厳寒期のシケの合間の凪ぎ日がチャンス! 昼は大ダイ、夜は極上寒ブリを狙う!
真冬のシケの合間の日本海は 楽しいことが待ってるぞ!

冬の上越沖は、言わずもがな大シケの日が多い。
一般的には荒れたあとより荒れる前のほうが沖の魚は釣れる傾向にあるが、ここ近年の日本海の様子は違う。
温暖化の影響は日本海も例外ではない。水温が季節どおりに下がらないためか、「例年の…」というパターンが当てはまらなくなってきており、秋から冬の釣りものに関しては、その影響が顕著にあらわれている。
人気の昼のマダイは、全国的には5月6月の乗っ込み期が有名だ。それ以外の季節は大変テクニカルなコマセマダイ釣りと常に大型と出会う確率が高いのが、上越沖のコマセマダイ釣りの最大の魅力といえよう。
例年のパターンでこの冬将軍が到来してからの厳寒期についていえば、以前は12月1月のマダイ釣りは小休止の季節であった。
ところが、近年、出船可能な日には海のなかはまさに秋のままで近場の魚礁周りで大釣りできる日が多くなっているのである。
これが3月まで継続し、いわゆるプレ乗っ込み期がなくなってきている。
マダイが釣れなくなるのではないので、釣り人にとってはうれしい限り。さらに道路事情も整っているので、関東からの遠征釣行も冬場でも可能になっている。
さて、今期の夜ブリの状況はというと、今回残念ながら12月半ばには極上寒ブリの大回遊はなかった。
その理由はマダイと同じ。温暖化の影響だ。
例年ならば、遅くとも12月半ばにはブリのXデイがあるが今期はさらに遅れると予想。
昨シーズンも遅れ気味だったが、年末年始にかけてブリが釣れたので今シーズンは約1ヵ月遅い開幕になるだろう。
ベテランアングラーたちはよくこう話す。
「寒気をともなった冬の大荒れのあとにブリが釣れる」と。だから、シケのあとの出船可能日には、事前情報がなくともそんな地元の釣り師たちでここ直江津の港の夜はにぎわうのだ。
冬場は直江津沖と柿崎沖の人工魚礁をメインに攻める

今冬の上越沖のマダイたちは定番ポイントである直江津沖と柿崎沖の人工魚礁にマダイ集結しているようだ。
水温が低くなると深めの魚礁にプランクトンが沸くため、エサを求めてマダイたちが魚礁周りに集まるという。
その水深は60〜70m前後。プランクトンが多いのでエサ取り魚も多いのが特徴だ。
「秋からポイントはほとんど変わりませんね。魚礁に近づけばエサ取り魚が増えます。魚礁の近くを流すので結局、真冬でも秋と同じ釣り方となります。マダイは季節問わずかなり浮きます。高ダナ設定は春まで変わらずですよ」とは、直江津沖のコマセマダイを得意とする直江津港「里輝丸」の小林智船長。
オキアミコマセ釣り、ハリスは全長12m
さて、厳寒期のコマセマダイの釣り方は普段とほぼ変わらない。タックルは一般的なコマセマダイタックル。
竿は長さ2〜3m。
日本海は太平洋のような大きなウネリはないので、2m前後のショートロッドでも十分。
これにリールは道糸PE4〜5号を200m巻いた小〜中型電動を組み合わせる。
ビシはプラビシもしくはステン缶。
オモリは80号。
ここでビシのサイズはコマセのドバ巻きは不要なので大き過ぎるものは避ける。
ビシのなかにコマセのオキアミがひとつかみ、ふたつかみほど入っていればよい。
ステン缶であれば、細身、もしくはオモリ80号のLT用でよい。
テンビンを介して2㎜径長さ1mのクッションゴムを付け、その先に2段もしくは3段テーパーのハリスを全長12m接続。
ハリス全長の基本は12mだが、15mくらいまでは伸ばしてOK。
ハリはマダイバリの10号前後。
ハリ数は1本で十分。
枝バリを出して2本バリもOK。
指示ダナから5m落とし、そこから上げてタナで待つのみ
釣り方は、まず船長の指示ダナプラス5m下までビシを下ろし、そこからゆっくりと指示ダナまでビシを巻き上げるだけ。
ここでは一般的には、コマセを振り出す動作を行うが、その動作、つまりシャクリ動作はほとんどいらない。
マダイたちにオキアミの味を覚えさせるだけ、という考えなのでコマセのドバまきは必要ない。
タナにビシを合わせたあとは、置き竿でアタリを待つのが定番の釣り方である。
最強の誘いは落とし込み。タイミングをみて行う

