今年は爆乗りに期待だ!落下中の触りを感じて、素早く掛けていこう!
「今年こそ!」「今年こそ!」ファンみんなの願いだ

一般的に「イカ」と言えば、「スルメイカ」を指すほどスルメイカは日本人にとって昔から最も馴染みの深い海産物の一つだろう。
しかし、近年の大不漁ぶりは度々ニュースになるなど、社会的な問題にさえなっている。
スーパーを覗いても、ヤリイカよりもスルメイカの方が値段が高いのが当たり前になっているし、見かけないことも多い。
つまり、激減しているということだ。
一昔前であれば、初夏から夏にかけて各地でスルメが乗りまくるなんてことは当たり前の光景だったけど、なかなか大釣りするのは難しくなっている。
「悪い感じじゃないけど、すごい多いって感じでもないですね。反応は広い範囲にあるので、ちょっとしたきっかけで数釣りもできると思うんですけどね」とは、長井・漆山港「春盛丸」の沼田孝章船長。
今年は4月ごろからムギイカが広範囲で数出ていたので期待も大きかったが、現在のところ中型サイズがいい時でトップ30~40杯といったところ。
20㎝未満だったムギイカが成長し中型のニセイカに。
この成長途上のイカは中層に群れをなし、最も数釣りが楽しめるが、現在はテクニックを駆使して乗せる釣りになっているという。
「反応はでかいのが出ます。ただし、流しっぱなしで乗るような群れじゃないので、1回1回が勝負です。ここでいかに早く乗せられるかで釣果が全く変わってきます。電動でガンガン巻いて釣るんじゃなくて、プラヅノに触ったアタリを感じてかけていく釣りになります」
まずは、現在の釣りがそういったものであることを理解した上で釣行しよう。

現在釣れているのは「ニセイカ」と呼ぶ中型がメイン。群れが中層に浮くことが多い
中盤戦はヤリイカタックルも!穂先感度が優れたものがいい

現在はスルメイカ釣りとして考えると序盤から中盤戦になる。
イカのサイズも中型が多いため、タックルはヤリイカ用を使用するのもいいだろう。
竿は、軟らか目のスルメ竿のほか、1.6~1.7mほどの先調子ヤリイカ竿もいいだろう。
取材日も多くの人がヤリイカ竿を使用していた。
それは穂先感度が良く、より触りを察知できるからである。
リールは中小型電動リールを。
ダイワなら300から500。シマノなら1000~300 0番。
道糸は3~4号を使用する。
中オモリやヨリトリは仕掛けの扱いが楽なのでオススメ。
仕掛けは、プラヅノ14㎝直結仕掛けだ。
ツノ数は10本前後。幹糸は10号1.5~1.6mほど。
プラヅノは、ピッカピカ、ミラー系を使用する人が多く、糸巻きスッテを混ぜてもいいだろう。
オモリは120号のところが多いが、船によっては150号を使用するところもあるので要確認。
基本的にイカが大きくなっていくので、プラヅノ18㎝仕掛けも用意しておくと、大型の群れが回ってきた時に威力を発揮することも。
こちらは幹糸が12~14号と太めを使用する。
プラヅノ18㎝を使用する場合は、電動もよりハイパワーのものを。
道糸は4号を使用したい。
竿も胴がしっかりとしたスルメ専用竿を。
このほか、取り込み時に指を滑らせないために指ゴムやゴム手袋を着用しよう。
また、船上干しを作るために竹串を持参しておくといいだろう。
これから梅雨に入るが、雨が降っていなければぜひ船上干しを作ってみよう。
刺身で食べる用はなるべく小さいものが柔らかくて美味しい。
大きいものは炒め物や船上干しがオススメだ。

