ディープジギングの速潮時の対応策とは?

疲れてカンタンではない。それでも、やめられない!
一枚キャッチできればホッと胸をなでおろす。
カンタンではないのは百も承知。
体力的にもしんどい。
それでも、やめられない!そんなファンを惹きつけているのが新島沖のキンメゲームだ。
最大の魅力は、深場から貴重な一枚を引き寄せてくる達成感だろう。
しかも新島沖のキンメは型揃い。
3㎏サイズの可能性は常にあり、加えて他を圧倒するほどの食味の良さ!船上のだれかれに聞いても、「新島沖のキンメを食べたらほかのところのでは満足できない」と褒めたたえる。
さまざまな釣りの経験が豊富なアングラーが船上に多いのも、新島沖のキンメゲームの特徴のひとつかも知れない。
基本的には周年楽しめる釣りだ。
この釣りを得意とする弓ヶ浜「惠丸」でも、周年対応可能だ。
しかし、夏場は速潮となることが多く、釣りが成立しないほどの状況も珍しくはない。
実質的なオフシーズンと考えてもよいだろう。
9月下旬の実釣取材でも、黒潮の影響だろうか、速い潮流に見舞われた。
300mちょっとの水深から始まったが、なんとか釣りになったのは最初の2投まで。
実際に魚からの反応があったのもこの2投までで、あとは底が取れるのが最初の投入か2回目くらいまで、というくらい厳しい状況となってしまった。
新島沖では300~500m程度 速潮&悪潮攻略の工夫を紹介
釣りが成立しない、というほどの速潮、複雑な潮流の場合は、アングラーサイドでは打つ手がない。
もちろん船長としてもお手上げに近いこともある。
しかし、速い潮、悪い潮でも努力次第ではヒットの可能性をアップすることができることもある。
以降、そんな速潮&悪潮攻略の工夫を紹介していこう。
まず基本的な考え方として可能な限り糸フケを出さない、ということが挙げられる。
新島沖では300~500m程度を攻めることが多い。
二枚、三枚の潮は普通だ。
この水深を前提にした場合、潮の流れがどのようであろうとも、可能な限り糸フケを出さずに着底させることは、重要な基本事項だ。
そのため、二枚、三枚潮の状況に応じて適度にサミングも活用しながらジグを落とし、着底を感じたら10~20m程度ただ巻きする。
潮の流れが速ければ、なるべく長く巻き、落とし直す回数も多くする。
基本動作のひとつだ。
釣りが成立しづらい、そんな状況の一歩手前の工夫としては、着底するまでにいったんジグを止めてラインを張るという動作を2~3回繰り返してもよい。
ただ、途中止めておくだけはジグがフケ上がってしまい、流されるだけの状況もある。
ここはケースバイケースで考えたい。
ジグを重し沈みの速い、抵抗の少ない形状のジグを選択

ジグは500~800gがメインウエイト。変化する状況に対応するため、ロストへの予備のため、最低でも10本は用意したい
タックル面でできることは、まずジグを重くすることだ。
深海のボトム周辺を釣るキンメゲームといえど、やはりできるだけ軽いジグのほうがヒット率は高い。
底を取れる範囲でなるべく軽いジグを使うのがセオリーだが、速潮、悪潮の場合は底を取ることが最優先されるケースも多い。
現在、一般的には500gから800g程度がメインウエイトとなっており、速潮対策として900g、1100gといったヘビーウエイトを持参しているアングラーもいる。
しかし、現状ではこれ以上のヘビーウエイトジグは、体力的にもタックルバランス的にも使い切れない状況にある。
限界、というわけだ。
もちろん重さだけでなく、沈みの速い、抵抗の少ない形状のジグをセレクトするのも一手だ。
一般的には棒状の、細身のジグ、リア側に重心を設定しているジグがスピードフォールに向いている。
ウエイトアップとともに考えておきたい要素のひとつだ。
メインラインを細くする、というのも有効な手段。現在の新島沖ではファイヤーラインや低伸度PEラインの2号が標準と思われる。
これを1.7号、1.5号と落としていくわけだ。
ベイトタックルを使うのが一般的なので、あらかじめ異なるラインを巻き込んだリールの予備を用意しておく必要があるが、ラインを細くすることの効果は極めて大きい。
底取りが速く、確実になるわけではないが、根掛かりを避けられるようフックポイントをネムらせておくのもいい。
潮が速くなると、どうしても気付かないうちにラインが潮に取られ、ジグで底を引きづってしまいがち。
当然、根掛かりも増えてくる。
ジグの消耗を避けるため、キンメに少しでも近づくためにも試してもらいたい防御策だ。
以上、今回は速い潮流&複雑な潮流のみにフォーカスして、いくつかの対応策を紹介した。
可能な限り糸フケを出さない、ジグのウエイトや形状を変更する、ラインを細くする、といった限られた手段を試すだけでも効果はある。
ぜひ参考にしていただきたい。

メインラインは1.5号~2号。たっぷり巻き込んでおきたい
新島沖 深海激うま トロキンメゲーム釣行レポート

片舷に並んで釣るのが基本スタイル。季節によって時間は多少異なるが、午前中主体の釣りだ

ミヨシから順番に投入するのは深場の釣りの鉄則。移動時に準備を整えておくのが大切

大きくシャクったほうがいいのか、小さくシャクったほうがいいのか。キンメは意外とセレクティブ

取材日の3日後は速潮にも関わらず、キンメは好調。ひとつのジグに2匹ということも!

同じアングラーばかりにヒットが集中。誘い動作のちょっとした差で釣果が異なるのだ。だからキンメゲームは面白い

常に3kgクラスのキンメの可能性があるこのジギング。大型キンメの味をたっぷりと満喫してほしい

やけに重いけどキンメかなあ、と疑問を持ちながらのファイトだった

まだ潮が緩んでいた最初の投入でキャッチした、ナイスサイズのクロムツ。嬉しい定番ゲストだ。

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・弓ヶ浜「惠丸」
アングラーの情熱と船長のサポート、そしてタックルの目覚ましい進化が切り拓いてきた深海域のジギングゲーム。
スローピッチジャークを基本としたキンメゲームも、着実にファンを増やしている釣りのひとつだ。
「ほとんど外すことはなくなってきたよ。ただ、釣果が偏りがちで、全員に釣ってもらうのは、まだ難しいときが多いかな」とは弓ヶ浜の人気船「惠丸」の良川福一船長。
9月に入っての釣果は十分。ならば、と下旬に実釣取材を敢行した。
取材日は東寄りの風が強めではあったが、釣り自体には支障なし。
各地の釣り場で知り合った仲間同士、というグループでのチャーター出船。
和気あいあいのスタートとなった。
一投目から反応あり。
重い、重いと言いながら水深300m強から巻き上げてきたのは良型のクロムツ。
幸先のいいスタートに、二投目も気合十分。
姿見ずのバラシもあったが、魚の気配は十分。
しかし、さあ、これからという三投目から潮がカッ飛び、ヨレてしまった。
最新機器を駆使する僚船の情報では海底で4ノット!以降はなんとなくボトムを取る?
ふわふわした釣りとなりストップフィッシングとなった。
取材日はキンメの姿見ずで終わってしまったが、以降は順調にキャッチされている。
速い潮に臆することなく、ぜひトライをおすすめする。
以上の記事は「つり丸」2019年11月1日号の掲載記事です
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ポイントは新島沖。連日多くの釣り船でにぎわっている