テンヤの釣り方は他エリアとはまったく違うよ! 速潮と底を意識して釣ろう!
なんと船中50枚以上!? 11月以降最高期だ
東京湾の観音崎沖をメインに狙う金沢八景「弁天屋」のテンヤ・タイラバマダイがいよいよベストシーズンを迎える。
「弁天屋」本田和芳船長によると、昨年は11月から出船を開始し、数狙いであれば、アベレージサイズこそ少し小さくなるものの船中50枚、多いときには80枚も釣れたという。
「ただ、小さいのを数狙ってもね…。だからこの釣果は公表していませんし特別ですが、いいサイズの魚を狙った釣行でも平均で船中30枚程度は釣れていましたよ」という。
10人乗れば単純計算で一人3枚。
残念なことではあるがボウズの人が出てしまうことを考えればトップは5枚やそれ以上だろう。
相当いい釣果と言ってもよいのではないだろうか。
というのも、なんといってもここは東京湾である。
かつての東京湾は、タイラバではあるが、何回か通ってようやく1枚釣れるかどうか…なんて言われていたほど。
それほど難しかったのだ。
それが、記者の勉強不足はあるだろうが、今回の取材を通して、東京湾のテンヤやタイラバってこんなにも釣れるのか…と正直思ってしまった。
そう、今年もそんな季節がやって来るのだ。
そんな「弁天屋」のこのテンヤ・タイラバマダイ船は、出船形態が独特であり、またテンヤにおいては釣り方が外房など他のエリアとは少し異なる。
そこでここでは、テンヤの釣りを中心に紹介してみたい。
テンヤは重めメインに底中心ゆえベイトもアリ


テンヤのタックルは専用モデルが理想。PEは1号以下、リーダーは4号だ
まずは出船形態だ。
”つり丸”「船宿釣況NEWS」欄にも記載があるように、「弁天屋」のテンヤ・タイラバ船は大潮回りのみ出船となっている。
厳密には、大潮前の中潮から、大潮後の中潮の中日ぐらいまで(出船日はホームページ参照)。
「マダイはやはり潮が動いていたほうが釣果がいいので、大潮回りで出船しています」(本田船長)
さらに、最近は新型コロナウイルスの影響もあり、人数を限定して出船している。
とくに週末は混雑することが予想されるので、釣行をお考えの方は早めの予約が得策だ。
さて、テンヤのタックルだ。
これに関しては、外房など他のエリアと基本的には変わらない。
竿はひとつテンヤ専用の全長2.4m前後のモデルが最適で、リールは基本は小型スピニングでOKだ。
道糸が細いので、ドラグ性能の優れた物が理想なのは言うまでもない。
ただ、詳しくは後述するが、ここ東京湾・観音崎沖での釣り方は外房など他エリアとは大きく異なり底中心の攻略となる。
まるでカワハギの底の釣りやカサゴ釣りのように、それらよりはスローではあるもののトントンと常に底を感じて釣る。
したがって、竿を持つ手の親指ひとつでクラッチ操作が可能なベイトリールは大変有効なアイテムになると思われる。
実際、常連さんのなかにはベイトタックルで楽しむ人もおり、かなり釣果も上げていた。
ぜひ活用していただきたい。
道糸は0.8〜1号でこちらも他のエリアとは変わらないが、リーダーは3号以下はNG。
「先日2.5号を使っていたお客さんがいたのですが、ブチブチ切られていました。ここのマダイは速い潮の中で生活しているので、遊泳力が強いんす。パワーがあります。最低でも4号でお願いします」と本田船長。
テンヤ(カブラ)については、ポイントの水深は40mを中心に30〜50mがメインとなり、深くても60mとのことだが、潮が速く底を中心に釣るゆえ他のエリアに比べてワンランク重めのセレクトとなる。
10〜15号が標準で、取材日は15号の使用をすすめていた。
遊動、固定は各自の好みだが、最近は遊動式を使う人が多いそうだ。


