手軽ながら奥が深いシロギス釣りを楽しんだ!! 水温が上昇すれば数釣りが期待できる!
アンダーハンドで20mほど投げ、着底後に誘ってくるとツンツン、とキス竿の穂先がアタリを伝えてきた。
聞きアワセを入れた瞬間、ジジッとドラグが一瞬滑り、キュンキュンと小気味良い手応えが伝わってくる。
姿を見せたのは20㎝級の良型、パールピンクの魚体が手の中で躍動した。
木更津沖でポツリ ポツリとアタる

春間近でも肌寒さが残る2月25日、江戸時代より屋形船と釣船を併営する老舗、深川「冨士見」を訪れた。
最寄り駅まで迎えに来てもらい、船宿で挨拶を済ませ、7時30分に出船。
屋形船が並ぶ運河と水門を抜け、1時間ほどかけて木更津沖へ走った。
当日は常連中心に6名だが、うち2名が和竿を使用していた。
使用オモリは15号で、テンビン仕掛け、胴付き仕掛けと各自が思い思いの仕掛けで楽しんでいるようだ。
ひと流し目で右舷ミヨシの方が型を見た。
しかし、この日は水温が10度と低いため、船中あちこちで入れ食いという状況とは異なり、ポツリ、ポツリと出るアタリを拾っていく状況だ。
「あっ、食べられちゃった」
「パックンチョ(イトヒキハゼ)か?」というやり取りが船内を行き来する。
テンビンで投げても、胴付きで船下を狙っても、アタリの数は同じようだ。
型は20㎝前後の良型が多い。
数を釣るコツを教えてもらった

人数に余裕があるためか、気さくな登藤晃弘船長が舵を握り、漁師のような風貌の斉藤正雄船長が左舷胴の間で竿を出し、次から次へと掛けていく。
キャスト、誘い、手返しと、その動作全てに無駄がない。
アタリが少ないと「魚がいるのか?」と、不安になるかも知れないが、凄腕の斉藤船長がキス釣りのコツを教えてくれた。
「テンビンならオモリで底を小突き、仕掛けの長さだけ動かす。今の仕掛けは長いから1尺は動かした方がいい。
何度も経験がある人より、初めてやる人の方がたくさん釣れることもある。胴付きなら張ったり緩めたりする感じでいいよ」
「シロギス仕掛け=テンビン」のイメージがあったが、仕掛けに合った誘い方を間違えないことが大切だ。
「エサは頭を取らず、細いイソメを5㎝くらい付ける。常に新しいエサを使うのもいいが、一度魚が食ったエサは吸い込みやすくなり、アタリが続くのでそのまま使える。太いイソメを丸ごと付けるのは良くない。短いとアタリが遠くなる」と、エサのアオイソメを毎回、新鮮なものに交換するだけでなく、「吸い込みを良くする」という視点も興味深い。
確かに頭があればエサ持ちは良い。
「アタリが来たら送り込むことはない。キスはハゼと違い、歯がないので飲まれても大丈夫。今は水深が20mなので投げなくても釣れるが、魚がいる所を探るのがコツ。キスやハゼは数を釣るのが技術だと思うよ」
確かに斉藤船長は魚のいる場所を探り当てるや、連続して掛けていた。
この時期は魚が固まっている場所を見つけることが重要だ。
他船の姿も見えたが、かなり距離をとり、広く探るように流している。
次第に気温が上がり、大型船が航路を通る以外は波も穏やかだ。
魚は浅場へ移動中で、群れがまばらな状況だが、シロギス釣りの腕を磨くには最適だ。
左舷大ドモでは2回ほど大きなアタリがあった。
斉藤船長曰く「マコガレイもいる」というが、姿を見せたのはホシザメだった…。
筆者も竿を出して楽しんだ 今後は浅場で数釣れるようになる
ひととおり写真が撮れたので、私も釣るべく竿を手に取った。
アンダーハンドで軽く投げ、そっと仕掛けを引いて探る。
かつて体験した夏場の盤洲と異なり、散らばる魚の前にエサを通し、アタリを出す釣り方だ。
何度か投げ、仕掛けが船下まで寄ると、ツンツンと明確なアタリが来た。
聞きアワセを入れた瞬間、ドラグが鳴って心地よい手応えが伝わってくる。20㎝近い良型だ。
最初の1匹を手にするや、思わず次の魚を狙ってキャストを繰り返す。
最新のキス竿は低水温時のアタリも的確に伝えてくれた。
食っているかどうか首を傾げるアタリは1回だけで、逆にハリを二本食べていたのが1回あった。
魚はいずれも型が良く、釣り応えは十分だ。
アタリが少ないと見るや、すぐさま登藤船長が潮回りする。
新しい場所へ仕掛けを入れる機会が続き、終日船内でアタリが途切れることはなかった。
イシモチも姿を見せた。
エサが短すぎると魚の目に止まらないようだが、即アワセを入れたらスッポ抜けたこともあり、やや遅めのアワセ
が確実だった。
右舷大ドモで和竿を使っている方は、魚が固まっている場所を探り当てたのか、あっという間に良型を3連発した。
気づけば13時50分。
「あと10分で仕舞います」と登藤船長が宣言した。
私も3連発した方の誘い方を真似ると、1匹追加でき、さらにもう1匹の良型を取り込んで納竿となった。
この日の釣果はアタリが少なかったというが、14〜23㎝のシロギスが15〜39匹。20㎝級の良型が3分の2を占めている。
帰港後、登藤船長に話を聞くと、今後、水温が上がれば釣り場も浅くなり、さらに数釣れるようになるという。
さあ、春の到来とともに沖に出て、シロギスの上品な引きを堪能してみよう。