浮かせて釣る上越エリアでは、最大の武器といえるのは、落とし込みの誘いだ。
その理由は指示ダナが高いことと重い仕掛けを使うから。
「ポイントは魚礁をメインに攻めます。基本は魚礁に群れるマダイのみをそこから誘い出して、魚礁から少し離れたところで食わすことです。状況によっては魚礁のベイトの群れを直撃することもあります。そんなときは、タナはかなり高く設定します。この釣りはマダイを浮かせて掛けるようにしてますから、誘いのタイミングはマダイが船の下に回遊してきたとき、もしくはそのマダイがコマセに反応して浮いたときです」と、小林船長は話す。
そのタイミングを知るにはまずは船長のアナウンスに耳を傾けよう。
直江津港のマダイを得意とする遊漁船の船長は全員、このタイミングを細かくアナウンスしてくれる。
自分で知りたいと思うなら探見丸を活用する。
受信機がなくともスマホのWiーFi機能で魚探を受信し見ることができるので、自分のスマホか予備のスマホを持参して見られるようにするとよい。
マダイらしき群れが魚探に映り始めたときにすぐに落とし込みの誘いをする。
この落とし込みはさまざまな方法があるが、ここでは、指示ダナから1〜3mの範囲で十分。
指示ダナより上でしばらく待ち、タイミングで指示ダナ付近に落とし込むのも有効だ。
また、ここはエサ取り魚が多い。
エサがなくてはいくら誘いをかけても本命は来ない。
ハリにエサが付いているかどうかが、当たりまえではあるが最も重要なことである。
エサ取り魚の活性が高くどうしようもないならば、リアルなオキアミ型ワームが使える。
ここではかなり実績がある。
夜ブリの仕掛けは胴付き仕掛け5本バリ。オモリ300号

極上の日本海の寒ブリをエサ釣りで狙って釣ることができるのは、関東甲信越周辺では唯一の釣り場が上越沖。ここでは夜釣りで釣る。
仕掛けは胴付き5本バリが基本。ハリスは22〜30号と太く。オモリは300号を使用。
どうしてこんな重いオモリを使うかというと、アンカーを打ってのカカリ釣りのため、潮の流れがあると軽いオモリでは仕掛けがなびきオマツリが頻発してしまうから。
オーバースペック気味に思えるがこのサイズのオモリがこの釣りには適している。
竿は300号のオモリ負荷に耐えうるもの。
地元では長さ4m前後のロングロッドが主流だが、近年は泳がせ用やキンメやアコウ用に使用するショートロッドもオススメだ。
リールは、道糸6〜8号が300m収納できる中型電動リールが適合する。
シマノ社製なら4000番〜6000番、ダイワ社製なら750番がベターだ。
この仕掛けの上部に専用のコマセカゴをぶら下げるのがご当地釣法だ。
ポイントの水深は50〜60m、釣り方は非常に簡単
上越沖のブリのエサ釣りは「里輝丸」「八坂丸」とも2便制をとっている。
3便は15時30分出船。10時30分帰港。
4便の深夜便は11時出船で深夜の4時半帰港が一例だ(時間は多少前後あり)。
ポイントは港から約30分の有間川沖の岩礁帯。
水深は50〜60m。この周辺でアンカーを打ってのカカリ釣りをする。
さて、釣り方だが、まずはリールのドラグ調整。
両手で道糸を強めに引っ張りだし、スーとスムーズに糸が出るくらいにする。
ハリスの太さからいえばかなりドラグは緩め。
仕掛けを絡まないように丁寧に投入したら、オモリを底から50㎝ほど上あげて置き竿で待つだけ。
エサは、イカタンやヒイカ、小ヤリイカが主流であまり大きすぎるものは夜釣りではよくない。
基本は置き竿にするのみだが、アタリが全くないからといって仕掛けの入れっぱなしにはしないように。
エサのイカは水中に入れっぱなしにすると固くなってしまうので、ころあいをみて仕掛けのエサをチェックし新しいものと交換することが大事だ。
ヒットしたらアワせず、電動低速巻き上げであげる
ブリのアタリは、意外と小さいことが多い。
竿先が「フワフワフワ」と揺れたりするという。
このアタリが出たら即アワセしないで、一呼吸、ふた呼吸、少し様子をみてからやり取りに入る。
まずは、リールの電動スイッチオン。
速度は低速。
テンションが掛かるとブリが暴れて竿がしなり、このとき少しリールから道糸が出るくらいがベストだ。
巻き上げ途中は必ずオマツリする。
そうなると、他の人のオモリ付きの仕掛けと一緒に巻き上げることになるのでかなりの重さになる。
電動のパワーだけで上がらないことも多く、道糸を手で引っ張るなどしてサポートしよう。
新潟県 上越沖 大ダイ~寒ブリ 釣行レポート

