おいしい魚たちが多種多彩! のんびり仕立てでお土産いっぱい

南房総の富浦湾から館山湾は四季を通していろいろな魚が釣れる場所だが、釣り船の数は意外なほど少ない。
ここで、春から夏はイワシの泳がせ、秋から冬はコマセのマダイ五目にアマダイ、そして周年楽しめる深場釣り、これらをメニューに掲げているのが、富浦港の「酒井丸」だ。
静かな湾内で仕立ての釣りを

富浦港の東岸壁に「酒井丸」は係留されている。
6人も乗ればいっぱいの小型船だが、長年この海で漁師をやってきた酒井隆船長が連れていってくれる秘蔵ポイントは場荒れのない穴場が多い。
この日はタイ五目での出船だった。
守谷市の佐藤さんグループに取材同乗を快諾していただき、私も竿を出す。
「酒井丸」のタイ五目は、コマセを使うテンビン釣りだ。
船でアミコマセは用意してくれるが、付けエサのオキアミは各自が用意していった。
港を出て太房崎を回って南下すればもうポイントに着く。
雨が振ったり止んだりで北風も強い日だったが、湾内なので、波もほとんど立たず釣りやすい場所だ。
水深35mのポイントで投入合図が出た。
ハリス長プラス1~2m、底から上げる。
ハリスが6mなら、底から7~8mがタナになる。
仕立船なので、オモリはグループで統一すればよい。
この日は80号を使った。
仕掛けは2本バリの人が多いが、私は4号6mの1本バリ仕掛けを使った。
アタリが無いと船長の見切りは早い。
潮具合によって魚の寄る場所は異なるので、実績ポイントを次々に探っていく。
3回めの流し変えで、アタリが出始めた。
まず顔を見せたのは、30㎝級のハナダイだった。
オデコが張った立派な雄だ。
続いて上がったのが40cm級のマアジ。こりゃでかいアジだ。
船長曰く、「そのアジは美味いよう。浅場の根に付いているアジだから」とのこと。
高級魚カイワリも釣れる。
珍しいオキアジも食ってくる。
イナダも顔をだし、隣の人には良型のイトヨリだ。
いったい海の中はどうなっているのだろう?
船長に聞くと、「さっきから同じ場所にいるよ。ここはいろんな魚の通り道なんだよ」という。

マダイ、ハナダイ、イナダに イトヨリなどなど

何が食ったかな~。このワクワク感が五目釣りのダイゴミだ
そして、私の竿にもアタリ到来。
リールを巻くとゴゴンと突っ込む。
けっこう引きが強い、イナダかな?と思ったら40㎝オーバーの大アジだった。
大事にタモですくう。
続いてはタイっぽい引き方で、600gのマダイが顔を出した。
食いが一段落しても、しばらくするとまたアタリが出てくる。
船長の言う通り、ここはいろいろな魚の通り道のようだ。
アオハタ、カサゴ、ミノカサゴと、根魚も釣れ上がり、サバも含めると開始2時間で10種類の魚が顔を見せた。
魚種の多彩さは「五目釣り」以上で、どの魚も引きがシャープで楽しい。
2本バリ仕掛けの人は、しばしばダブルで釣り上げている。
カイワリとイナダ、ハナダイダブル、アジとイナダ、どんな魚が付いているか上げてみるまでわからない。
こりゃ私も2本バリ仕掛けにすれば良かったな。
昼過ぎの沖揚がり時間となり、私はマダイ2枚、ハナダイ1枚、イナダ6本、イトヨリ、マサバ1匹、そして根着きの大アジが7匹とクーラーはずっしりと重い。
他のメンバーは私以上にたくさん釣っていた。
台風が過ぎて秋の潮になったので、これからしばらくはタイ五目の好機が続きそうだ。
もう少し水温が下がれば、美味しいカンパチ(ショゴ)もまじってくるはずだ。

