激うまヤリイカ今期好乗り中!深場の大型を11㎝ダブルカンナヅノで攻略!乗り渋り時のテクニックとは!

今シーズンの石花海ヤリイカの状況

駿河湾の中央部に位置する石花海(せのうみ)のヤリイカは大型で肉厚、しかも、甘みが強くおいしい。
沼津の魚市場では高値で取引きされているブランドイカだ。
近年ではその味の評判が広まり、地元静岡県内だけでなく、神奈川や東京、埼玉、茨城からも多く釣り人がこの石花海のヤリイカを求めて釣りに来るようになった。
そのうまい味の理由は、駿河トラフという深海から沸きあがる栄養で繁殖しているサクラエビやアブラエビをたっぷりと捕食しているからだという。
今期の石花海のヤリイカの釣況はというと、まずまずだろう。
当たり年だと石花海だけでなく、石廊崎沖や波勝崎沖、御前崎沖などのヤリイカも同時に爆乗りすることがあるが、その気配はない。
昨シーズンとほぼ同じようなポイントでイカが乗っている。
シーズンは昨年9月から開幕。
一潮ごとに成長し、現在は中型のメスイカと大型のオスイカが乗っている。
トップ釣果50〜60杯は珍しくなく、この数からみてもまずまずといえよう。
ポイントは相の瀬とエボシの2ヵ所に集中。
相の瀬は数、エボシはサイズ狙いというのが近況である。
水深は160〜230mと深いのがここの特徴。
群れが濃いとゴールデンウイークころまで楽しめるという、駿河湾のイカの超一級ポイントである。
遊漁船は、各ポイントに船団を形成し、大流しするのがここの釣り方だ。
石花海ヤリイカ 基本タックルとは!?

郷に入れば郷に従えのことわざどおり、この海域には昔からタックルに特徴がある。
その代表が11㎝ダブルカンナヅノだ。
イカ釣り文化が進んでいる相模湾や南房総、外房ではヤリイカ釣りではダブルカンナヅノはあまり使わない。
どうしてか。理由は簡単だ。
シングルカンナのほうが乗りがいいからである。
なぜ、石花海ではダブルカンナヅノを使うのか!?
その理由のひとつにヤリイカのサイズが平均して大きいこととポイントの水深が深いことが挙げられる。
大型のイカはダブルカンナのほうがバラシが少ないのは歴然だ。
かつては、80ℓクーラーがパラソル級ヤリイカで常に満タンになるほど釣れたこともあり、そのときの名残もある。
しかし、依然としてここのイカは乗りがいいことが多いのでダブルカンナヅノが使われているのだ。
ツノの形状にも特徴がある。
石花海では扁平な魚型が主流になっている。
ヒラヒラとフォールす扁平なツノと重みのあるダブルカンナがうまくバランスをとり、“乗る”ツノとなっているのだ。
ツノ数は5〜7本が主流。
これに赤白の浮きスッテをコマセヅノとしてまぜるのがここの基本仕掛けとなる。
ハリスは3号ではなく4号を使用。
とにかく、大型ヤリイカが前提の仕掛けだということを理解しておこう。
竿とリールはイカ専用でオーケー。
7対3調子の中深場ロッドやビシアジ竿などを流用することも可能。
この理由は、イカの乗りはほとんどが底だから。
オモリ着底直後が勝負なので多少軟らか目の竿でもよいのである。
これらの竿を使い多点掛けした場合、バレが少なくなるからだ。
ポイントの水深は200m前後と深めであるが、使用オモリは120号がメイン。
潮の流れがまれに速いときは、150号を使用することもあるので、用意しておこう。

