深場に落ちて群れが固まる時期、脂が乗った美味しい落ちギスはいかが
日の出は遅く、朝はめっきりと冷え込むようになってきた。
早起きが億劫になる時期でもあるけれど、年明けにかけて好機を迎える釣り物も多い。
東京湾のシロギスはそのひとつで、越冬場の落ちギス釣りが本格化するシーズンを迎えた。
より誘いが大切な冬のキス釣り

取材に伺ったのは金沢八景の「荒川屋」。
周年シロギス乗合を出している宿は老若男女問わず、シロギスファンが集まっている。
取材日の12月6日は、朝起きると予報とは裏腹に雨がしとしとと降っているバッドコンディション。
これでは釣り客も少ないかと思ったが、それは余計な心配で、午前船のシロギス乗合もLTアジ乗合も賑わいを見せていた。
特に貸道具を持った若い釣り人の姿が目立つ。
船釣りはオープンエアゆえ、コロナ禍の時代のレジャーとして注目されていることがうかがえた。
さて、シロギス釣りといえば初夏の風物詩、といったことはこれまで何度も記事にしているが、冬場の落ちギスにも独特の釣趣があるのだ。
浅場でキャストして仕掛けを引いて誘う夏に対し、冬は20m~30mの深場を狙い、仕掛けを縦に動かして誘う。
誘い方がより重視されるのは落ちギスの方かと思う。
仕掛けをゆっくりと持ち上げたときに竿先が押さえ込まれる、このアタリが取れるようになれば落ちギス釣りはぐんと面白くなるだろう。

仕掛けはテンビン、胴突きお好みで
取材日は伸びなかったが、その後一日107匹も!
船は平潟湾を出てスパンカーを立てた。
和田雄太船長は「40分ほど走ります」と告げ、航路を渡る木更津沖のポイントへと向かった。
昨日にトップ80匹が出たポイントだそうだ。
雨天ということもあり、私は午前は竿を出さず撮影専門にまわることにした。
水深22mで開始するが、潮がほとんど動いていない。
外道のイトヒキハゼが多く、シロギスよりも先に食ってしまう。
これにはベテラン勢も苦戦の様子。
それでも、潮が効き始めるとあちこちでシロギスが取り込まれ始めた。
ただし、アタリは小さく、冷たい雨風も重なり初心者は苦戦しているようだ。
時折強い引きでイシモチが上がってくる。
午前船はトップ25匹の釣果だった。
一旦港へと戻り、午後船では私も竿を出した。
午前は木更津沖だったが、潮の流れがいまひとつだったこともあり、午後は港前から中ノ瀬、木更津沖とあちこちを広く探索する作戦だ。
どの場所を攻めても型は出るのだが、群れが薄いのか連続で釣れることが少ない。
じっくり誘ってアタリを出し、地道に数を伸ばしていく釣りとなった。
私は終始胴付き仕掛けで釣ったが、真夏のようにひったくるアタリやブルブルッと穂先を震わすアタリはほとんど無い。
オモリを底に着けたまま5秒ほど待ってから、ゆっくり大きく誘い上げたときに穂先にモタレが出る。
そこで竿を止めたままリールを巻いてアワせると、重みが伝わりハリ掛かり、というパターンが多かった。
このように小さなアタリで掛けていくのが落ちギスの面白さで、アタリを出して釣ったという充実感がある。
午後船の釣果はトップ14匹と、数的には伸びなかったが、これはポイントをあちこち探ったため釣り時間が少なかったことがあるだろう。
まだ越冬の群れが落ち着いていない状況のようで、これから水温が下がれば群れが固まり数は伸びていくだろう。
取材の3日後には、一日船で出船しトップ107匹と束越え釣果が出て、いよいよ落ちギス本番の雰囲気になってきた。
年末から年始にかけては深場狙いの数釣りが楽しめるはずだ。
さて、落ちギスの魅力はその食味にもある。
年末から年始のシロギスは、越冬に備えて脂肪を蓄えているため、とても味が良い。
今回釣ったシロギス料理で一番美味しかったのはフライで、身の味が濃いことがよくわかる料理法だ。
天ぷらと違い、落ちギスのフライは冷めても美味しいので、ぜひ試してみて欲しい。

一日船では束釣りもあるぞ!
落ちギスのキスフライが美味しかった~!
荒川屋では、午前・午後シロギス乗合とLTアジ乗合で出船しているので、午前はシロギス、午後はアジというようにリレーで乗り継ぐのも可能だ。
一日シロギス船もあるので、じっくりしっかりと釣りたい人にはこちらがおすすめ。
また、併設のダイニングバー「サンドフィッシュ」にて、釣りたての魚で食事も可能なので、船宿のホームページで詳細を見ていただきたい。
寒い釣りから上がってきて2階を覗くと、温かいバーでくつろぎ食事を楽しんでいる人達の姿がちょっと羨ましかった。
東京湾 落ちのシロギス 釣行レポート

東京湾の落ちギスシーズン。深場に群れ固まった激ウマのシロギスを狙おう!

落ちギスは越冬に備えて脂が乗り、食べても美味。キスフライがおすすめ!

深場のシロギスは夏場以上にテクニカルで夢中になれる。小さなアタリを取ってハリ掛かりさせよう

ベテランからビギナーまで夢中になれて、食べても美味しい。

初釣りにも最適

ゲストでイシモチなども

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・金沢八景「荒川屋」
東京湾のシロギスが落ちの好食いを見せ始めた。
金沢八景「荒川屋」では、初心者からベテランまで多くの釣り人が冬の落ちギス釣りを楽しんでいる。
シロギスの群れは沖の越冬場に固まって冬を越す。
その水深は25m~35mと深い。
夏場のように仕掛けを投げて引きずって動かすのではなく、ゆっくりと仕掛けを誘い上げてオモリとエサを浮かしてシロギスにアピールするのが落ちギス釣りの誘いだ。
アタリが出るのは、オモリを底に着けて待っているときと、誘い上げでオモリが浮いた直後が多い。
コツンとかモゾッとした小さなアタリだが、それをうまくハリ掛かりさせれば、小気味よい引きがやってくる。
シロギスは冬場でも元気いっぱいだ。
群れは固まっているので、ポイントに入ったら手返しよく釣って数を伸ばそう。
16~20㎝前後の型ぞろいなので20匹も釣れば十分なお土産になるが、慣れた人は50匹を目指してみよう。
12月8日には一日船でトップ107匹と束越え釣果も飛び出した。
越冬のためにたっぷりと脂肪を蓄えた落ちギスは、その食味からもファンが多い。
刺身、昆布締め、天ぷら、キスしゃぶは定番料理だ。
フライも激ウマ。
手軽な半日船、釣果も安定しているので、初釣りにおすすめしたい釣り物だ。
以上の記事は「つり丸」2021年1月15日号の掲載記事です。
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