寒くても好調!東京湾の元気者 これからロングランで楽しめる
イシモチは本州以南に広く分布している魚だが、船釣りで専門に狙うところは意外と少なく、東京湾、瀬戸内海の一部くらいだ。
軟調ロッドに30号オモリで狙う船からのイシモチ釣りは、魚の引きをダイレクトに楽しめることもあり、根強いファンのいる釣り物でもある。
数釣りできて 食べてもおいしい

金沢八景の「小柴丸」は、盛夏の一時期を除き、周年イシモチ乗合を出船している。
鈴木仁船長はイシモチの釣り方だけでなく、食べ方への造形が深いことで有名で、「小柴丸」のウエブサイトで様々な料理を紹介している。
特に「眠りグチ」なる熟成させた魚の食べ方がいかにも美味しそうで、今回はそれを試してみようと船宿へと向かった。
2月9日、前々日まで吹いていた強風は止み、海がすっかり静かさを取り戻した日曜日だ。
こんな凪の日は釣果も良いことは確実だろう。
この日は友人の鈴木さん一家が応援に駆けつけてくれて、ちびっ子がはしゃぐ賑やかな船上となった。
状況を船長に尋ねると、昨日は頭で50匹の好模様という、今日もきっと釣れるだろう。
東京湾のイシモチポイントは横浜沖、八景沖、猿島沖と広範囲に渡るが、この日選ばれたのは猿島沖。
冬場になると越冬イシモチの群れが固まる場所だ。
水深は40m前後とやや深め。
下げ潮がトロトロ流れていて条件は良さそうだ。
エサのアオイソメを1匹掛けにして胴付き2本バリの仕掛けを海底まで落とす。
オモリを底からわずかに浮かせるように保ってアタリを待つ。
群れが濃いときはほどなくアタリがあるが、なかなかアタリが来ない時間帯は置き竿にしてのんびり待つのもOKだ。
さっそく竿を曲げたのはトモの啓太郎くん。
両親とよく船に乗るだけあって、エサ付けから取り込みまで全部自分でやる小学校2年生。
イシモチ船中1号は25㎝ほどの中型だった。
群れは濃いようで、船上あちこちで竿が曲がり始めた。
幼稚園年長の萌々子ちゃんもお父さんと一緒に竿を抱え、リールを巻きながらイシモチをゲット!
アタリの回数が多いこと、アタリが明確でわかりやすいことは子どもが釣りを楽しめる条件だろう。
そして、アタリの全部はハリ掛かりせずに適度にバレてしまうところも、釣る気に火を付ける要因になる。
そして、大型イシモチの強い引きは、子どもも大人も夢中になる楽しさだ。
釣ったイシモチは すぐに血抜きを!

血抜きするとしないとでは味が大きく変わってくる。必ず血抜きして持ち帰ろう
釣ったイシモチはすぐに血抜きする。
のどもとに心臓があるので、そこにハサミで切れ目を入れてからバケツに泳がす。
魚がエラを動かすたびに血が滲み出てくれば血抜きは成功、海水と氷を入れたクーラーに仕舞おう。
写真も撮れたので私も竿を出す。
愛用のナイロン糸巻きリールはさすがに冬場だとオモリが底に着く感触がつかみにくいが、ハリ掛かりの良さは抜群だ。
感度とハリ掛かりの良さを両立させるには、PE1~2号に、ナイロン先糸を10mほど結んでおけばいいだろう。
朝のうちは23㎝程の小型もまじったが、場所移動を繰り返すと、大型ばかりアタるようになってきた。
細い竿にゴンゴン!という魚の引きが伝わってくる。
30㎝を越える大型イシモチの登場に、ちびっ子の歓声が上がる。
この日はとりわけイシモチの型が大きい、20匹も釣ったところで11リットルクーラーはほぼいっぱいになってしまった。
イシモチ(シログチ)によく似た「ニベ」もたまにまじってきた。
他には、シロギス、アジ、ホウボウ、カサゴ、トラギスなど、いろんな魚が釣れて沖揚がり。
イシモチの釣果は20~43匹で、大型多数で全員のクーラーはずっしりと重い。
まだまだシーズンは続く「眠りグチ」もお試しを
東京湾のイシモチ釣りの好シーズンはまだまだ続く、3月の低水温期を越えると徐々に浅場に集まり出し、夏の高水温期まで楽しめる。
その時期の潮具合によって、大型中心の釣りになったり、中小型まじりの数釣りになったりするが、安定感では他魚に比べて飛び抜けているのがイシモチだ。
沖釣り入門にも最適なので、子どもに釣りを教えたり、初めて釣りをする人への手ほどきなどにお勧めしたい。
さて、この日のお目当て、「眠りグチ」の味だが、当日のうちに三枚におろし、皮を引いてキッチンペーパーに包んでからラッピングしておく。
当日の刺身は食べなれた美味しさ、しゃっきりとした歯ごたえで脂たっぷりの白身だ。
それが2日、3日と経つと徐々に甘み(旨味)が増えてくる。
なるほどこれは面白い、かけた手間が報われる美味だと思う、お試しあれ。
子供達も楽しめる!東京湾イシモチ釣行レポート

子供たちでも楽しめるカンタンな釣りだが、ベテランも夢中になる奥深さもある釣りだ

お手軽に、強い引きと数釣りが楽しめる東京湾のイシモチ。寒い今でも元気いっぱいだ!

ファミリーフィッシングにも最適。家族で釣って食べて「食育」にもおすすめ

2点掛けもしばしば。こんな感じで釣れるから子供たちも夢中になってしまう

こちらも2点掛け。重量感バツグン

キスは常連ゲスト

カサゴやホウボウなど、おいしいゲストも連発

アジもよくまじる

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・金沢八景「小柴丸」
東京湾のイシモチが好期に入った。
越冬のために深場に落ちたイシモチが活発な食いをみせている。
手軽な道具で狙えることから、小さな子どもにも楽しめる反面、アタリから食い込ませるまでのタイミングの取り方は独特のコツがありベテランでも楽しめる。
釣り開始からアタリは多く、アタリがきた!食った!の歓声がちびっ子釣り師達から発せられ、イシモチは好調に釣れ続いた。
特にこの日は型がよく、30㎝オーバーの良型が活発にアタリを送ってくる。
ハリ掛かりするとゴンゴン!と強烈な引きで軟調竿の先が海面に突っ込み、抜き上げられた銀色に輝く魚体は見事なサイズが揃っている。
派手なアタリでエサを食い逃げされることもしばしばだが、それでもエサを付け替えるとすぐにアタリがあり、クーラーは埋まっていった。
「小柴丸」の舵を握るのは鈴木仁船長、ほぼ一年中イシモチを追うスペシャリストだ。
鈴木船長が広めたイシモチの血抜きは今や東京湾では常識となっている。
イシモチの刺身は乳白色で脂の乗りも抜群、釣り人だからこそ味わえる贅沢なのでぜひ味わって欲しい。
イシモチはこれから春先までが落ちの時期、大型狙いも有望だ。
早春の穏やかな海に浮かんで、小さな大物の引きを楽しもう。
以上の記事は「つり丸」2017年3月1日号の掲載記事です。
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