新たなブームの到来か 満を持して2シーズン目へ
現在、外房から茨城エリア全域にかけては、マダイ釣りといえばひとつテンヤが当たり前になっている。
一方、東京湾ではまだ馴染みは薄く狙う船も少ないが、着実に成果とファンを増やしている。
「ウチが始めて2シーズン目に入りました。『野毛屋』さんがずっとやっていていろいろ教えてもらって始めましたが、釣果もしっかりと出てお客さんも定着しました」と、金沢八景「弁天屋」の本田和芳船長は言う。
従来はシーズン中はコマセマダイで出船していたが、ファンの減少により船長が出した答えが「ひとつテンヤ&タイラバ」への転換だ。
「最初はこれで釣れるのかな、という人が多かったみたいだけど、近場で大型が釣れるのを見てハマるひとが増えています」
実際、厳冬期の今も4㎏、5㎏オーバーといった大型が連発していてちょっとしたお祭り状態になっているのだ。
「沖に16度台の潮が入ってきていて、この時期でも食っていますね。ポイントの水温は12度ぐらいですが、あたたかい潮が入ってきているのでマダイが春が来たと勘違いしているのかもしれません」
実際、2月中旬の出船日は乗っ込みシーズンの到来を思わせるような釣れっぷりに、今シーズンの本番への期待は高まるばかりだ。
狙うポイントは鴨居~観音崎沖よりも湾の内側。
「この周辺のポイントは沖のあたたかい潮と湾内から出てくる冷たい潮がぶつかって潮目ができます。ここでプランクトンが発生してエサが豊富なんです。さらに、海底にはタコ、イカ、エビ、カニなどが豊富で、これらのエサを食べているマダイは本当に脂が乗っておいしいですよ」
実際に釣れるマダイは丸みを帯びたものばかりで、通常脂の乗りがあまりよくない大ダイクラスでも十分な脂を蓄えているという。
「昔、鴨居のマダイが献上ダイだったというのがわかります。それだけ魚の味が違います。本当にうまいですよ」。
航程20分程度の近場で想像以上の大型魚が、さらに極上の味を味わえるとあってファンは急上昇中だ。
「最近、大型はタイラバに実績があるのでタイラバの人のほうが多いですが、テンヤでもチャンスですよ」
ちなみにこの1年余りでの最大魚は7㎏。ビギナーだったという。
「コマセ釣りで7㎏はなかなか難しいですが、この釣りでは思った以上に上げられます。誰にでも大型のチャンスがありますよ」
ポイントは第二海堡の沖周辺がメイン。
水深は40~70mほど。一番深くて85mほどだ。
東京湾で思った以上にテンヤマダイが普及しなかった理由は速い潮だ。
このため、他エリアに比べて重たい仕掛けを使うのが特徴だ。

テンヤは15号以上 タイラバは90g標準

ひとつテンヤのタックルは、いわゆる通常のテンヤ用スピニングタックルでいいが、使うテンヤはつねに15~20号。
このためやや硬い竿をすすめている。
タイラバ用はベイトタックルを。
竿は食い込み重視で少し軟らかめがいいだろう。
水深は現在40~60mほどなので手巻きでいいが、楽をしたい人は小型電動を使用するのもいいだろう。
「初心者には小型電動をすすめています。タイラバは巻いている最中にアタリがあるので、慣れないとビックリしてアワせてしまいます。それだとうまくフッキングできません。電動ならそのまま巻いていきフッキングさせやすいのです」
こう話すのは、この釣りに詳しいダイワフィールドテスターの北本茂照さんだ。
続いて仕掛け。
●テンヤ…テンヤは15~20号を使用する。
ヒラヒラと落ちていくテンヤ形状のものよりも、素早く落ちるカブラ形状のものがおすすめだ。
「自分でも竿を出しますが、自作テンヤでやっています。やはり潮の抵抗を受けにくい丸いオモリの自作テンヤを使っています」と本田船長。
●タイラバ…タイラバは75~100g程度。
現在の水深50m前後のポイントでは90gを推奨している。
タイプは掛かりのいい遊動式がおすすめだ。
「カラーは赤、オレンジ、ピンクが定番です。これにグリーンとゴールドがあれば安心です」と船長は言う。

