五目どころか、七目、八目! 寒くても賑やかに楽しめる
南房エリアではこの時季、ヤリイカや中深場釣りを看板に出す船宿が多い。
そんな中季節を問わずコマセ五目釣り一筋なのが江見港の「新栄丸」だ。
五目釣りというとサバだったりアカイサキだったり、ゲストというよりもあえて外道と呼ばれる魚達も含めてのことが多いが、ここでは違う。
周年狙えるイサキに、マダイ、ハナダイ、カイワリ、秋にはイナダやカンパチの青物、この時季だとアマダイ、ホウボウ等々
それぞれが十分にメインターゲットになる魚達で五目はおろか七目も八目も釣れちゃうのである。
イサキ50匹!アマダイ50㎝も!

目下、前半のイサキ狙いでは50匹の定数突破の日も珍しくなく、後半のアマダイでも50㎝オーバーの特大サイズも出ていると聞きクリスマスイブに釣行した。
港を出て釣り場へ向かう途中、武ノ内一浩船長から微々細々にわたる指示が出る。
ロッドキーパーの設置位置、クーラーやバケツの置き位置など釣り座周りのセッテイングから、コマセカゴの調整、釣り方に至るまで、その理由説明も含めての細かさだ。
釣り方を要約すると『コマセカゴは上穴半開で下窓は全閉で始め、指示ダナ間を二往復でコマセが若干残ってくるぐらいに調整して行く』
『下からコマセの帯が1本になるようにシャクリ、その中に仕掛けが入るイメージで』
『シャクリのスピード、ポーズ時間はその時それぞれ』
『初めはオキアミやバイオベイトを付けてやり始めても良いが、食いが立てばイサキ狙いには不要』ということだ。
細かな指示を聞きながら20分程で釣り場の和田沖定置網周りに到着した。
イサキ狙いのポイントで、指示ダナは「50mから40mくらいまで」で釣り開始となる。
このところ朝の短時間で30から40匹、時には制限匹数の50匹に達することもあると聞いていたがこの日はアタリが遠く、時折釣れるイサキも小型が多い。
「前日のシケで水温が3度近くも下がった」ことが影響しているようだ。
イサキは食い渋りも カンパチ入れ食い!
時間ほどこの場所で粘るも一向に状況が改善されないのを見て「ハナダイ、カイワリ狙いに行きましょう。仕掛けはそのままでいいですよ」で移動となる。
5分少々沖目に走った場所は「水深68m。底から10m上までシャクってください」と指示が出る。
そしてここでは一投目からガツン!とアタる。
カメラを持って駆けつけると上がったのはなんとカンパチ。
キロ級のショゴではあるが嬉しいゲストに違いは無い。
これを見て自席に戻り、ハリス3号4.5mの2本バリ仕掛けにチェンジ。
オキアミを刺して投入すると2シャクリ目でゴン!と来た。
グイグイ! ギュンギュン! の引きを存分に楽しみ抜き上げたのは1.2㎏級のカンパチだった。
カンパチは一時入れ食いになりダブル、トリプルで釣る人もいて大賑わい。
ひと波去った後もポツンポツンと食いは続いたが、イサキへのこだわりだろう「このタイミングで行かないと…」と、船長は悩みながらも朝一の定置網周りへの移動を告げる。
そして今度は「若干水温が上がった」のが効いたか、イサキも口を使うようになっていた。
本来の食いっぷりからはほど遠いが、良型のイサキの顔を見てホッとする。
イサキのお土産を確保すると、この時期イサキと並んで五目釣りの主役であるアマダイ狙いへと移動した。
渋い日に当たったが 翌日からは復調!
「アマダイ専門の仕掛けで底を狙ってもいいけど、それだとあまりいいゲストはまじらないし、キダイなんかも小さいのが多くなります。イサキと同じ仕掛けで、底から5~7m上まで誘いシャクった方が色んな魚が釣れるし型も良いから面白いと思いますよ。それでアマダイも釣れますから」と、船長はここでもコマセシャクリを推奨する。
しかし私はあえてアマダイ仕掛けで狙った。
江見沖の特大アマダイをどうしても拝みたかったからで、執拗に底を叩き、誘いをかけ続けたが残念ながらこの日は留守のようだった。
それでも良型のホウボウや、個人的塩焼きランキングベスト3に入るカイワリも釣れたから良しとしよう。
船長の言いつけ通り?コマセシャクリで狙っていた人達にはホウボウのダブル、トリプル、ハナダイやキダイも交じってクーラーの賑やかさを増していた。
この日は悪条件下でイサキの食いがイマイチだったが、翌日以降は持ち直しいつも通りの「らしい」釣果に戻っている。
「ウチは五目ですから、色んな仕掛けを試すのもいいし、色んな釣り方、楽しみ方で、色んな魚を釣ってって下さい」と船長。
年明け以降も賑やかな楽しい釣りが出来そうだ。
南房・江見沖の五目釣り釣行レポート

カンパチの強烈な引きを堪能!マダイやアマダイなども大型の期待も十分だ

南房・江見沖のコマセ五目がおもしろい。イサキなど厳寒期でも元気な魚がいっぱいで楽しめるぞ!

この日は前日のシケで水温が下がり、イサキの食いはいまひとつだったが、普段ならトップ50匹も珍しくない

カンパチが入れ食いに!

ここでは青物のまじりも珍しくない

ホウボウもおいしい高級魚

マハタもまじった

今回、取材にご協力いただいたのは、千葉・江見港「新栄丸」
南房江見沖は昔からコマセシャクリ釣りが盛んだ。
なかでも「新栄丸」はこの釣り一筋の入れ込みよう。
釣り方は一筋だが獲物は多彩。
イサキを周年のメインターゲットに、この時季ならハナダイやカイワリ、80m前後の深場でアマダイ、キダイなどの豪華ゲストがまじり、取材日にはカンパチ、ホウボウの入れ食いシーンもあって、五目どころか七目、八目釣りが楽しめた。
アタリや引き方で「これはイサキかな?」「ちょっと強いぞこれは青物だな」と獲物を想像するのも楽しい。
ベテランなら魚種ごとに釣り方、仕掛けにこだわる奥深さもあるが、基本はコマセシャクリ釣りで竿を上下しながら指示ダナ間を探るだけ、仕掛けも船宿仕掛けのカラーバリでOKだ(というかこれが一番食う)。
多少シャクリがぎこちなくても江見沖の魚達は優しいから問題なく食って来る。
厳寒期にアタリが少ない釣りは辛いもの。
江見沖のコマセ五目は、今の季節も存分に楽しめるはず。
以上の記事は「つり丸」2017年2月1日号の掲載記事です。
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