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釣る前に、食べる前に、ホウライヒメジという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、ホウライヒメジという魚を知ろう!

ホウライヒメジはスズキ目ヒメジ科ウミヒゴイ属。外房・山形県以南に生息。西太平洋、インド洋の熱帯域から温帯域。

ホウライヒメジ(スズキ目ヒメジ科ウミヒゴイ属)の生態

値段的には捨てる魚じゃありません

外房・山形県以南に生息。西太平洋、インド洋の熱帯域から温帯域。

熱帯域のニューギニアやミクロネシアでも見ているので生息域は非常に広いようだ。

本種のウミヒゴイ属は温暖化のために多くの種が北上傾向にある。

2000年前後には12種類であったものが、現時点では国内で16種以上が発見されている。

世界中に32種がいるが、その内、国内で20種を超えてしまうのではないかと思う。

同定の難しいものが多いので、気になったものは全部手に入れているが際限がない。

今回のものはウミヒゴイ属でも戦前に和名がついた古株である。

「蓬莱比売知」はたぶん田中茂穂の命名で、大正期などには珍しい魚だったので「蓬莱」という仙人の住む架空の場所を名につけたのだろう。

ホウライヒメジの値段は?

昔は売れない魚の代表的なもので非常に安かった。

それが年々、値を上げているのはおいしさが知られてきているためだと思う。

鮮度がいいものは1kgあたり1800円前後する。

今回のものはすでに下ろしてあったために正確ではないが体長25cm、たかさんの手計で300gで、1尾で卸値540円はする。

逃がすくらいなら持ち帰ろう。

出船する前の朝定食くらいの価値はある。

ホウライヒメジの寿司…うま味にボリューム!ホームラン級のうまさ!

コロナのせいで憂鬱な春だけど、釣り師は元気だ。

近所の釣り名人、鮹さんはキンメダイ、タチウオ、カイワリと週三で釣り三昧。

市場の魚屋クマゴロウは週二で相模湾、伊豆諸島への遠征釣りに通っている。
 
クマゴロウが遠征釣り初日に巨大魚を釣ったとか、バラしたとかの噂が市場中を駆け巡っていた。
 
せっかくなので、自慢話を聞いてやるつもりで店の前まで行った。

「なに?聞きたいの?」

「聞いてあげようかと思ったの」
 
港から五時間近くかかり、釣り場に着いて一投目に、それは来た。

「ぎゅん、ぎゅんと小さいのがつついてさ、次の瞬間よ。ぐわっとね」

「サメだよね。たぶんでかいサメ」と言おうと思ったのだけれど、

「きっとオオカミだね」と言ったら、本命以外の魚をくれた。

ゴマテングハギモドキはいつもらってもうれしいし、アカササノハベラだっておいしい。

そのまま『市場寿司』に丸投げしたのは、都心に出なければならなかったせいだ。
 
それにしても電車の中は緊張する。
咳をしてはいけないと思うと、余計に出そうになる。
 
翌日、鹿児島から来たでっかいマハタモドキをたかさんに渡して、すし談義しようとしたら、すし飯がほとんど残っていなかった。

「客は減ったけど、持ち帰りがね」

「重苦しいからね。すしでも食べようって気持ち、わかるな」

「昨日のでいいや」
後二かん分しか残っていなかったので、赤いのと赤いのが来た。

「アカササノハベラと、もうひとつ、こっちの赤い方は何?これすごくおいしい。どんな魚だった?」
 
翌日、クマゴロウに写真を見せてもらったらホウライヒメジだった。しかも小さい。

ゴマテングハギモドキの間に隠れていたのだ。
 
鹿児島から来た「たかばー」ことマハタモドキは三十キロ以上あったもので、丸のままでは送ってもらうことは出来なかった。
 
腹回り二キロほどを分けてもらったが、これがあまりにもうますぎて、三月につけてもらった魚は、すべてゼロベースになった。
 
たかさんと三月に食べた握りの評価をしようと、雪が残る日に市場にいったら、目の前にひょいと赤い皮つきの握りが出た。

「あれ、これさ、なにさ」

「クマちゃんの赤い魚だよ」

「小さいのでベラじゃない方?」
 
たかさんに渡して五日目になる。
残っていたのが奇跡なのはいいとして、たべて大丈夫だろうか。

「あのさ、クマちゃんが釣ってすぐに締めて、鰓切って血を出したって言うから、少し寝かせてみたの」

「まあ、魚のプロだし、魚屋歴五十年だしね。締めるのも上手だよね」
 
困った。マハタモドキの三十キロが伊豆の遠征釣りできたら、新聞に載るレベルだけど、クマゴロウ曰く、釣れても「お逃げ願っている」ホウライヒメジの二十五センチといい勝負だとは、まさか鹿児島の人には口が裂けても言えそうにない。
 
でも、うまいな。三枚に下ろして皮目をあぶり、半身をそのままさらしに巻いて寝かせたものだ。うま味にボリュームというか膨らみがある。

しかも微かに脂の存在を感じる。

すし飯と一緒になったときの一体感がいいのも寝かせたためだ。

「たかさん、ホームラン!」

「開幕は先だけどね」
 
さて、船上での釣りはオープンエアなので、さほどコロナの影響はないのかも。

蛸さんも市場の釣りグループもあいかわらず魚をくれる。
 
クマゴロウが遠征釣りの支度をしていた。

たかさんと通りかかったので、「赤いのがいい」と言ったら、

「縁起の悪いこと言うんじゃない」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。

店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。

ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。

本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。

どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。

目標は1000種類の寿司を食べること。

HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2020年5月1日号の掲載記事です。

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