MENU
沖釣り専門誌『つり丸』が徹底取材した釣果、釣り方、仕掛け、タックル、魚の生態、グルメコラムを中心に配信する釣り情報サイト
釣る前に、食べる前に、オオグチイシチビキという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、オオグチイシチビキという魚を知ろう!

オオグチイシチビキはスズキ目フエダイ科イシフエダイ属。長崎県壱岐と五島・千葉県館山以南、インド洋、太平洋の熱帯域から温帯域に生息している。相模湾、駿河湾には幼魚が多い。

perm_media この記事の画像ギャラリーをチェック! navigate_next

オオグチイシチビキ(スズキ目フエダイ科イシフエダイ属)の生態

関東の市場ではほとんど見ない魚だ

長崎県壱岐と五島・千葉県館山以南、インド洋、太平洋の熱帯域から温帯域に生息している。相模湾、駿河湾には幼魚が多い。
 
本種の和名はわかりにくい。

「イシチビキ」とは、なんだろう。

実は属名にもなっているイシフエダイという魚は一時、日本近代魚類学の父、田中茂穂によって「イシチビキ」という和名に変更されたことがある。

当然、属名も「イシチビキ属」になる。

だいたい「イシフエダイ属イシフエダイ」も田中茂穂がつけたので、自分でつけた属名・和名を、自分で変更するという掟破りをやったのだ。

しかも田中茂穂は東大の人、魚類学の主流はその時、京大に移ってしまっていて、この和名の変更を許さなかったのだ。

本種の和名にだけ、変更して採用されなかった「イシチビキ」が残った。

これは魚類学の七不思議のひとつだ。

ちなみに地方名は極端に少なく、鹿児島で「ギンマツ」、高知で「からす」という。

オオグチイシチビキの値段は?

