待望の乗っ込み突入 大型ヒットの確率が高まる

関東から東海エリアにおけるコマセマダイでは、これから乗っ込み本番を迎える釣り場が多い。
内房・富浦沖や駿河湾の御前崎沖では、4月前半の時点ですでに乗っ込みに突入している模様だ。
5月中旬頃には、多くの釣り場が乗っ込みに突入しているだろう。
乗っ込みを簡単に説明すると、産卵を控えたマダイたちが産卵前に集結すること。
ある程度成長した個体でないと、産卵行動をとらないので、乗っ込み期にはサイズのいいマダイがヒットしやすいのが特徴。
1〜3㎏の中型マダイの数釣りもあれば、突然超大型マダイが掛かることもあるのだ。
そんな夢のシーズンが春の乗っ込みなのだ。
乗っ込み期は、比較的水深が浅い場所(一部では水深80〜100mの場所で釣れ盛ることもある)にマダイが集結するので、釣りやすいのも特徴だ。
とにかくコマセマダイでは、一年のなかで最も熱いシーズンなので、このチャンスを逃さないようにしよう!

まず基本を押さえることが重要だ

乗っ込み期は、大型マダイのヒット率が高くなる
竿は胴調子 長さは2〜3 .6 m
コマセマダイの竿は、専用ロッドが各メーカーから発売されているので、それを使うのがベストだ。
たいてい使用オモリは80〜100号なので、それに対応したものをセレクトしよう。
専用竿の多くは、2.7〜3.6mの長さが用意されている。
竿を手に持って狙う人、ウネリがない凪の海で狙う場合は2.7〜3mが扱いやすいだろう。
3.3〜3.6mは、海がシケてウネリがあるとき、または置き竿で狙う場合にオススメだ。
手持ち、置き竿のどちらにも対応しやすいのが3mという長さ。
これから竿を買おうというなら、3mがオススメだ。
専用竿以外には、30〜50号負荷の胴調子竿も流用可能だ。
長さは専用竿と同じく、2.7〜3.6mが一般的だ。
また近年では、2〜2.4mの胴調子ショートロッドを使用する人もいる。
こちらは、とにかく手持ちで誘って食わせたいという人にオススメ。
ショートロッドでのやり取りはスリリング。
ロングロッドよりも引きが強く感じられるので、引きを楽しみたいという人にもオススメ。
ただし、大型が掛かったときは、慣れないと対応しづらいので、中級者向けだ。

永井名人が使用するのは全長3mの専用竿

近年では、2m前後のショートロッドで楽しむ人も見られる!
リールはドラグ性能がいい物をセレクトしよう!

高性能ドラグを搭載した小型電動リールがオススメ
リールは小型電動、または手巻きの中型両軸。
手返しという点からすると、電動リールの使用がオススメだ。
コマセマダイでは、3〜4号のハリスがおもに使われる。
この太さのハリスでは、2〜3㎏のマダイでも引っ張りあうと簡単に切れてしまう。
そのため魚が引いたら、糸を出さないとサイズのいいマダイは取り込めない。
時には3号ハリスで10㎏ちかいサイズとやり取りをすることもあるので、ドラグ性能のいいリールを使用したい。
ドラグ性能が悪く、スムーズに糸が出ないと、せっかく掛かった大物も取り込めなくなってしまう。
とくに乗っ込み期は大型ヒットの確率が高まるので、チャンスをモノにするためにもリールのドラグは大事だ。
道糸はPEラインの3〜5号。
300m巻いておけば十分だ。
古い道糸は劣化している可能性もあるので巻き替えておこう。
前述もしているが、この時期は大型ヒットの確率が高い。
古い道糸を使っていたために、道糸切れでバラシにならないためだ。

