今期も開幕した水深200mオーバー深場のアカムツ!基本タックルと攻略術
水深200mオーバー深場のアカムツシーズンイン

年も待望の犬吠埼沖深場のアカムツシーズンが開幕した。
ポイントは広大で春まで少しずつポイントを北よりに変えていくのが昨年までのパターン。
今期はどのような展開になるのだろうか。
アカムツは通常、水深200〜300mの泥地に生息している。
そして産卵期は夏〜秋。ちょうど冬〜春は通常の深場に生息している。
いま狙っているのは普段の生息場だ。
1月以降のアカムツのボディは産卵行動後からしっかりと体力を回復し、たっぷりの脂を身にたくわえ、最高のボディで食べては激うま。
これを逃す手はない。
しかし、ポイントは陸から遠い深場。さらに冬場とあり出船可能日は限定される。
貴重な凪ぎ日が深場アカムツデイだ。
さて、すっかりアカムツフリークには有名になったここ犬吠埼沖だが、アカムツが開拓されて今期で4シーズン目とあってさまざまなことが分かってきた。
さすがに新場所発見時のような爆釣は少なくなった。
そんななかでうまいアカムツを確実に釣るためにここでは、深場アカムツの基本をおさらいしていこう。
人気ターゲットが引き起こす さまざまなトラブルを予測
人気ターゲットであるがゆえに、良型が深場であっても比較的簡単に釣れる犬吠埼沖ではどの船に乗っても混雑は必至だ。
さらに現場の潮の流れは複雑。
速かったり、2枚、3枚潮だったり。
これだけの要素で考えられるトラブルはオマツリだが、それだけではない。
仕掛けのフォール中にサバにつかまり、即オマツリ。
鋭い歯やサメのツノが道糸に触り、高切れ。
オマツリ中に道糸をプロペラに巻かれて、高切れ、など、できれば誰もが味わいたくないことばかり。
しかし、これらを想定し事前に準備することが確実な1本を獲る要因になるのである。
深場ならではのトラブル回避を紹介しつつ釣り方を説明していこう。
電動リールはパワーのあるもの、道糸はPE4号400m収納

まずタックルは、オモリ200号を背負える7対3調子、もしくは8対2調子の竿と道糸PE4号を400m以上巻ける中型電動リールの組み合わせ。
竿は操作性のよい長さ2m前後のもの。
竿の調子はできれば先調子ではなく7対3調子の先が軟らかめのものがいいだろう。
専用竿がベストだが、それにこだわらずさまざまな竿が流用可能だ。
リールはPE4号が400m以上収納できる電動リール。
シマノ社製なら3000番、ダイワ社製なら500番がそれにあたる。
これよりサイズが小さいリールはどうしてもラインキャパシティーが少ないため、いざというときに役にたたないこともなりうることを覚えておこう。
そして道糸はPE4号がベスト。
その理由は、クロムツや深海ザメなどによる道糸の高切れを防ぐため。
さらに道糸は太くすればこの問題は回避すると考える人もいるだろう。
だが、これより太いと潮の抵抗を増やし投入時の落下速度の低下、一番多いトラブルであるオマツリも頻発させる。
そして、カンネコ根などで主流のPE3号の道糸は、どうしても高切れ率が高くなるのだ。
こんな理由から“PE4号”が推奨されている。
ただし、乗船者全員が、たとえばPE5号もしくは6号で統一、ということになれば、話は別。
現時点ではほとんどの船で道糸はPE4号を推奨しているのでこれに従い使うことが望ましい。
そして道糸の収納量が400m以上必要な理由は、まず、速潮時を想定してのこと。
犬吠埼沖は黒潮に近いこともあり、いつ潮の流れが速くなるかわからない。
速く流れる場合は、少なくとも水深の1.5倍近くは道糸がリールから引き出され、水深200mならば300m引き出されてから、オモリが着底することもある。

リールはPE4号が400m以上収納できるものをチョイス
高切れ対策で電動リールは予備を用意
どんな理由であれ道糸の高切れは、実釣行動をしばらくの間停止してしまうばかりか、気分そのものも落ち込ませてしまう。
人気の犬吠埼沖では、この高切れは必ずありえる、と想定して釣行するが正解。
そのための一番の対策は、予備の電動リールを最低でも1台は持参すること。2台あればなおよい。
電動リールは道糸の高切れだけでなく、高負荷によるリールのオーバーヒートが起こることもある。
サメやサバがヒットしオマツリしたまま、巻き上げてくると、想定以上の負荷がリールに掛かるのだ。
そして持参する予備のリールも乗船前に必ず動作確認をしておこう。
意外な落とし穴がコードにもある。
予備コードの通電もチェックしておこう。

