新春のスペシャルターゲット!シマアジはコマセマダイ釣法で攻略! ハリスは4号で!!マダイも好気配
南伊豆沖は例年12月〜2月がシマアジシーズン

近年、伊豆遠征エリアや金洲だけでなく、陸近くの近場でシマアジが釣れている。
南房エリアは昔から有名だが、温暖化の影響で外房や茨城県の鹿島周辺でもシマアジが確認されているほど。
伊豆半島については、東伊豆周辺で春からコンスタントにあがっており、西伊豆エリアでも同様に春ごろからあちこちで良型シマアジの釣果が報告されている。
南伊豆沖では例年12月〜2月がシマアジのシーズンとして定着しているが、そのポイントは今秋にカンパチやモロコで盛り上がっていた神子元島周り。
とくに島の東側は定番のポイントとなっている。
さて今期もそこでシーズンイン! と思いきや、下田柿崎「兵助屋」では、12月から通っているのはなんと、石廊崎沖。
ゴールデンウイーク前後に盛んに通う乗っ込みマダイポイントだ。
「もちろん、神子元島周りもシマアジを狙えば釣れるのでしょうけど、今期は石廊崎沖が安定してます。潮の流れの影響なのでしょうか、この周辺にシマアジの群れはたまってますね。石廊崎沖のメリットは北東の風に強いことです。この手の風のときは現場はベタ凪ぎになり釣りやすく出船率も高くなります。神子元島だと、ちょっと風が吹くと出れないので。12月の半ばは開始したばかりなのでマダイの寄りは少ないですが、コマセをまいているうちにマダイもよく釣れるようになってきますよ。もちろん、神子元島周りでもシマアジの様子が出れば行くこともあります」と話す鈴木船長。
釣り方と仕掛けはコマセマダイ釣りと全く同様

南伊豆沖でのシマアジ釣りは、ハリス長10m前後のコマセマダイ釣りと全く同じだ。
タックルも仕掛けすべて同様である。
銭洲や神津島、御蔵島などでシマアジ釣りを経験したことがある人ならば、シマアジ仕掛け=短い(全長2〜3m前後)と考えるだろう。
もちろん、この仕掛けやその釣り方で釣れないことはないだろうが、近場という環境下では人為的なプレッシャーが入りやすいのでコマセ釣りで釣るマダイと同じ考えで釣ることが望ましい。
「ハリスは6号よりも5号、5号よりも4号のほうがシマアジは食います。ですが、細くなるほど大型がヒットしたときにハリス切れのリスクは高まります。ゲーム性を高めるためにも1匹とのやり取りをもっと楽しくするためにも、ハリス4号程度の細ハリスでもシマアジチャレンジを推奨してますよ」」と鈴木船長は語る。
タックルはマダイ用、仕掛けは2タイプ用意
タックルだが、前述のとおおり、コマセマダイ用を用意しよう。
竿は2〜2.7mほどのコマセマダイ用、リールは小型電動。
これに道糸PE4号を300mほど収納させる。
ビシはオモリ80号Lサイズのステン缶、もしくはLサイズのプラカゴ。
テンビンを介し2㎝径長さ1mのクッションゴムを接続しその先に仕掛けをつなぐ。
仕掛けは2通り準備。
まずは基本形。全長は10mの2段テーパー。
上ハリスは6号6m。小型サルカンを介し下ハリスは4〜5号4m。
その中間に40㎝の枝スを出す。ハリはマダイ10号前後。
もうひとつは高活性時対応で朝いち用に短めのもの。全長は5〜6m。
上記の下ハリスに小型サルカンを介し1〜2mほどハリス6号を結ぶか、ハリス4〜5号全長5〜6mで2〜3本バリのもの。
付けエサは、オキアミ1匹掛けが基本。
目が2つ付いたしっかりとしたものをチョイスしよう。
朝イチちなどはオキアミ2匹抱き合わせもよい。
高活性時のみオキアミの長さに合わせたイカタンなどを抱き合わせにしてもよい。
コマセはオキアミのみ カゴの中には8分目くらい詰める
シマアジはコマセに突っ込む習性がある。
まさに、これぞ“コマセ釣り”で釣れる。
理想は振り出したコマセと付けエサの同調だが、それを演出するためにもカゴに入れるコマセは多く入れても8分目くらいにする。
そして、できるだけ新しいコマセ(オキアミ)を使うこと。
基本的には船宿で配られるコマセのみを使うので問題ないが、使い古しのオキアミコマセはここでは厳禁。
魚の寄りが一気に悪くなるという。
朝イチはシマアジのゴールデン タイム。この機を逃すな!