仕掛けはテンビン式でも胴付き式でもOK

エサのアオイソメは、細いものを選び、頭を付けたまま5cmぐらいにカットしてハリに刺す
浅場で数釣り!東京湾のシロギス釣行レポート

広く探って、魚のいる場所を探り当てるのも大事

これから水温が高くなれば、釣れる水深が浅くなって、さらなる数釣りが楽しめる東京湾のシロギス

浅場で数釣りができるチャンス

ベテランは着実にアタりを出して、掛けていった

アタリの数は盛期より控えめながらも、大半が良型だ。

スゴ腕の斉藤正雄船長は次々と掛けていった!

手軽だけど奥が深い!

ゲストにはイシモチがまじった

「水温が15度くらいに上がれば水深15mほどの富津沖などで数が釣れ始めますよ」と登藤晃弘船長

今回、取材にご協力いただいたのは、深川「冨士見」
東京湾の春はシロギスも見逃せない。深川の老舗船宿「富士見」では連日出船しているが、アタリの数は盛期より控えめながらも、食ってくるキスは大半が良型だ。
仕掛けはテンビンでも胴付きでもいい。
斉藤正雄船長によれば、エサは細めのアオイソメを使い、頭を付けたまま5㎝程度の長さでハリに刺し、1匹釣っても使い続けるのがコツという。
常人の三倍くらいのペースで釣っていく、凄腕船長に教わる価値は大きい。
舵を握る登藤晃弘船長に状況を聞いてみると「最近は水深20mくらいの木更津沖や中ノ瀬を中心に攻めている。
今日は水温が10度だったが、15度くらいに上がれば水深15mほどの富津沖などで数が釣れ始めます」
水温が低いため、アタリは小さいと聞いていた。
しかし、筆者が取材の合間に竿を出してみたところ、一気に食い込む勢いは少ないが、明確なアタリが伝わってきた。
料理方法は塩焼き、テンプラ、刺身以外に身が厚いのでフライにしてもいい。
この時期はシャブシャブもいける。
江戸時代から庶民に親しまれてきたシロギス。
手軽に楽しめる一方で、予想以上に奥深い釣りだ。
取材時は腕の差が出る状況だったが、水温の上昇とともに浅場で数釣りができるチャンスの到来だ!
以上の記事は「つり丸」2017年4月1日号の掲載記事です
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当日は木更津沖の水深20 m前後を狙った