プラヅノは11㎝。ダイヤエースと魚型のダブルカンナツノで仕掛けを構成するコマセヅノである浮きスッテは赤白が定番

石花海で人気の仕掛けは、下田漁具の「ダイヤエース」

オモリの着底直後が勝負! 乗ったら超スロー巻きで

花海では速い動きの誘いはあまり必要ない。
なぜなら、ほとんど場合、オモリの着底直後に乗るからである。
だから、いかにこの底を意識した釣りができるかで、釣果に差が出るのだと覚えておこう。
オモリが着底したらすばやく糸フケをとる。
たいていの場合、このときに乗っている。
乗ったらすぐに巻き上げない。
超スローに巻き上げるか、少し弛ませてやる。
こうすることで追い乗りさせることが可能だ。
ここでの肝は、静かに動作を行うということ。
イカを下手に刺激してしまうとイカが逃げてしまうからだ。
タルマセの場合、下げても1mほど。
タルマセすぎるとオマツリの原因となるので注意。
スローで巻き上げるときは、手巻きでとにかくゆっくりと、
最低でも5mは巻き上げよう。
活性が高いときは10m以上スローに巻き上げてもよい。
これが、多点掛けのコツだ。とても簡単である。
着底直後乗らない場合は、誘いはゆっくりでよい。
底中心だが、誘うなら底から10m以内まで。
底中心に誘って乗らない場合は、仕掛けを一気に10m以上巻き上げて、再びオモリを着底させる、“巻き落とし”を行おう。
乗り渋り時はちょっとひと工夫 サバ対策は直結仕掛けで
大場所の石花海だって乗り渋りはある。
そんなときの対策として、相模湾などで使われるシングルカンナヅノを使用する手もある。
そして、ここでひと工夫。面倒ではあるが、ペンチなどを使って、カンナを1本ずつ内側へ曲げてやるのだ。
こうすることで、乗った後のバラシはぐっと少なくなるという。
しかも、ツノのフォールがゆっくりになるのでスレたイカも乗るようになるという。試してみてはいかがだろう。
サバは石花海でもつきもの。
今シーズンは少ないほうだが、サバがいるところにヤリイカもいる。
ダブルカンナヅノにサバがかかってしまうと、サバを外すのに一苦労。
そんなトラブルを回避してくれるのが、やはりここでも直結仕掛けだ。
必ず1セットは11㎝プラヅノの直結仕掛けを持参しておこう。
そして、今期はまだ海水温が高めだ。
一番やっかいなのはサメ。
サメが出現すると、仕掛けをオモリごとごっそり持っていかれることになる。
その対応として、仕掛けとオモリの多めの持参必須。
地球温暖化の影響か、この状況はどの海域でも問題になっているので、それなりの対策をするように。
駿河湾・石花海 超美味!ブランド大型ヤリイカ釣行レポート

ヤリイカはこの付近に集結しているので遊漁船の船団もできる

ポイントの水深は200m前後。このようなベイトの周りにイカはいる。

とにかくボトム攻略がカギ。オモリ着底直後が勝負だ

たくさのエビを捕食しているおいしいヤリイカ

野津フィッシングクラブの横浜市の曽根さんは、良型のヤリイカを順調に釣り上げていた

必ず1杯乗ったら多点掛けをして数を伸ばそう

なまめかしい姿をみせるヤリイカ。エビをたっぷりと捕食している個体もいた

これからはますます大型が期待できる時期だ。ジャンボサイズをたくさん乗せよう

このジャンボヤリイカがメイン!ボトムを意識して探ろう

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・安良里港「ふじなみ丸」
駿河湾の中央部に位置するひょうたん型の瀬を石花海(せのうみ)と呼ぶ。
ここは、駿河トラフという世界的に珍しい海溝から突出した瀬で、その深海から沸きあがる栄養豊富な沸き潮の恩恵で環境が整い、
多くのプランクトン、それを捕食する魚たちがはぐくまれている。
そんな特殊な環境ゆえに、ここで釣れるヤリイカは大型で肉厚、美味なのだ。
「今期は相の瀬とエボシの2ヵ所でヤリイカが乗ってます。多少日ムラもありますが、今期はまずまずといっていいでしょう」とは、西伊豆安良里港「ふじなみ丸」の藤井多喜男さん。
食わせサビキから深海釣りまでさまざまな釣りを得意とする船長だ。
ポイントの水深は150〜230m前後。
深場の大型ヤリイカがメインのため、ここでは昔から11㎝ダブルカンナの魚型などの扁平なプラヅノ使用が主流。
群れに当たれば、多点掛けも容易だ。
「数を稼ぐには、1回の投入でどれだけ多点掛けをさせられるかがカギ。逆に乗りがよくなく単発乗りのときは、1杯1杯確実に上げることが大事です」と藤井船長はアドバイス。
当たり年のときはゴールデンウイークごろまで釣れ続くこの石花海のヤリイカ。
今期も連日安定した釣果が記録されている。
大型メインで釣れるのもこれからだ。
以上の記事は「つり丸」2017年2月1日号の掲載記事です。
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