手巻きの中型両軸リールもOK
ビシはステン缶とプラビシ ビシはテンビンに装着する


コマセを入れるビシは、ステン缶とプラビシが使われる。
船宿によって使用するオモリの号数やビシの大きさが違うので、釣行前に確認しておくようにしよう。
ステン缶はステンのボディからなり、穴がいくつか空いているだけのシンプルな作りのビシだ。
おもにオキアミコマセの釣りでよく使われる。
穴の大きさを変えられず、穴を塞ぐか、塞がないかでコマセの出を調整する。
調整が楽なので、一度使うと愛用する人が多いようだ。
ステン缶からコマセが出るメカニズムは上のイラストのとおり。
ビシが上方に動いた直後に、下の穴からコマセが出る。
また竿をシャクリ上げて竿先が戻った直後に、上の穴からコマセが出る。
コマセマダイでは、置き竿でパラパラコマセが出るのが理想とされる。
そのため、置き竿でパラパラ出したいときは、上の穴を多めに開け、下の穴を多めに塞ぐようにする。
逆にタナ取り時にコマセを出して手返しを早くするようなときは、上の穴を多めに塞ぎ、下の穴を多めに開ける。
プラビシはサニー商事の「サニービシ」がよく使われる。
上の穴と下の隙間を細かく調整できるのが特徴。
オキアミコマセだけでなくアミコマセのときにもよく使われるビシだ。
コマセが出るメカニズムはステン缶とほぼ同じ。
オキアミコマセでは下の隙間を少し開け(オキアミが出ないくらい)、上の穴を全開にすると、置き竿でパラパラとコマセが出る。
ビシは片テンビンに装着する。
テンビンを介することで道糸、ビシ、ハリスが絡みづらくなるのだ。
テンビンのサイズは、腕長40㎝ぐらいの中型がコマセマダイでよく使われる。

ビシはステン缶(右)とプラビシ(左)が使われる

ビシは片テンビンに装着する
ハリ、ハリス、クッションゴム アクセサリーについて

ハリはマダイ用がオススメ。色、形状などいろいろなものが売られている
ハリはマダイバリがオススメ。
比較的軸が長いので、オキアミエサを姿勢よくまっすぐに刺しやすい。
また軸も太めでしっかりしているので、掛かりどころが悪くなければ、伸ばされたり、折られることも少ないのだ。
大きさは8〜10号。
この時期は大型ヒットの確率が高いので、あまり小さいハリは使わない方がいいだろう。
ハリスは3〜4号が標準。
何度も言うが、大型ヒットの確率が高いので、ハリスも細い号数の使用は避けるべきだ。
やり取りに自信がない人、また大型が頻繁にアタっている状況では4号以上の使用が無難だ。
コマセマダイの仕掛けは、ハリスが長いのが特徴。
乗っ込み期は全長10m以上のハリスを使う船が多い。
そのため、ハリスの予備は十分に持参すること。
10mハリスの仕掛けを5回交換したら、50m消費することになる。
予備ハリスを20〜30mしか持ち合わせていなければ足りなくなってしまう。
クッションゴムの径は、ハリスの太さに適合したものを選ぶようにしよう。
適合ハリスが使用ハリスを大きく上回る(クッションが太すぎる)と、クッション効果があまり期待できず、ハリス切れを起こしやすくなる。
逆に使用ハリスが適合ハリスを上回る(クッションが細すぎる)と、クッションが耐えられず、クッションが切れてしまうこともある。
また、古いクッションは劣化して、切れやすくなっていることもある。
古すぎるものは使わないようにして、できるだけ新品を使ったほうが安心だ。
クッションゴムの長さは1mが標準。
よりクッション効果を狙うなら、1.5〜2mの長めを使うのもアリだ。
ハリのチモト付近に集魚効果を狙って、アクセサリー類を付けるのもいい。
乗っ込み本番ともなると、植物プランクトンの死骸が大量に漂い、潮が濁ることもある。
そのような状況では、夜光玉など発光するアクセサリー類を付けると有効な場合が多い。
またアクセサリー類は、集魚効果だけではなく、仕掛けのバランスを変えるのにも役立つ。
シェルビーズなどの重いアクセサリーを付ければ、付けエサの浮き上がりを抑えることができる。
浮力のあるビーズやフロートパイプを付ければ、ハリスが垂れ下がるのを抑えらえれ、付けエサが自然に漂いやすい。

潮が濁ったときは夜光玉が有効な場合がある
シェルビーズは重量があるので、付けエサの浮き上がりを抑える効果もある

夜光玉とシェルビーズを組み合わせて使うのもアリだ!
ストレートハリスとテーパーハリスの違い


テンビンの先にクッションゴムを介してハリスを結ぶが、ハリスの形式には大まかにストレートハリスとテーパーハリスがある。
ストレートハリスとは、文字どおり1本のハリスの先にハリを結んだハリス。
対してテーパーハリスは、上下で太さの違うハリスを結んだものだ。
上側のハリスを太く、下側のハリスを細くする。二段テーパーなら、2種類の太さを結んだもの。
三段テーパーといったら、3種類の太さを段階的に結んだハリスだ。
太さの違うハリスを結ぶ際は、ハリス同士を直結にする場合とサルカンを介する場合がある。
一般的にはサルカンを介した二段テーパーハリスがよく使われているので、サルカン式の二段テーパーについて話を進めていく。
上ハリスは6〜8号、下ハリスは3〜4号のバランスが標準。
サルカンの位置はハリから3〜6mぐらい。
サルカンの位置を上部にすればするほど(テンビンに近づける)、付けエサの漂いはストレートハリスに近づく。
また、サルカンを大きく(重く)すると、仕掛け全体が沈み気味になり、浮き上がりにくくもなる。
サルカンの位置と大きさは、いろいろ試すといいだろう。
二段テーパーハリスの特徴は、誘いが効きやすい、付けエサの位置を把握しやすい、ハリス交換の際に全部替える必要がなく経済的など。
乗っ込み期は2本バリも有効!

