エサの状態が本命の釣果を大きく左右する。 エサの扱いはとにかく丁寧に!

エサも自分で釣るから 一釣行で三度もオイシイ!
通常、船で行うエサ釣りは、エサは船(船宿)で用意されるか、そうでない場合は自分で釣具店などで購入する。
たとえば、シロギス釣りならイソメが船で用意されるし、ビシアジならコマセのミンチや赤タンが用意されている。
だが、この平塚港「庄三郎丸」のヒラメ五目は、エサも自分で釣る。
まずはサビキでカタクチイワシなどのイワシ類や小サバといった小魚を釣って、それをエサにヒラメやカサゴ、ハタ類などの高級魚を狙うのである。
実はこのエサ釣りがとっても楽しく、思わず童心に帰って夢中になってしまうほど。
実際「本命のヒラメ釣りより楽しかった!」なんて声も聞かれたほどである。
つまりこのヒラメ五目は、「エサ釣り」「本命の釣り」、そして帰宅後の「食べること」と、一度釣りに行けば三度もオイシイという非常に贅沢な釣り物なのだ。
しかも、五目というだけに釣れる魚は多種多様。
メインのヒラメの他、カサゴ、メバル、ハタ類にいたってはマハタ、アカハタ、キジハタ、オオモンハタ、アオハタがあがっている。
その他、マダイ、スズキ(ヒラスズキも)、マゴチ、ホウボウ、大アジなどと、まさに高級魚と呼ばれ
る魚たちのオンパレードだ。
もちろん、これらの魚種が常に釣れるわけではなく状況次第ではあるが、要は小魚を捕食するフィッシュイーターすべてがターゲットで、何が釣れるかはそのときのお楽しみ!というわけだ。
さらに、詳しくは後述するが、そんな高級魚たちを狙う道具はライトタックルでOKというのも嬉しい。
オモリも50号とそんなに重くはないので、女性や子供も十分に楽しめる。
こんなスタイルだから、人気が出ないわけがない。
5月下旬の取材では、コロナの影響で密を避けるという意味もあって広々釣りをしてもらおうという船宿の配慮もあったとはいえ、このヒラメ五目だけでなんと4隻出し。
それほど面白く人気があるので、ぜひ未経験の方は、この機会にチャレンジしていただきたい。
きっと、エサ釣りのサビキ釣りの面白さにハマってしまうはずだ!(笑)
竿はゲームロッド一本あればOK!

「庄三郎丸」のヒラメ五目は本命狙いの他にエサも自分で釣るというスタイルゆえ、持参すべき道具はエサ釣り用と本命用の2セットが必要なのかといえば、そんなことはないのがこの釣りのさらなる魅力。
竿は2m前後で汎用性の高いいわゆるゲームロッドと呼ばれるLT(ライトタックル)系の竿があればエサ釣りも本命狙いも両方対応可能だ。
竿の調子は、この釣りはオモリで海底の起伏を探りながらの行うので、胴調子タイプよりは操作性のよい7対3または6対4の先調子気味がオススメだ。
リールは小型両軸でもOKだが、状況によっては水深が深い場所を狙うこともあるので小型の電動リールがあるとより快適である。
道糸はPEの2〜3号。
根掛かりもある釣りなので、あまり細い糸はオススメしない。
オモリは前述のように50号を使用する。
仕掛けは、エサ釣り用のサビキは出船前に船長から配られるのでそれを使う。
このときもオモリは50号でOKだ。
ヒラメ狙いの仕掛けは胴付き1本バリまたは2本バリ(詳細は上の仕掛け図参照)。
2本バリは1本バリよりもエサの使用量は単純に倍なので、エサのイワシも倍以上釣らなければならない。
さらに、エサ付けの手間、根掛かりのリスク、オマツリのリスク等を考えれば、初心者は1本バリがオススメだ。
この釣りは、基本的には根の中を釣るので、根掛かりは避けては通れない。
したがって、予備の仕掛けは多めに持参したほうが安心。
もちろん、船にも用意はあるので購入は可能である。
その他、あると便利な小物が、サビキに掛かったイワシや小サバを外すための「ハリ外し」。
サビキはハリのゲイプが狭いので、ハリ外しの軸は細い物が望ましい。
そして、ヒラメやハタ類など、歯が鋭い魚の口からハリを外すブライヤーもあると安全だ。