タイラバは75〜90gメインで。カラーは赤、ピンク、オレンジ系が高実績

テンヤ、カブラは15〜20号を使用/船長は自作仕掛け。「潮が速いので落下が速いものがいいですよ」

テンヤにこだわって狙うのもいい
誰でもチャンスあり 基本的な釣り方でOK

●テンヤ
テンヤは軽くキャストして仕掛けを沈めていく。
「これからマダイが浮くのでフォール中も注意していてください。でかいのは特にここで食いますよ」と船長。
着底したら1mほど上げてアタリを待つのが基本になる。
「しばらくアタリがなければ、ロッドの長さ分上げて、ゆっくりと落とし込んでいく誘いが有効です」とは北本さん。
いずれの場合もアタリがあったら素早く大きなアワセを入れる。
魚の大きさを判断してやり取りしよう。
上げ潮、潮止まり、下げ潮と一日のうちでも変化が大きい東京湾。
これから春の潮はさらにそれが顕著になる。
15号を使っていて底が取りづらいようなときは重くしていく。
また、底を取り直そうとして仕掛けが流れていってしまう場合は、一度仕掛けをすべて巻き上げて、再度投入しなおそう。
タナボケを防止することができる。
●タイラバ
タイラバは素早く海底に仕掛けを落としたら、2秒前後で1回転ぐらいのゆっくりめのスピードで20mほどまで巻いてくるのが基本だ。
リールによって巻き取り長さが変わってくるし、スピードは微調整しよう。
「常連さんの中には普通の人の倍以上のスピードで巻いて実績をあげている人がいますよ」と船長が言えば、その常連さんは船中2番目の大きさの4㎏をあげた。ゆっくりめはあくまで基本ということだ。
アタリは激しい衝撃のときもあれば、コンコンとつつくような小さいアタリのときもある。
いずれの場合も、ビックリしてアワセを入れるのはNGだ。
「タイラバの一番難しいところはアタリがあってからです。最初のアタリがあったらペースを乱さずに巻き続けます。ここでさらにしっかりと食い込むのを待ちます。激しい引き込みがあったら始めてアワせます」と北本さんは解説する。
アタリがあってからさらに逃げていくエサをしっかりと食い込ませるイメージで巻き続けることが重要だ。
フッキングしたら一定のペースで巻き上げる。
ポンピングはバラシの原因になるので、竿を立て気味にして一定のペースで巻く。
強い引き込みはドラグや竿を下げてかわしてやろう。
「しばらくは潮周りで出船日を決めているのでHPで確認してください」
東京湾・第二海堡沖 テンヤ&タイラバ釣行レポート

ポイントは第二海堡周辺の水深40〜60mほど。潮がぶつかりプランクトンやエサが豊富なのだという

大型にはタイラバに軍配がある

最初にやってきたのは4.5kgの大ダイ。タイラバに食ってきた。この日はほとんどの人がタイラバで狙った

こちらは4kg。早巻きのタイラバで大型を掛けるのが得意なんだとか

北本茂照プロもラスト近くに良型ヒットー!

ラスト1時間ほどは船長はタモ入れに大忙し

タイラバには2.5㎏の美しいメスダイ。船長の言うとおりのお味でした!

こちらはひとつテンヤで食わせたヒラメ

ラストには2.5kg 前後が連発した。このサイズなら1 枚で大満足だ

「どうしてもテンヤで釣りたくて、テンヤで通しました!」

小型はほとんどまじらず小さくてもキロ前後あった

5kg クラスのワラサも

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・金沢八景「弁天屋」
東京湾のテンヤ&タイラバがこんなに釣れているのをご存知だろうか?筆者でさえここまでとは!とそのポテンシャルの高さにはただただ驚かされるのだった。
「今は一年で一番水温が低い時期。言わば底だよね。それでこれだけ釣れるんだから」と、金沢八景「弁天屋」の本田和芳船長は言う。
「弁天屋」ではひとつテンヤ、タイラバどちらで狙ってもいいが、このところ大型にはタイラバに軍配があるという。
開始から1時間あまりは沈黙が続くが、4.5㎏を皮切りに良型が連発。
日中の潮止まり後はしばらく静かな時間が続いたが、潮が効きだすと再び活発化。
4.5㎏、4㎏以下は2〜2.5㎏サイズが多く小型はほとんどまじらず。
「ここでこんなマダイが釣れるんだ、と驚く人も多いですね。でも、みなさんここのマダイの味に驚きますよ。とにかく脂が乗ってうまいんです」
いろんなことに驚かされるぞ!
以上の記事は「つり丸」2017年3月15日号の掲載記事です
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唇が厚く歯がしっかりとしているのがこのエリアのマダイの特徴だ。4.5kgが吐き出したのは小型のタコ。タコ、イカ、エビなどを捕食しているため抜群にうまくなるという