仕掛けのバリエーションを、もう一つ紹介しよう。
それは2本バリ仕掛けだ。
ハリが1つ増えることで、仕掛けを扱いにくくなるが、難なく扱える人ならとても有効な仕掛けだ。
一番の利点は、タナを探れること。
乗っ込み期のマダイは浮きやすく、幅広く反応がでることも珍しくない。
そのような状況では、一回の投入でタナを探れるので便利だ。
また枝バリの付けエサがコマセの役割もする。
1本バリ仕掛けに比べるとアピール度が増すのだ。
さらに2本バリ仕掛けは、1本バリ仕掛けと漂い方が違うようだ。
枝スを出す部分が潮を掴むのか、またはそこが基点となって誘いが効くのか、2本バリ仕掛けにばかりアタリが集中することもある。
枝スを出す位置は、ハリから1.5〜3m。枝スは5〜15㎝ぐらいまで(長すぎると絡みやすくなる)。
強度があるハリとサルカンの結び!


ハリとハリスの結びの強度をアップさせるには、編み付け補強がオススメだ。
通常の結びは、安定した強度がある南方延縄結びがオススメ。
この南方延縄結びで、さらに補強糸を用いて編み付け補強するとさらに強度アップする。
ハリス3号なら、4〜5号の感覚で使えるだろう。
結び方は上のイラストのとおり。
ハリスの本線に、二重に折り返した編み付け用の補強糸を添えて結び、後にチモトから出た補強糸で編み付けていく。
補強糸はナイロンかフロロカーボンの0.8〜2号くらい。
補強糸を太くすればするほど強度アップする。
しかし、あまり太すぎると結びづらく、またしっかり締めあげないとホツれてしまう。
とにかく、これをするだけで、かなり強度がアップするのでオススメ。
大ダイや青物が掛かっても安心だ。
クッションゴムのサルカンや二段テーパーハリスのサルカンにハリスを結ぶ際は、二重編み付け結びがオススメ。
結び方が簡単なので、揺れる船上でも結びやすい。
引っ張ると、編み付け部分が伸びてクッション効果がある。
編み付け回数は6〜7回だが、回数を多くするとクッション効果がより高くなる。
また手順①で3回サルカンの環に通すと、さらに強度がアップする。
付けエサはオキアミ ハリに1匹付けるのが基本

コマセマダイの付けエサはオキアミを使う。
ハリ一つに、オキアミ1匹を付けるのが基本だ。
付け方は上のイラストのとおり。
まずオキアミの尾を切ること。
尻尾の部分を切り取らないと、仕掛けの上げ下げで、尻尾がクルクル回ってハリスがヨレたり、絡んでしまう。
また、アタリを待っているときにも海中で回ってしまい、マダイが食わなくなってしまうので注意しよう。
尻尾をカットした切り口からハリ先を刺し入れ、オキアミをズラしてハリのチモトまで刺したら、ハリ先をオキアミの腹側に出す。
このとき、ハリの軸に対して、オキアミがますっぐになっていることが重要だ。
大事な時合いを逃さない 仕掛けの投入方法

コマセマダイ釣りでは、ハリスは8m以上の長さのものを使うことが多い。
とくに乗っ込みのシーズンとなると、マダイの警戒心が強くなるので付けエサとテンビンからの距離を出すという理由で、ハリスの長さは10m以上、伊豆方面では15m、御前崎沖オモリでは20m以上のものを使用することがある。
ハリスが長いほど、手前マツリのトラブルが発生しやすくなる。
トラブルが起きれば、貴重な時合いに間に合わないどころか、本命のマダイが釣れなくなる確率が上がるのは明白だ。
そこで、仕掛け投入時はあせらず確実に動作を行うことが大事だ。
まずは、自分の道具のセッティングを確認する。
ロッドキーパーはコマセのオケより風上側にセット。
上図の場合、コマセをカゴに詰めたら、クッションゴムを右手で掴んでおき、カゴを投入。
リールのクラッチを切ってハリスを右の手のひらですべらせながら、ビシを落とし込む。
このとき左手でリールのサミングをしよう。
ハリスのハリが近づいてきたら、ハリスを離すとよい。
超ロングハリス使用時の仕掛けの投入方法