タックルはLTゲームロッドと小型電動or両軸でOK。PEは2〜3号。案外手軽に楽しめる

サビキ1組は無料で配られる。ヒラメ狙いの仕掛けは親バリのみの1本または2本バリ
エサのイワシ釣りは、気合入れて真剣に!

どんな釣りでもそうだが、エサ釣りでは“エサ”が重要。
とくに生きエサを使った釣りではエサの生きが悪ければ本命の食いも悪い。
魚だってより新鮮なエサを食いたいハズだ。
つまり、この釣りで最も重要なのが、これから紹介するエサ釣りであると言っても過言ではない。
いかに生きのいいエサをたくさん確保(釣る)ことができるかによって、本命の釣果が大きく左右されてしまうのだ。
というのも、エサ釣りを行うのは朝の時間帯だけで、本命狙いのときはエサ釣りはできない。
当然のことながら、自分が釣ったエサしか使えない。
エサはエサ釣りの時間帯にしっかりと確保おくことが重要なのだ。
ただ、十分なエサが釣れなかったとしても、身エサ(サバの切り身)は船に用意してあるので、それは利用できる。
生きエサがなくなってしまったからと、まったく釣りができなくなるわけではないのでご安心いただきたい。
とはいえ、ヒラメが本命と考えるのであれば、やはり身エサよりは生きエサのほうが圧倒的に有利である。
とにもかくにも、エサ釣りは気合を入れて集中して行おう。
エサの釣り方はとくに難しいことはない。
子供の頃に防波堤などで行ったサビキ釣りと同じである。
タナは船長が魚探反応を見てアナウンスしてくれるので、その中にサビキを入れるようにすればよい。
効率よく釣るためには、多点掛けと手返しが重要。
1匹1匹釣り上げるのではなく、1匹掛かったら少し待ったりゆっくりと巻き上げたりして、できるだけハリ数だけ食わせるようにしよう。
そして、手返しをよくするためには、いかに魚をハリから手早く外すことができるか、にかかっている。
そのためのハリ外しである。
もしハリ外しがない場合は、極力魚に手で触れないように外すようにしよう。
イワシは漢字で魚へんに弱いと書く。
素手で触ればすぐに弱ってしまう。
ハリだけをつまんで振り外すとよいだろう。
釣ったエサをできるだけ長く活かすために、足元には必ずバケツを2つ用意し(船長が2つ使うようアナウンスしてくれる)、イワシが密になって酸欠にならないように分けておこう。
そして、海水循環ポンプのホースは確実にバケツの中にいれておくことも重要。
釣りに夢中になりすぎてしまい、何かの拍子にホースが抜けてしまっていたら、バケツ内のイワシが全滅…なんてことになりかねない。
このミスをしてしまう人が案外多いとのことなので、ホースのことは常に気にかけておくようにしたい。

弾数は自分で釣った分だけ(サバの切り身は用意あり)。頑張ってできるだけたくさん釣ろう。バケツやオケは足元に2つ。ホースが必ず入っているように!
エサ付けは極力水の中!アワセは聞くように!

