仕立船ならではのクロムツからのアカムツリレー アカムツは不発だったが美味しいクロムツをゲット

私が毎年、「釣り初め」に楽しみにしている釣りが城ケ島沖~沖ノ瀬のクロムツ五目。
今年はコロナ禍で縁起良い赤い魚を欲して、マダイからのスタートとなってしまったが、やっと1月末に待望のクロムツ五目に行くことができた。
開始からサバの猛攻

毎年お世話になっている三崎宮川港の「二宮丸」。
気さくな宮川船長親子と会うのが楽しみで、クロムツに限らず、通年でその時の旬の釣りに通う私の常宿だ。
もちろん、クロムツの情報もタイムリーに入手済み。
今回乗船したのは、息子の宮川和摩・若船長が舵を取る「第七二宮丸」。
気の知れた釣り仲間6人でお邪魔した。
予約の最終確認で船長に電話すると、「クロムツは数出ています。沖ノ瀬も城ケ島沖もどちらも数は出ています。先週は城ケ島沖でトップ40匹。サイズは沖ノ瀬の方が期待できるけど、今週は激流で釣りにならなかったから城ケ島沖にしましょう。クロムツは朝イチメインだから、クロムツやってから近くにあるアカムツポイントでアカムツもできますし。ちょっと水深が深くなってしまうけどコンスタントに型を見ていますよ。2㎏ほどのクロムツも日によってまじっています」との情報。
黒から赤へのダイヤリレー。
仕立て船ならでは豪華なリレーだ。
クロムツは暗ければいいわけではなく、好む明るさがあるようで、夜間は浅場まで上がってくる。
そして日が昇ると、また深場へ移動していく。
この浅場にくるチャンスタイムを逃さぬように集合は午前4時半。
ポイントまで30分ほどなので、まだ真っ暗ななかでスタートとなる。
港で宮川剛・大船長自作のマグネット板を借りて出船。
水深120mほどの場所に色濃い反応を見つけると実釣開始となった。
私はまずは8本バリでスタート。
着底を確認するやいなや、竿先がプルプル叩かれた。
周りの皆もすぐにアタった。しかし、本命のそれとは少し違う。
すぐさま電動リールをオンにすると、強烈な引き。
そして周りも巻き込んで複数のサバが掛かっていた。
「ヒラサバ」と呼ばれる美味しい良型のマサバだが、全員の仕掛けがグチャグチャにされて厄介なスタートを切った。
いきなり仕掛けを総取り換え。
ポイントを少し変えて第2投をするも、またサバの餌食。
堪らず3投目からハリ数を5本に替えるも、予想以上のサバの猛攻に苦戦。