現在はプラヅノ14cm直結仕掛けがメイン。これからサイズがアップすると18cmも

スルメイカといえば船上干し。〝戦果〟の証だ
落下中の触りを察知し、乗せるのが数釣りの早道

従来のスルメイカ釣りのイメージは底であれ中層であれ、電動のスイッチを入れて竿を上下にシャクりながら一気に広い範囲を探って乗せるのが主流だったが、現在ではよほどいい群れがないとこの釣り方では釣れないという。
「電動シャクリはずっと流して釣るような場合、つまり群れが濃く船下についているような時はいいですが、最近は1投1回で群れを追いかけ追いかけて釣るので難しいです」
現在のスルメイカは、「触り」、「アタリ」を感じ取って掛けていくという釣りに移行している。
「反応自体は結構多く出ることも多いんですが、イカの移動が早いことが多いんですよ」
①底狙いの場合
「水深100m、底を狙って」とアナウンスがあった場合は、素早く投入してまずは一気に着底させる。
ただし、底反応の時でも浮いたイカが仕掛けに触ってくることがあると覚えておこう。
この落とし込みの触りが分かると一気に釣果がアップする。
触りがあったと思ったらストップしてそのまま電動で巻き上げる。
詳細は②で。
着底したら糸フケを取りながらまずは触りがあるか見る。
あればそのまま竿を持ち上げるようにして軽くアワせてそのまま電動のスイッチをオン。
10mほどゆっくり目に巻き追い乗りを狙い、その後中速から若干早めにして巻き上げる。
触りがない場合は、誘い上げ、落とし込みで竿をストップして誘いをかけて、触りがあるか見る。
ここでも触りがあれば軽く持ち上げてそのまま電動を入れる。
「スルメでもアタって強くアワせるとバレちゃうよ。軽くでいいですよ」
ある程度、誘って乗りがなければ20~30m一気に巻いて、巻き落としをしてもいいが、最近の傾向としてはイカの移動が早いので、着底直後に乗せることを目指そう。
②中層狙いの場合
「水深100m、60~80mを狙って」シーズン、初期から中盤のスルメイカは中層に浮くことが多い。
「スルメイカは落下中にもプラヅノに触ってきます。竿先が動いたり糸フケが出たり小さいですが変化が出ます。これが分かるようになると数を伸ばせるようになります」
中層のタナが60~80mだった場合の基本の釣り方は、70mまで落としてストップ。
その場で竿を煽ったりしないで、すぐさま電動で10m巻き上げる。
「スピードは中速よりちょっと遅め。シマノの電動の場合は10くらいのスピードでただ巻きします」
巻いている時は竿先をしっかりと見ておき、変化があったら軽く持ち上げる。
70mまで落とす前に触りを感じたらその場でストップして竿を持ち上げてみよう。
乗っても乗らなくてもそのまま電動を入れて巻いていく。
乗った場合は10mはゆっくり目に、以後は通常の巻き上げに入る。
「今、多点掛けするのは、とにかく早く1杯乗せることです。こうすると、多点掛けする可能性が高くなります」
群れの移動が早い時は、海底まで落とす前に通過してしまうことも。
そんな時こそ、落下中の触りを察知できるとうまく拾っていくことが可能だ。
さらに、電動タダ巻きのスピードも早目にするなど調整するのもいいだろう。
もちろん、まとまった群れが来た場合は、電動シャクリでガンガン乗せよう。
6月前半の時点では中型メインの釣りだが、イカの成長と潮が澄むにつれて深場に落ちていく。
「だいたい梅雨明けごろから城ヶ島沖から洲崎沖などへポイントが広がっていきます。イカも大きくなりプラヅノ18㎝がメインになります。こうなると、底主体の釣りになります」

名手の取り込みは流れるように美しいのが特徴だ/左手は幹糸に通しながら次のツノの上までいき幹糸を掴む
乗り味もバッチリ!城ヶ島沖 スルメイカ釣行レポート

ポイントに船が集結すると気分が高まる!群れが固まっている可能性が高いのだ

触りを見てアワせて掛けていくのが現在の主流の釣り方だ

「仕掛けの落下中に触りがわかるとより乗せられるよ」

ベテランの石田さんは80歳を迎えてもその腕は健在

中型サイズを3杯掛けでスタート

こちらはスルメサイズ。2杯でもずっしりと重い

「目の前で1杯落としちゃったよ。いい感触だったね」と4杯掛け。この流しは5杯掛

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・長井漆山港「春盛丸」
真夏を思わせるような陽気が続き、暗くなりがちだった気分もようやくアガってきた。
ちょっと前までムギイカサイズだったスルメたちも、ズシっと乗り味が楽しめる良型に成長し、スルメイカの本格シーズンが到来した。
「落下中の触りが分かると釣果は格段に上がりますよ。とにかくいち早く最初の1杯を乗せることができれば、結構な確率で多点掛けもできるんですよ」
こう話すのは、長井・漆山港「春盛丸」の沼田孝章船長だ。
スルメの群れ自体はまずまずの塊となっているものの、移動が早い傾向にあるという。
つまり、仕掛けの落下中にイカは船下を通過してしまうということだ。
そこで、いかに早く乗せられるかが釣果の分かれ目となる。
この日は、まさにそんな状況の日だったが、〝一番乗り〟した人は5杯ほどの追い乗りを連発。
「1投で1勝負のことが多いです。落下中は竿先と道糸を見ておき、おかしいと思ったらストップして、すぐに電動で巻き出してみてください。これでかなり乗せられますよ」
梅雨明けごろまでは中型のスルメたちは中層に浮く傾向にある。
この触りを察知して、この釣りの醍醐味、多点掛けを達成しよう!
以上の記事は「つり丸」2020年7月1日号の掲載記事です。
つり丸の最新号 2020年6/15号 (2020年06月01日発売)、電子書籍(デジタル版)は税込み600円。今なら初回500円割引やレビュー500円割引もあります!また、定期購読なら割引や送料無料!