関東にはほとんど来ない。

一度だけ入荷をみているが、筋肉が赤いので嫌われ、ついた値段が1㎏あたり卸値1000円。

今回のものは4.2kgなので、卸値4200円だ。

とてもおいしいので、今後もっと高くなると思う。

相模湾でも若魚が釣れる。お持ち帰りを。

オオグチイシチビキの寿司…味は上々、なんだけど…名前がヘンテコ

我が家の食料品はすべて、『市場寿司』のある八王子の市場で買っている。

ある肌寒い朝、市場に着いた途端、マスクを忘れていることに気がついた。

やけに寒い日なのに、上着も、財布も忘れている。
 
クマゴロウの店に寄ったら、いきなりイサキをくれ、妻がマスクもくれた。

これぞ市場の人情なのだ。

「立冬すぎてもイサキ釣れるんだ」

「知ってる?今、相模湾って黒潮ドバっと入って銭州状態なんだぜ」

「じゃー、次はシマアジかな」
 
イサキは東伊豆川奈沖で釣り上げたもの。

計六尾、重さ五百グラム前後で型揃いだった。

そのまま、たかさんの店に置いて帰ってきた。
 
昼過ぎに『市場寿司』に行くと、店の前のテーブルで握りを食べている人がひとり、ふたり。

中に入ると、たかさんが変顔して熱唱中だった。

マイク代わりにイサキを持って、

「冬のイサキちゃん、お前ってヤツは♪脂がのりのり、うまいもんだね♪冬のイサキちゃん……」

「たかさーん、歌はいいからあれ」

「あれかい?」
 
と、出して来たのは三重県志摩市の釣り人が上げた謎の魚だ。

都心で一泊したので、たかさんに荷物を受け取ってもらったのだ。
 
意外なものだった。

珍魚というほどでもないが、船釣りにきたのは、知る限りでは、相模湾、鹿児島湾、そして志摩沖で三例目だ。

標準和名をオオグチイシチビキという。

いかにも魚類学的な名前だが、「ちびき」は筋肉が赤いところからきている。

「三十センチくらいかな。八本も入ってた。これもらっていいの?」

「食べてみたの?」

「いけるよ。食べ比べてみなよ」
 
目の前に来たのはイサキ三かん、オオグチイシチビキ三かんだ。

「イサキは横綱級、オオグチは前頭筆頭かな。師走も近いのに、イサキがうますぎで比較できないけど」

「イサキ、最高だろ。ついつい、冬のイサキちゃん♪てね」

「それでみんな外に逃げたんだ」
 
イサキがうますぎるので、どうしてもそちらに手が伸びるが、オオグチだって十二分にうまい。

ほんのりと紅に染まったネタがとてもきれいだし、独特の風味がある。

「問題は名前だね」

「本当だよね。だれがこんなヘンテコな名前をつけたのかね」
 
この長くて、わかりにくい和名をつけた魚類学者がわからないのだ。
 
ただ、この薄紅色のネタは魅力的だ。

嫌みがないのもあるが、ほどよくすし飯と馴染み、

すんなり一体化して喉の奥に消えていくのがいい。
 
何度も書いているが、同じ魚が産地を変えて立て続けに来るという、不思議なジンクスがあるのだ。
 
数日後、高知県から四キロものがやってきた。

そのまた数日後、今度は長崎県から六キロものがきた。
 
高知のものは宿毛市の釣り人が、初めて釣りましたと送ってくれた。
 
たかさん、前回と同じだと思って下すと、まったく違っていたので、

「なんじゃこれは?」
 
三枚に下ろすと、身が真っ赤だったのだ。

たかさん曰く「これじゃハチビキだ」は、ご名答、魚類学者が「血引き」とつけた理由そのものだ。
 
どうやら成長するに従って身の赤身が強くなるようなのだ。

前回の小振りよりも味的には上だ。

より深みのある味だし、微かに酸味がある。
 
カウンターに座っていたお客さんにも食べてもらったが、みな美味しいと言う。

超大型オオグチイシチビキは色が赤いのと、少し柔らかいのは難点だが、味は上々であった。

しかも後味がいいので、三かん、四かんと食べても飽きが来ない。
 
たかさん、窓もドアも全開にして、

「さ~て、歌うぞ!」

「さ~て、みんなー、逃げるぞ!」

以上の記事は「つり丸」2020年12月15日号の掲載記事です。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

関連記事
オニヒラアジはスズキ目アジ科ギンガメアジ属。和歌山県から九州南岸の太平洋沿岸、鹿児島県南さつま市笠沙の東シナ海、屋久島、琉球列島。台湾、西太平洋、インド洋に広く生息域をもつ。全長1m前後の大型魚だ。
シマアジはスズキ目アジ科シマアジ属。本州以南に生息。意外に沖縄県ではあまり見られない。古くは南半球のシマアジは別種とされていたが、国内のシマアジと同種であることが判明する。
ヒラソウダはスズキ目サバ科ソウダガツオ属。北海道以南。世界中の熱帯・亜熱帯・温帯域のやや岸よりも表層域に群れを作る。群れは作るがマルソウダの群れと比べると個体数が少ない。
スズキはスズキ目スズキ科スズキ属。北海道から九州、朝鮮半島南岸・西岸。内湾、汽水域、淡水域にも侵入する。
ゴマフエダイはスズキ目フエダイ科フエダイ属。本州の太平洋側、岩手県でも発見されているので、生息域ははっきりしない。相模湾や駿河湾でも若い個体、稚魚が発見されている。
最新記事
東京湾のシーバスジギングが好調!横浜新山下「渡辺釣船店」取材日は数はもちろん、スズキクラスも連発!水温が上昇に転じれば活発に食い始めるのもパターンだ!
コマセに混ぜるだけ!シマアジをきらめきと匂いで誘う添加剤 「シマアジキラーbyエイト」
鹿島沖では例年になく水温が高く、活性が高い魚が多く、いろいろな魚種がまじって五目釣り感覚で楽しめている。取材当日は本命マダイがまじる展開!中ダイクラスのヒットも!!
開拓から5年目を迎えた犬吠沖のアカムツは、人気・実績ともにますますヒートアップ!波崎港「仁徳丸」の取材日では、大型まじりで3名が規定数の10匹に到達。
新ブランドから8本編組PEライン登場「ROOTS PE×8」4月発売予定。

新型コロナウイルス
つり丸編集部の取り組み

船宿一覧

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
つり丸船宿一覧
つり丸定期購読
get_app
ダウンロードする
キャンセル