御前崎沖や西伊豆沖、沼津沖などでは、ハリス長15mの超ロングハリスを使うことがある。
たとえ、10m前後のハリスでも風が強いときなどは、どうしても手前マツリがさけられないこともある。
そんなときは、ペットボトルや専用の仕掛け巻きを活用しよう。
ポイントは、ハリ側のハリスから仕掛け巻きに巻き込んでいくこと。
ビシ投入時は付けエサが仕掛け巻きに巻き込まれないように船べりなどに付けエサを置き、最後に巻き込んだ側を海に向けて仕掛け巻きをつかみ、ビシを投入。
こうすることで、ハリスはスムーズに絡むことなく出ていく。
決して、仕掛け巻きの向きを間違えないように。

御前崎オモリのゴールデンタイムは、朝いち。このマダイはオモリで第一投目にヒット。スムーズな仕掛けの投入が成功した結果だ

投入専用の仕掛け巻きは釣り具ショップで購入できる

仕掛け巻きがなくても500㎖のペットボトルを活用すればいい
指示ダナは海面から 道糸を見て正確に合わせる



指示ダナをきちんと守ることは、コマセマダイの必須条件。ズレたタナはしっかり魚探に映る
関東、東海のコマセマダイ釣りでは海面からの指示ダナがほとんどだ。
この指示ダナ設定がコマセマダイ釣りの釣果を左右する。
タナが高すぎてもダメだし、低すぎてもダメ。
指示ダナ設定は各船長の腕のみせどろでもある。
釣り人はこのタナを絶対に守らなければならない。
指示ダナより高くすることは許されるが、低くすることはタブー。
乗っ込み期のマダイはこのビシの動きにも敏感になっているので、タナより低くしてしまうと、魚が浮かないばかりか、船に近づかなくなってしまうこともある。
タナを合わせるときは、必ず道糸のマーカーで合わせること。
リールのカウンターはあくまで目安にして、頼ってはいけない。
道糸の先端の最初の色の10mが途中で切れている場合、タナ計算がしにくいので、面倒とは思わずにその道糸の最初のカラーは切ってしまおう。
基本的にコマセの振り出しは指示ダナからハリスの長さの半分下からコマセを数回に分けて振り出し、指示ダナでアタリを待つというもの。
西伊豆・土肥沖では、ハリスの長さ分、ビシを落としコマセを振り出すところもある。
船宿によってコマセの振り出し方は異なることもあるので、必ず船長に確認しよう。
さて、具体的なコマセの出し方だが、ロングハリス使用の場合、とくに底潮が流れていないときなどは、コマセの振り出し前後に道糸にハリスが絡んでしまうことがある。
できれば、このトラブルはさけたい。
そこで、指示ダナ下のコマセ振り出しダナにビシを落としたら、ハリスを潮になじませてることで、この絡みを軽減可能だ。
具体的には、8秒前後、ハリス長15m以上では15秒前後タナで静止させてからコマセの振り出し動作に入ろう。
コマセの振り出し方は、ワラサなどとは異なり、コマセの煙幕のなかに魚を突っ込ませるわけではないので、ソフトなシャクリでよい。
激しいシャクリ上げは、マダイの警戒心をあおることとなるので注意しよう。