シマアジ釣りでは、朝の第1投がどこの海域でもたいていゴールデンタイムだ。
南伊豆エリアでは昔からこの傾向が強くいまも変わらない。
ここのシマアジを釣りたいならまずはこの1流し目、そして2流し目は全集中しよう。
そのためには、現場に到着するまでに万全の準備が必要。
タックルのセッティングはむろん、まずは仕掛けを準備。
このとき、予備仕掛けもきちんと確認しておこう。
付けエサはしっかりとしたものを数匹チョイスしハサミで尾羽根をカットしておく。
朝イチは全長6m以内の短めのもでいい。もちろん、全長10mの基本仕掛けで最初からやりたい人はそれでもいい。
船長の指示ダナ下10mから竿をシャクリ上げコマセを出す
釣り方はこうだ。まずは枝スが手前マツリしないようにビシから投入。
ハリスは続いて入れる。
船長の指示ダナ下10mまでビシをおろし、仕掛けの潮なじみを待つため数秒待ち、そこからストロークを大きく竿を振り上げる。
3〜5回ほどに分けてコマセを振り出す。
指示ダナまであげたら、そこで手持ち竿でアタリを待つ。
2分ほど待ってアタリがないようなら回収して再投入。
これを手返しよく繰り返す。
たいていは朝イチの第1投目に誰かしらにシマアジがヒットすることが多い。
自分だけ釣れないときは焦らず、回収して付けエサのチェックを行おう。
魚の活性が高いときは、待ち時間1分ほどの早めのインターバルで釣ってもいいだろう。
なんらかのトラブルに巻き込まれたら、できうる限りの手伝いをして早い解決を心がける。
仕掛けほどきは後回しにして、即座に新しいものと交換して早い再投入を心がけよう。
それだけ、朝イチのゴールデンタイムはシマアジ釣りにとっては重要なのだ。
ヒットしたらファースト ランは魚を走らせる
シマアジがヒットすると、竿先の「モゾモゾモゾ」の後、一機に魚が真下に突っ走る。
体高の高さから発するトルクフルな引きで必至に逃げていく。
それを無理に止めてしまうと、ハリス切れはむろん、ハリが身を割いてバラシの原因となってしまう。
だから、ドラグは緩めにしてファーストランは走るだけ走らせてしまう。
走り止んだらやり取り開始。
この後のやり取りはマダイと同様だ。
あまりにもリールのドラグ設定が緩いといつまでたっても上がってこないので注意。
魚はだんだんと弱っていくので少しずつドラグを締めていってもよい。
水面での回収はオマツリしていることも多いので必ずタモ入れをする。
周りの人はお互い様なので協力して貴重な1匹を回収しよう。
シマアジの食いが落ち着いたら、基本仕掛けでマダイを狙う