エサは冷凍エビ。

尾羽はハサミで切り落とし、孫バリは背側の頭から尾の付け根に向かって刺す。親バリは尾から刺していく。仕上がりが真っすぐになるように刺そう
キモは、いかに底を取り 何回シャクれるか

次は釣り方だ。
「弁天屋」が主に狙うのは東京湾の中でもとくに潮が速い観音崎沖。
そのなかで、船はポイントを大きく流すスタイルで流していく。
それゆえ、「外房などとは釣り方は大きく異なります。アタるのはほぼ底で、軽いテンヤを使ってフォールで食わせるという釣り方ではありません」と本田船長。
ここからは、上のイラストを参照しながら「弁天屋」のテンヤマダイの釣り方を解説してみたい。
投入は可能であれば潮上または正面に軽く投げて行い、糸フケが極力出ないようにサミング(厳密にはフェザリング=リールのスプールエッジを指で軽く押さえることで、道糸が出ていくときに軽くブレーキを掛けてやる動作のこと)しながらテンヤを海底まで落としていく(イラスト内①)。
繰り返しになるが、観音崎沖は潮が速いために、糸フケは確実な底ダチ取りの妨げとなり、またオマツリの原因にもなる。
テンヤが海底に着いたら素早くリールを巻いて糸フケを取り、テンヤが海底に着いた状態で竿を腰の位置で構える(イラスト内②)。
このとき重要なのは、オモリが底に着いている状態でも竿先にテンヤの重みが加わって竿先が曲がっていること。
このことが、後々底ダチ取りにおいて重要な役割を果たしてくれる。
その竿の位置(水平もしくは水平から若干下向きの角度)から誘いの動作に入る。
竿は斜め上40〜50度まで、腕を大きく使って本田船長いわく“すっ”というイメージでシャクる。
アワセを入れるようなビシッという強いシャクリではなく、エサのエビがフワッと跳ねるように軽く竿を動かしてやる(イラスト内④)。
これにより、エサを付近にいるであろうマダイにアピールする。
その竿の位置で止めてひと呼吸置き(イラスト内⑤)、そこからゆっくりと誘い下げていく(イラスト内⑥)。
このときも竿先は曲がったままで、テンヤの重みを感じたまま、道糸にテンションを掛けたまま、じんわりとテンヤが海底に着くまで落としていく。
竿先がテンヤの重みで曲がっていることで、テンヤが海底に着けば竿先はトンと跳ね上がり、手にもその感触が伝わる。
目視と手感度の二重セキュリティーというわけだ。
もしテンヤをフリーテンションで落としてしまったら、潮が速いので潮にテンヤや道糸が取られてしまい、手感度はもちろん目でも底ダチが分かりにくくなってしまう。
船は広くポイントを流していくので、水深も大きく変化する。
竿を下げる動作だけで底が取れなければ、ベイルを返し、ラインを出してテンヤを海底まで着ける。
「東京湾のテンヤマダイは、潮が速いのでどんどん船が移動します。したがって、水深の変化も場所にもよりますが大きいので、その中でいかに底がちゃんと取れるかが重要です。そして、船の移動が速いということは、ひと流しの間に何回シャクれるか(誘えるか)、も重要です。これが釣果を大きく左右します。のんびりやっていては、アッという間にポイントを通過してしまいます。どんどんシャクってください」
アタリがあったら、とくに遊動式のテンヤを使っているときは即アワセはしないでくださいと本田船長は言う。
「かなりすっぽ抜けています。アタリがあったら少し竿で送ってやり、ひと呼吸置き、魚に引っ張らせてからアワせたほうが掛かりがいいですね」