こいつが高切れを起こす犯人であるツノザメ。背中の2本のツノに注意
ハリスは6号以上。2本バリまでバレの少ないハリを

仕掛けは胴付きだ。
ハリ数はほとんどの船宿で2本バリまでと規定されている。
3本バリを使って数あげようとしても結果として2本バリや1本バリの仕掛けと釣果は変わらないどころか、サバばかり掛かって釣果が伸びないことも多い。
ハリスは6〜8号50㎝前後。
深場ではハリスの太さはあまり魚の食いの良しあしには関わらないようだ。
撚れにくさを考慮するなら張りとコシのある8号がおススメだ。
ハリは深海から魚をゆっくりと時間をかけて上げてくることから、外れにくいハリが多くの釣り人に好まれている。
その流行りがホタバリだ。
『つり丸』でおなじみもテル岡本さんが発掘した漁師バリだが、いまやアカムツ専用バリとなっている。
その理由はズバリ!フッキングしたら外れにくいこと。
独特のハリ形状が外れにくい場所にフッキングするからだ。
そして、古くから深場の定番バリとして君臨するのがムツバリ。
アカムツでは太軸タイプがオススメ。
細軸のものはハリ掛かりはよいが身を裂きやすい。
太軸はいったん刺さると身を裂きにくいからだ。
大きさはムツまたは、ホタともに17号〜18号と大きめがいい。
エサはホタルイカゲソとサバの切り身の抱き合わせが基本
エサはサバの切り身と船宿で配られるホタルイカゲソの抱き合わせが基本だ。
付けエサは魚に一番近いところゆえ、最も重要。
だが、エサのチョイスに迷うなら基本形で押し通そう。
これで十分なほどの結果が出ているからだ。
とはいっても、エサには特別こだわりたいのが釣り人の性。
サバの切り身の代用としては、サケ皮、イカタン、イカタンタイプのワームなどがある。
深海ゆえにエサ持ちのよさを期待する理由で使われているのだろうから、何を使うかは好みでよいだろう。
ルアー感覚でさまざまなものチョイスしてみるのも楽しみのひとつだ。
コレという正解はなかなか見つからない。
抱き合わせるホタルイカゲソは、目の目の間にハリを刺し抜こう。
これは外れにくくするため。ツボ抜きはせずに付けてもよい。
集魚効果を発揮するのは、ゲソの肝と目玉であることを覚えておこう。

エサは基本形のサバの切り身とホタルイカの抱き合わせで十分
捨て糸は1.2mからスタート、状況により長さを調整する

さて、まずは仕掛けの捨て糸の長さをチェック。
長さは1.2mからスタートしよう。
釣り方だがまずは仕掛けの投入。
必ず手持ち竿で行う。サバが中層にいる場合は、竿先を真下に向けて仕掛けをフォールさせる。
途中で止めない、フォールスピードに変化を加えないように心がけよう。
オモリが着底したら、それを底に付けた状態でまずアタリを待つ。
アタらなければゆっくりと竿を竿の長さ分聞きあげ、ゆっくりと竿を下げ、再びオモリが底に着いた状態でアタリを待つ(ゼロテンション)、という動作を繰り返す。
たいていの場合、オモリが着底と同時かゼロテンション時にアタリが出るので、アタったら一呼吸おいてから竿を聞きあげて電動スイッチオンで巻きアワセ&やり取り開始。
これがヒットまでの一連の動作。
釣り続けていくうえでまず気にしなくてはいけないのが、タナ=ステ糸の長さ。
捨て糸長1.2mで順調に釣れ続ければ、そのままでよいが、本命がなかなかヒットしないで釣れてくるのがサメやユメカサゴ、ドンコばかりの場合は、捨て糸をさらに長くしよう。
具体的には1.2m→1.5m。
全くヒットしなかったり、周りでサメがヒットせずに下バリばかりにアカムツが釣れているときは、捨て糸を1mにする。
また、潮の流れが速くなかなか底ダチをとれないときなどは、さらに捨て糸を短くするのが効果的だ。
【犬吠埼沖】深場のアカムツ 釣行レポート
待望の深場の良型アカムツシーズン開幕! 深海サメ対策でPE4号400m以上の タックルで対峙しよう!!

ゼロテンションでアタリをとらえ、電動スイッチオンにして巻きアワセをするのが深場の基本アワセだ
ナイスボディの良型乱舞! 激うまをゲットしよう!!

40㎝を越すナイスボディの個体も多くまじった

身厚のナイスボディの良型がそろう

朝の第一投目からヒット

8時前でこの釣果

やり取りは中速度で巻き上げよう

水面に浮いたアカムツ。水面近くにアオザメなど大型ザメが回っているときは取り込み時は要注意
一荷ヒットはザラ!

ちょっとこぶりのアカムツは一荷でヒットすることも珍しくない

一荷でヒット

でっぷりとしたアカムツも釣れる
46㎝浮上!

45㎝を超えるとかなり大型だ。これは46㎝。50㎝級もまじるフィールドだ

魚の長さを計測すると46㎝だった

これも見事な魚体。こんなアカムツが美味なのだ

こんなワラサもまじった

規定数は10匹!

数釣り達成者続出中!

今回、取材にご協力いただいたのは、茨城・波崎「東洋丸」
今年も1月にアカムツフリーク待望の犬吠埼沖の深場のアカムツフィールドが解禁した。
ポ イントは犬吠埼沖約19マ イル。
遊漁船としてはプチ遠征フィールドにあたるこの場所には、広範囲にわたってアカムツたちが群れている。
よい群れに当たれば、2本バリ仕掛けに一荷ヒットも珍しくない。
そして、40㎝前後の良型がコンスタントにまじるのも魅力のひとつ。
「この沖のポ イントに来れば、アカムツの釣果はかなり固いイメージですね。ただし、ツノザメなど深海ザメも多いので、PE3号以下は使わないようにしてください」と話すのは中深場釣り専門と言っても過言ではない、波崎「東洋丸」の石橋敏男船長。
深海ザメは釣れたアカムツを食うのではなく、アカムツと同じように付けエサを食ってヒットする。
かなり水中で暴れるのでオマツリを引き起こし、挙句の果てにはPEがそのサメの背中のツノに引っかかると切れてしまうのだ。
つまり高切れをおこす。
混雑した船上ではどうしてもこの状況は避けることはできない。
使用する道糸はPE3号ではカンタンに切れてしまうので、PE4号400m以上を使ってほしいとのこと。
難しことは考えずに仕掛けを下ろせば、激うまアカムツに出会える確率が高い犬吠埼沖。
冬の凪ぎ日を逃さすチャレンジしてみてほしい。
以上の記事は「つり丸」2021年2月1日号の掲載記事です。
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