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釣る前に、食べる前に、ヒシダイという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、ヒシダイという魚を知ろう!

ヒシダイ(スズキ目ヒシダイ科ヒシダイ属)国内では福島県でも見つかっているが、千葉県外房以南、富山湾以南に生息。

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ヒシダイ(スズキ目ヒシダイ科ヒシダイ属)の生態

市場では値の付かない魚だ。うまいのに…

国内では福島県でも見つかっているが、千葉県外房以南、富山湾以南。国外では西太平洋、ハワイ諸島、インド洋、大西洋など世界中の温帯域から熱帯域に生息する。
 
ヒシダイの仲間は世界中に17種、国内に3種いる。3種とも珍しい魚ではないが実際に手に入れようとすると、なかなかやっかいである。

特にヒシダイ以外のベニヒシダイ、ミナミヒシダイはめったにお目にかかれない。

黎明期の魚類学者、松原喜代松をして研究が進まなくて困ったようだ。
 
ヒシダイはだれの命名かわからない。

ヨコダイという標準和名が提唱されたこともあるらしい。

和歌山県などでは、チョウチョウウオやキンチャクダイなどとともに、「たばこいれ(煙草入)」という。

また富山湾では「きんだい」。

まとまってとれないためか地方名は非常に少ない。

ヒシダイの値段は?

過去に東京中央市場が築地にあったときに2度、鹿児島県の市場で1度だけ見ているが、値段はついていなかった。

鹿児島魚市場でじーっと見ていたら、頂けた。

築地では初め重さではなく1尾300円なりで買わせてもらったが、2度目は缶コーヒー2個でいただく。

要するに値段はない。

食べたら最高にうまいので、お持ち帰りを。

ヒシダイの寿司…脂がのっているのにあっさり爽やか!

すし職人、たかさんのチャームポイントはいっぱいあるが、欠点も多い。特に困るのが、持ち込んだ魚の名前を一向に覚えないことだ。
 
三月、岩手の漁師さんが最近売れないからと、至って普通の魚、クロソイを送ってくれた。

そのまま『市場寿司』に提供したら、「初物だ、初物だ。かーもんべいびっ、ああたらこうたら…♪」と踊り出した。

「たかさん、これ今年になって二度目だし、市場にも普通に並んでる」

「踊って損した」
 
いい年をして、いきなり踊るのは変だが、これもたかさんの魅力だ。
 
そんな中、めったに来ないのに、一発で覚えて、忘れない魚が何種類かある。

例えばオジサンやクロコショウなどだ。

今回の主役もそのひとつ。めったに来ないのに名前も、味がいいことも、ちゃんと覚えていた。
 
いただいて、丸のまま渡したら、「四角なのに菱鯛ちゃん」

「魚は名前の面白さで覚えるんだ」

「ちがう、ちがう、味で覚えるの」
 
確かに普段、珍しい魚で小さいものは、味見のために少しだけ口に入れて、うまいとかまずいとかの評価を下すだけだ。

「はんぶんこしよう」という魚はめったにない。

ヒシダイはそのめったにない魚なのだ。
 
今回の主役、ヒシダイは市場の深場釣り師、エビスさんにいただいた魚に混ざっていた。

相模湾でのオニカサゴ狙いできたものだ。
 
狙って釣れる魚ではない。

過去に一度だけ、外房からの沖メバル狙いで釣ったことがあるが、長年にわたり釣り三昧の日々を送っていたのに、以後一度も釣っていない。
 
あらためて自分の釣りの才能に気づき、また釣りを再開するつもりだけど、「最初の狙いは本種にしたい」なんて言ったら、エビスさんが、「外道をそんなに喜ばないでよ」

「エビスさん、外道という魚はいない。魚拓級のオニカサゴよりも小さなヒシダイに胸キュンなのよ」
 
エビスさん曰く、アラもオニカサゴもつ抜けで、今回は最高の釣行だったらしい。

めでたし、めでたし。
 
当分、オニカサゴ・アラ狙いで伊豆に通うというので、また本種をとお願いしたら、嫌な顔をしていた。
 
本種は太平洋、インド洋、大西洋と、世界中の熱帯から温帯域にいる。
 
全長二十センチ前後、菱形で鱗が硬く前身が赤い、不思議な姿の魚だ。

一度見たら目に焼き付く、それでたかさんにも覚えられたのかも。
 
ここ数年、本種の近縁種、ベニヒシダイとミナミヒシダイを探しているので、日本中に写真を送って探してもらっている。

三種はとても似ているためか、送られて来るものは全部、ハズレのヒシダイだった。

その総てをたかさんと一緒に食べた。

なかでも、今回のものがいちばん大きい。

全長二十四センチはヒシダイとしては最大級だと思う。
 
旬は不明だが、四月の大型は脂がのっていた。

その脂が舌にねっとりとからんで甘味が広がる。

そこに強いうま味が来るのだけど、喉に消えたあとが実に爽やかだ。

「あっさりしてるのに、味がだれない。すし飯と一緒になってからもネタの味がちゃんと感じられるね」

「たかさんにしては語るね」
 
真子も白子も抱えていなかったことから、産卵期はまだ遠い。

これほど脂ののった個体は食べたことがない。

ひょっとしたら春から夏にかけて旬なのかもしれない。

「今どきのお客も、白身魚のこの微妙な味がわかると、いいよな」

「最近来る若くて可愛い女子って、脂ギトギトの大トロ好きが多いね」
 
きっと年のせいだと思うけど、ここ数年ふたりとも、大トロより上質の白身の方がよくなってきている。

「オレらってアメリカン♫」

「うん、淡泊で薄いよね」

以上の記事は「つり丸」2021年5月15日号の掲載記事です。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

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