ハナダイも大型が多い
台風被害は大きかったが 復旧のためにも釣行を!
ご存知の通り、台風15号は房総半島に大きな被害をもたらした。
特に南房総市は被害の大きな地区のひとつで、船長宅も長い停電で苦労したそうだ。
釣り船再開と同時にタイ五目が好調になっているのは海の神様が台風に耐えたことの御褒美かもしれない。
釣り人が足を運ぶことが被災地の復興の手助けになるので、この好機にぜひ足を運んでみて欲しい。
「酒井丸」では、タイ五目の他に、深場五目、アマダイが秋から冬の釣り物になる。
3人そろえば乗合よりも料金が安いのも人気の理由で、週末は早い時期に予約が埋まることも多い。
平日休みで頭数をそろえられる人に特にお勧めしたい。
さて、船長推薦の美味しいアジをさっそく刺身にして食べてみた。
なるほど、しっかりと脂の乗った身は、この日の魚で一番美味しいかもしれない。
しかしながら、イナダの刺身もマダイの刺身もまた美味しい、イトヨリ、ハナダイは塩焼きにして、魚種豊富な晩御飯メニューとなった。

浅場で釣れる居着きのアジ。これが美味しいんだ~
タイに青物、根魚も まじる五目が楽しい!富浦沖の タイ五目 釣行レポート

台風15号では千葉県各地で大きな被害が出たが、内房富浦港もそのひとつ。家屋のほか港の施設や船にも被害があった。この日は、ようやく出船態勢が整った「酒井丸」が、富浦沖に出船した

こちらは大本命のマダイだ

波静かな内房でのんびり楽しむ五目釣り。マダイ、ハナダイに加え青物や根魚まで、いろいろ釣れるのが楽しい釣りだ。

オキアミコマセの五目釣り。ハナダイはメインターゲットで、良型一荷も珍しくない

大型は稀だが、小、中型マダイがポツポツ食ってくる

大アジは数まじる

美味しいカイワリもたくさん釣れる

ハナダイは大型「デコダイ」クラスも少なくない

こちらはオキアジ。脂が乗っていて刺身はとても美味しいぞ

オキアジは一荷で釣れることも

アオハタも釣れた。アミコマセ、オキアミエサながら根魚もよく姿を見せる

こちらはハナダイとイナダの一荷

みなさん多彩に釣れてお土産いっぱい!! いろいろな魚料理も楽しみだ

今回、取材にご協力いただいたのは、千葉・富浦港「酒井丸」
静かな湾内には他の釣り船の姿は見えない。
風光明媚な南房総の山々を眺めながら、のんびりと仕立船の釣りが楽しめるのが富浦港の「酒井丸」だ。
富浦港も先の台風15号で大きな被害を受けた地区のひとつだが、「ようやく後片付けが進み、なんとか船が出せるようになった」との連絡を受け取材に出かけた。
この日の狙いはタイ五目。
水深35mほどの浅場でいろいろな魚を狙う五目釣りで、マダイやハナダイを始め、イナダに大アジ、カイワリやイトヨリと美味しい魚ばかりが釣れ上がる。
釣り方は片テンビン仕掛けにコマセを使う、オーソドックスなコマセダイスタイル。
ハリスを4.5mくらいの短めにした2本バリ仕掛けが扱いやすく、色々な魚が一荷で釣れることもしばしばある。
タックルは短めの竿が扱いやすく、LTタックルでも十分楽しめるのでおすすめだ。
広い湾内だが、魚の回遊するコースはある程度決まっているとのこと。
長年の漁師経験がある酒井隆船長は、どの時期にどこに魚が通るか、富浦〜館山湾を知り尽くした頼りになる船長だ。
同じ場所、同じ仕掛けでいろいろな魚が食ってくる、何が食ってきたかな?と引き具合から魚種を想像するのも五目釣りの楽しさだ。
特に40㎝を越える根着きの大アジは脂の乗りがよく、船長もお勧めの美味しさ。
マダイにハナダイ、青物に根魚、アタリは続き、乗船者全員のクーラーは魚でいっぱい、満足にっこりの沖揚がりとなった。
「酒井丸」ではタイ五目の他に、秋から冬にかけてはアマダイ、オニカサゴ、深場五目にも出船する。
週末はかなり先まで予約で埋まることもあるので、平日か早めの予約をおすすめしたい。
以上の記事は「つり丸」2019年11月15日号の掲載記事です。
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賑やかにお土産いぱいになる!内房の五目釣りはいかが