水中でハリスが道糸などに絡んでしまってはマダイは釣れない。絡まないような操作をしよう

コマセの振り出しはソフトに行う
春は静かにアタリを待つが基本 誘い動作も静かに行う

落とし込みは竿の上下で行う方法とリールから手で道糸を引き出す方法がある
乗っ込み期のマダイは、秋とは異なる。
とくに産卵を意識した個体は浮くことが多い。
船長はそのマダイの動きを見ながら、指示ダナを設定する。
当然、魚の活性が高く、浮いていれば、指示ダナは高くなる。
誘い動作は個人のテクニック。
当然、有効な誘い法を試したいものだ。
しかし、警戒心が強い産卵前のマダイ、とくに、百戦錬磨の大ダイになると、ちょっとした波動にも敏感に反応することもある。
大ダイを掛ける、ことに特化するならば、〝静かに待つ〟が正解だ。
具体的にいえば、置き竿釣法がベスト。
マダイの竿が胴調子のものが多いのは、船の揺れによるビシの暴れを少なくするため、竿を軟らかくしている。
とはいうものの、「探見丸」などの普及で、水中の魚の動きが釣り人にリアルに伝わる時代に誘わずにはいられない、という考えの釣り人も多い。
春の高ダナ設定では、ダントツに有効な誘いは落とし込みだ。
活性の高いマダイを迎撃するのだ。
指示ダナをとくに意識しなければならない乗っ込み期は、指示ダナよりビシを下げる動作は、どの船宿にも好まれない。
逆に指示ダナよりあげる動作はオーケだ。これを利用して、落とし込みの誘いをかける。
具体的には、あらかじめ指示ダナより2〜3m上で待っておいて、船長の「反応が出た」との情報を頼りにそのタイミングで落とし込みの誘いを入れてみよう。
指示ダナから落とし込みを始める場合は、ビシを2〜3m上げるときもゆっくりと静かに行うようにしよう。
上げる動作も〝誘い上げ〟になり、マダイにアピールするからだ。
落としこみの誘いの方法は、リールのドラグを緩め、リールのスプールから直接糸を指で出しながら落とし込むやり方が基本。
このやり方だと、数㎝きざみは極端だが、数十㎝きざみでの落とし込みが可能だ。
もちろん、竿を持って、竿の長さ分の上げ下げによる落とし込みでもよい。
大事なことは、ゆっくりと静かに動かすこと。
そして、動かした後は、少し長めの間をとること。
エサが動いた後の間、つまり静止した瞬間がマダイの捕食スイッチが入る間でもあることを覚えておこう。

乗っ込みダイは警戒心が強い。驚かさないように静かに釣ろう
ヒットしたら慌てない!ドラグを緩めにして走らせよう


ヒットしたら慌てない! まずは魚を走らせよう
大ダイヒットを前提にしてやり取りを説明する。
大ダイは、置き竿の場合、一気に竿先が海面に突き刺さるいきおいで突っ走る。
これがファーストランだ。
浮いたマダイだから、付けエサを捕食し、違和感を感じた大ダイは反転し、底めがけて一気に逃げさるように走る。これが、竿にアタリとして表現される。
ハリスは5号であっても6号であっても直接の引っ張りあいをしたらプツンと切れてしまうほどパワーがある。
しかし、大事なことは、〝ファーストラン〟さえかわせば、どうにかなる可能性が高いこと。
ドラグは緩めに事前に設定して魚が走り終えるまでがまんして、走らせてしまおう。
引きが止まったらやり取りに入る。
慣れた釣り人であれば、ポンピングをしながらのやり取りもオーケー。
だが、なれていない人は、竿を立てたまま、バッドエンドを腰に当てて、竿の角度を変えずにひたすらリールを巻き続けよう。
こうすることで、一定のテンションが保たれ、ハリス切れによるバラシが軽減できる。
ビギナーがよく大ダイを手にすることができるのは、この方法でやり取りしているからだ。
逆に自分のスキルに自信がある人がバラシやすいのは、ポンピングを多用することで、不安定なテンションになってバラすのだ。
大ダイはファーストラン以外にも巻き上げ中、2度3度、ドラグを引き出しながら突っ走ることもあるだろう。
しかし、海面近くになると、水圧の影響で内臓にエアを持つので、あまり暴れなくなる。
ドラグを緩めすぎてリールが巻けない状況の場合は、ある程度、魚が浮きあがった時点で多少ドラグをしめてもよい。
慣れない人は船長や助手にお願いするとよいだろう。
さて、クライマックスの取り込みだ。
明らかに大ダイと分かっている場合は、ビシを竿先にぶら下げておきクッションゴムをまずつかんで、ハリスを手繰る。たいていの場合、魚はエアを持っているので、重量感も感じながらの手繰り上げになるが、ポイントの水深が浅かったり、指示ダナが海面直下の場合、青物のようにハリスを手繰っている間も元気に泳ぎまわる個体もいる。
そんなときは無理せずダイレクトな魚の引きを体感しながら慎重に手繰ろう。
海面に魚が浮上したら、魚の頭からタモ入れしてフィニッシュだ。
魚を釣りあげた後は必ず、ハリスのキズをチェックしよう。
とくに、ハリのチモトは入念に指で触ってみる。
少しでもキズがあれば、ハリスごと交換、もしくは、カットしてハリを結びなおそう。

マダイはタモに収まるまでが勝負だ

一生の思い出にもなる大ダイキャッチ。万全の対策をして臨もう
以上の記事は「つり丸」2017年5月1日号の掲載記事です。
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乗っ込み最盛期の反応。この時期のマダイは浮く!