ある程度のエサを確保できたところで、いよいよ本命ヒラメ狙いとなる。
生きエサをハリに刺す際は、できるだけバケツの水の中で作業を行うようにしたい。
エサを空気中に出せばその分弱りが早くなる。
ハリの刺し方は、カタクチイワシの場合は口が開かないように下アゴから上アゴへと刺し抜く。
口が開いてしまうと極端に弱りが早くなるので、必ずこの方法でハリを刺すようにしよう。
小サバや少ないながらもまじるマイワシの場合は、一般的なヒラメ釣りのように鼻掛けまたは上アゴ掛けでOKだ。
そして、仕掛けが2本バリであれば、小サバがよくまじる状況では、上バリをサバ、下バリをカタクチイワシというように付けるとよい。
サバはよく泳ぎ暴れるので、上に付けてアピール作戦だ。
同様の考え方で、生きエサの弾数が少なく身エサを使う場合は、上を生きエサ、下を身エサとするとよい。
タナは、オモリが海底から10〜20㎝が基本。
前述のように主に根の中を攻めるので、海底は起伏に富んでいる。
マメに底を取り、タナを取り直すようにしよう。
取材していて気がついたことは、アタリがあってアワせた際にすっぽ抜けが多いこと。
アワセのコツを「庄三郎丸」中村船長に聞いてみたところ、「ガツンと一気にアワせると抜ける可能性が高くなります。聞き上げる(竿をゆっくり と持ち上げる)ようなイメージで行うとよいでしょう」とのことだった。
中村船長によると、今後は深場で大型が狙い目で、マダイも期待できることのこと。
今期はすでに5kgも出ている。
一釣行で三度もオイシイ「庄三郎丸」のヒラメ五目。例年であれば、コマセキハダが始まる7月いっぱいまで楽しめる。
本当に楽しいので、コロナで溜まったストレスを大いに発散していただきたい。

カタクチイワシは下アゴから上アゴに刺し抜く
相模湾・平塚沖周辺 ヒラメ五目!釣行レポート
エサ釣りが案外楽しくつい夢中に!本編は白身系高級魚五目!

サビキ釣りが案外おもしろくてつい夢中になってしまう!

自分で釣ったイワシや小サバをエサにして釣るから余計に嬉しい!

取り込みは、それなりのサイズであれば無理せずネットですくってもらおう

今後は数はもちろんだが、大型が狙い目とのこと。すでに5㎏オーバーも出ている!

2本バリでカサゴの一荷!カサゴやメバルの他、マハタやキジハタ、アカハタ、オオモンハタといったハタ類もヒットする。釣り物名は「ヒラメ五目」だが、実質は“白身系高級魚五目”だ

生きエサに食って来るカサゴは良型が多い。これもデカ!

タックルがライトなので、女性や子供も手軽に楽しめる釣りだ

メバルは定番中の定番ゲスト。

良型メバル!

ミヨシではルアーも楽しめ、ジギングでヒラメをキャッチ(小型だったのでリリース)。スーパーライトジギングで狙ってみてもおもしろい
釣り人が多くても安心。取材日はなんと4隻出しで対応。別船でもヒラメ等続々登場!

多数の船を所有する「庄三郎丸」では、釣り人が増えれば出船する船を増やして釣り座に余裕を持って対応してくれる。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、コロナが完全に収束したわけではない。安心して釣りが楽しめるのは嬉しい限りだ!

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・平塚港「庄三郎丸」
一般的なヒラメ釣りは、エサのイワシは船で用意してくれる。
だが、平塚港「庄三郎丸」のヒラメ五目は、エサも自分で釣る。
エサはカタクチイワシなどの小魚で、これはサビキで狙う。実は、このエサ釣りが超絶楽しい!
プルプルの引き味とズラズラの快感は、思わず童心に帰って夢中になってしまうのだ。
ある程度エサを釣ったらいよいよ本命狙いへ。
“ヒラメ五目”というだけに、ヒラメ、カサゴ、ハタ類、マダイ、メバル、マゴチ、スズキなどとターゲットは多彩。
ハタ類はマハタ、アカハタ、キジハタ、オオモンハタ、アオハタなどが登場し、スズキはヒラスズキまでもがキャッチされている。
これはまさに白身系高級魚のオンパレード!
エサ釣りが楽しく、高級魚ばかりだから帰宅後の楽しみもある。
まさに一釣行で三度オイシイというわけ。これはコロナストレスも吹っ飛ぶぞ!
以上の記事は「つり丸」2020年7月1日号の掲載記事です。
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例年は平塚沖から西にかけてをメインで攻めるが、今期は5月下旬現在江の島沖など東方面を主に攻めている。