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釣る前に、食べる前に、イトタマガシラという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、イトタマガシラという魚を知ろう!

千葉県館山から九州南岸の太平洋沿岸。小笠原諸島、屋久島、琉球列島。南はオーストラリア北岸までと生息域が広い。沖縄県では単に「じゅーまー」と呼ばれることが多い。

イトタマガシラ(スズキ目イトヨリダイ科キツネウオ属)の生態

アオリイカ釣りのエサ扱い!?

千葉県館山から九州南岸の太平洋沿岸。小笠原諸島、屋久島、琉球列島。南はオーストラリア北岸までと生息域が広い。

生息域を書いていて疑問が残る。
小種名の「nagasakiensis」は「長崎の」という意味なのだ。

明治前期にうまれた魚類学者、田中茂穂が記載、すなわち世界中に種の存在を発表した。

当然、田中茂穂が種の研究のために採取した地は長崎のはずなのだ。

それが証拠に1960年代までの魚類学書の生息域には長崎が入っている。

いつ消えたのだろう。
今、長崎の市場人や釣り人の方達にウオンテッドしているところだ。

イトタマガシラの値段は?

沖縄県では単に「じゅーまー」と呼ばれることが多い。これはイトヨリダイ科の魚の総称だ。

小さいしあまり目立たない魚なのに沖縄県宮古で「いすがなまいさだみ」、奄美大島で「まてんこ」という呼び名が存在するのは、食用魚としてではなく、アオリイカ釣りのエサとして重要だからだと思う。

例えば屋久島ではアオリイカがもっとも好むエサとされている。

残念なことに沖縄県の漁協の競り場で一度見ただけ。

初めて見た魚なのでいっぱい撮影していたら、漁師さんが「ほいよ!」とくれたところをみると安いようだ。

「イトタマガシラ」の寿司…おどろきの旨さ!いとたまげた!

災害の多い年は魚が高い。

市場の魚屋でたかさんがため息をつき、

「暇だから、うちのと石和(温泉)に行ってラブラブしようかな」

「のろけている場合じゃない」

台風で相模湾の定置網が大きな被害を受けた。

高尾山も大変なのだ。

さて、『市場寿司』でお茶を飲んでいたら、鹿児島から「荷物を送りました」とメールが送られて来た。

翌日、届いた荷物を開けたら、芋焼酎が二本。中に「お湯割りでやってください」とメモが入っていた。

お礼のケータイをいれたら、「今日の朝も荷物出しもした」。

翌日届いたのは、琉球列島以南を代表する高級魚であるコクハンアラだった。

忙しい日だったので、下ろしはたかさんに丸投げすることに。

『市場寿司』まで巨大な魚を持って行ったら、ふにゃふにゃだったたかさんの顔がきりりと引き締まった。

「温泉行くのやーめた」

「本気で行くつもりだったんだ」

「嘘だ、ぴよーん。それどころじゃないよ。これ全部くれるの?」

「少しだけあげる」

なんて、おバカなことを言って騒いでいたら、ある男が影のように忍び寄り、小さなビニール袋をそっとボクに渡し、風のように消えて行ったのだ。

袋のなかには、白い粘液にまみれた黒っぽい物体が入っていた。

それを見てたかさんが、「不気味♪♪不気味♪」

「歌うな!」

翌日、絢爛豪華、ゴールデンなお昼を食べた。

さすがに琉球列島はおろか、オーストラリアまでの広い地域で人気抜群の高級魚である。

刺身五人前を一気食いしても全然飽きが来ない。箸が止まらない。
 
上品な白身魚に合わせるために、持って来た大吟醸も素晴らしい。
 
この巨大魚は奄美大島の漁師さんが釣り上げ、生きているうちにていねいにしめた上物である。

うまいのは当たり前とは思いながらもそのつど、うますぎてビックリするのだ。

ほろ酔い気分、締めの握りに、「たかさん、思い切って十かん」

せっかくなので、昨日もらった魚もそっと出して、つけてもらった。
 
地味で小さくて、沖縄や屋久島ではアオリイカのエサ的な魚を、横綱クラスの魚の後につけてもらうことはないだろう?と思われそうだが、「食べるなら今でしょ」というときがある。

実際食べてよかった。
 
こんなどんでん返しがあるのが、天然魚の面白さなのだ。
 
白い粘液に包まれていたのはルリハタ。

ちなみにこの粘液は有毒なので注意が必要。

それとは別袋にイトタマガシラが入っていたのだ。
 
この唐揚げにでもするしかない、と思えた小魚が、これほどまでにうまいとは。

超高級魚のコクハンアラよりも上は言い過ぎかも知れない。

でも皮を引いて普通につけたもの、皮目をあぶったものと食べて、まったくひけを取らないうまさだ。

今回の主役をくれたのは市場の釣り名人、福さんだ。

このところ根魚釣りに夢中になっているようで、十月初旬に、伊豆半島の富戸沖で釣れたアカハタをくれた。

そのとき、「できれば本命より、リリースするような魚が欲しい」とお願いしてやってきたのが今回の魚なのだ。

ルリハタもうれしいが、小さくて地味なイトタマガシラの方が何倍もうれしい。

沖縄と屋久島とで手に入れているが、相模湾は北限に近い。当然鮮度がよく生で食べられる。

「皮引きより皮ありだね」

「そうだ名前教えて?」

「イトタマガシラだよ」

「いとたまげた!」
 
ボクを送るために顔を出した、たかさんの妻が最後の一かんを食べて、グッドセンスにシャレ飛ばす。

「温泉に、行ってらっしゃーい」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。

店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。

ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。

本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。

どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。

目標は1000種類の寿司を食べること。

HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2019年11月15日号の掲載記事です。

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