さが十分に伺えた。
長崎屋では年内いっぱいはマダコ乗合を出船予定。
東京湾のマダコは市場にはほとんど出回らない貴重品。
スーパーで見かけるアフリカからの輸入物と比べると身の旨味に大きな差がある高級食材だ。
絶品の江戸前ダコが1杯でも釣れれば、おせち料理に華を添えられるだろう。
さあ、正月用のタコをゲットしよう。
以上の記事は「つり丸」2017年1月1日号の掲載記事です。
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