すっというイメージで竿を上げたら、そこでひと呼吸。そこから竿先にテンヤの重みを感じながら、テンヤが海底に着くまで竿先をじわりと下げていく
速潮ゆえネクタイはストレート系がオススメ
最後はタイラバについて。
タックルは、一般的なタイラバ用タックルでOK。
乗せ、掛けとスタイルは大きく2つがあるが、初心者はベーシックな乗せがオススメだ。
ロッドは長さ6.5〜7ftのタイラバ専用。
リールは小型両軸で、それに0.8〜1号のPEラインを巻いておく。
リーダーは4号が3mあればよい。
ヘッドは60〜100gを使用する。
ひとつ注意が必要なのは、ネクタイの選択。
テンヤ同様に、潮の流れが速いという理由から、ネクタイはストレートがオススメだ。
「カーリー系は細身のものならOKですが、太めのものは潮が速いのでアピールし過ぎてしまいます。潮がないようなときに逆にいいかもしれませんね」と本田船長。
ちなみに取材日は、常連さんが極太ワーム系のネクタイで当日最大魚を釣り上げた。
ただ、「あくまでも極太ネクタイは大物狙いということで使っています。状況に合わせて、細めのストレートと使い分けています」と常連さん。潮の速さや魚の活性により、ケース・バイ・ケースで使い分けてみよう。
カラーについては、「濃いめの赤とオレンジは実績が高いですね。その他、グリーンがいいときもあります。ただ、最近は春でもないのに黒によくヒットすることもあります。とはいえ、ひとつアドバイスさせていただくとすれば、“あまり変え過ぎない”ほうがいいと思います」と本田船長。
潮が速いだけに何かをチェンジしている間にポイントを通過してしまう可能性もあるのだ。
「赤、オレンジ、緑の3つを柱に、自分を信じて釣り続けたほうがいい結果が出ているように思います」
以上、「弁天屋」のテンヤもタイラバも、キーワードは「潮が速い」ことにあると言っていいだろう。
ぜひそのことを強く意識して、これからベストシーズンを迎える東京湾のテンヤマダイ&タイラバを楽しんでいただきたい。

一定の速度で巻き続ける、がタイラバの基本テクニック

潮が速いのでタイラバのヘッドは60〜80gをメインに100gまで用意しよう/ネクタイはストレートがオススメ。カーリー系は潮がないときに
東京湾・観音崎沖 テンヤ&タイラバ マダイ釣行レポート
釣果想像以上!11月以降が本番だ!!

ポイントは観音崎沖の水深40mから50mを中心に、深くても60mまでを探っていく

潮が速いので引きはかなり強い。細リーダーは厳禁だ

東京湾観音崎沖のテンヤ&タイラバマダイはこれから本格シーズンを迎える

10月中旬の取材での最大は、タイラバでの2kgクラス。

テンヤもタイラバもいわゆるライトタックルなので、女性も手軽に楽しめる

「東京湾のテンヤは“潮が速い”というのがキーワードです。外房とは違います」と常連さん。釣り方をちゃんと理解していれば複数キャッチ可能だ

テンヤは海底付近を、タイラバは底から10mを中心に探ろう

︎取材日はシーズン本格化前ということで小型中心だった

今後はサイズも数も期待できるだろう

タイラバにヒットし、スリリングなファイトで上がって来たのはワラサ

その他ゲストには良型ホウボウも

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・金沢八景「弁天屋」
「東京湾のテンヤ&タイラバマダイっ て、こんなにも釣れるのか…」
記者が勉強不足ということは多分にあるだろうが、これが取材を終えての正直な感想だった。
コマセマダイならまだしも、テンヤやタイラバとなればもう少し渋いと思っていた。
なぜなら、東京湾のとくにタイラバといえば、かつては数回通って1枚釣れるかどうか、と言われていたほど難しいとされていた。だが、である。
「昨年は11月からスタートして、公表はしていませんが、数を狙えば船中50〜80枚ということもありました。平均しても30枚以上は釣れていましたよ」とは、金沢八景「弁天屋」の本田和芳船長。 「今日はまだシーズン本格化前ということで数も型もイマイチでしたね…」と続けたが、写真のようにかなり賑やかな釣果に恵まれた。
「いずれにしてもこれからです。ようやく魚が出てきたという感じですね」
この釣果ゆえ、10月中旬の取材日はなんと満船。
新型コロナウイルスの影響もあり、人数限定で出船中なので、とくに週末の予約はお早めに!
以上の記事は「つり丸」2020年11月15日号の掲載記事です。
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