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釣る前に、食べる前に、ツムブリという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、ツムブリという魚を知ろう!

ツムブリとは、スズキ目ハタ科マハタ属で、全世界の温帯域から熱帯域の表層を回遊している。国内では青森県以南に生息している。ブリに似た形で、身に赤みがある。

ツムブリ (スズキ目ハタ科マハタ属)の生態

全世界の温帯域から熱帯域の表層を回遊している。
国内では青森県以南に生息している。

古くは関東では珍しい魚だったらしく魚類学の父、田中茂穂は「夏頃、東京に来る」とだけ書いている。

これが今では千葉県外房では普通にとれるし、大型も珍しいものではなくなっている。

ただし漁業的には今でも西日本に多く見られる。

ツムブリの値段は?

価は西高東低。

西日本ではそこそこ高値がつくのに対して、東京周辺の市場のプロ達のなかにも、本種のことを知らないという人は少なくない。

ということで非常に安い。

いまのところ鮮度がよくて大きくても1㎏あたり卸値1000円前後しかしない。

今回の主役3㎏級で、高くても1尾卸値3000円で買えてしまう。

「ツムブリ」の寿司…日本海のブリも裸足で逃げ出すほどのうまさ!

ある肌寒い朝、その魚を持ち込んだら、いきなり、たかさんが怒り出した。

鮮度抜群で、脂がのっていることは表面を触っただけでわかる。

「なに怒ってるわけ?」

「こんなのウチのまな板にゃー乗らねーよ。どうやって下ろすの」

「店の前で下ろそうよ」

なんだか雰囲気悪すぎる、と思ったら店の隅っこに座っていた常連さんが指で×を作っている。

「ははーん、最近若い女の子の客が来ないとか、孫とケンカしたとか」

「バカ言ってんじゃないよ」

余計に怒り出したので、市場の仲卸に行って下ろしてもらった。

『市場寿司』に帰り着くと、店内の空気はがらりと明るくなっていた。

たかさんの顔がニコニコとやたらにだらしない。

お茶を出しながら、「何にいたしましょう?」

なんとカウンターにはAKBのメンバーじゃないかと思うようなアイドル系がふたり座っている。

たかさんが聞くと、受験する大学の下見に来たのだという。

お任せ握りを出すと、さすがに女子高生は食欲も旺盛であっと言う間にたいらげた。

「これサービスですから、食べてみてね♡♡♡♡(ヤだねー、この♡)」

なんと持って来たばかりの「アレ」をいきなり出したのである。

「おいしい! マグロですか?」

魚の名前が出てこない。当たり前だ。

朝っぱらから不機嫌さをばらまくからこんなことになる。

と言うことで、AKBより可愛いかも知れない女子高生にはボクから説明する。

「これはツムブリっていう世界中の暖かい海域にいる魚だよ。英語でレインボーランナー、虹色の縦縞がきれいなんだ。鹿児島や沖縄なんかではおいしい魚として人気がある」

女子高生が帰ろうと代金を払うと、たかさんの顔が急激にしおれた。

「まあまあ、あんなに短いスカートじゃ、腰が冷えるだろうに」

「たかさん、オカミサンにツムブリを、ボクのおごりでーす」

入れ替わりにやって来た、食料品を扱って半世紀以上というオカミサンにツムブリを試食してもらう。

「これはマグロかね?」

どうやら一般の人には赤い身は総てマグロに思えるらしい。

ちなみにこの六十年前のAKBに出したのも、現役に出したのも背の部分だ。

食感はマグロの赤身のようでいながら、味は名前の通りブリに近い。

「あたしゃーブリやマグロよか、こっちが好きかも知れないね。アジに似たおいしさがあるように思う」

今回のツムブリは重さ四キロと巨大で、鹿児島から送られて来た。

背と腹ではまったく味が違う。オカミサンに腹の部分も食べてもらったら、「こんなうめーもん、初めてだよ」と大喜びしてくれた。

ツムブリは今年これで二匹目。

夏に来たのは福岡県沖で知り合いの釣り師が揚げた一キロ弱のもので、まずくはなかったが、たかさん曰く「まずくはないけど、うま味が少なくてすしダネにはイマイチ」という代物だった。

どうやら旬は秋から冬で、大きいほどうまいようだ。

腹二かん、背を二かん握ってもらったら、日本海のブリも裸足で逃げ出すほどのうまさだった。

腹の方を口に入れると、微かに表面の脂がとろける感じがするが、それ以上に噛みしめたときの濃厚なうま味が素晴らしい。

背の方は腹と比べるとあっさりしているものの、甘味とうま味、舌触り、この三つの要素のバランスがいい。

「たかさん、去年の外房のもよかったけど、こっちの方が上だね」

「あれ、去年も来たっけ?」

「今年も来たけどね。そういえばさっきどうして不機嫌だったの?」

「忘れちゃった」

大丈夫だろうか?

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。

店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。

ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。

本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。

どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。

目標は1000種類の寿司を食べること。

HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2017年1月1日号の掲載記事です。

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