潮の流れが緩い上越沖では、LTでコマセマダイが楽しめる

昼はこのマダイがメインターゲット。時化の合間は毎年スペシャルデイだ

3㎏でもかなり引くのがこの冬のマダイの特徴。やり取りはかなりスリリングで楽しい

マダイロッドが綺麗な弧を描く!
5.4㎏!

連日、大型魚にラインブレイクされるという魚礁周りでヒットした5.4㎏。このポイントで後日、12㎏の「モンスター」がキャッチされた
出た!モンスター12.3㎏!!

12月12日に直江津沖の魚礁周りであがった12.3㎏のモンスターマダイ。「八坂丸」の船宿記録更新魚だ。この記録魚をキャッチしたのは忍田さん
大型アマダイ乱舞!

「八坂丸」では冬期限定でマダイ・アマダイリレー船を出船中。

アマダイはこんな良型ばかり

短時間のアマダイ釣りでこの釣果

マダイ・アマダイリレーの釣果。魚種多彩で楽しめる

今期も多いヒラマサ

マダイ船ではヒラマサがまじるのが昨シーズンからの傾向だ

ヒラマサが回遊すると足元の生け簀はこのとおり

夜釣りはアンカーを打ってのカカリ釣りになる

夜釣りのブリ釣りは胴付き仕掛け。オモリは300号を使用
新年のブリ回遊に期待!Xデイあるかも!?

夜ブリの季節はこれからだ

ブリが回遊してくるとワラサも釣れるようになる

イナダが来ると入れ食いだ

イナダがいるとこのとおり。大型クーラーがすぐに満タン。イナダは脂がのっていてお土産になる


今回、取材にご協力いただいたのは、新潟・直江津港「里輝丸」/「第二八坂丸」
冬将軍が到来した日本海。
いわずと知れた大荒れシーズンだが、等圧線が開いた貴重な凪ぎ日は、新年のスペシャルデイとなる。
その筆頭がマダイだ。近年、温暖化の影響で上越沖の人工魚礁周りは極寒がなくなった。
1月2月の厳寒期でも海のなかは秋のまま。
しかも、水温低下によりプランクトンが魚礁周りにたまり、魚たちのよいエサ場になるのだ。
だから、マダイがよく釣れる。
数釣れるのは1㎏前後だが、ときおり大ダイがまじる。
今シーズン、強烈な引きのあと、プツリとやられた人も多いが、その正体は大ダイだった。
12月半ばには直江津「八坂丸」では船宿記録となる12・3㎏のモンスターもキャッチされたほど。
冬場のマダイはベテランでも青物と間違うくらい、想像以上に強烈に引く。テクニカルでゲーム性も高い。
そして、年末年始限定の楽しみが夜ブリ釣り。
電気釣りとも呼ばれご当地釣法である胴付き仕掛けで極上寒ブリを狙うというもの。
今期はやはり高水温の影響のため、回遊は大幅に遅れており、昨シーズン同様に年明け以降も継続して狙えるとの予想。
8㎏超えの個体は見事な脂の乗りで最高の個体であるのはお墨付きだ。
なにせこれからの季節の日本海の沖釣りは天候次第。
釣果情報はさておき天気と相談して冬のスペシャルターゲットをゲットしよう。
以上の記事は「つり丸」2021年1月15日号の掲載記事です。
つり丸の最新号 2021年1/1号 (発売日2020年12月15日)、電子書籍(デジタル版)は税込み600円。今なら初回500円割引やレビュー500円割引もあります!また、定期購読なら割引や送料無料!
12月に入ると妙高の山々はすっかり雪化粧。この景色が美しい