シマアジはその日の潮や天気などの環境によるがずっと高活性のままではない。
たいていの場合、船を流しかえるたびに少しずつ活性が低くなる傾向がある。
しばらくしてシマアジがヒットしなくなったら、仕掛けは全長が短いものから基本仕掛けに変えてマダイを狙うようにしよう。
普段のマダイ仕掛けを使ってその釣り方をすることで、スレ気味のシマアジを引き続き狙うという目論みだ。
中盤戦になってくるとウマヅラやフグなどのエサ取り魚たちも活発になってくる。
これらも視野に入れてのマダイ釣りになっていく。
基本仕掛けになった場合、釣り方は前述のシマアジと変わらない。
船長の指示ダナ下10mからコマセを数回に分けて振り出し、指示ダナでアタリを待つというもの。
シマアジの活性が高いときは、手持ち竿でアタリを待つ場面も多いが、今度は置き竿にしてじっくりとアタリを待とう。
エサ取り魚が多いときは、カゴのなかのコマセを少なくするか入れないのもオーケー。
シマアジは潮変わりに突如ヒットする。
常に強いファーストランを想定したドラグ設定で待つことが大事だ。
ワラサが回遊したときは ハリスは太くする
オキアミコマセにはマダイはむろん、ワラサも反応する。年明けごろにワラサフィーバーになることも南伊豆エリアでは珍しくない。
そんな青物が多いときは細ハリスにこだわらず、ハリス6号以上で臨もう。
ワラサ狙いのときは、ハリス6号6mでいい。
入れ食いになるようなときはハリスは8号にしよう。
このときシマアジ狙いのゆるめのドラグ設定はタブー。
いつまでたっても回収は不能になってしまうので、ワラサだとわかっている場合はリールのドラグは多少強めに設定して強引なやり取りが必要だ。
ターゲットや状況に合わせた仕掛けのチョイスが楽しい南伊豆の海。
基本的には五目釣りで楽しめる。
この海にすこぶる詳しい鈴木俊和船長に分からないことは気軽に質問してみよう。
南伊豆 石廊崎沖 シマアジ 釣行レポート
春の大ダイ乗っ込みポイントに シマアジ襲来中!! コマセマダイ釣法、 細ハリスで臨む!!

マダイロッドでシマアジのトルクフルな引きを交わす。シュルシュルシュルとラインが出るさまは快感だ
ハリス4号の攻防戦! これがたまらない!!

ハリス4号のマダイ仕掛けで良型シマアジとやり取りする。プレッシャーが入っている近海のシマアジはマダイ釣りと同様な考えで釣るのが正解だ

水面でのタモ入れは必須。オマツリには気をつけよう

常連の中村さんはこれで3枚目。マダイ名人はシマアジ釣り名人だ

一荷ヒットを連続させた中村名人
おいしそうなナイスボディ 良型シマアジがターゲット!


「朝イチはハリス5号5mの仕掛けで食いました」とのこと

複数キャッチもザラだ

中村さんは水面でオマツリバラシが1枚あるが見事3枚キャッチ

マダイもコマセに反応中

乗船日はシマアジオンリーだったがこれからはマダイがメインとなる。マダイはコマセに反応して次々に集まってくる

宿は波静かな下田湾奥の柿崎

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・下田柿崎「兵助屋」
南伊豆沖でシマアジが釣れている。
この海域に通い慣れている人ならば、「今年も神子元島周辺で始まったかぁ〜」と思う人もいるだろう。ところが今期はいつもと様子が違う。
「12月初めまでめいっぱいモロコとカンパチを狙ってきました。これからはコマセ釣りでマダイに力を入れていきます!」と話すのは、南伊豆ではコマセマダイ船のカリスマ的船長で知られる下田柿崎「兵助屋」の鈴木俊和船長。
この船宿では12月から早速コマセ釣りに切り替えると、良型シマアジが連日好調にアタるようになっていた。
しかし、船が向かったのは石廊崎を通りすぎ、中木や入間の沖、つまり春の大ダイ乗っ込みポ イントだった。
「暖かい潮の影響ですかね。今期はこの周辺にシマアジが回遊してます。マダイはいまのところ少ないですが、これからよくなっていくと思います」
朝いちからシマアジがマダイ仕掛けに次々にヒット。
トルクフルな引きがリールの道糸をあちこちでシュルシュルシュルと引き出す。
「シマアジといっても釣り方も仕掛けもマダイと同じです。太いハリスにはなかなか食わない傾向にありますから、細ハリスでゲーム性の高い釣りを味わってください」と船長は話す。
今後はマダイメインでシマアジまじりの傾向が強くなっていくと予想。
新春の高級ターゲット求めるなら、この南伊豆沖がオススメだ。
以上の記事は「つり丸」2021年1月15日号の掲載記事です。
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石廊崎沖は北東の風は伊豆半島の影となりベタ凪ぎとなる