食わせ釣りで狙う内房の美味フグ!アタリを取って掛けるのが楽しい!
食味の良さと釣り味の面白さで人気が高いフグ釣り。
今や、各地で乗合船が出船されているが、そのルーツは東京湾だ。
横浜や湾奥の船がカットウ仕掛けで砂地狙いの釣りをしているのに対し、富津の船は根回りや海苔棚の近辺を胴付き仕掛けを使い、エビエサの食わせ釣りで狙っている。
ここの釣り方は食わせ!アタリを取ってアワセ!

食わせ釣りはカワハギ釣りによく似ている。
2本から3本バリの胴付き仕掛けにオモリは20号、穂先に出る小さなアタリを取ってアワせる。
首尾よくハリ掛かりさせたときの「してやったり感」、アタリがあってもエサだけ盗られてしまう「やられちゃった感」、これらが釣り人を熱くさせる。
「浜新丸」の専用駐車場に車を駐めて席札を取り、受け付けを済ませてから乗船場へと向かう。
前夜にはかなり強い北風が吹いていて、明け方には収まってきたものの小さな波が寄せていて、岸壁の船は細かく揺れている。
エサの冷凍アマエビとバケツが釣り座に用意され、先着の人から順に乗船し、準備が整ったところで出船となった。
ポイントは大貫沖だ。
第一海堡をぐるりと回りこんで南側へと移動する。
富津岬が風波をさえぎるので、波は静かだが風はまだけっこう強かった。
10mほどの水深で開始の合図が出た。
フグの食わせ釣りは久しぶり。みなさんの釣り方を見ていると、これがみな違ってて面白い。
じっと竿を止めて待つ人、空アワセを繰り返す人、キャストする人、竿をゆらゆらと揺らしては止める人。
撮影スタンバイしながら、濱名博一船長に「浜新丸」で推奨する釣り方を教えてもらう。
オモリは底につけたまま、竿を水平の位置でアタリを待つ。
フグのアタリの出方は様々で、小さなアタリでもすぐにアワせてやる。
時々オモリを浮かしてまた落とす。
糸は常に張っておくことが大事。とのこと。
「空合わせは必要ですか?」と聞くと、「うーん、まあ人それぞれで釣り方があるからねぇ」と、積極的に推奨はしない様子。
基本は小さなアタリを取ってアワせるようだ。
ショウサイ、アカメなど 現在3種のフグが釣れている
満潮の潮止まりで、なかなか本命が来ない。
ベラやカサゴなど外道が時折上がるのみ。
船長は魚の釣れ具合やエサの取られ方を見ながら、ポイントを移動していく。
何度かの移動後に、ミヨシの釣り人の竿が大きく曲げられ、上がってきたのはコモンフグだった。
今釣れているフグは、ショウサイフグ、アカメフグ(和名ヒガンフグ)、コモンフグの3種類で、コモンフグは比較的小型だが、身が歯切れよく個人的には刺身で一番好みのフグでもある。
下げ潮が効いてくると、ショウサイフグ、アカメフグも顔を出してフグトリオが揃った。
画撮りを済ませた私も竿を出す。
アマエビを剥いて身を1cm角に切り分けハリに刺す。
オモリが底に着いたら糸を張ったままアタリを待つといきなり竿先がひったくられた。
びっくりする強い引きだが、フグとはちょっと違う。
上がってきたのは20㎝のカワハギだった。次に掛かってきたのはアオベラと呼ばれるキュウセンの雄、美味しいのでキープする。
その後もアタリは続くが、なかなかハリ掛かりしない。フグらしきモゾッとしたアタリもあるのだが、エサばかり取られてしまう。

エサはアマエビ。空を剥いて、食わせバリに刺す。オモリは20号を使用
水温下がれば本番! 年明けまで楽しめる
周りでは良型のアカメが好調に上がっているのにどうしてだろう?
小型だが、マダイやマハタ、イサキなども掛かってきた。
浅場の根回りは魚たちの生育場所になっているようだ。
穂先がわずかに押さえられるアタリに、聞き返すようにわずかに竿を立てると微かな重みが伝わった。
そのまま竿を立ててリールで巻きアワセすると重みが伝わってきてハリ掛かり。途中で上に泳ぐ動きを見せて上がってきたのはコモンフグ。
そっか、カウンターを当てるよう小さくアワせるのがコツだったと気づき、この後もコモンフグを追加。
しかし時遅く、沖揚がりの時間を迎えてしまった。もっと早くアワセパターンに気づけばと反省。
船長いわく、フグのアタリの出方やアワセパターンはいつも同じとは限らないとのこと。
船の上であれこれと工夫しながら釣果を伸ばす、難しいからこそ釣れたときは嬉しい。
これはテクニカルな小物釣り共通な面白さだ。
この日のトップは16匹。
北風が強く、アタリが取りにくい日でコンディションは決して良くなかったが、慣れている人はコンスタントに釣り上げて釣果を伸ばしていた。
水温がさらに下がると大貫沖のフグは本番を迎え、年明けまで楽しめる。
味もバツグンなので、ぜひ挑戦を!
【内房・大貫沖】超美味湾フグ 釣行レポート
そろそろ鍋の美味しい季節!

富津沖のショウサイフグ釣りが開幕した。カットウではなく食わせで狙い、ショウサイ、アカメまじりで釣れている
ショウサイフグ!

鍋ネタに最高な冬のフグ釣り。富津沖では食わせで狙う
アカメフグ!

苔棚の海苔などを食っている個体が多く、ショウサイ、アカメともに味がいい。

これからの季節鍋ネタに最高!

ショウサイに加え、この日は良型のアカメがかなりまじった

水温がさらに下がると本番!

数日寝かせてアカメは刺身もオススメ

今回、取材にご協力いただいたのは、千葉・富津港「浜新丸」
富津港出船の食わせフグは静かな人気の釣り物だ。
胴付き仕掛けを使い、アタリを取ってアワせてハリに掛けるフグ釣りは、釣りの原点に通じる面白さがある。
食わせフグに出船しているのは富津港の「浜新丸」。
周年タチウオ船を出すかたわら、もう1隻は春のエビスズキ、夏のマダコ、秋のイイダコ、そして冬場の食わせフグを狙う。
東京湾のトラディッショナルな釣りを得意とし、ベテランからビギナーまでが手軽に楽しめるのが「浜新丸」の釣りだ。
フグ乗合でターゲットになるのはショウサイフグ、アカメフグ(和名ヒガンフグ)、コモンフグの3種。
いずれも美味なフグで、それぞれ味に個性がある。釣ったフグはさばいてくれるので、釣り人は身だけを持ち帰ることができる。
3種のフグの食べ比べが出来るのは釣り人ならではの贅沢だ。
初めての人は、シロギス竿やLTゲームロッドでもチャレンジできる。
小さなアタリを感じられる穂先の柔らかい竿を選ぼう。
軟調の竿を絞り込むフグの引きは格別だ。
取材日は北風の強いタフコンディションながら、慣れた人は16匹のフグを釣り上げた。
水温がさらに下がると本番を迎え、年明けまで楽しめるだろう。
美味しいフグを釣りに行こう!
以上の記事は「つり丸」2020年12月01日号の掲載記事です。
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