クロムツ仕掛けはハリ数5〜10本、アカムツ仕掛けはハリ数2〜3本でOK
次第にサバも減り、クロムツが顔を出す
隣で竿を出す釣友の内藤さんは、アカムツ用の3本バリでサバのリスクを軽減。
サバの下にある色濃いクロムツの反応に届いて、本日最初の本命をゲットした。
城ケ島沖は比較的サバは少ないとの前情報どこ吹く風で、日が昇るまでの間はいかにサバをかわしてクロムツにエサを届けるかがポイントになった。
そして厄介なのはクロムツらしきアタリで魚を掛けても、その後に掛かったサバが暴れて本命が外れてしまう。
東に見える房総半島の地平線が赤く照らされてきた。
ここで左舷の二上あやさんが待望の本命をゲット。
サバが減ってきたのか(?)、次第に仕掛けを海底付近にキープできる時間が長くなってきた。
竿の長さを有効に使って大きくあおった後、誘い下げていると竿先に「ガツガツッ」というアタリ。
30㎝ほどの待望の本命「黒いダイヤ」をゲットできた。
船の後方からサバがアタックしてきているのか、船尾の濱本さんとミツ隊長(ニックネーム)は依然としてサバの猛攻に苦しんでいた。
しかしサバはサイズが良く、ミツ隊長にはイナダと見間違える特大サバ(通称・豚サバ)が掛かった。
辺りが少しずつ明るくなってくると、一投ごとに水深が深くなっていった。
140、160、そして最終的には240m。
このころにはサバのアタリは遠のいた。
まだクロムツは変わらぬ色濃い反応。大きく上下に誘って、本命のアタリを出す。
サバの心配が減ってからは、追い食いを狙って2点掛けも達成。
しかし、やはり数を狙える朝イチの反応をサバに邪魔されてしまったのが痛かった。
アカムツポイントでは動かない潮に苦戦
本命のアタリも遠のき、後半のアカムツポイントへ移動。
水深は360mほど。
オモリを200号から250号、仕掛けを3本バリのアカムツ用に替えて再スタート。
今度は着底までの時間が長い。
前半と打って変わって、後半は動かぬ潮と少ないアタリに苦しむ。
船長と「こんな外道もアタらないなんて珍しくない?」なんて談笑していると、私の置き竿に大きなアタリ。
しかも上げてくる最中、50m間隔くらいで竿先を押さえ込まれる。
「これは本命でしょ!」と、期待しながら水面に姿を現したのは良型のクロムツ。残念…。
すると、反対舷の二上あやさんに私よりも更に強い引き。しかし何か違う。
水面に姿を現したのは1mをゆうに超える目が輝く深海のサメ。
釣り仲間での釣行なので楽しめたが、残念ながらアカムツは顔を出さずに各自クロムツを追釣して終了。
最終的には普段より寂しく、私はクロムツ11匹の釣果であった。
朝イチの反応をサバなしで取れたら…。釣り人によくある「タラレバ」話を次への期待と変えてこの日は納竿とした。
まだまだ4月までは楽しめる中深場釣り。
クーラーいっぱいの黒いダイヤと、願わくは、そこに赤いダイヤも加えられるように再トライしようと思う。
城ケ島沖〜沖ノ瀬 クロムツ&アカムツ 釣行レポート

仕掛けを投入したら、置き竿でアタリを待つ

さあ、いよいよ取り込み!何が掛かっているかな?

取材当日はクロムツが好調に釣れた!

朝イチのチャンスタイムを逃さないように!

当日のアベレージサイズはこのぐらい!

嬉しい1匹!

取材者はクロムツをツ抜けした!

クロムツは4月ぐらいまで楽しめる

大型のマサバは嬉しいお土産だ!

メダイもまじる

これはソコクロダラ?中深場釣りでは、いろいろな魚がまじる

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・宮川港「二宮丸」
冬から春にかけて人気の中深場釣り。
とくに近年、人気が高いのが名前に「ムツ」と付く魚。
「黒いダイヤ」とも称されるクロムツと「赤いダイヤ」と呼ばれるアカムツは言わずもがなの超高級人気ターゲットだ。
城ケ島沖や沖ノ瀬では、この時期に高確率でダイヤをゲットできる。
三崎宮川港の「二宮丸」ではクロムツをメインに中深場船を出船している。
船長にうかがうと、「沖ノ瀬や城ケ島沖を潮次第で狙い分けています。どちらも数は出ていますよ。先週は城ケ島沖でトップ40匹。数は城ケ島沖が安定しているけど、沖ノ瀬は全体的にサイズが良いです。ただ、沖ノ瀬は潮が速い日が多くて…。今週は激流で釣りにならなかったから、今日も城ケ島沖に行ってみましょう。城ケ島沖なら、すぐそばにアカムツのポイントもありますから。ちょっと水深が深くなってしまうけど、コンスタントに型を見ていますし、2㎏ほどのクロムツも日によってまじっています」という。
黒から赤の夢のダイヤリレー。
まだ暗いなかでスタートすると、クロムツはコンスタントに型を見た。
後半のアカムツは残念ながら「動かぬこと山の如し」の潮に悩まされ、型を見なかったが良型のクロムツを追加して終了。
取材当日は黒だけだったが、今シーズンもダイヤはザクザクだ!!
以上の記事は「つり丸」2021年3月1日号の掲載記事です。
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「黒いダイヤ」と称されるクロムツ。とても美味しい魚だ!